ひょうきちの疑問

新聞・テレビ報道はおかしい。
2020年のアメリカ大統領選以後はムチャクチャ

アジア投資銀、40カ国超の参加確実に 中国主導 ロシアやブラジル、豪州も

2015-03-29 20:52:39 | 国際金融

日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H5Z_Y5A320C1MM8000/


アジア投資銀、40カ国超の参加確実に 中国主導
ロシアやブラジル、豪州も

2015/3/28 18:33 (2015/3/28 19:27更新)

 【博鰲(ボーアオ・中国海南省)=大越匡洋】
中国が主導して年内に設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーが40カ国を超える見通しになった。
ロシアとブラジルが28日、参加を固めたほか、オーストラリアは29日に参加表明する
AIIBはアジアの地域内にとどまらず、域外の先進国から新興国までを幅広く参加メンバーに取り込む勢いをみせている。

 ロシアのシュワロフ第1副首相は28日、出席した博鰲アジアフォーラムの式典で参加を申請すると表明した。
中国財政省は同日、ブラジルのほか、オランダなどが参加することも明らかにした。

 一方、豪州のコールマン金融相は博鰲フォーラムの席上、「29日朝にAIIBへの参加を正式に発表する」と明言した。

 AIIBは昨年10月、21カ国が創設に基本合意した。
創設メンバーになるための申請を締め切る今月末を控え、新たな参加表明が相次いでいる。
日本と米国は参加に慎重な立場を崩していない

 創設メンバーは6月末までに出資比率などを固めた設立協定を結び、年内に運営を始める予定だ。
最終的に1千億ドル(約12兆円)とする資本金の多くを中国が負担し、初代総裁ポストも中国が握る見通しだ。

 ロシア、ブラジルの参加表明により、新興5カ国(BRICS)のうち、南アフリカを除く4カ国がAIIBへの参加で足並みをそろえた。


マックス・ヴェーバーとヴェルナー・ゾンバルトそしてアジア的価値観

2015-03-29 20:40:04 | 理念

晴耕雨読 より
http://sun.ap.teacup.com/souun/445.html


マックス・ヴェーバーとヴェルナー・ゾンバルトそしてアジア的価値観
2009/12/8


マックス・ヴェーバーは経済学というより経済史学者として日本でも著名な学者であるが、
ヴェルナー・ゾンバルトは、最近見直しをされているようだが、ある本を書いたことにより日陰に追いやられた経済学者である。


その本のタイトルは、『ユダヤ人と経済生活』(邦訳書:金森誠也監修・訳/安藤勉訳:荒地出版社:6,800円)である。

原著は、ナチスドイツという歴史過程以前の1911年に発行されたものだから、
反ユダヤ主義の理論的な支えになる“危険性”はあるとしても、陰謀論や反ユダヤ主義的論のような“政治性”はない。


マックス・ヴェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で展開したように資本主義の精神をプロテスタンティズムに求めたが、
ヴェルナー・ゾンバルトは、資本主義の精神はユダヤ教に由来するところが多いと主張した。


(『ユダヤ人と経済生活』そのものが、マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』に触発されて書かれたもの)

どちらが正しいというわけではなく、マックス・ヴェーバーは産業的側面に、
ヴェルナー・ゾンバルトは企業形態や金融的側面にそれぞれ焦点を当てたと言うことができるが、ヴェルナー・ゾンバルトの論のほうがより根源的な考察だと言える。


(利息付き貸し出しを別にすれば、ゾンバルトの言及内容は、イスラム世界にもある範囲で通用するものである)

このような話を唐突に持ち出したかと言えば、戦後の歴史過程のなかで、『アジア的価値観と資本主義の精神』とも言える事態が生まれたからである。

近代的ものづくりという産業資本主義の面で言えば、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の正しさを証明したとしてドイツ経済の発展を取り上げることができるかが、それ以上に、日本・台湾・韓国・中国というアジア諸国(地域)を取り上げなければならないだろう。

(ドイツが経常収支赤字に陥っているなかで、日本を筆頭にしたアジア諸国に貿易収支及び経常収支の黒字が集中している)

中国はともかく、日本は、かつてのような相対的低賃金による国際競争力で貿易収支の黒字を達成しているわけではなく、高度な資本活動力でそれを達成している。

米国を中心とした世界の経済支配層が理解しているかどうかわからないが、
「近代経済システム」の成功は、個人主義や自由主義で必ずしも達成されるものではないということが歴史的に証明されたのである。


(個人主義や自由主義は、政治的社会的意味ではなく、あくまでも経済活動における価値観である)

先進国のなかで唯一持続的な成長を遂げた80年代の日本経済に対して、“ジャパン・アズ・No.1”という見方もなされたが、“失われた90年代”のなかでそのような論調は影を潜め、
日本人自身が、“虚構の繁栄”を続ける米国的価値観に回復の活路を見出さそうとしている。


しかし、日本が証明したアジア的価値観と産業資本主義の関係は今後の世界動向を考える上でも重要なテーマだと考えている。

通貨=資本不足さえ解決すれば、治山治水という大規模な事業をこなしながら、協業的労働で収穫の増大を図ってきた水田米作の歴史過程で培われてきた価値観が、
プロテスタンティズムの倫理以上に近代産業の発展に資するのである。


数年後を見据えた投資的労働の重要性、手にした労働成果を消費し尽くすことなく再生産に回す倹約の精神、多くの人が協調的労働することによる効率化と相互扶助の意義などを体得してきたアジア的価値観は、
大規模な固定資本を必要とし、獲得した利益を消費したり流出させるのではなく再投資に回すことで競争力を高めなければならず、
協調的で知恵を出し合う労働過程が目に見えない「労働価値」の上昇をもたらし、
相互扶助的な産業連関が国民経済の拡大を実現し個別経済主体にも利益をもたらす「近代経済システム」に格好のものなのである。


米欧識者が、心底から個人主義・自由主義・キリスト教などを「近代経済システム」における優位な価値観と考え、アジア的な社会や価値観を見くびっているとしたら、
間違いなく、米欧諸国は、現在の米国と同じように、アジア諸国の“余剰資本”(国民経済に必要な財を超える資本活動力)に財の供給を依存する立場に転落するだろう。



金融経済主体と産業経済主体という論理的対立が、欧米的価値観とアジア的価値観という地域的対立につながりかねない世界経済構造になっているとも言えるのである。

そして、欧米支配層が、明確な理論に基づいているかどうかは別として、アジアがEUのように統合されていくのを恐れていることも間違いない。

天然資源と金融をめぐる米欧とイスラム世界の対立の次には、米欧とアジア世界との対立が控えている可能性があることを認識すべきであろう。

このような視点で、対中国政策や対北朝鮮政策も考慮しなければならないと考えている。
7/3/9


ヴェルナー・ゾンバルトに関する研究論文

2015-03-29 19:19:11 | 教育もろもろ

http://www.seijo.ac.jp/pdf/faeco/kenkyu/151-152/151-152-ikeda.pdf
成城大学教授 池田浩太郎 『マックス・ウェーバーとヴェルナー・ゾンバルト』(2000年)


http://jshet.net/docs/journal/55/551okuyama.pdf
明治大学政治経済学部 奥山 誠 『ヴェルナー・ゾンバルト研究の動向』(2013年)


https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/1877/1/seikeironso_75_1-2_225.pdf
明治大学政治経済学部 奥山 誠 『ゾンバルトにおける資本主義的企業家像
の構成と「ユダヤ人的特性」』


