民主党が主要な政権公約に掲げた高校授業料の実質無償化について、政府は所得制限を設けるかどうか検討を始めた。
所得に関係なく一律に無償化する方式には、教育関係者の間にも「教育格差を助長しかねない」と懸念する声がある。
来年度の予算計上は見送り、浮いた財源を低所得層への支援拡充や他の教育関連事業に活用すべきだ。
無償化は、
公立高校生のいる世帯に授業料相当の年11万8800円、
私立高校生のいる世帯にも同額を助成する。
私立は、授業料が公立の3倍のため、年収500万円未満なら助成額を倍にする。
約4500億円の予算を要求しており、これに関連し、低所得層向けの給付型奨学金として約120億円も盛り込まれた。
高校無償化について、野田佳彦財務副大臣は所得制限も念頭に置くことを表明した。
これに対し、川端文部科学相らは、一律無償化と併せて、
16~22歳の扶養家族がいる世帯を対象に、課税所得から63万円を差し引く特定扶養控除の縮小を提案している。
高校の授業料減免については、生活保護世帯やそれに準じる低所得層に都道府県が既に実施している。
公立高校生の10%、私立高校生18%の計約43万人が対象だ。
一律無償化では、低所得層には新たな恩恵がほとんどない。
家計に余裕のある層は塾代に回すことができ、格差が開きかねない。
高校生の学費には、授業料以外にも負担が多い。
文科省の調査では、授業料を含む学校教育費だけで、公立で年30万円以上、私立では80万円近くかかる。
文科省が低所得層向けの給付型奨学金として計上した約120億円は、年収350万円以下の世帯を対象としたもので、入学金と教科書代のためだ。
前政権下の概算要求では、修学旅行費や制服代、学用品費なども含め、455億円が盛り込まれていた。
授業料減免の対象を広げ、低所得層向けの給付型奨学金を拡充するための予算を国が負担しても、無償化予算の半分もいらないはずだ。
実際に困窮している世帯への負担軽減効果も大きいだろう。
昨年度、経済的理由で中退を余儀なくされた高校生は2200人いた。
こうした高校生や経済的理由で高校進学を断念する生徒をなくすことを優先すべきだ。
ばらまきであってはならない。
欧米諸国の多くは高校の授業料を無償化しているが、文科省は実情を十分把握していない。
調査した上で、改めて検討すべきだ。
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【私のコメント】
『ばらまきであってはならない。』
確かにその通り。
所得制限を設けるべきだ。
しかしそれを言うなら、『子ども手当』の所得制限の方が先だろう。
『子ども手当』こそ、まっ先に所得制限を設けるべき。
富裕層にこれ以上お金をばらまいても消費は拡大しない。
所得制限を設け、余ったお金は雇用の創出に回すべきだ。