日本銀行は銀行の銀行である。
その意味は、各市中銀行は、日本銀行に各自の当座預金口座を持っているからである。
例えば、三井住友銀行が国から買い取った5億円の国債を、日本銀行が三井住友銀行から買い上げた場合(実際に日銀がやろうとしている金融緩和策とはそういうことである)、
日本銀行はその支払代金として日本銀行内の三井住友銀行の当座預金口座に5億円を入金する。
このことによって日本全体のベースマネー(マネタリーベース)は5億円増えたことになる。
問題は三井住友銀行がこの5億円をどう使うか(誰に貸すか)、ということである。
というのは今の銀行はお金の借り手が無くて困っているからである。
銀行にとっては貸し出す先がないのである。
承知のように当座預金には金利はつかない。
三井住友銀行にとって当座預金にいくら預金を積み上げても金利はつかない。
寝かしておいても金利はつかない、かといって借りてくれる民間企業もない。
三井住友銀行の融資担当者はどうするか。
少しでも金利のつく国債を購入するか、値上がりしそうな株などの債権に手を出すかのいずれかである。
日本中の銀行がそうせざるをえない。
そうなれば、国債の値は上がり(金利は低下し)、株は高騰する。
低金利下の株の高騰、どこかで聞いた話だ。
そう80年代のバブルと同じなのだ。
違うのは80年代のバブルは公定歩合の引き下げによって円安誘導をしようとした結果、株の高騰というバブルを引き起こしたのに対し、
今回は金利はすでに極限にまで下がっているために、日本銀行が三井住友銀行などの市中銀行にジャブジャブとお金を供給して円安誘導をしようとしているだけの違いだ。
経済実態が必要としている以上のお金を中央銀行が供給すれば、必ずバブルが発生する。
これは17世紀のオランダで起こったチューリップバブルや、18世紀のイギリスで起こった南海泡沫バブルでみられる歴史上の経済ルールなのだ。
そしてバブルはいつまでも続くことはできない。
バブルが発生するときに儲かるのは常にインサイダーかそれに類するプロの投資家で、決まって損するのは逃げ遅れた素人の投資家である。
インサイダーかそれに類するプロの投資家というのは、実はアメリカウォール街筋の金融機関である。
彼らはすでに昨年末から日本株を買い続けている。
ゴールドマンサックスをはじめとするアメリカのウォール街は、官民一体となって国策として金融取引をしている。
黒田日銀総裁は、ベースマネー(マネタリーベース)を増やすことによって、企業や個人の預金資産まで含めたマネーサプライ(マネーストック)を増やすことができるとしているが、
中央銀行が増やすことができるのはベースマネー(マネタリーベース)だけであり、
決して世の中全体のマネーサプライ(マネーストック)を増やすことはできない。
マネーサプライ(マネーストック)を増やすのは実際の民間企業の経済活動だからだ。
つまりお金の流通が活発になって市中銀行の信用創造が増大しない限りマネーサプライ(マネーストック)は増加しない。
もし日銀がそこまで介入しようとすれば、それは統制経済か社会主義経済であり、もはや資本主義経済ではない。
黒田日銀はバブル製造機関である。
参考1
おゆみ野四季の道 より
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-6d26.html
(25.4.6) 黒田日銀総裁の金融政策とアメリカとの密約
黒田日銀総裁の金融政策が明確になったが、ポイントは2年間で資金供給量を2倍にするという。
金をジャブジャブ市中にばらまくということだが、
その具体的方法は長期国債を毎年50兆円規模で購入することだ。
それ以外も上場投資信託も不動産投資信託も購入の対象にしているから、FRBのバーナンキ議長によるサブプライムローン債権の購入と似てきた。
従来白川前日銀総裁は日銀の役割はインフレにならないように通貨価値を維持することとしてきたので、はっきり言えば資金供給に渋ちんだった。
これに対し黒川新日銀総裁はアメリカやヨーロッパ並みの資金供給を行い、通貨安を仕掛けるというのだから当然のこととしてドイツのメルケル首相などは目をむいた。
だが不思議なことにアメリカのオバマ政権はアベノミクスに対して非常に好意的で、これは「通貨安戦争ではない」と安倍政権を擁護している。
アメリカは現在ドル安政策とシェールガス革命で再び製造業大国を目指しているのに、この日本の円安政策による輸出攻勢に対し非常に好意的なのはなぜだろうか。
わずかにアメリカの自動車産業が不満を漏らしているが、オバマ政権はこの自動車産業の不満を抑えている。
とても不思議に思っていたらタイミングよく副島(そえじま)隆彦氏が
「浮かれバブル景気から衰退させられる日本」
という本を出版してこのトリックを解説してくれた。
氏の文章はとげがあって「日本の権力者の頂点はやっぱりこの二人(麻生太郎氏と森喜朗氏)のやくざだ」なんて言葉が随所にあるのでとても読みずらいのだが、一つだけ私が感心したのは
「本年2月の安倍首相とオバマ大統領との首脳会談で、日本は毎年50兆円規模のアメリカ国債の購入を約束した」
というくだりだ。
今回黒田日銀総裁が表明した毎年長期国債50兆円の購入金額が完全に符合する。
日銀が金融機関から国債を購入することがなぜアメリカ国債の購入に結び付くかというと、日銀がひも付きで金融機関から国債購入を行うからだ。
「A銀行さん、この資金でアメリカ国債の購入をお願いします」
「しかし日銀さん、今までのように円高になると多大に含み損が出てしまいます」
「大丈夫です。日銀は政府と一体になって円安政策を実施しますので、決して円高にはなりません。もし疑念がおありであれば市場での売却をしてください」
こうした日銀の窓口指導は日常的に行われており、
私がかつて勤務していた金融機関は第二日銀などと呼ばれて日銀が直接実施するとはばかられる資金操作を日銀に代わって実施していた。
注)日銀が直接アメリカ国債を購入すると為替操作ということになるが民間金融機関の購入は単なる市場取引になる。
副島氏の指摘は日本はアメリカ国債を毎年50兆円規模で購入してアメリカ経済を支えるから、その見返りに日本の円安をアメリカ政府は黙認し、輸出主導型の経済回復を援護するという密約がなされたというものだ。
そう考えるとなぜアメリカがアベノミクスにこれだけ鷹揚な対応をしているという理由は納得できる。
副島氏の言葉でいえば「50兆円のわいろでアメリカの黙認を勝ち得た」からだという。
実際日本政府が金融緩和策をとってもアメリカの支援がなければ円安にならない。
民主党政権下で日銀は5兆円や10兆円規模での為替介入を行った全く効果はなかった。
注)アメリカ政府の支援がない為替介入が全く効果がないのは市場(特にアメリカのヘッジファンド)によって日本単独のパフォーマンスと見抜かれているから。
日本が継続的にアメリカ国債を購入し続ければ、円安はますます進み100円はおろか、かつての120円水準も視野に入ってくる。
これは輸出産業の復活の契機になるが、
一方で日本は輸入大国になっているから輸入物価の値上がり、特に火力発電所が購入するLNGや原油価格の値上がりに悩まされるだろう。
