ニセコは、今日も雨です。
この夏、こんなフレーズを何度書いたことでしょう。
真山仁著「レッドゾーン(上下)」を読みました。
前回ご紹介した「ハゲタカⅡ」の続編で、700頁を越える大作ですが、どういうわけか後読に何も残らず、前巻を「無類の面白さ」とご紹介した直後だけに、その印象の薄さが気になりました。
ハゲタカこと鷲津政彦も、相棒のリン・ハットフォードと取り巻きなど、登場人物も前巻と同じなのに、どうしてこうも印象が薄いのか。考えてみるとどうも、お話が現実離れしているのと、あまりにも「ハゲタカ」を神格化してしまったことにあるようです。
また、耳慣れない中国の国家ファンドCICなるものが登場。例によって、うさん臭い中国政府直轄の仕掛け人や、防諜関係者の登場など、類例的な中国人の登場も説得力を欠いています。
やはり、作者が長期間暖めたテーマを一気に爆発させた「ハゲタカⅠ&Ⅱ」のような迫力をいつまでも期待する方が間違っているのでしょう。あまりお勧めできない「ハゲタカⅢ」です。