資本主義の成立とユダヤ人の関係は、歴史から排除されている

2015-03-29 10:29:20 | 歴史

資本主義の成立とユダヤ人の関係は、歴史から排除されている。
それを調べようとすれば、周りから奇異の目で見られる雰囲気ができあがっている。
ユダヤ人迫害の代表的事例であるナチス幹部の隠れ家がアルゼンチンの密林の奥地で発見されたという先日の報道も、その後続記事はない。

近年注目されているウォーラーステインの『世界システム論』という新しい歴史理論にしても、ユダヤ人の活動は排除されている。そしてウォーラーステイン自体がアメリカのユダヤ人である。この歴史論は日本の高校の教科書にまで影響を及ぼしている。(私はウォーラーステインの歴史論自体をすべて否定しているわけではない。)

今から約100年前の20世紀初め、最初に資本主義とユダヤ人の関係に注目したのは、ドイツ人のヴェルナー・ゾンバルトである。彼の代表作は『ユダヤ人と経済生活』(「ユダヤ人と資本主義」とも訳される)である。この本には、コロンブス以降の世界経済の発展とユダヤ人との関係が、統計上の数字をもって実証的に論証されている。
しかし今は絶版になっていて、なかなか手に入らない。

ゾンバルトはマックス・ウェーバーと同時代のドイツの社会学者で、当時学会の双璧であった。
しかし第二次大戦後、ゾンバルトは次第に忘れられていく。それに変わってマックス・ウェーバーが注目され、戦後の社会学会では、マックス・ウェーバーを知らずして社会学を語るなかれ、の雰囲気がある。

しかしこのマックス・ウェーバーの記述は難解である。
私はこの難解さが長いあいだ不可解であったが、それは正確を期すための難解さではなく、あることを避けるために発生する難解さだと感じるようになった。
戦後、日本では東大の大塚久雄などがこの難解なマックス・ウェーバーを高く評価し、現在の日本では不動の地位を築いている。

しかしマックス・ウェーバーの難解さは、ゾンバルトの本を読めば氷解する。
人が簡単なことを難しく言うときは要注意である。
ゾンバルトの記述にはそのような回りくどさがない。
彼の代表作『ユダヤ人と経済生活』は分厚い本だが、表現は至ってシンプルである。
マックス・ウェーバーは簡単なことを難しく書いているが、
ゾンバルトは難しいことを平易に書いている。
(人は真実に近づくとき喜々として働くものだが、マックス・ウェーバーは逆にこの作業に疲れ果て、鬱病と精神疾患に陥っている。)


しかし今ゾンバルトの本は手に入れにくいばかりか、どうかするとゾンバルトを論評することによって奇人変人扱いされることがある。
そしてそれがユダヤ人に関することになると、学問的ではないというレッテルを貼られることがある。
現在日本で許されているのは、ユダヤ人迫害の歴史だけである。


日本人は好んで日本人研究をする。また日本人だけではなく、世界中のいろいろな民族研究をする。しかしその中でユダヤ人研究だけが学問領域として成立しずらくなっているということが、一体何を意味しているのか、その意味するところはかなり深いものがある。





※ 以下に2冊、現在日本で出版されているゾンバルトの本を紹介する。

恋愛と贅沢と資本主義 (講談社学術文庫)
ヴェルナー・ゾンバルト
講談社

 

戦争と資本主義 (講談社学術文庫)
ヴェルナー・ゾンバルト
講談社

 
※ 現在絶版になっている『ユダヤ人と経済生活』(ヴェルナー・ゾンバルト)はこれ
 
  


真実と欲望がかけ離れている場合、真実は描けない

2015-03-28 17:39:10 | 歴史

真実と欲望がかけ離れている場合、真実は描けない。
誰でも真実の目と、欲望の目を持っている。
いわゆる奇人変人のうち天才と呼ばれる人々は、この両者のうち、欲望の抑制に成功した人か、そうでなければもともと自分の欲望に大して興味のない人である。
真実は欲望の目で見ると、違ったふうに見えてしまい、真実を見誤ってしまう。

欲望を描くことが、真実を描くことだと勘違いする場合もある。
欲望だけを描くことに大した意味はない。
そうした場合、自分に都合の良い世界観を勝手につくってしまう。


もっと困ったことに、真実が見えていながら欲望と打算に負けて、真実を描こうとしないことがある。
日本にもこういった人は、学者、ジャーナリスト、芸術家の中に散見される。
この場合、故意にウソが本当らしく表現される。


アルゼンチン密林でナチスの隠れ家発見?かぎ十字や独硬貨も

2015-03-28 13:33:00 | マスコミ操作
時事通信
 
 アルゼンチン密林でナチスの隠れ家発見?かぎ十字や独硬貨も
 








【ブエノスアイレスAFP=時事】南米アルゼンチン密林の奥深くで、ナチス・ドイツの幹部らが第2次世界大戦後の逃亡先として建設した隠れ家とみられる建築物を発見した考古学者が23日、この場所にはさらに暗い秘密が埋もれている可能性があると語った。
(写真は南米アルゼンチン北部サンイグナシオ近くの密林で見つかった、ナチス・ドイツの幹部用の隠れ家として建設されたとみられる建築物)

 ブエノスアイレス大学都市考古学センターのダニエル・シャベルソン所長が先週末に行った発表は新聞紙面を賑わせ、ナチスの戦犯らが逃亡先としていたことで知られるアルゼンチンで、居心地の悪い記憶を呼び起こした。

 シャベルソン氏のチームは、3つの石造りの建造物から、建物に刻み込ま れたかぎ十字の紋章や、ナチスのシンボルが刻印されたドイツの硬貨、そして「ドイツ製」と記された陶器の破片を発見した。

 だが、シャベルソン氏はAFPの取材に対し、調査はまだ始まったばかりで、周辺には草木が生い茂っているために「分析には何か月もかかる可能性がある」と説明。
「まだ見つかっていない建物がある可能性もある」と述べた。


 建造物は、アルゼンチン北部のパラグアイとの国境そばにあるTeyu Cuare州立公園内で見つかった。
シャベルソン氏は2週間かけ現地調査を実施。
これが、険しい地形で近づくのが難しいながらも脱出が簡単な場所にナチス幹部をかくまう隠れ家を建設するプロジェクトの一環だったのではないかと考えるに至った。


 ナチス幹部らを追跡している団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」によると、アルゼンチンには、ナチスやイタリアのファシスト、クロアチアのファシスト集団ウスタシャのメンバーら数千人が逃れ、故フアン・ペロン大統領の庇護を受けていた。
【翻訳編集AFPBBNews】

〔AFP=時事〕(2015/03/24-14:34)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【私のコメント】

ヒトラーが自殺したのではなく、実は南米の奥地に逃げて生存していたという噂は、これまでも聞かれていた。
しかしそれがこのような形で大手報道機関で取り上げられることはなかった。