私は輸出産業が復活する前に貿易収支の赤字幅が拡大し、経常収支の赤字に陥ってアベノミクスは限界に達すると思っているが黒田日銀総裁はそうは思っていないようだ。
参考2 本ブログ
http://blog.goo.ne.jp/akiko_019/e/971369857b07579e1c8e4843dbd11c59
ヤフーニュース より
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130406-00000101-san-bus_all
日銀金融緩和策 英紙「革命始まった」 FRB内賛否
産経新聞 4月6日(土)7時55分配信
【ワシントン=柿内公輔】黒田東彦総裁率いる日銀が決めた大規模な金融緩和策について、海外でも反響が広がっている。
「革命」と報じたメディアがある一方で、
米連邦準備制度理事会(FRB)など各国の金融当局では政策への影響を含めて、賛否両論が交錯。
「黒田ショック」が世界を走った。
「日本で金融革命が始まった」。
こう1面トップ記事で掲載したのは5日付の英紙フィナンシャル・タイムズだ。
「世界の中央銀行で最も慎重」とみられていた日銀が、力強い成長と物価上昇を取り戻すため、「ほかの中銀を先導しようとしている」と指摘した。
社説でも「日本の金融政策は20年間失敗を重ねてきたが、黒田総裁が最初の金融政策決定会合で大変革を起こした」と高い評価を与えている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)も東京の特派員発の記事で、
「日銀の政策において歴史的な変革だ」
とする市場関係者の見方を紹介。
4日のニューヨーク市場では日銀の決定に驚きの声が広がったが、
「2年間で2%の物価目標は非現実的」
(債券運用世界最大手ピムコの幹部)と危ぶむ見方もあった。
FRBの次期議長の呼び声の高いイエレン副議長は4日のワシントン市内の講演で、
「(日銀の緩和策は)完全に理解でき、適切だ」と全面的に支持。
アトランタ地区連銀のロックハート総裁も講演で、世界の景気回復に役立つと評価した。
ただ、ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は
「日銀の緩和で、FRBも(米国債購入などの)量的緩和を続けるべきだと圧力を感じる必要はない」
と米メディアに指摘。
世界的な緩和競争にくぎを刺し、FRB内で受け止めが割れた形だ。
欧州では、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に批判的なドイツのショイブレ財務相が、日本は構造改革の必要性を認識しているはずとし、
「金融と経済の変革の代わりに金融政策を用いるのなら、われわれは誤った道を進む」
と懸念を表明。
4日に金利の据え置きを決めた欧州中央銀行のドラギ総裁は「全容を見極める」と日銀の動向を注視する姿勢を示した。
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【私のコメント】
ヨーロッパのほうがアメリカよりも日本に対して批判的。
アメリカは日本の金融緩和策を容認して、その代わりにTPP推進に全力を挙げるつもりだ。
黒田日銀総裁が大規模金融緩和策を発表したのが4月4日。
そしてその翌日の4月5日には、内閣府にTPP対策本部が設置された。
この2つは連動している。
産経新聞 より
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130405/fnc13040519210026-n1.htm
政府、TPP対策本部に看板 交渉対応を強化
2013.4.5 19:19
政府は5日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加に向けた対応を強化するため、
関係国との協議や国内調整などの実務を担うTPP対策本部を設置し、
本部長に就任したTPP担当相兼務の甘利明経済再生担当相らが、
内閣府4階で看板掛けを実施した。
対策本部は、関係閣僚会議の下に置き当初は65人でスタート。
民間企業の出身者らを加え、最終的に対外交渉に約70人、国内調整に約30人の計100人規模に増強する。
甘利氏は看板掛け終了後に、各省から起用された対策本部メンバーに訓示。
今後、交渉入りに備えた組織づくりを本格化させる。
日本はTPP交渉参加を目指して関係国と詰めの協議に入っており、早ければ7月に交渉参加が決まる見通し。
暗黒夜孝 より
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/54127e9fb0c3277ed75da6f053a62e09
黒田日銀が”驚愕”の金融緩和策を決定 ~マーケットは「飲めや食えや」のお祭り騒ぎの様相~
すでに様々なメディアにて報じられているように、日銀の黒田新総裁が示した金融緩和策が話題となっている。
昨晩、NY市場にて「株安・ドル安(円高)・商品安」のトリプル安となり、
「アベノミクス」「アベクロ」といった如何わしい”カタカナ造語”が早くも市場の期待を得るに足らないものに成り下がるかに思われたが、
待っていたのはある種”トンでもない”金融緩和策であった。
具体には日銀が市場に供給するカネの量を2年で138兆円から270兆円に倍増し、
日銀自らにて「ETF」を購入するのに加え、
償還期間40年という長期物の国債までをも購入対象とするという、
ある種”狂気的”とも言える内容である。
この金融緩和策決定を受けて、昨晩のNY市場のトリプル安の流れでお通夜ムードであったマーケットは、まさに「飲めや食えや」のお祭り騒ぎの様相である。
株式市場は異様な乱高下(高値引け)をし、
ドル円相場は一気に円安ドル高に転じ、
新発10年物国債利回りが10年ぶりに過去最低を更新して0.425%にまで低下する始末である。
しかし騙されてはいけない。
「祭り」に水を差す物言いをして申し訳ないが、
市場に供給するカネの量を2年で138兆円から270兆円に倍増するという”円の刷り散らかし”がどういうことを意味するかを考えてみて欲しい。
それは一つには、無論、我々の手持ちのカネ(円)の価値が単純に薄まるということである。
そしてもう一つには、米FRBのヘリコプター・ベン(バーナンキ)さながらの「紙幣の刷り散らかし作戦」をしても、
その効果は甚だ疑問である点について指摘をしておかなくてはならないであろう。
それは、アメリカでは家計の金融資産のうち、
株式・投資信託の合計が45%、
非金融系企業の債務のうち株式・出資金は54%にまで及ぶが、
日本ではそれぞれが11%、37%に留まるという日米での金融構造の違いである。
即ち、アメリカでは株価上昇によって企業の資金調達が容易となり、家計の富が増進される一方で、日本においてはその効果は薄いということである。
そのような金融構造の下、天文学的な紙幣の刷り散らかしを行なってきたアメリカでさえその効果が疑われるものを、日銀がそれを真似たとしてもその効果は限定的だということである。
では、日銀が大量に供給するマネーはどこに還流するのであろうか?
