ペルセウス・アンドロメダ型神話は男から見た神話だが、
これを女から見るとシンデレラ物語になる。
シンデレラ物語は、それまで受身の立場に過ぎなかった女の立場を、
王子との結婚というかたちで、女の立場からの積極的動きとして描いたものである。
歴史的には、王子が美女を手に入れる物語が先にあると思われるのだが、
それはあくまでも男の物語にすぎず、女性をその物語のなかに引き込むにはあまりにも一面的な筋書きであった。
ペルセウス・アンドロメダ型神話という男性中心の物語を、女性の側から見た物語として描き、男女共有の価値観を形成したのがシンデレラ物語である。
ペルセウス・アンドロメダ型神話は、出雲神話のスサノオとクシナダ姫の物語にも見られるように日本にも存在する。
ところが日本にはシンデレラ物語は存在しない。
日本では、シンデレラ物語は、『玉の輿』という言葉で表されるのだが、
それは多分に功利的な意味合いを含んでおり、シンデレラ物語のもつ純粋性を獲得しえない言葉である。
このことは、日本の女性の権利のあり方と、恋愛のあり方を同時に含んでいる。