ここではまず現地のアカデミズムが認め、それを大手報道機関が報道した。
今までになかったことだが、このことが一体何を意味しているのか。

役割を終えた役者には、逃げ場所が用意されていたということか。
その逃げ場所を用意したのは誰なのか。
アルゼンチン単独でこういうことをやったとは思えないのだが。

韓国、アジアインフラ投資銀(AIIB)に参加

2015-03-27 07:38:09 | 国際金融

ヤフーニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150326-00000160-jij-kr


韓国、アジア投資銀に参加=創設メンバーで発言力確保

時事通信 3月26日(木)20時48分配信

 【ソウル時事】韓国政府は26日、中国主導で年内設立を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、創設メンバーとして参加することを決定し、中国に通知した。企画財政省が発表した。トルコも同日、参加の意向を示しており、これで参加表明国は36カ国となった。
 インフラ整備や建設に強く、日本と競争関係にある韓国がAIIBの創設メンバーとなることで、AIIBに距離を置く日本は難しい対応を迫られそうだ。
 企画財政省は「参加により建設、通信、交通などのインフラ事業の経験が多い韓国企業の事業参加が拡大できる」と期待。「AIIBは韓国が設立時から参加する最初の国際金融機関となり、金融外交の影響力を増す上で重要な手段になる」と強調した。
 韓国は、米国の意向を考慮し、参加に迷いを見せてきた。しかし、経済的に中国への依存が大きい現実から、インフラ整備で韓国企業の受注機会を逃すわけにはいかないと、実利を重視。英国やフランス、ドイツなど欧州の主要先進国が参加を決めたことで、中国が独占的に運営する懸念は緩和されたと判断し、参加を決めた。
 また、日米が主導するアジア開発銀行(ADB)では発言力が小さいことから、両国が参加に慎重なAIIBの創設メンバーになり、発言力を確保することが得策と考えたもようだ。ただ、参加により、中国寄りの姿勢が一層濃くなり、米国の不満が強まる可能性もある。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【私のコメント】

ドルの基軸通貨制はだんだん弱まっているし、特にアジアでは人民元の力が強まっている。
アジアで人民元よりドルを重視しているのは日本と、ベトナム戦争でアメリカと戦ったベトナムぐらいのものだ。
主要国でアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加しないのはアメリカと日本だけ。
アジア最大の米軍が駐留する韓国でさえ、アメリカを恐れずに中国主導のアジアインフラ投資銀行に参加した。
アベノミクス下の日本は完全に外交も間違っている。
アメリカの雇用統計は粉飾である。アメリカの経済は決して良くならない。
日本の経済は決して良くならない。
経済の方向性が間違っている。

アベノミクスが成功すると思いますか。


静岡・栗林監督に聞く 県立進学校が野球部員集められる理由

2015-03-27 07:35:11 | 教育もろもろ

ヤフーニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150326-00000026-nkgendai-base


静岡・栗林監督に聞く 県立進学校が野球部員集められる理由

日刊ゲンダイ 3月26日(木)16時56分配信

 静岡高校といえば、県内有数の県立進学校。今年も10人の東大合格者を出した。一方、明治29年創部の野球部も全国的な伝統校として知られ、今センバツが春夏通じて38回目の甲子園出場。そんな文武両道を謳う県立校ながら、実は野球部には推薦で入学する部員が少なくない。近隣県には「静高野球部は私立校と一緒」との声もある。栗林俊輔監督(42)に“カラクリ”を聞いた。


――県立校なのに推薦で野球部員を獲得していますね。

「正式には学校裁量枠というものです。恐らく静岡県の公立校だけの制度だと思いますが……。これも学校によってどんな生徒を入学させるか異なる。サッカーの強い藤枝東高ならサッカー部に、私が前に監督をしていた浜松工高なら運動部全般、でした。基本、(学校裁量枠の)対象となるのは県内の子だけです」

――私学の特待生制度とは何が違うのですか。

「裁量枠と一般生徒では入試制度が違うだけで、後は全部同じ。授業もそうです。ウチは進学校ですから、野球も勉強も両方頑張れる子じゃないと入学してから大変です。もちろん、難関大学を狙う一般生徒に比べると裁量枠の子の学力は落ちます。でも、ある程度のライン、中学時代にそれなりの成績を残していないといけません(大石副部長いわく、『裁量枠の判断は各学校に任されているので、ウチならば授業についていける学力と野球のレベルになります』)。普通の高校生と比べても劣ることはありませんよ。野球だけしかやらない子を入学させても、いろいろと問題もありますからね」

――特待生とは違うようですが、それでも一般生徒との間に溝ができたりはしませんか。

「むしろ、理解を示してくれています。裁量枠の部員は学年ごとにまちまち。1学年に10人いることもあれば、ゼロの時もある。ウチは1学年8クラスで、そこに裁量枠をバラバラに割り振るようにしています。彼らだけで固まっていると、やはり他の生徒と溝ができてしまいますが、これだとクラスに溶け込める。こんなこともありました。ウチのエースの村木ですが、昨秋、学内の体育大会に出場することになった。その数日後に秋季県大会の決勝戦が控えていたのですが、学校行事だから出るのが当たり前。本人もそのつもりでいたら、クラスの同級生が『決勝が近いのに体育大会に出ている場合じゃないだろ! エントリー変更しろよ!』と言ってくれたんだとか。野球だけをやっている子ならば、そうは言われなかったでしょうね」


日本から中国に交代するアジアの盟主   田中 宇

2015-03-24 08:10:42 | 国際金融

田中宇の国際ニュース解説
http://tanakanews.com/150322china.htm


日本から中国に交代するアジアの盟主 2015年3月22日   田中 宇


 3月12日、英国政府が、中国が創設した国際開発金融機関である「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)への参加を表明した。
北京に本部を置くAIIBは、アジア地域の道路や港湾、発電所などのインフラ開発に国際投資する事業を行う予定で、中国が2013年秋から設立を提唱し、14年10月に正式発足した。
当初、創設時加盟国の参加申し込みを14年末に締め切る予定だったが、欧州勢の参加する可能性があったためか、創設時加盟国の申し込みを今年3月末まで延長していた。
(創設時から加盟した方が、銀行の基本的な運営に対する発言権が大きくなる)
AIIB extends deadline, but will more countries sign up?) (US attacks UK's `constant accommodation' with China


 従来、国際金融機関といえばIMF世界銀行という「ブレトンウッズ機関」を筆頭に、米国の覇権運営を補佐する存在だ。
アジアではIMF世銀体制下に、日本が歴代の総裁職を占めてきたアジア開発銀行(ADB)がある。
近年、中国やインド、ロシア、ブラジルなどの新興諸国(BRICSなど)が経済力をつけ、米国とその傘下の日欧の発言力が圧倒的な国際金融機関の運営体制を変えてほしい、新興諸国の発言力を増加してほしいと要請していた。
2010年、IMFで、中国など新興諸国の発言力(出資比率)を増やす改革の方針が決まり、米政府(民主党オバマ政権)も署名したが、共和党主導の米議会が批准を拒否したまま、改革が座礁している。
習近平の覇権戦略


 中国は、世界のGDPの16%を占める経済を持つが、IMFでの発言権(出資比率)が3・8%しか与えられていない。
アジア開発銀行(ADB)では、米国の発言権が15・7%、日本の発言権が15・6%で、米国が覇権国、日本が事務局という位置づけの日米支配体制になっている。
中国の発言権は5・5%しかない。
中国は、経済力の増大とともにアジアでの政治影響力の拡大を望んでいるが、IMFやアジア開銀での発言権の拡大は、米国(日米)に阻止されている。
経済成長が続くアジア諸国には巨大なインフラ整備の需要があるが、アジア開銀の投資はその需要に追いつかず、需給のギャップがある。 (`Accommodating' Beijing may be no bad thing) (In Development Bank Battle, Surge to China Rattles Japan