白川前総裁の下では、日銀マネーは金融機関が貸し渋りによりこれを市場に還流させず、そのカネで日本国債を購入するだけという悪循環が繰り返されてきたが、
今回はETF購入などにより市場にもカネが回るであろう。
しかし、その市場は一部経団連企業や、信託銀行・損保・生保・証券会社や年金基金などの機関投資家に限定され、
我々一般の労働者(国民)には、その恩恵など回ってはこないのである。
もっと端的に言えば、これら恩恵を受ける企業・機関投資家は国際金融資本に牛耳られており、
結局、儲かるのはいつもの連中だけだということである。
一種の詐欺みたいなものである。
今後2%かどうかは知らないが、日銀・黒田東彦の目指すインフレに振れたとしても、
我々国民に待ち受けているのは更なる雇用の不安定化とサラリーの低下・据え置きの中での物価上昇であり、
もしあなたが「明るい未来像」を描いているとすれば、早いうちに夢から覚めて現実を受け入れる心とカネの準備をすべきであろう。
(転載開始)
◆日銀新緩和策:予想外の「満額回答」 驚く市場
毎日新聞 2013年04月04日 21時56分(最終更新 04月04日 22時29分)
黒田日銀の「量的・質的金融緩和」の狙い
日銀の新たな金融緩和策の決定を受け、金融市場には
「市場の期待を上回った大胆な緩和だ。市場にレジームチェンジ(体制変換)を大きく印象づけた」
(菅野雅明・JPモルガン証券チーフエコノミスト)と驚きが広がり、円安、株高、債券高(金利は低下)が急激に進んだ。
長期金利は、指標となる新発10年物国債利回りが一時、0.425%に低下(価格は上昇)し、過去最低だった03年6月の0.430を約10年ぶりに更新した。
「緩和の大きさといい、政策を小出しにしないところといい、すべてサプライズ」
(小野木啓子・大和証券シニアJGBストラテジスト)で、
市場で国債に大きく買いが入ったためだ。
ただ、今回の緩和で、日銀が買い入れる長期国債は、政府が毎月発行する国債の7割に相当する。
日銀は、政府の財政を金融政策が支える「財政ファイナンスではない」と説明しているが、市場では
「緩和内容は、もう元には戻れない規模で、価格急落を含め、リスクを感じざるを得ない」
(SMBC日興証券)と、懸念する声も上がっている。
「予想をくつがえす『満額回答』」。
大和証券の野間口毅・株式チーフストラテジストは日銀の決定をこう評価し、「株式市場は上昇基調に戻るのではないか」と期待をみせた。
日経平均株価は、午後1時40分過ぎの金融政策発表直後から取引終了までの約80分間で300円超上昇し、
前日比272円34銭高の1万2634円54銭で取引を終え、今年の最高値(1万2635円69銭)に迫った。
東京外国為替市場は、円安・ドル高が急進し、一時は前日終値比2円超円安の1ドル=95円68銭にまで進んだ。
SMBC日興証券の野地慎・為替ストラテジストは
「事前に予想された金融政策を内容的に上回ったことに市場が素直に反応した」
と指摘。
日銀は長期国債の保有残高を年約50兆円ずつ増やすよう買い入れるとしており、野地氏は
「実現すれば金利は下がり、米国との金利差などで円安は進む。日銀の円安に込める思いは市場に理解された」
と話した。
みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは
「来年までを見通せば1ドル=100~110円の可能性もある」と語った。
【高橋慶浩、浜中慎哉】
(転載終了)
神州の泉 より
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/02/post-d21e.html
2013年2月12日 (火)
日銀は株式会社なのか!?そうではないのか!?
前回エントリー「日銀総裁人事を巡る動きの背後には“国際金融資本”というパラメーターがあるのではないのか!?」の冒頭部分に、神州の泉はこう書いた。
「常識的には、日銀は、唯一の通貨発行権を持つところ、国民が日常的に利用する銀行ではなく「銀行のための銀行」であること、政府の銀行であることが知られている。だが、政府機関や株式会社ではない。」
ここに書いた「(日銀は)株式会社ではない。」という部分に対し、読者のさかえ様という方から下記のようなコメントをいただいている。
++++++++++++++++++++++++++++++++++
初めまして。
【国家は「有罪」をこうして創る】を発売直後に読みました。いい内容に仕上がっており、一気に読了しました。
言葉尻をとらえてすみませんが(大事なことなので)、
【(日銀は) だが、政府機関や株式会社ではない。】と述べておりますが、日本銀行の正式法人名は、株式会社日本銀行です。
日銀のホームページや上場情報をみても株式会社が省略してしまい、ましてやマスコミの方々は、法人名を正式名称(法人登記の名称)で呼称しないのが原因であるようです。(株式会社 A と 有限会社 A とは別法人なんですが・・)
「日銀 円の王権」
(吉田祐二著、学習研究社発行、2009年9月15日発行)の P23 に
「日銀の法的根拠は、「日本銀行法」、(中略)
第6条には、「日本銀行は、法人とする」という条項がある。(中略)
日銀法のような「特別法」によって成立された法人のことを「特殊法人」と呼ぶ。(中略)
日本銀行の本当の正体は、他の銀行と同様に、「株式会社」だということだ。
と述べております。
著者は、「中央銀行」という超権力の正体を暴き、設立の背景を述べ、その日銀支配の変移を述べていまして、非常に参考になるかと思います。
(既にご存じでしたらお許しを) 尚、著者は2つのモデルを使用して述べています。
(はじめに P5~6)【1】経済は中央銀行によってコントロールされており、中央銀行の支配者が本当の権力者であるということ
【2】日本は属国であり、世界覇権国からの指示で動いていること。
以上です。 さかえ拝
+++++++++++++++++++++++++++++++++++
神州の泉はいただいた上記コメントを見て面食らってしまった。
「はたして日銀は株式会社か否か?」ということだが、記事を書いたときは、あまり深く考えずに、
日銀のホームページにある「日本銀行の概要」最上段部に
「日本銀行はわが国唯一の中央銀行です。日本銀行は、日本銀行法によりそのあり方が定められている認可法人であり、政府機関や株式会社ではありません。」
と書かれていたので、そのまま株式会社ではないと記事に書いた。
何度も言っているように、経済や金融の素養がない神州の泉が、日本の中央銀行である日本銀行が何であるかなど、断言できるはずもない。
