『ご命日の説法で、福岡教会の支部長さんがこんな話をされました。支部長のお役の声がかかって迷っているとき、銀行の支店長をされているご主人が、こんなアドバイスをしてくださったというのです。
「お役を離れても、どれだけの人が本当に自分を慕ってくれるか。その、人間の本当の魅力を身につける修行をするつもりなら、お役を受けさせていただきなさい。私も職場でそれを心がけているんだよ」と。
人を救う菩薩の四つの資格の一つに、「同事」ということがあります。同事とは、相手と同じ立場に身を置くことです。観世音菩薩はその人その人にふさわしい姿で身を現わされて、「つらいね」と隣で言ってくださいますね。高みに立って「こうしなさい」とは言われません。
いつも人さまと同じ立場に身を置いて、一緒に仕事をさせてもらっていると、それぞれの人が口には出さなくても、胸にさまざまな思いを抱いているのが見えてきます。その思いを本当に分かってあげられる人間になりたいと努力していくのが、本当の人間の魅力を具える修行です。菩薩行の目標はそこにあります。』
庭野日敬著『開祖随感』より
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