 中国は、その点を突いて、IMFやアジア開銀での中国の発言権の拡大が阻止されている以上、アジアでのインフラ投資需要の増加に応えるため、中国主導で新たな国際開発金融機関の創設するしかないという理論で、AIIBの創設を呼びかけた。
中国などBRICSは、AIIBのほか、世界銀行に対抗しうるBRICS開発銀行(新開発銀行)、IMFに対抗しうる外貨準備基金などの国際金融機関も設立した。
覇権体制になるBRICS


 中国(やBRICS)を米国覇権外(ブレトンウッズ体制)に押し出して、AIIBやBRICS開発銀行などを作らせてしまった元凶は、IMF世銀でのBRICSの発言権の拡大を拒否した米議会にある。
米国のルー財務長官
共和党主導の議会がIMF改革の批准を拒否したせいで、中国がAIIBを作り、米国の国際的な信用と影響力が脅威にさらされている
と発言している。
US warns of loss of influence over China bank


 AIIBの加盟国は、昨年10月の創設時点で東南アジアと南アジアのほぼすべての国、中央アジアの多くの国と、中東の一部の国だった。
米国が、自国の覇権体制(IMF世銀、ADB)の外側に作られるAIIBを嫌い「AIIBは運営の透明度が低い。環境や人権などの問題を無視して投資する懸念がある」と言って、同盟諸国に加盟するなと圧力をかけたため、日本、韓国、豪州、欧州諸国は加盟していなかった。
英国が加盟を発表する6日前にも、ケリー米国務長官がドイツに対し、AIIBに加盟しないよう要請していた(ドイツは、この時点ですでに加盟したいと思っていたことになる)。
De-Dollarization Accelerates As More Of Washington's "Allies" Defect To China-Led Bank


 英国が3月12日に、先進国で初めて加盟を表明した時、米政府の高官は「中国にすり寄ってばかりいる」と英国を非難したが、この敵対的な匿名高官発言は、米国がAIIBに反対する本当の理由が、環境や人権を無視した投資への「懸念」でなく、自国の世界支配(覇権)を邪魔する中国への「敵対」であることを浮き彫りにする逆効果をもたらした。
それから数日内に、独仏伊やスイス、ベルギーなどの欧州勢と、アジア周辺の豪州と韓国がAIIBへの参加を正式に発表するか、参加を検討していると表明した。
UK2 and US in sharp row on how to deal with rising China) (Why Europe defies the US to join a China-led bank


 急速に経済台頭する中国に、英国が「すり寄ってばかりいる」のは事実だ。
英国の国家戦略は、ロンドンを世界の金融センターとして維持し続け、国際金融の儲けで存続し続けることだ。
米国中心の債券金融システム(米金融覇権)の崩壊感がリーマン危機以来ひどくなり、対照的に中国を筆頭とする新興諸国の経済台頭が顕著になる中で、英国は国際金融センターとして機能し続けるため、米国から罵倒されても、中国にすり寄り続けねばならない。
金本位制の基軸通貨をめざす中国) (チベットをすてたイギリス


 3月末のAIIBへの創設時加盟の締め切りまであと20日弱という絶妙なタイミング(他の諸国も急げば加盟できる)で、英国が加盟を発表し、それを機に他の諸国がなだれを打って加盟を表明する流れを英国が作り出したことで、英国は、中国に恩を売ることができた。
英国は以前、チベットや香港などの人権問題で中国を非難する「冷戦構造(=米英覇権)の維持」を国策としていた。
2012年にその国策を捨て、経済面重視で中国にすり寄る策に180度転換したが、最近まで中国は英国に対して懐疑的で、中国首相訪英時の歓迎の赤じゅうたんの長さが数メートル足りないと言って怒るなど、意地悪をしてきた。
今回AIIBの加盟で中国に恩を売ったので、中国は英国に意地悪しなくなるかもしれない。
How David Cameron lost, and then won, China


 英独仏や豪州は、AIIBに加盟することで、今後ますます増えそうな中国によるアジア向けのインフラ投資に参加でき、自国の金融界や産業界に儲けを与えられる。
まさに「中国にすり寄ってばかりいる」といえるが、詭弁家ぞろいの欧州勢は「中国に透明度の高い投資をさせるためには、AIIBに入らず外から批判するのではダメで、創設時から加盟し、内側から改善していく必要がある」と言って、自分たちの加盟を正当化している。
投資を受けるアジア諸国の側としても、AIIBに欧州勢が入ってくれると、中国の言いなりにならなくてすむ度合いが高まるので歓迎だ(アジア諸国はAIIBに日本も入ってほしい)。
Aso remarks show Japan dilemma over China-led bank) (China invites Japan to join Asian Infrastructure Investment Bank


 現時点で、関係諸国でAIIBに入りそうもないのは日本と米国だけだ。
日本では麻生財務相が、投資透明度確保などの条件が整うなら加盟を検討すると発言し、いよいよ日本も入りそうだ、米国の孤立が決定的だ、と世界で報じられた。
だが麻生の発言は、AIIBの透明度改善に日本が満足することはないという前提で、入るつもりがないという発言を裏返しに言うことで「なぜ日本だけ入らないのか」と内外から言われることを防ぐ目くらましのようだ。
Japan, Australia signal approval of China-based AIIB) (US "Isolated" As Key Ally Japan Considers Joining China-Led Bank


 米国では、上層部に「米国も入るべきだ」という意見があるが、入りそうな感じが現時点で全くない。
米国が入ったら日本も入るが、米国が入らないなら日本も入らない
これが日本の戦略だろう。
世界でダントツの対米従属だ。
今の日本は、中国にすり寄っていない数少ない国の一つだ(中国人観光客に対しては、みっともなくすり寄っている)。
しかし日本は同時に、米国の覇権が崩れているのにそれを見ず、米国にすり寄り続ける数少ない国の一つでもある。
US should work with the Asian Infrastructure Investment Bank


 米日はここ数年、包囲網を作って中国を孤立させる策をやってきたが、AIIB加盟の雪崩は、孤立しているのが中国でなく米日の方であることを示してしまった。
今回のAIIB加盟騒動は、国際社会が米国主導の中国包囲網に協力してきた従来の傾向を弱める。


 中国に隣接する大国であるインドは、BRICSの一員として将来予想される世界体制の中で中国と協調する位置にいながら、これまで米英主導の国際秩序(覇権)に従う傾向が強く、中国から誘われても曖昧な態度をとり、中国との国境紛争を解決できない状況にあった。
しかし今回のAIIB騒動で、欧州や豪州が対中協調に傾く中で、インドも米国の目を気にせず中国と協調できるようになる。
中国は、インドとパキスタンの和解を仲裁し、中露印パで協調してNATOが放棄した後のアフガニスタンを安定化したり、
米欧に核の濡れ衣をかけられてきたイランを国際社会(上海機構など)に取り込む道筋をもくろんでいる。
印中協調は、こうした中国の南西戦略のかなめとなる。
インドとパキスタンを仲裁する中国