実は昨日、「純日本人会」の栗原茂男氏から、氏が来月初旬に出版される「不可解な日銀の謎に迫る」の最終原稿を送っていただき、再び目を通し始めているが、
栗原氏は冒頭部分に「日銀は株式会社か否か」について、明快な論述を行っている。
まだ出版されていない著作から引用することはできないが、氏は明確に「日銀は株式会社ではない」と断言する。
その論拠について、少しだけ触れてみたい。
以下、栗原茂男著「不可解な日銀の謎に迫る」を参照して書く。
法律上では、日本銀行は「認可法人」(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人をいう)と呼ばれ、
「日本銀行法」に基づいて設立されている銀行である。
一方、株式会社は「会社法」という法律に基づいて設立される。
有限会社は新規設立はできなくなったが、「有限会社法」によって設立された。
日銀は企業として社会的責任は付きまとうが、あくまでも民間企業なので、利潤(日銀法では剰余金)が出れば出資者に財務大臣の許可の下で配当ができるし、
利潤からの準備金の積み立ても定款で規定されている。
日銀は資本金1億円で、ジャスダック証券取引所に上場されていて、
日銀法や定款で規制を受けている民間企業である。
ところが、株式会社と区別される大きな相違点は、社員総会がないことである。
法律で社員というのは出資者のことであるが、株式会社なら社員総会は株主総会である。
日本銀行には株主総会に当たる社員総会がない。
それは日銀法で、その規定がないからである。
日銀法第8条
日本銀行の資本金は、政府及び政府以外の者からの出資による一億円とする。
2 前項の日本銀行の資本金のうち政府からの出資の額は、五千五百万円を下回ってはならない。
つまり、日銀資本金の過半数は、日本国民の代表である政府が出資している。
日本国民がオーナーなのである。
しかし日銀は、オーナーである政府が経営の意思決定に参画できない、
つまり株主総会が存在しないという摩訶不思議な状態にある。
民間企業であっても株主の意志が反映されない企業体を、通常の概念における株式会社とは言えない。
以上が、栗原茂男氏の論拠のようである。
神州の泉は吉田祐二という人が書かれた「日銀 円の王権」を読んでいないし、たとえ読んだところで「日銀は株式会社か否か?」について明確な判断はできないだろう。
今のところは、以上に掲げた対蹠的な二つの見解があるということを述べておくにとどめる。
ここまで「日銀は株式会社か否か?」を書いておきながら、甚だ恐縮だが、神州の泉の興味はそこにはない。
一番知りたいことは、次期日銀総裁に生え抜きの新自由主義者が就任し、その新総裁が政府官邸や経済財政諮問会議の意志とずぶずぶになった場合、何が起きるのかという一点に尽きる。
つまり、もし竹中平蔵氏が日銀総裁になり、彼が安倍晋三総理と一体化した場合、日本の金融はどうなるのかということである。
政府の日銀簒奪(さんだつ)というか、政府による日銀の壟断(ろうだん)というか、もし、そうなった場合、日本はどうなるかが知りたい。
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-8004.html
白川総裁突然の辞任 安倍首相VS麻生財務相 日銀人事で内紛勃発か
(日刊ゲンダイ2013/2/6)
日銀の白川方明総裁(63)が、4月8日までの任期を待たずに辞任する。
日銀総裁が任期を残して辞職するのは、98年に接待汚職で引責辞任した松下総裁以来、15年ぶりだ。
新日銀法下では初めてのこと。
日銀が政治に屈服したのは明らかだ。
理由は副総裁2人の任期が3月19日に切れること。
首相に「総裁、副総裁の新体制が同時にスタートすることが可能となるようにしたい」と伝えたという。
白川総裁は「政治的な圧力はなかった」と会見で語ったが、安倍首相に屈したのは明らかだ。
「表向き白川総裁が自発的に辞任を申し立てたことになっていますが、実際は官邸の意向でしょう。
安倍首相は新体制を一日も早く、同時にスタートさせたい。
白川総裁が首相の意向に沿って早期辞任を決意したのは、首相に従うので副総裁人事では“日銀プロパー”を起用して欲しいというメッセージです。
これまで安倍首相に『もっと金融緩和しろ!』と恫喝され、やりたくない金融緩和を実施させられた白川総裁は、プライドを傷つけられた。
せめて任期だけはまっとうしたかったでしょうが、最後までボコボコにされた形です」
(金融関係者)
白川総裁の辞任が早まったことで、後任の総裁選びが一気に政局の焦点になってきた。
政府は連休明けの来週中にも候補を野党に伝える予定だ。
安倍首相は「後任は私たちの考えに理解のある人を選ぶ」と繰り返しているが、簡単に人事が決まるかどうか。
「総裁人事」をめぐって水面下で〈安倍首相VS.麻生財務相〉のバトルが勃発しているからだ。
安倍首相の意中の人は、東大教授の伊藤隆敏氏(62)や、学習院大教授の岩田規久男氏(70)など、インフレ目標を求める、いわゆる「リフレ派」の学者だ。
なのに麻生財務相は、きのうも公然と「大きな組織を運営したことがないのは問題だ」と、学者の起用に真正面から反対している。
麻生財務相が推しているのは、武藤敏郎氏(69)と黒田東彦氏(68)の2人の財務官僚OBだ。
◆これで2回目の人事対立
「総裁人事は、安倍首相と麻生財務相の力比べという展開です。
もちろん、2人の関係は悪いわけじゃありません。
でも、麻生さんは『俺の方が経済を分かっている』という自負がある。
首相に対してもタメ口です。
問題は、人事で対立するのは、日銀総裁が初めてじゃないことです。
安倍首相は“経済財政諮問会議”のメンバーに竹中平蔵を指名しようとし、竹中に直接『お願いします』と頼んでいた。
ところが、麻生大臣の『竹中はダメだ』の一言でひっくり返ってしまった。
人事は、誰が権力を握っているかを表す。
総裁人事をキッカケに2人の亀裂が決定的になる可能性があります」
(官邸事情通)
最近、麻生財務相は、安倍首相のことを「官僚も満足に使えないで首相が務まるのか」と批判しているという。
スタートダッシュに成功し、有頂天になっている安倍首相。
しかし、足元から崩れる可能性がでてきた。
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【私のコメント】
インフレとデフレは紙一重。
デフレ脱却をいう安倍のもとで早くもインフレ(バブル)懸念が出はじめている。
アメリカがお金を刷るから日本も刷るというのが正しいのか。
それとも円高に耐えてお金を刷らないか。
悪い仲間の間では悪いことに手を出さざるを得なくなるということに似ている。
