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よろずよもやまよろずたび

地元の写真と日々の雑感、写真日記です.
最近は陶芸三昧の日々ですが・・・

「跳躍者の時空」

2012-01-14 | 


本の帯に 『"SF史上最高の猫" との呼び声も高い、縞模様のクールな猫探偵が挑んだ謎とは---』 などとあると、ついつい手にとってしまうではありませんか。 猫を主人公にした表題作を含むSF.幻想小説の短編集で1950年代 (~’80年代まで)に書かれたものです。 買った本というのは いつでも読めると思うと積読状態になりがちで、結局年を越してようやく猫シリーズ5作を読み終えたところですが、この猫シリーズ、神秘的で不可思議な猫の仕草や表情が素敵に描かれていて、猫好きの人にはとても楽しいものだと思います。 このあと別の物語が始まるのですが・・・予約していた本が用意できたと図書館から連絡があり・・・続きはそのうちに・・・。

刺激的なタイトルで

2012-01-11 | 


注目を集めるような刺激的なタイトルですが、韓国の経済・産業構造を見ながら、日本の目指すべき経済の舵取りについて述べた本かな。

どうでもいいことですが、わたしの前に借りたひとが、風呂にでも浸かりながら読んだに違いありません。 表紙が、各頁の上部がグニャグニャ・・・、ちょっと気分ワルし・・・
それはさておき、本書の大半は韓国・日本・アメリカの過去・現状の分析です。ごく少数の企業が寡占する市場である韓国とアメリカに対し過当競争気味の日本市場を比較し、韓国の状況を反面教師として、まったく反対のモデルを目指せばよいとのことです。 政策的には金融緩和と財政出動をやれば、デフレから脱却できて政府の巨額な負債問題も解消し日本の将来は明るいとしています。しかし、アメリカがその金融緩和と財政出動をやっているそうで、"アメリカ=韓国の寡占市場" とは反対を目指せばよい・・・といってるのに、なんだか矛盾しているようにも感じます。 目指すべきモデルと政策は別の次元なのかもしれませんが、どうも釈然としません。 本書の意見とは反対に、野田首相はTPP参加や消費税増税の意向を示しています。 それで選挙があるかもしれませんが、マスコミに登場する政治家・評論家入り乱れて意見は様々。 誰の言うことが正しいのか、まったく分かったものではありません。 

「奇縁まんだら 終り」

2012-01-08 | 


日経新聞に連載された瀬戸内寂聴さんのエッセイ集
全て故人となられた俳優・作家・政治家・死刑囚など著名人と関わったときのエピソードや印象について、それぞれ4頁ほどの長さで語られています。 
吉村昭、三浦哲郎、ボーヴォアール、パール・バック、小田実、、、、司馬遼太郎、永田洋子、、市川房枝、、、、などなど45人の方々について紹介されているのですが、本書は その4冊目とのことで、全てを合わせると136人になるとのことです。何れも係わった年代や長さ、相手の歳が様々であるわけですが、一生が4頁の中にギュッと凝縮されているようで、じつに面白い話しばかりでした。
ところで、名前を知っている人もいれば、一度も聞いたこともないという人もいます。また名前だけを見てもピンとこないこともあります。 それでも頁を捲ると横尾忠則氏の似顔絵が添えられているので、それを眺めるうちに何も知らない人でも 妙な懐かしさを感じたり、知っている顔であれば自分の記憶が おぼろげ ではあっても蘇ってくる不思議があります。



ところで、横尾忠則氏の絵は一人に一枚ずつ載っているのですが、唯一「岡田嘉子」のみ2枚が描かれています。何か思い入れがあるのでしょうか・・・一言も載っていない横尾氏ではありますが、語らずとも存在感のなんと大きいことでしょう。

殺しの挽歌

2011-12-23 | 


前に読んだ『眠りなき狙撃者』と同じ著者マンシェット
手に取ったときの第一印象、なんて陳腐・・・
書店の店先に積まれていたとしても手にすることは絶対にないだろう一冊
だって表紙の装丁が・・・よく見たら写真で、右端の人物の輪郭にパープルフリンジが生じてるし、そもそも構図がヘンじゃろう・・・とまぁどうでもいいことですが・・・