 オーストラリアは、中国に資源を売ることが経済の大黒柱なので中国と協調したいが、
米国の同盟国として中国包囲網に協力して国内基地への米海兵隊の駐留を許すこともやらざるを得ず、
台頭して強気になる中国と、好戦的になる米国の間で外交のバランスがとりにくくなっていた。
今回のAIIB騒動で、英国が先導してくれたおかげで、豪州は対中協調・米国離れの方向に苦労せず一歩進んだ。
Abbott's decision on China regional bank a poke in eye for Obama


 豪州と同様、米中のバランスをとるのが難しくなっているのが韓国だ。
韓国は、北朝鮮との対立で米国に軍事依存しているので、豪州よりどっちつかずだ。
豪州は首相がAIIBへの加盟意志を表明したが、
韓国はAIIBへの加盟意志が報じられた後、大統領府がそれを否定して曖昧な態度に戻った。
韓国の貿易は、対中国が25%、対米が12%で、経済面で対中協調が不可欠だが、
軍事や政治の面が対米従属で、韓国政界は対米従属の勢力が依然強い。
朴槿恵は、AIIBへの参加を軽々に表明できない。
Korea's presidential office denies reports of Seoul's decision on AIIB


 韓国は歴史的に、自国をめぐる国際政治のバランスを内的にとるのが下手だ。
中国派・ソ連派・日本派、親米派・反米派などが対立して団結できないでいるうちに、戦前は日本に併合され、戦後は南北分断が固定化された。
今回も韓国は、中国と米国の間でおたおたしている。
米政府は「韓国は主権国家なのだから、AIIBへの参加を自由に決めて良い」と発表しているが、これは韓国に対する皮肉や脅しだ。
韓国がAIIBに入ったら、米国は韓国を突き放す傾向を増すだろう。
U.S. says it's up to S. Korea to decide on AIIB) (South Korea Torn Between US and China


 米国は、米陸軍が弾道弾迎撃ミサイル「THAAD」を韓国に配備しようとしている問題でも、韓国のバランス外交を破綻させている。
韓国への配備は、北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃するためと米軍は説明しているが、THAADは中国の弾道ミサイルを迎撃することもできる。
米国と中国が戦争した場合、米国は中国に弾道ミサイルを撃ち込めるが、中国の弾道ミサイルはTHAADに迎撃されて米国に届かない可能性が増す(迎撃能力の高さは疑問だが)。
対米抑止力が削がれるので、中国はTHAADの韓国配備に強く反対している。
THAAD usable against China's DF-31 missile: Global Times) (あたらないミサイル防衛


 米国は、イランの弾道ミサイルを迎撃できるようにするという口実で、ポーランドなど東欧に迎撃ミサイルの配備を計画している(2018年稼働目標)。
だが、イランから米国への弾道ルートは東欧の上空を通っておらず、米軍の配備はロシアの弾道ミサイルを迎撃する隠れた目的がある可能性が強まり、ロシアが怒って反対している。
イランを口実にしてロシアを怒らせたポーランドへの配備計画は、北朝鮮を口実にして中国を怒らせる韓国への配備計画と同様の構図だ。
米ミサイル防衛システムの茶番劇


 中国の反対を理由に、韓国が米軍の迎撃ミサイル配備を断ると、米韓関係が悪化する。
中国の反対を無視して韓国が迎撃ミサイルの配備を容認すると、中国は韓国に経済面などで嫌がらせをして、韓国の国益が損なわれる。
韓国は、米中両方にいい顔をすることが許されなくなっている。


 日本の安倍首相は4月に訪米してオバマと会い、米議会で演説する栄誉を与えられる。
従軍慰安婦問題で安倍を嫌う韓国は、安倍の米議会演説を何とか阻止しようとしたが失敗した。
韓国の対米従属派は、米国が戦争責任問題を否定する日本を非難し、この問題で米国が韓国の味方をしてくれることを強く望んできたが、
安倍の米議会演説の決定を受け、韓国では米国に対する失望が広がりそうだ。
その分、韓国は米国離れ・中国寄りになる。
安倍の米議会演説は、短期的に「日本の勝利」だが、長期的には韓国が中国の傘下に入る「中国の勝利」につながる。


 今後、経済面で中国の重要性が増すことは必至だし、北朝鮮に核を放棄させる6カ国協議が中国主導になっているなど、安保面でも朝鮮半島は中国の影響下に入る方向だ。
米国がAIIBやTHAADの問題で韓国に二者択一を迫るほど、韓国は対米従属をあきらめて中国の傘下に入る選択をせざるを得なくなる。
米国が強硬策を採らなければ、韓国はしばらくバランス外交を続けられ、韓国が米国の覇権下にいる状態を延長できるのに、米国は強硬策に固執し、自国の覇権を縮小させている。 (韓国台湾を取り込む中国


 中国と米国の間で右往左往する韓国と異なり、日本は対米従属・中国嫌悪の一本槍だ。
日本人は、右往左往する韓国を嘲笑している。
しかし長期的に見ると、中国が台頭して米国が退潮していく傾向が続くだろうから、
韓国の方が時代の流れに乗っており、日本は孤立・衰退していく側に立ってしまっている。


 世界銀行の総裁(Jim Yong Kim、米国人)は、これまで不十分だったアジアのインフラ整備への投資を補完してくれるものとして、AIIBの設立を歓迎している。
国際協力の現場では、対抗意識が少ない。
AIIBがIMF世銀体制の対抗馬であるのは、この問題を国際政治(覇権争い)として見た場合だ。
World Bank welcomes China-led infrastructure bank


 経済協力として見ると、アジアへのインフラ投資が足りないのだから、設立者が中国だからという理由で米日がAIIBに入らないのはおかしい。
中国は、日本にも米国にも、AIIBへの加盟を誘っている。
国際協力の経験が豊富な米日など先進国がAIIBに入り、中国による運営の下手なところを助けてやるのが筋だ。
AIIB complementary to ADB, World Bank: China's finance minister


 しかし、この話を国際政治として見ると、米国は中国が台頭して自国の覇権を崩すのがいやで、IMF世銀における中国の発言権拡大を拒否し、
拡大を断られた中国がAIIBを創設し、米国は関係諸国にAIIBに加盟するなと圧力をかけ、
米国の衰退と中国の台頭を予測する欧州勢は米国の圧力を無視して加盟し、
対米従属と中国嫌悪に固執する日本だけが米国に追随してAIIBに入らない、という流れに納得がいく。


 歴代総裁が日本人であるADBは、米国が、自国の覇権下で対米従属の日本がアジアを主導するかたちをとった組織で、経済協力として見ると、AIIBができてもADBにマイナスでないが、
国際政治として見ると、AIIB(中国)が拡大するほどADB(日本)が縮小する。
日米以外の関連諸国がこぞってAIIBに入りそうな現状は、アジアの盟主が日本から中国に代わりそうなことを示している


 FT紙は、欧州などがAIIBに加盟する動きを、世界がドルよりも人民元を好むようになっていることを象徴するものだと書いている。
通貨の分野では、中央銀行による債券買い支え(QE)がないと米国のドル基軸体制を維持できない状態になっている。
中国などBRICSは、ドル崩壊に備え、各国の自国通貨を使った貿易体制を組んでいる。
ドル基軸体制とIMF世銀体制は同一のものだから、中国がIMF世銀と別にAIIBを作ったのは、ドル崩壊への備えであるともいえる。
ユーロ諸国が、ドルより人民元とのつながりを重視し、AIIBに入るのも自然な動きだ。
China's money magnet pulls in US allies


