1本のわらしべ

骨肉腫と闘う子供とその家族とともに

田つくり

2020-12-31 14:06:22 | Weblog

今日は大晦日。

おせち料理を作っています。

田つくりを作るたびに思い出す人がいます。

今日はあなたにその話をしましょうね。

 

介護タクシーをやりたいと思っていた母さんは、そのためにヘルパーの資格をとり、建築の仕事の合間に介護の仕事をしていました。

在宅介護と言って、介護を必要とされる利用者さんのお宅に行って、料理や掃除、入浴の手伝いなど必要とされる仕事をします。

その人は「Yさん」。独身で、教頭先生まで勤め上げた女性です。

確か、教え子だった女性と同居されていたのですが、お二人とも認知症になられ同居人が体調を崩され施設に入られたそうです。

Yさんは教師らしい厳格な性格でまじめな方でした。私が作業をしている間、ずっと傍に居て昔の話をしてくれました。

戦争の話、仕事の話、家族の話などなど。

お正月前には、おせちを作ってほしいと言われ、田つくりを作ることになりました。

母さんは、田つくりを作るのが下手で、カリッとした田つくりが作れなかったのです。

魚を乾煎りして火を止めると、「まだよ。まだ足りない。全部がカリッ、カリッになるまで煎るのよ。」

カリッカリッの田つくりが作れた。⁽^^⁾v

その年から母さんは田つくりが得意になりました。

こうやって、母さんはYさんから、いろんな事を教わりました。

いまは自分のことも出来なくなった方だけど、その方にも、輝かしい過去があることを教わりました。

今日も、田つくりを煎りながら「まだまだよ。」の声が聞こえてきます。

 

 

 

 

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