しかし、本を開けば贅肉がまったく無しの語り口は、スピードにあふれ、よく出来た映画を観る如し。 で、エンドロールまであっという間です。

ねじまき少女

2011-12-22 | 


SFの主だった賞を独り占めした本書「ねじまき少女」
久しぶりのSFにワクワクしながら読み始めました。
石油が枯渇し、温暖化により海水面が上昇した未来、動植物が遺伝子組み換え技術の影響による疫病の蔓延で死滅し、多くの国々が崩壊するなかで、堤防で首都を守り、種子バンクで食料を確保しているタイ国が舞台。 疫病に耐性のある遺伝子組み換え植物を売り込もうと画策する西欧企業のスパイと、賄賂で儲けようとする通産省の勢力、輸入品による疫病から守ろうとする環境省の勢力などが入り乱れる中に、日本製のアンドロイドが取り残されて大騒動の物語が始まります。
それなりに楽しめるお話でしたが、屋台が並び自転車が走るスラムの描写は今現在の東南アジアの光景そのままのようで、石油が枯渇するまでの間に変容するであろう街並みや人々の考えや生活様式が、今と同じになってしまうというのは、どうもオカシイように思えます。 それが賞を独占したと思うと、面白いSFがなかなか見つからないのも頷けるような気がしたり・・・

幽閉

2011-12-17 | 


さすがに雪が降る日は寒いものです。
雪に閉ざされて「幽閉」・・・ってほどじゃないですが、
こういう日にはコタツに入ってミカンでも食べながら本でも読んでいるのがいいです。



またもフランス語圏で人気の アメリー・ノトンの一冊。
小さな孤島に老人とうら若き女性が使用人とともに住んでいます。
女性は5年前の戦争により両親を亡くし、人前に出られないほどの負傷を顔に負い、老人に連れて来られていた。以来、島の屋敷に籠もりきりでいるのです。
あるとき女性が病気になったため、老人は看護婦を雇うのですが・・・

老人と女性と看護婦の会話で物語が進みます。 老人の女性への異常な愛情が生む ちょっとしたミステリー といった感じでしょうか。それなりに楽しめた一冊です。

ハードボイルド1本

2011-12-16 | 


図書館の「外国文学」の棚に並ぶ本は人気が無いのか手垢の付き具合が小さい。
とくに英語圏以外は顕著で、気持ちよく読める本が多い・・・
というわけで選んだ一冊がハードボイルド1本 『眠りなき狙撃者』
文章は簡潔、心理描写や説明は一切無くて、まるで映画を観ているような感覚が小気味いい。
それもハリウッド映画とは一味違う、フランス映画といった感じで。

「スーパートイズ」

2011-12-08 | 


2001年公開、スピルバーグ監督の映画 「A.I.」の原作三篇を含む短篇集です。
スーパートイズ三篇は「いつまでもつづく夏」 「冬きたりなば」 「季節がめぐりて」 の三部併せて50頁ほどであり、それを膨らませたのが 「A.I.」です。
もともと本作の映画化権は、かのキューブリック監督が持っていたそうですが、死後スピルバーグが引き継いで映画化されたとのことです。 封切時はそれが話題になったように思います。
それで大いに期待しながら観にいったのですが、 『 こりゃ ”ピノキオ” のSF版だなぁ 』 という印象で、どうも中途半端でイマイチ満足できなかったものです。
ところで、本誌の最後に 「スタンリーの異常な愛情 または私とスタンリーは如何にして『スーパートイズ』を『A.I.』に脚色しようとしたか」 というエッセイが載っています。その中で作者B.オールディスが映画の脚本を手がけたときのことが書かれています。 そして、キューブリックから『ピノキオ』の本を渡され「主人公のアンドロイドを人間にしたい」「人間に変える妖精も登場させる・・・」と云われたとのことであり、そのあたりの経緯が『A.I.』にも反映されているのだと思います。 しかし当時のB.W.オールディスは、アンドロイドと木製のピノキオを同列に見ることが出来なかったと述べており、映画の中に登場する「妖精」は、アンドロイドが見る幻想のように描かれていた(不確かですが?)ように、あくまでSFに拘ったものだったと思います。
で、ふと思うに、キューブリックはSFじゃなくってファンタジーにしたかったのかもしれません。
オールディスの『十億年の宴』の中で、『博士の異常な愛情・・・』 『2001年宇宙の旅』 『時計じかけのオレンジ』 を評して「当代の偉大なるSF作家になった」としたことに、キューブリックは喜んだとのことです。 そこで『2001年・・』の脚本を作者アーサー・C・クラークにやらせた如く、敬意を表し『スーパートイズ』についてもオールディスに任せたのでしょうが、SFに拘る原作者とは根本的なところで意見が合わなかったのだと思います。 もしもキューブリックの方が長生きしたとしたら、映画 『シャイニング』 のように原作者の意思通りじゃない、ファンタジーに仕立てていたのではないでしょうか。 で、 『博士の異常な愛情・・・』はコメディーで、『2001年宇宙の旅』がハードSF、『時計じかけのオレンジ』がバイオレンス、『フルメタル・ジャケット』で戦争物、『シャイニング』がホラー、『アイズ・ワイズ・シャット』のポルノ・・・と、どれも似たようなものは一つもないわけで、これに『A.I.』でファンタジーが加われば映画の様々なジャンルを網羅するキューブリック作品群が完成に近づいていたのかもしれません。