 AIIBは設立まで1年半の時間しかかけていない。
ちょうど、米連銀がQEを続けられなくなり、代わりに日欧にQEをやらせる動きをしていた時に、中国は、AIIBやBRICS開発銀行などIMF世銀体制の代替組織の設立を急いで準備していた。
Asian Infrastructure Investment Bank From Wikipedia


 日本は、ドルを延命させるため、日銀が新規発行の日本国債の全量を買い上げる過激なQEを続けている
いずれ日銀のQEは効果が下がる。
日本国債の金利上昇とデフォルト、超円安などの混乱が起こり、日本は経済破綻する可能性が増している。
すでに、日銀がQEを減らして軟着陸的に終了させるのは非常に困難だ。
出口はない。
日本は自分を人身御供にしてドルを救おうとしているが、日本が破綻した後、ドルも延命策が尽きて破綻しそうだ。
具体的に何が起きるか予測が困難だが、大変なことになる
QEの限界で再出するドル崩壊予測) (Is Japan Zimbabwe?


 このきたるべき大変な事態を予測して、中国などBRICSは、ドル崩壊の大惨事が起きても自分たちが溺死せずにすむ「ノアの方舟」的な、ドルに頼らない決済体制を準備している。
その一つがAIIBだ。
こうした通貨の面でも、日本は負け組で、中国が勝ち組だ。
最近の日本では、中国を嫌悪・敵視・批判する言論が歓迎される半面、中国を客観的・肯定的にとらえて分析する言論は、誹謗中傷を受ける。
中国の台頭や日本の衰退を食い止めるには、まず中国を冷静に分析することが必要だが、今の日本ではそれができない。
日本人は、中国を嫌うばかりで、中国に負けないようにする方策を冷静に考えることを自分たちに禁じている。
このままだと日本はますます中国に負ける。
負けを自覚することも抑制されているので、負けがどんどん進む。


 今の日本の嫌中的な風潮を煽っている勢力の背後に、米国のネオコンがいるかもしれない。
ネオコンはこの10年以上、ずっと米政権中枢に近いところにいるが、
彼らは好戦策を過激にやって失敗させ、米国の覇権を自滅させて多極化を推進する「隠れ多極主義者」の疑いがある。
イスラエルはネオコンに取り付かれ、パレスチナ問題で世界から孤立している。
ネオコンの雑誌の一つであるコメンタリーは最近、安倍の中国敵視策を「オバマの中国包囲策よりも良い」と賞賛し、
安倍の軍事拡張やTPP加盟策を評価する記事を出した。
米政権中枢に近い筋に評価されてうれしいと喜んでいると、いつの間にか自滅の道を進まされていることになるかもしれない。
Whose Asia Pivot is Working Better: Obama's or Abe's?


テロの背景 アメリカでは軍産アメリカが息を吹き返す

2015-03-22 16:50:23 | 国際・外交(日米関係)

中国主導のアジアインフラ銀行の設置にイギリスをはじめとする欧州各国が協力したことにより、アメリカではオバマ(民主党)大統領の力はますます求心性を失っていくだろう。
今までオバマはアメリカ・ニューヨークのウォール街の金融勢力と手を組んできたからだ。(アメリカA)
イギリスがまずこのグループから手を引いた。続いて、ドイツ・フランス・イタリアと続いた。

すると今度は共和党を中心とする軍産勢力(アメリカB)が、アメリカ政権中枢で息を吹き返す可能性が高まる。
中国主導のアジアインフラ銀行の設置にイギリスをはじめとする欧州各国が協力するというニュースと同時に、チュニジアなどでテロ事件が発生している。
今年1月からの『イスラム国』がらみのテロ事件は今も後を絶たない。
イスラム国の背後にはアメリカの存在があるとも言われるが、もしそれが本当なら、それはオバマ(アメリカA)ではなく、軍産アメリカ(アメリカB)のほうである。

欧州勢力はオバマの金融勢力(アメリカA)とは手を切りつつある。そして新たな相手として中国と手を結びつつある。
アメリカでは軍産アメリカ(アメリカB)だけが取り残されている。
もうしばらくは世界各地でテロが起こり続けるだろう。

しかし金融アメリカ(アメリカA)のいない軍産アメリカ(アメリカB)だけの力で、アメリカの戦費がまかなえるとは思えない。
今アメリカは、裸の王様になりつつあるが、その裸の王様は世界最大の軍事力を持っている。
『キチガイに刃物』の非常に危険な状態だ。
何をするか分からない状態にある。


金融アメリカ(アメリカA)がしぼんだ後の軍産アメリカ(アメリカB)の金づるが、アベシンゾーだとすれば、これは本当に笑えない。
軍産アメリカ(アメリカB)の金づるどころか、1月の中東訪問のように、おだてられたり脅されたりして何をするか分からないのが、今のアベシンソーである。
集団的自衛権の名のもと何をするか分からない『キチガイに刃物』である。
今、アメリカと日本はかなり異常なところにある。


アジアインフラ銀行 欧州と組んで投資国家に変わる中国

2015-03-22 14:19:42 | 国際金融

中国主導のアジアインフラ銀行の開設(2015年予定)。
これは中国が輸出主導から、投資主導に切り替えていくということ。
中国の人民元が安かった頃、中国製品は輸出を伸ばした。
しかし人民元はかなり高くなっている。
現在、1人民元=19円前後。(2010年頃は、1人民元=12円前後)

人民元が高くなれば、当然中国製品は高くなり、輸出が伸びなくなる。

しかし逆に高くなった人民元を使って海外に投資をすれば、より多くの投資ができる。
例えば、1人民元=10円ならば、中国は1人民元で10円の融資しかできないが、
1人民元=20円ならば、1人民元で20円の融資ができる。
人民元が高くなればなるほど、中国の実質的投資額は増える。


これは中国が世界の工場から、投資を中心とした金融立国へと舵を切ったということ。
中国は高くなった人民元を使ってアジア諸国に投資をしていくつもりだ。
そうはさせたくないアメリカを尻目に、まずイギリスが中国に協力した。
続いてドイツ、フランス、イタリアも。

アジアにはまだまだ安い労働力人口が眠っている。
人民元の引き上げを求めていたのはアメリカだが、中国はその逆手を取って、それなら高くなった人民元を使って海外投資に乗り出そうというわけだ。

日本は円高の時もそういうことをしてこなかった。逆に米国債を買うことに終始してきた。
日本主導のアジア開発銀行(ADB)はアメリカのご機嫌取りばかりで、本腰を入れて取り組んでこなかった。そのアジア開発銀行(ADB)のトップであった人物が今の日銀総裁の黒田東彦である。
そしていまだにアメリカへのファイナンスをし続けている。

中国は欧州を巻き込んでこのことに取り組もうとしている。アメリカしか見ていない日本とはスケールの違う投資を考えている。
そこに、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアというヨーロッパの主要国が乗った。


自国通貨を通貨高にして海外に投資を行おうとすることは、1990年代以降のアメリカが取った『強いドル』政策と同じである。
ということは、世界の金融政策の中心がアメリカから中国へ移ろうとしているということである。
これにイギリスが乗った意味は大きい。イギリス・ロンドンのシティの金融勢力がそのことを認めたということだから。
そしてすかさず、ドイツ、フランス、イタリアがイギリスに追随した。