世界中が金融緩和に動けば日本もそうせざるを得ず、そのうちに世界中が通貨安競争をして、インフレになる。
安倍は経済オンチ。
量的緩和の紙幣増刷で本当に世界経済が立ち直ると思っているのだろう。
安倍のやっていることは急場を救うための一つの方便に過ぎないのだが、
安倍はこれで世界が万事うまく行くと思っている。
そこらへんがこの首相のおつむの足りないところ。
植草一秀のブログ より
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-81b0.html
2013年1月23日 (水)
日本経済の問題根幹は「物価」ではなく「景気」だ
アベノミクスと呼ばれる安倍政権が提唱する経済政策の主張。
正しい部分もあるが大きく間違っている部分もある。
これを正しく整理して、正しい部分を残し、間違っている部分を正す必要がある。
アベノミクスの間違っている点を改めて示す。
三つある。
第一は、物価の問題と景気の問題を混同していること
第二は、中央銀行の独立性を排除しようとしていること
第三は、財政政策の中身を改悪しようとしていること
である。
正しい部分は何か。
それは、日本経済を再建するために財政政策の活用を示したことだ。
この点は進歩が見られる。
これは20年来、私が提唱してきたことである。
財政政策の適切な活用を行わなければ日本経済の改善も財政再建も実現しない。
私はこの主張を20年以上示し続けてきた。
これに対して、例えば竹中平蔵氏などは、財政政策活用は「時代遅れの考え方」、「オールドケインジアンの主張」などと罵倒していた。
ところが、クルーグマン教授などが財政政策の必要性を肯定的に主張し、実際に米国が2009年に大規模財政再策を実行するなどの現実が示されてきた。
これらが背景だったのだろう。2001~3年にはケインズ政策を罵倒していた竹中氏などの発言が急変した。
いまは、財政政策も必要などと言うようになっている。
しっかりとした学問的な土台がないのだと思われる。
間違っていた考え方を正したことを望ましいことだが、かつて間違いはしっかり反省してもらいたい。
経済の本格改善を実現するには、財政政策と金融政策の総動員が必要で、これと並行して、長期的に経済を活性化させる「構造改善策」が必要になる。
財政健全化は重要な課題だが、これも経済の再生なくして実現しない。
これらは私が20年来主張してきたことである。
詳しくは拙著『日本の総決算』(講談社)や『金利為替株価の政治経済学』(岩波書店)、『現代日本経済政策論』(岩波書店)などをご高覧賜りたい。
ようやくこの主張に対する賛同者が増えてきた。
しかし、安倍政権の間違っている部分は正さねばならない。
その第一は、「景気」と「物価」を混同していることだ。
「景気」と「物価」は別の問題である。
「物価」が上がっても「景気」が良くなるとは限らない。
「物価」が上がって「景気」が悪化したら最悪である。
これを「スタグフレーション」と呼ぶ。
安倍政権は「物価上昇率」の引上げに熱心だが、「物価上昇率」が上昇して国民の生活が良くなるわけではない。
インフレや円安で利得を得るのは、借金をしている人、輸出企業、そして、ドル建て資産を保有している人々だ。
ただ、これはコインの裏表の一方だから、必ずその裏側がある。
預金者は押し入り強盗に遭ったように預金の価値を失う。
輸入車は支払金額を強制的に増大させられる。
ガソリン価格も灯油価格も上がるのだ。
物価が上がるだけで、景気が良くなる保証は存在しない。
物価が上がり、景気が悪くなる「スタグフレーション」が生まれないとはまったく言い切れない。
インフレは正当性のない経済的不公平を生み出すのである。
これと二番目の問題がリンクする。
もっとも重要な事実は、日本政府が巨大な借金を抱えているという現実にある。
政府は激しいインフレを常に熱望している。
激しいインフレがたった一回起これば、借金を帳消しにできるからだ。
この熱望を持つ政府の支配下に日銀を置いて良いわけがない。
私は断言する。
日銀が政府支配下に置かれることになれば、将来、必ず激しいインフレが引き起こされる。
なかなか物価上昇率が上がらないと言うが、物価上昇率を上げる手立てがないわけではない。
激しいインフレを引き起こす方法はいくらでもある。
その実例を後段で紹介する。
これを「非伝統的手段」と呼ぶ。
「非伝統的手段」を用いればインフレを誘導できる。問題はそれが正しいのかどうかだ。
「景気をよくする政策」は正しいが、「インフレ率を引き上げる政策」は無条件で正しいとは言えない。
この点を踏まえると、日銀の独立性を奪う政策を実行することは間違っているというのが私の見解だ。
他方で、安倍政権の経済政策は日本政治の時計の針を大きく逆戻りさせるものである。
「財政民主主義」が破壊されて「財政利権主義」に完全回帰した。
これが財政政策の中身の問題である。
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【私のコメント】
景気が良くなればその結果としてインフレになるが、
インフレになれば景気が良くなるとは限らない。
インフレターゲットを実施しているアメリカの景気の低迷をみればそのことは明らかだ。
安倍晋三がインフレ率2%を設定したのは、アメリカもEUも紙幣を増刷しているから、日本も紙幣を刷り負けないようにしただけだ。
これは円安誘導に対しては一定の効果がある。紙幣で薄められた貨幣の価値は下がるからだ。
しかしそのジャブジャブに余った紙幣が何に使われるかというと、(変な話しがあって)、日本とアメリカは別の国だが、もし日本がアメリカの51番目の州だとすると日米を合わせた経常収支は均衡するというのだ。
つまりアメリカの経常収支の赤字を日本が穴埋めすることによって収支のバランスが取れているというわけだ。
だとすると日本で新たに刷られた1万円札は国内のマーケットには回らずアメリカ国債の購入のために使われるのではないかという疑惑がつきまとう。
だとすると日本の景気は良くならない。
それどころか円安によって輸入品の価格が上昇する。一番大きい打撃は石油の値上がりだろう。すでにその兆候は現れている。
とすれば安倍政権は石油などの輸入品を値上がりさせることによってインフレ目標2%を達成し、それで喜んでいることになる。
これがスタグフレーション(不況下の物価高)である。
日本はアメリカの赤字を穴埋めするために紙幣を増刷している。すでに軍事面では欠陥商品であるオスプレイの購入に動いている。アメリカボーイング社の787旅客機も欠陥だらけである。それらを日本は大量に購入している。
