『結婚について、ある詩人がこんなことを言っています。「結婚して三日間は夢中、三年間は優しく愛し合うが、あとの三十年間はがまんのし合い。だが、互いに鼻につきだしてからの三十年間に、夫婦の本当の愛情がわいてくる」と。
私の祖父は仲人の名人でしたが、「こんな娘を」「こんな婿を」と条件をつけられると、「そりゃ、わしの手に負えない」と断わるのです。「いくら相手に注文をつけてみても、一生のことは分かるものじゃない。夫婦というものは、こっちの出ようで相手はどうにでも変わるものだ」というのが、祖父の口癖でした。
最近は「三高」などといって、女性のほうからも結婚相手にさまざまな条件を出すようになりました。しかし長い結婚生活は、身長が高くて、高学歴で、高収入でなどという外側の条件だけでなく、さまざまな条件が合わなくてはやっていけません。それが最初からピッタリ合う相手などいるわけがありません。
互いに、相手に合わせてそういう条件をつくりだしていくのが結婚生活でしょう。合わせる心こそがいちばんの条件。それさえあれば、すべてが整っていきます。』
庭野日敬著『開祖随感』より