このことはドルを刷って垂れ流すだけのアメリカの金融政策がどうしようもないところまで来ていることの証拠ではなかろうか。
イギリス・ロンドンのシティの金融勢力はニューヨークのウォール街を見捨てて、中国の上海に拠点をかまえようとしているように見える。
日本はこの流れにも大きく出遅れた。出遅れるどころかますますアメリカに取り込まれようとしている。

日本は先の戦争でも、大きな潮目を見誤って、国民に大きな犠牲を強いた。
アベシンゾーを見ているとそのことを思い出す。
大きな潮目を読むための冴えた目を持ち合わせていないのだ。
逆に目の前の損得だけに固執し、その先のことが頭の中にない。
もともと能力のない人間が2世議員(本当は3世議員)として親の威光を借りて幅を利かすようになるとこのような危険なことが起こる。
(一度退陣した首相が、期間を開けて再登板するのは吉田茂以来である。小沢叩き、民主党潰し、アベシンゾーの再登板の一連の動きには不自然なものがある。これは終戦後、次期首相候補の鳩山一郎が就任直前に公職追放され、その代わりとしてアメリカの後押しで吉田茂が首相になったと同じように、周到に計画されたものだ。)


今日本の政治家たちは、イギリスを初めとする欧州勢力の動きに唖然とするばかりだ。
まだ何が起ころうとしているのか分かっていない状態なのだろう。

かつてドイツが孤立していく中で、日本がドイツと軍事同盟を結んだように、
アメリカが孤立していく中で、日本はアメリカとの軍事同盟を強化している。

この2つのことがダブって見える。

同じ間違いをしでかさなければよいが。
日本だけが世界の流れと逆行しているように見える。


アメリカと欧州の関係は、想像以上に変化しているのではないか

2015-03-22 12:47:16 | 国際・外交(日米関係)

2015.1.22、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が、ドイツの反対を押し切って、量的金融緩和を決定。ドラギはアメリカのゴールドマンサックスの出身。

2015.2.12、ドイツ(メルケル)とフランス(オラント)の仲介で、ロシア(プーチン)とウクライナ(ポロシェンコ)の間で、ウクライナ停戦協定が結ばれる。この仲介はアメリカの頭越しに行われた。

2015.3.12、中国主導のアジアインフラ銀行にイギリスが参加を表明。

2015.3.17、中国主導のアジアインフラ銀行にドイツ・フランス・イタリアが参加を表明。

俗に欧米と一塊りにいわれるが、欧州(ヨーロッパ)は米国(アメリカ)と距離を取り始めているように見える。
軍事的に、アメリカとイギリスは強い協力関係にあったが、そのイギリスが欧州勢力の中で真っ先に、中国主導のアジアインフラ銀行に参加を表明した。
これは全く予想しない衝撃的なことだ。

アメリカとイギリスの間にははっきりと隙間ができた。
イギリスに続いて、次にドイツ・フランス・イタリアが参加を表明した。
これで一気に大勢が判明した。
G7のうちアジアインフラ銀行に参加していないのは、アメリカ、カナダ、日本だけ。

イギリス、ドイツ、フランス、イタリアは、中国よりにシフトしている。
『アメリカはずし』に動いているように見える。
アメリカがこのアジアインフラ銀行に参加することはあり得ないだろう。

アメリカとカナダは北米大陸で隣接している国だから仕方がないとしても、際だつのはアジアの中にいながら参加していない日本の特異性である。


このような動きの中で日本だけはアメリカよりの姿勢をいっそう強めている。
このまま地の果てまでアメリカに着いていくつもりなのだろうか。

今までの動きは、ドイツは経済的にも軍事的にもアメリカに協力していない。フランスも同様である。
イギリスは今まで軍事的にはアメリカに協力してきたが、ここで経済的には非アメリカ的行動を取り始めた。

日本の集団的自衛権の行使が、アメリカのための軍事援助であることの輪郭がますますはっきりしてきた。
逆に言えばアメリカは、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどが、中国よりにシフトするのを見越して、その穴埋めのために日本に集団的自衛権の行使を求めたと言える。
そうとも知らずアベシンゾーは、それをありがたがって受けている。
この右よりの日本の首相はバランス感覚が悪いばかりか、世界の動向を察知する力も劣っている。

こんな人間に日本の舵取りをまかせていて大丈夫なのか。

アメリカと欧州の関係は、我々が想像する以上に変化しているのではないか。


中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」

2015-03-22 12:08:38 | 国際金融

WEDGE
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4566?page=5

中国が主導する
「アジアインフラ投資銀行」
ビジョンもガバナンスもなき実態

 
河合正弘 (かわい・まさひろ)  東京大学公共政策大学院特任教授

1971年東京大学経済学部卒業。78年スタンフォード大学経済学博士号取得。世界銀行東アジア局チーフエコノミスト、アジア開発銀行総裁特別顧問、アジア開発銀行研究所所長等を歴任。

 

 

中国は2015年中にアジアインフラ投資銀行(AIIB)の業務開始を目指す。
本部は北京とし、総裁には中国人が就く予定だ。
その実態を分析していくと、次々に課題が見えてくるが、新興国は設立を歓迎する。
中国と参加国である新興国の真意とは─。

 中国は2013年10月にアジアインフラ投資銀行(以下、AIIB)の構想を提唱し、
14年10月には早くもAIIB参加に関心をもつ20カ国と設立合意書(MOU)を交わした。
11月にインドネシアも参加することになり、中国とASEAN10カ国を含む計22カ国が設立協定の作成プロセスを開始した。

中国は2014年10月に設立合意書を交わした(XINHUA / AFLO)

 AIIBの目的は、アジアのインフラ建設やインフラを通じた各国間の物理的な連結性を強化し、経済発展を支援するというものだ。
アジアの新興国・途上国におけるインフラニーズは高く、ADB−ADBIの『シームレス・アジア』(2009)によれば、10年から20年の間に計8.3兆ドルの資金が必要とされる。
AIIB設立の動きはインフラ資金を必要とするアジアの新興国・途上国の間で歓迎されている。

 これに対して、米国や日本はAIIB設立の動きに警戒感を示しており、米国は参加を検討している韓国や豪州などに参加見合わせを促したとも報道されている。

 米国が警戒しているのは、中国がインフラ投資を通じて、アジア諸国を取り込み、陸のシルクロード、海のシルクロードなど中国の勢力圏づくりにAIIBを利用しようとするのではないかと疑信しているからだ。

 AIIBの設立は、同じく中国の主導で設立に向かっているBRICS銀行(正式には新開発銀行)などとともに、
国際通貨基金(IMF)、世界銀行、アジア開発銀行(ADB)などに代表される既存の国際金融秩序に挑戦するものだとも認識されている。


 日本政府は、恒常的に総裁を出しているADBがアジアの途上国に大きく貢献しているという評価を得ていることから、その競争相手となるAIIBの設立構想に戸惑いを見せている。

日本が主体となって運営しているアジア開発銀行(ADB)は、困惑している(REUTERS / AFLO)


 AIIB設立の基本的な考え方は、設立準備委員会(多国間臨時事務局)の委員長(秘書長)である金立群氏が、北京の中央財経大学・金融学院で開催されたクローズド・ワークショップ「世界の金融ガバナンス」での発言や応答の中で示している。