つまり日本の富はアメリカをファイナンスするために使われているのだ。
だから日本をアメリカの51番目の州だとするとバランスが取れることになる。
なかにはそれで良しとするバカな人がいるが、それはアメリカ人を遊ばせるために日本人が汗水たらして働くことである。
量的金融緩和で一番難しいのは、銀行にお金を持たせることではなく、銀行に溜まったお金をいかにして市中マーケットに浸透させるかである。
従来のような、誰も通らない山のなかにタヌキ道路と揶揄されるような立派な道路をつくるような公共事業では何にもならない。
だからといって他に有効な公共事業の投資先があるか。
銀行のお金が市中マーケットに出回るということは市中の企業が銀行に負債を負うことである。企業にとってはそれだけのリスクを抱えて利益を生み出すマーケットがどこにあるかという問題である。
評論家はイノベーションなどという言葉でいとも簡単にそのことを言ってのけるが、そんなに簡単なものではない。
高度経済成長期の日本と今の成熟した日本では企業経営の条件が違う。
つくれば売れる時代からつくっても売れない時代へと変化している。
安倍晋三の成長戦略にはそのことが織り込まれていない。
日本のような豊かな社会で大切なことは富の分配である。
日本は小泉竹中改革以来これに失敗しているのだ。
貧富の差は拡大する一方で世界でも有数の格差社会である。
このことが日本のデフレの大きな原因になっている。内需が伸びないのもそのせいである。
サムスンとヒュンダイだけが生き残り、貧富の差の激しい韓国のような社会に日本をしてはならない。
人の意見を聞かず、『スピード感』とか『迅速な対応』を強調する安倍政権は、実は何の実績もない。前回は下痢で政権を放り出した政権である。
おまけに不正選挙疑惑もつきまとっている。
市中銀行にお金が滞留したまま借り手がなければ、その余った金は投機に使われる。
金融機関やヘッジファンドなどが株や土地、そして原油や農産物などのコモディティーを買いあさり、またバブルが発生する。しかもそのお金はいとも簡単に国境を越えて、世界中を荒らし回る。とてもどうなるか予測がつかない。
そのことに対する予防線を張っているのか。
マスコミがもてはやすのとは裏腹に、安倍政権が国民の信頼を得ているとはとても思えないのだが。
現代の通貨制度の最大の謎は、中央銀行の持つシニョリッジ(通貨発行益)の問題である。
中央銀行は何もないところから1万円札を刷ることができる。原資はインク代だけである。
つまり無から有をつくり出すことができる。
この利益が誰のものになるかというのが現代資本主義の謎である。
中央銀行から市中銀行への貸付金から上がる利息は損益計算書に計上されるが、それ以前に発生しているシニョリッジの問題は解決されていないし、公表されない。
この利益を不透明なまま日銀の独立性を維持したほうが良いのか、
それとも政府管理の元で日銀の資産を管理したほうが良いのか、
ただしこの問題に手を突っ込むと多くの死者が出る。
中央銀行を誰がどのように管理し、情報公開をするか、その根本の部分が闇に閉ざされたままだ。
安倍晋三は今日銀を強い国家管理のもとに置こうとしている。
日銀を手に入れれば、打ち出の小槌である。
これを正式な日銀法の改正なしでやろうとしている。
安倍がどこまで現代資本主義の闇を自覚しているかは不明のままだ。
植草一秀のブログ より
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-0838.html
2013年1月17日 (木)
米国が日銀総裁に押し込もうとしている人物とは
日銀の白川方明総裁の任期が本年4月で満了になることを踏まえて後任人事が検討されている。
米国ではグリーンスパン氏が20年間もFRB議長を務めるなど、中央銀行トップの再任は珍しくない。
中央銀行トップの職責を果たせる人材は限られており、余人をもって代えがたい人材であるなら、再任を除外して検討することは適切でない。
この意味で白川氏を上回る適任者は存在しないと思われる。
日銀総裁就任者に求められる要件については、1月12日付記事
「日銀総裁に必要な第一の要件は売国者でないこと」
に、三点を掲げた。
1.売国者でないこと
2.金融政策に関する正しく深い学識と見識を備えていること
3.政治から一定の距離を保っていること
である。
安倍政権関係者や野党党首などが、
・英語を話せること
・PHDの学位を保有していること
・企業経営の経験があること
などをあげているが、枝葉の事項と言うべきだろう。
英語を話せた方が良いのは事実だが、英語を話すことが必須の条件ではないだろう。
英語を話すが中央銀行トップとしての能力を欠く人物
と
英語を話さないが中央銀行トップとしての能力を備える人物
のいずれかを起用するのであれば、後者を起用することが間違いなく正しい。
PHDは博士の学位だが、博士の学位付与など極めて杜撰なものだ。
私も大学の教員として博士課程修了判定などに関わったことがあるが、審査はまったく厳格性を欠いている。
PHDの学位を持たないが極めて優秀な学者が存在する一方、PHDの学位を持つがまったく能力を欠く学者も無数に存在する。
企業経営の経験の有無も本質的な問題でない。
「売国者でないこと」が必要条件であり、
「金融政策・金融理論に関する正しく深い学識・見識を有すること」が十分条件である。
そのうえで、金融政策運営を政争の具にしないために、政治から一定の距離を保っている人物を選ぶことが望ましい。
昨日付の記事にも記述したように、現行の日本銀行法は、「通貨及び金融の調節」について、
「(日銀の)自主性は尊重されなければならない」
と規定している。
したがって、安倍晋三氏が次期日銀総裁人事について、
「デフレ脱却に向け、金融政策で私の考え方に共鳴する人を人選したい」
と述べたことは、日本銀行法の本旨に照らして適正ではない。
歴史の教訓に鑑みて、日本銀行の政府からの独立性を重視する規定が盛り込まれているのである。
政府の利益と預金者である一般国民の利益は相反する。
中央銀行の政府からの独立性を重視するのは、中央銀行が一般国民に不利益を与えて政府に利益を与えることを防止するためである。
管理通貨制度の下においては、市場に流通する貨幣量は中央銀行の意志によって恣意的に操作される可能性がある。
このとき、中央銀行が政府の支配下に置かれると、中央銀行の行動が政府に利益を与え、一般国民に不利益を与える方向にバイアスが欠けられる蓋然性(=確率)が高まる。
これを回避するために、中央銀行を政府から独立させることが求められている。