「感染症と文明」

2011-12-03 | 


岩波新書、表紙が殺風景なので落書き・・・・しちゃってスンマセン
さて、文明の勃興が感染症に大きく影響されたというようなことを概観した本です。
麻疹、百日咳、猩紅熱、天然痘、結核、ハンセン病、インフルエンザ、マラリア、住血吸虫症、アフリカ・トリパノソーマ症、炭疽症、ボツリヌス症、ライム病、野兎病、コクシエラ症、ツツガムシ病、ペスト、ポリオ、デング熱、ジフテリア、おたふく風邪、黄熱、日本脳炎、オンコセルカ症、疫痢、栗粒熱、マールブルク熱、ラッサ熱、 そして新しいところではHIV、SARS、エボラ出血熱・・・まぁ沢山あるものです。 その原因がウィルス、細菌、寄生虫などによるもので、日々進化しているのでこうした病を完全に克服するのは難しく・・・なんとか折り合いをつけていくしかないようです。 ってな話を聞いていると怖くて外にも出られなくなりますね。
これからインフルエンザが流行る季節ですが、気をつけたいものです。(そういえば、今年はそれほど騒がれていませんね)

「子どもの頃の思い出は本物か」

2011-12-01 | 


不安定な精神の原因が、トラウマにより抑圧され忘れてしまった記憶にある。
というようなTVや映画のドラマがあって、実際にもそういうことは あるのかもしれない・・・
と思っていましたが、どうやらウソっぽいようです。

情緒不安定の原因が、抑圧されて忘れてしまった幼い頃に受けた虐待の記憶であり、心理療法家などのセラピーを受けて記憶を取り戻した結果、子が親を訴えるといった訴訟がアメリカにて多くあるのだそうです。問題は、セラピーを受けて取り戻した記憶というのが殆ど作られたものだとのことです。 訴訟社会のアメリカですから、心理療法家や弁護士が結託したものだとしても不思議とは思いませんが、そういう問題を受けて科学的な取り組みをする学者がいることも アメリカらしいかな・・・と。

ところで、こういう訴訟の場合、物的証拠は乏しくて証言だけで判決が言渡されるケースが多いそうです。 そして作られた記憶(本人は本当の記憶だと思っている)は、詳細に語られることから陪審員も信じやすく有罪になるケースが多々あったそうです。 そういえば日本でも証言が信用できないとして再審が決まった殺人事件が報じられていましたが、警察の誘導によって引き出された証言の可能性がありそうです。 まったく怖いはなしです。

ところで、ところで前に読んだ本 「チューブな形而上学」 は、5歳まで日本で暮らしたベルギー人の女性が、2歳前後の頃の記憶を語った物語で、そんなに早い時期の記憶なんて自分にはないなぁ・・・と思い、疑問に思っていましたが、3~4歳頃から記憶があるというのが普通らしいです。でも、その多くは思い込みや他者から聞かされる話に影響され、本当かどうか怪しい場合が多々あるとのことです。

はて、自分の記憶はどこまで正しいのだろう・・・といっても ほんの断片的なものしか残っていなくて、正しかろうが間違っていようがどうということもないのですが。