 要約すると、
既存の国際金融機関では、それらを主導する欧米諸国の意向が強く反映されて、必要な改革ができないので、新たな国際機関を設立することが必要だ
というものだ。

 急成長するアジアでは、経済成長・発展を支えるために、毎年少なくとも7500億ドル(ほぼ90兆円)に上る巨額のインフラ投資が必要とされている。
日本、中国を含むアジア地域は全体として経常収支黒字を計上していることにみられるように、十分な貯蓄を持っており、それをアジアのインフラ投資に振り向けていくことができる。

 現在の世界経済には、日米欧の中央銀行による超金融緩和政策によって、短期流動資金は十分に供給されているが
それは必ずしも長期性のインフラ投資に結びついていない
そうした中で、中国は法定資本金1000億ドル(当初は500億ドル程度の資本金から出発)のAIIBを設立する動きを始めたわけである。

 本部は北京とし、15年中の業務開始をめざしている。
AIIBはアジアのインフラ建設に必要な長期資金を供給する一方、
貧困削減は世銀やADBの仕事だとしている。

 しかしAIIBが効果的に機能するためには、日本や米国だけでなく、参加を検討している韓国や豪州などが懸念しているいくつかの問題点を解決する必要がある。

 

AIIBの問題点

 問題点としてAIIBのビジョン・理念、ガバナンス、融資政策・条件、ドナー間の協調の4点が挙げられる。

(1)ビジョン・理念

 新たな国際機関を設立するにあたっては、それがなぜ必要なのか理由を明らかにするとともに、使命とするビジョン・理念を明確にする必要がある。
AIIBは、「貧困削減」の使命を世銀やADBに委ねるとしつつ、それに代わるビジョンを提示していない。
インフラの構築、連結性の強化、経済発展は究極の目的を実現するための手段に過ぎず、インフラを通してどのようなアジアを実現させようとしているのか、明らかでない。

 AIIBは、たとえば「持続的・包摂的なアジアの構築」などのビジョンを掲げるべきだと提唱したい。
「持続的」とは環境と調和のとれた経済発展を指し、「包摂的」とは成長・発展の果実が全ての国・人々に行き渡ることを意味する。
このビジョンは、今の中国の指導者にとって十分受け入れられるものだ。

(2)ガバナンス

 本部は北京、総裁は中国人(初代は金立群氏と目されている)になることが予定されている。
出資比率は各国の国内総生産(GDP)に応じて決められることから、中国が最大の出資国になり、その議決権シェアは最大50%と突出して大きくなろう。

 ADBの副総裁を務めた経験のある金立群氏によれば、
「世銀やADBと異なり、本部常駐の各国政府代表者(理事)をおかず、各国代表者は政策と融資計画をあらかじめ承認・決定し、それが一定期間の間、実際に行われ成果が挙がっているかどうか確認して、経営陣を評価すべきだ」
という。

 つまり、常駐の理事による日常的な業務のチェックや融資案件ごとの可否の判定は行わないことになる。

 常駐の理事を置かない方式は、欧州投資銀行(EIB)でとられており、意思決定を迅速にできるというメリットがある。
しかし、アジアの各加盟国間で政治的な意図が共有できず、インフラ支援の優先度が大きく異なる可能性もある。
そのため、プロジェクト案件ごとの、各国代表者による頻繁なチェック・アンド・バランスが必要になるはずだ。

 こうしたガバナンス面での配慮がなければ、中国は総裁と本部をともに手にし、資本の半分ほどを拠出するだけで、
みずから好む国にみずから望むインフラ支援を、二国間支援に比べて2倍のレバレッジを効かせて行えることになる。

 要するに中国は援助予算総額を増やさずに援助効果を倍増させ、かつAIIBを対アジア外交強化のために用いることができるのである。

 中国としては、「中国はAIIBを通じてみずからの政治的な意図を実現させようとしている」という懸念を国際社会に抱かせることは得策であるまい。
中国一国がAIIBの運営を独占することはない、という姿勢を明確に示すべきだ。
具体的には、中国の議決権シェアを50%よりもはるかに低い水準に設定し、かつ本部に常駐の理事を置くべきだ。

(3)融資政策・条件

 AIIBがどのような融資政策を採用するかについては、大きな懸念がもたれている。
とりわけ、インフラ事業における環境保全や人的・社会的保全の基準、調達の方式が問題だ。

 AIIBは、これらについては国際的に最善の慣行(ベストプラクティス)をめざすとしているが、金立群氏自身がもともと世銀やADBの融資決定プロセスが遅いと批判していることから、世銀やADBほどには、これらの問題を重視しない可能性がある。

 世銀やADBなど既存の国際開発金融機関は、インフラプロジェクトの立ち上げにあたっては、その環境インパクト、人的・社会的インパクトに関して極めて注意深い考慮を払っている。
インフラ事業は自然環境や生態系に対し大きな影響を与えることがあり、かつ住民の立ち退きの問題がある。
これらの面で問題が生じると、インフラプロジェクトがストップに追い込まれうるだけでなく、国際機関としての評価・名声にも傷がつく。

 そのため、世銀やADBはプロジェクトの当初からこれらの問題に取り組み、後々問題が発生するリスクを最小限に抑えようとしている。
そのことが、プロジェクトの準備にある程度時間がかかることにつながっているが、これはインフラ事業の成功にとっては最低限必要なコストだろう。

 インフラ事業の調達はしばしば腐敗・汚職の温床となり、その防止のために透明性の高い入札ルールを導入することが必要だ。
これも世銀やADBなどは注意深く行っている。
欧米諸国では、我々の税金を無駄な使い方に回したくない、腐敗している国には使いたくない、という意識が強いからだ。

(4)ドナー(資金提供者)間の協調

 援助の効果を高めるためには、新興国・途上国政府自身が主体性をもって経済発展のための戦略をたてることが重要だが、加えて、ドナー間の協調が有用であることが知られている。

 国際金融機関や二国間援助機関などドナー間の協調は、受け手である新興国・途上国にとって、取引コストを削減し、重複を避け、相乗効果(シナジー)を生み出すというメリットがある。

 深刻な問題は、AIIBがベストプラクティス以下の基準でインフラ融資を競い、世銀やADBからインフラプロジェクトを奪っていく可能性があることだ。
そのことは世銀・ADBの融資政策の基準の引き下げ圧力につながりうる。

 環境や住民への影響を十分考慮に入れてインフラ事業を進めるためには、AIIBと世銀・ADBとの間の対話・協調を促し、非生産的な基準引き下げ競争を生まないことが必要になる。

 そうした観点から、AIIBは世銀、ADBなどと協調しつつ、加盟国のインフラプロジェクト支援を行っていくべきだ。
それに加えて、AIIBは経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)と協調していくことが望ましい。
開発援助委員会は世界的な視野から、新興国・途上国への経済援助の情報を共有したり、国際的なベストプラクティスに則った援助政策の共有をめざすものである。

 中国によるAIIBの設立は時間の問題だろう。
AIIBは、以上述べた4つの点(ビジョン、ガバナンス、融資政策、ドナー協調)で、責任ある国際金融機関として踏み出すことを期待したい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【私のコメント】

上記は今年1月初めの記事。
読んでも抽象的で具体的なことは良くわからないが、批判的なことは分かる。
日本は中国のことを良く掴んでいないのではないか。