具体的に言えば、激しいインフレが経済主体に大きな得失を与えることを十分に踏まえる必要があるのだ。
インフレは債務者に利得を、債権者に損失を与える。
物価が10倍になることを考えてみよう。
1000万円の借金を持つ人と、1000万円の預金を持つ人とを考える。
年収はいずれも500万円とする。
物価が10倍になるとき、年収も連動して5000万円程度になるだろう。
ところが、借金と預金の額面は1000万円で変わらない。
借金を持っている人は、年収の20倍の借金が年収の2倍の借金になる。
預金を持っている人は、年収の20倍の預金が年収の2倍の預金になってしまう。
これを「債務者利得」、「債権者損失」という。
インフレは借金をしている人に利益を与え、預金をしている人に損失を与える。
中央銀行が政府に支配されると、金融政策運営がインフレを発生させる方向に誘導されやすくなる。
安倍晋三氏がインフレ誘導を訴え、金融市場が円安=株高の方向に反応しているから、「インフレ誘導政策=政治による日銀支配」があたかも「正義の政策」のように報じられているが、一般国民にとっては決して歓迎するべき話ではないことを知っておかなくてはならない。
さて、もうひとつの問題は、米国が「日本からの収奪」を実現するために、深謀を巡らせている点についての考察だ。
次期日銀総裁候補として何人かの人名が取り上げられているが、意図的にある人物の名前が取り除かれている。
それが竹中平蔵氏である。
事前に取り上げられると反対論が巻き起こるために、意図的に隠蔽されているのだと思われる。
米国が米国の策謀として竹中氏を日銀総裁に押し込むことを考えている可能性がある。
安倍氏が米国の指令に沿って動く場合、短期日の間に竹中案を提示して一気に決めてしまう可能性がある。
「みんな」、「維新」は純然たる「対米隷属勢力」であると判断できる。
また、民主党の悪徳7人衆(野田・岡田・前原・枝野・玄葉・安住・菅)も純然たる「対米隷属勢力」である。
自民、公明に「みんな」、「維新」と民主党対米隷属派を加えると、参院でも過半数の票を獲得することができる。
安倍晋三氏が米国の指令に従って、米国のエージェントを日銀総裁に押し込むことを提案すれば、これが通ってしまうリスクが存在するのだ。
これまでの歴史事実は、米国が米国の利益のために竹中氏を活用してきたと判断できるものである。
その具体的事実を検証してみよう。
ビジネスジャーナル より
http://biz-journal.jp/2012/12/post_1094.html
安倍政権で竹中平蔵日銀総裁に!? 迫り来る日銀人事舞台裏
2012.12.02
まさかの再浮上となるか?
現在、記者・ジャーナリストによる企業人事取材のメーンターゲットは、次期日本銀行総裁と日本経済団体連合会会長だ。
日銀総裁は2013年、経団連会長は14年に交代する。
日銀総裁は国会承認人事のため、来年4月8日で任期満了になる白川方明総裁の後任人事は、年内に決める必要がある。
本来なら今時分は、ポスト白川の下馬評で盛り上がるところだが、それがさっぱりだった。
年末の衆議院解散が決まるまではそうだった。
「ポスト白川の大本命は、大和総研の武藤敏郎理事長でした。大手銀行の首脳たちも『学者肌の白川さんの後釜は、財政に明るい人がいい』と武藤待望論を口にしています」
(全国紙の記者)
また、有力な金融アナリストも
「財務省は同省出身者で金融緩和にある程度積極的な姿勢を示しつつも、日銀による外債の購入に否定的な武藤氏を推す可能性が高い」
と分析する。
武藤氏は、財務省の初代事務次官を経て、日銀出身の福井俊彦前総裁の時(03年〜08年)に副総裁をやり、ポスト福井の最右翼だったが、財政と金融の分離を主張する野党時代の民主党が総裁就任を拒否した。
日銀総裁の座は、日銀プロパーと旧大蔵省(現・財務省)事務次官経験者が交互に就くのが慣例となっている。
08年には混乱の末に、日銀出身で京都大学大学院教授に転じていた白川氏に、そのお鉢が回ってきた。
ところが、自民党・安倍晋三政権の誕生が秒読みに入り、日銀の総裁レースは、にわかに波乱含みとなってきた。
「竹中平蔵・慶應義塾大学教授が起用される」とのサプライズ人事が金融界の一部で取り沙汰され始めた。
“安倍首相”になれば、5年に1度の総裁の交代の機会を捉え、金融緩和に積極的な総裁を起用する可能性が高いというわけだ。
その有力候補に竹中氏が浮上してくるとの読みである。
安倍総裁は11月17日、熊本市で講演し、次の日銀総裁について「インフレターゲットに賛成してくれる人を起用したい」と述べた。
しかし、自民党が勝っても衆参のネジレ国会は続く。
政権党といえども、意のままに日銀総裁を決められるわけではない。
インフレターゲットとは、簡単に言うと物価下落と不況の悪循環を断ち切るために一定の物価上昇率を決め、その目標を達成するまで金融の緩和を継続するということだ。
安倍氏のインフレターゲットは、消費者物価上昇率で3%。
白川・日銀は1%を物価上昇の目途(インフレターゲットとは口が裂けても言わない)としており、2%や3%の物価上昇率は現実的ではないと否定的な立場を貫いている。
大胆な金融緩和という言葉から連想ゲームのようにして、小泉純一郎政権時代に金融相や経済財政担当相を歴任した竹中平蔵の名前が挙がってきたわけだ。
竹中氏は4月、海外通信社によるインタビューで
「中央銀行は市場からモノを買ってマネーを供給する。最も買いやすいものは中央銀行のバランスシートにとって最もリスクの小さい国債だ」
と日銀による国債の買い上げに言及。
「国債を全部買って、もう買うものがないというのであれば、外債などほかのものを考えればよい」
と主張した。
だが、竹中・日銀総裁説は正直に言って筋悪だ。
仮に衆議院で自公が過半数を制したとしても、依然としてネジレ国会が続く参議院で竹中・日銀総裁が承認されることはないだろう。
竹中氏にとって日銀総裁は願ってもないポストだろう。
しかし、安倍氏を以前から支えてきた安倍応援団の財界人には、アンチ竹中派が多い。
となると、日銀総裁は無理筋にしろ、
「安倍政権が誕生すれば経済閣僚か官邸のスタッフに登用される可能性がある」
ということになる。
これが金融界の通説になりつつあるのだから驚きだ。
日銀総裁の候補としては武藤氏のほかに09~10年まで財務事務次官を務めた丹呉泰健氏(現・読売新聞グループ本社監査役)や、
今年8月に財務事務次官を退任した勝栄二郎氏。
学界からは元日銀副総裁の岩田一政氏(日本経済研究センター理事長)、
伊藤隆敏氏(東大公共政策大学院院長)の名前が挙がる。
一方、もう1年先、14年の経団連会長人事は話題に事欠かない。
