薩摩藩の菩提寺に多数の幕末の無名の志士を合祀した大円寺(東京杉並区)があります。幕末の大混乱の時期にはるか薩摩から上京した若者たちに合掌したいと思いました。
大円寺は品川にあった薩摩藩屋敷に近く藩の菩提寺となり、明治時代に現地へ転居した禅寺です。開基は家康で寺門や本堂には葵のマーク、本堂には丸に十の字の島津藩の図が。寺裏は荘重な石塔がおびただしく大樹の下にひっそり連なっておりました。
野球帽を脱いで一人こわごわ逍遥、風に卒塔婆が鳴るとビビりそうです。
佐幕派に焼打された品川薩摩藩邸70余の犠牲者の合祀石塔に手を合わせました。
言葉も水も人出も田舎薩摩とは異次元の江戸で散った若者を偲びました。はるかな国元では家族兄弟がどんな思いでいたことでしょう。寒風に舞う枯葉の音が泣き声に思えました。凍てつく異国での眠りです。南妙法蓮華経。
「幕末の志士の墓原初まうで」駿