馬糞風リターンズ

世ノ中ハ何ノヘチマトオモヘドモタダブラリト下ツテモオラレズ

奈良県香芝市穴虫(地名の話5)

2009年08月19日 | 地名・地誌
 乾さんと太田さんが「竹内街道」を歩いた記事が3年4組のHPにあります。
大阪府と奈良県の境に「二上山」があります。この二上山の南側に竹内峠があり、北側に「穴虫峠」があります。
いずれ乾さんと太田さんが「竹内街道ウォーク」を企画してくれると思います。
その時の「話のネタ」にして下さい。

http://takahira.cool.ne.jp/furuimatiB/kinki3/kasiba-anamusi.htm
http://www.asuka-tobira.com/futakamiyama/futakamiyama.html
大阪府と奈良県境二上山の北側に「穴虫」と云う地名の所があります。
二上山の南側の峠が「竹内峠」で北側に「穴虫峠」があります。
竹内峠を通るルートが、わが国最古の国道「竹内街道」です。
国土地理院の地図をゆっくりと眺めて下さい。http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?meshcode=51356550
 さて地名「穴虫」をどう理解するかを書いてみます。
例によっていろいろな「穴虫」地名解があります。
一番有力な説と云われているのが、日本地名学会会長谷川健一さん等が唱えている「金属・精錬」関係地名説です。
「穴虫」と「穴師」との関連を論拠とする説で、谷川健一さんの膨大な「金属精錬」関係の民俗調査や一連の著作をベースにしているだけに説得力もあり賛同者も多い説です。ここでは論旨を省略しますが、結構知的好奇心を刺激する論です。
 僕は、大先生のお説はさて置き、「アナムシ」を分解して「アナ」「ムシ」に分けて考えています。
例によって結論だけを書きます。
「ムシ」=「ムショ」→「無所」→「墓所」。漢字の読みは「呉音」「漢音」がありますが「墓所」を「ムショ」と読むのは「呉音」で、仏語は基本は「呉音」で読みます。中世末に編纂された「日葡辞典」にも「墓所」=「Muxo」とあります。
一方「アナ」は文字通り「穴」のことです。「墓穴」です。
兵庫県在地の民俗調査資料などから、土葬であった当時、死体を埋葬する穴(墓)を堀に行く時は「穴を掘る」と一般的に言っていたようです。
 要は「穴虫」=「穴(墓)+墓所」=「アナムショ」→「アナムシ」と訛ったと思われます。
では何故この二上山の北側に「墓+墓所」からなる「穴虫」地名があるのかと云いますと、有名な大津皇子の古墳が有るように、二上山は古代の都のあった桜井市方面の西に位置し、太陽が沈むところです。また、大阪府側には「王家の谷」とも云われる磯長があります。
このように古代この辺りは貴族の墓所であった事実があります。
 兵庫県で「虫」地名を調べた時にも「虫」が「墓所(ムショ)」の訛ったものである例が数多く検出しました。
いろいろなデーターから僕は「穴虫」は「墓所」地名だと確信しています。

大来皇女の歌
「うつそみの人なる我や明日よりは 二上山を弟と我が見む」