経済部記者から出るのは「西田さんがなるんじゃないの」との見方だ。
西田さんとは、東芝の西田厚聰会長のこと。
3年前に御手洗冨士夫会長(キヤノン会長兼社長)から米倉弘昌氏(住友化学会長)にバトンタッチした時にも西田氏説が浮上した。
「御手洗さんが西田会長にご執心だった」(経団連の元副会長)とされる。
この時は日本商工会議所の会頭が、同じ東芝出身の岡村正氏だったことから立ち消えになった。
主要経済団体のトップに、同じ時期に同じ企業の社長・会長経験者がなることはない、という不文律があるからだ。
「西田さんは、まだやる気満々です。米倉会長が、西田さんを自ら望んで自分の後継者にすることはないでしょうが、引き受け手が誰もいなくて、消去法で西田さんが残るということは十分にあり得る。再来年までには日本商工会議所のトップに変動があるともいわれている」
しかし、3年前に候補に上がった人物が、再び有力候補とは……。
財界リーダーの人材不足、その払底ぶりがわかろうというものだ。
経済界のリーダーがダメだから日本株式会社も元気が出ない。
ちなみに、次の次は「トヨタの章男さんで決まり」とか。
2期4年の任期を考えると次の次は18年になる。
豊田章男氏は09年にトヨタ自動車社長に就任している。
社長任期10年弱で実力会長に退き、「世界のトヨタから経団連会長を出す好機到来」との解説がつく。
(文=編集部)
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【私のコメント】
国債の日銀直受けは禁じ手の毒饅頭。
アメリカ中央銀行(FRB)もヨーロッパ中央銀行(ECB)もすでにそれをやっている。
それほど国際金融は危機的ということだ。
だから日本もそれをやってよい、という理屈になるか。
竹中平蔵が日本の国益のためにそれをやるとは思えない。
竹中が動けばアメリカが儲かる。
郵政民営化もそうだった。
それで化けの皮がはがれた小泉純一郎が、もうこれ以上騙すのは無理と判断して後継に選んだのが安倍晋三。
しかし下痢で中途退陣。
それがあれよあれよという間に復活して、2度目の首相就任。
その安倍晋三がまた竹中平蔵を登用するという、この胡散臭さ。
泥棒が日銀総裁になれば何をするか。
ニセ金と本物の見分けがつかなくなる。
金との交換権をもたない日本銀行券は信用だけが命。
竹中平蔵にそれだけの信用があるか。
「国債を全部買って、もう買うものがないというのであれば、外債などほかのものを考えればよい」
竹中平蔵が買う外債とは何か。
米国債以外にありえない。
泥棒がお金を刷り、刷ったお金を親分に渡す。
小難しい経済論を言いながら、実際は泥棒の手口と同じ。
日本のお金はアメリカに流れ(アメリカがファイナンスされ)、アメリカの消費力が担保される。
借金で物を買うというアメリカの消費行動は改まらない。
働いた者に貧困を、働かない者に富を。
今年、人の倍喋りまくる竹中平蔵の詭弁に要注意。
この竹中平蔵は日本維新の会の最高顧問を務めている。
日本維新の会とはそんな政党。
リチャード・コシミズのブログ より
http://richardkoshimizu.at.webry.info/201210/article_16.html
前原が金融ユダヤ人の利益誘導のため日銀会議に介入
つまり、金融ユダヤ人が手先の売国奴をまず経済財政担当相にしておいて、日銀政策決定会議に出席させ、ユダヤ人の意向を日銀に履行させるということですね。 「金融緩和」を口実にしていかに盗賊ユダヤ人に貢ぐ政策を前原売国奴が推進するか? 深いところでユダヤ権力の「世界統一政府」妄想実現に加担している極左・北鮮シンパの輩の正体がこれからB層にも知られることになります。 日銀決定会合に出席へ=強力な緩和を要請―前原経財相 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/economy/bank_of_japan/?1349352003 前原誠司経済財政担当相は4日、インタビューに応じ、日銀の5日の金融政策決定会合に出席する方向で調整していることを明らかにした。 前原担当相は金融政策運営に関し、日銀が当面のめどと位置付ける消費者物価上昇率1%の早期実現のために「強力な金融緩和をしてほしいということに尽きる」と要請。 その具体的手法については「政府と日銀が話し合いをしながら、最終的に日銀が独立性を踏まえて判断することだ」と語った。 (時事通信) |
毎日新聞 より
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110722ddm001030068000c.html
ギリシャ:財政危機 ユーロ圏首脳、支援合意へ 返済期間延長で調整
【ロンドン会川晴之、ブリュッセル斎藤義彦】欧州連合(EU、加盟27カ国)で共通通貨ユーロを採用するユーロ圏諸国(17カ国)は21日、ブリュッセルで緊急首脳会議を開き、
ギリシャ財政不安に端を発した欧州信用不安対策について合意する見通しとなった。
南欧諸国にも危機が飛び火、深刻化している情勢を受けたもので、ギリシャへの追加支援策をとりまとめる方針。
ロイター通信によると、昨年5月に実施した総額1100億ユーロ(約12兆円)の第1次支援の返済期間を7年半から15年以上に延長し、
金利も現在の4・5~5・8%から3・5%に減免し、ギリシャの負担を軽減する。
また、欧州金融安定化基金(EFSF)の機能を拡充し、ギリシャ国債を市場から買い上げる案や、
民間金融機関が何らかの形で支援に参加する方式を含めて最終調整している。
銀行への特別課税で財源を確保する案は、見送られる模様だ。
追加の支援額は、ギリシャへの融資などを含めて総額1200億ユーロ(約13兆円)規模となる見通し。
追加支援をめぐっては、手法について調整が難航。
対応に手間取る間に、投資家の不安心理が増幅、今月に入り、イタリア、スペインの国債価格が大幅に下落(利回りは急上昇)するなど危機が拡大した。
08年秋のリーマン・ショックのような世界的な金融危機に陥らないよう、欧州委員会や米国などが迅速な対応を強く求めていた。
毎日新聞 2011年7月22日 東京朝刊
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【私のコメント】
これでアメリカも債務残高の上限を引き上げるだろう。
今回はユーロへの安心感からユーロが高くなったが、
バラマキを増やす以上、貨幣の価値は落ちる。
ユーロもドルもばらまかれ(ひどいのはドルだが)ているから、ますます価値が落ちる。
人民元はドルと連動しているから下落気味。