赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

②台湾有事は日本の根幹を揺るがす――生命線はシーレーン

2023-09-28 00:00:00 | 政治見解



②台湾有事は日本の根幹を揺るがす――生命線はシーレーン 
:230928情報



昨日からの続きです。国際政治学者のレポートを許可を得て引用しています。


日本経済の生命線とは…「シーレーン」です。

中東、アフリカ、欧州などから日本に送られてくる物資の多くは、インド洋〜マラッカ海峡〜南シナ海〜バシー海峡〜太平洋へと航行する船舶によって運ばれています。特に、輸入する石油の9割が、このシーレーンを通過しています。他にも水産物や農業品も、このシーレーンを経由して運ばれています。

そして日本は、原油といった燃料資源、工業原料などの大部分を海外から輸入して、それを製品化して輸出する加工貿易を得意として、経済成長を遂げてきました。このようなを事実を見れば、日本にとってこのシーレーンがいかに重要なのか、よく分かるかもしれません。

もし、シーレーンが絶たれたら…

一夜にして私たちの生活が変わります。まず石油の輸入ができなくなるので、燃料代は一気に高騰するでしょう。車での移動もそうですし、運送代も今以上に高くなります。農業トラクターの燃料代も上がり、食料品自体の値段も高騰します。

そして、忘れないでください。1年で東京ドーム約174個分の石油を消費すると言われている日本。

石油が輸入できなければ、すべてのものに影響を及ぼすのです。自動車や船舶、飛行機などの動力源はもちろんのこと、衣料品、化粧品、ペットボトル、ビニール袋などの原料としても使用されているので、石油の価格が上がるということは、あらゆるものの価格が上がることを意味するのです。

ですから、これを失ったときの反動がどのようなものになるか、想像もつかないでしょう。「そんなこと、本当に起こるはずがない」と思うかもしれません。しかし今、その危機が起こりうる状態にあるのです。

実際、1973年10月に同じようなことが起きました。

イスラエルとアラブ諸国の紛争、第四次中東戦争がきっかけとなり発生した、第一次オイルショックです。アラブ諸国は敵対するイスラエルと、それを支援する国への対抗策として、原油輸出を禁止しました。これにより世界の原油価格は、3ヶ月で約4倍に上昇したのです。

石油を輸入に頼っていた日本は、大きな打撃を受けることになりました。消費者物価指数は第一次オイルショック前の5.7%から、1973年には15.6%、翌年は20.9%まで上昇し、急激なインフレに見舞われました。それまで順調に続いてきた高度経済成長が終焉を迎えることになります。

当時の中曽根通産大臣がテレビ番組内で「紙の節約」を呼びかけたことから、「紙が無くなるらしい」という噂が全国に広まりました。トイレットペーパーの買い占め騒動が発生し、なんと3〜4倍の値段をつけても売り切れ状態となったそうです。それだけでなく、石油を主原料とする合成洗剤から、砂糖、塩、しょうゆといった調味料まで、ことごとくスーパーの店頭から消えていきました。

そしてガソリンスタンドの日曜休業、飲食店や映画館、デパート、スーパーなどの営業時間短縮や深夜営業の中止、トヨタや日産、マツダなど主要自動車メーカーが、一斉にモータースポーツから撤退するなど、日本経済は大混乱に陥りました。

想像してみてください。

日本はそれまで、あのアメリカも恐れるほどの経済成長を遂げていたのです。にもかかわらず、石油の輸入が止まっただけで、瞬く間に坂道を転げ落ちました。

ひょっとすると「過去の一事件にすぎない」とあなたは思っているかもしれません。でも、このオイルショックと同じようなことが今、起きようとしているのです。なぜなら先ほどお伝えした「日本のシーレーン」を脅かす危機が迫っているからです。

事実、このシーレーンの一部である南シナ海では、中国による妨害、衝突事件が相次いでいます。例えば、2020年6月には、ベトナムが領有権を主張している西沙諸島にて、中国船からベトナム漁船が襲撃を受ける事件が発生しました。

2021年11月には、南シナ海の南沙諸島にある岩礁で、フィリピンの補給船が中国海警局の公船によって航行を妨害される事件も発生。さらに2019年6月には、南シナ海でフィリピン漁船が中国の漁船に衝突され沈没。船から投げ出されたフィリピン人の乗組員22人が近くを航行していたベトナム船に救助される出来事がありました。

そして2022年8月、中国が台湾を包囲するかのように軍事演習を行いました。有事となれば中国軍が台湾に貿易的な圧力を掛けるため、日本のシーレーンを一斉封鎖する可能性があります。日本へ向かう船の安全な航行が阻害され、迂回ルートを余儀なくされることになるでしょう。もしくは安全性が確保できないとして輸出先からの出港が止められる可能性もあります。

50年前のオイルショック以上の混乱が、日本で起ころうとしているのです。ガソリンの価格、石油の価格、そしてその他の日用品が日本で高騰するだけでなく、私たちが消費しているものすべてが急騰してしまいます。

そうならないためにも、このシーレーンを守る必要があります。

とはいえ、日本が守れる範囲は南西諸島までです。それより南の、日本にとって非常に重要なルートは台湾が守っています。つまり結果として、台湾が「日本の生命線」を守っているということなのです。


(つづく)



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