桔梗おぢのブラブラJournal

突然やる気を起こしたり、なくしたり。桔梗の花をこよなく愛する「おぢ」の見たまま、聞いたまま、感じたままの徒然草です。

強風と栃の木

2017年06月03日 15時50分53秒 | つぶやき

 昨日は半日強い風が吹き荒れました。
 朝、早いうちはまだ穏やかだったのです。
 二本並べた物干し竿の上にザルを二つ置き、それぞれに牛蒡と人参の千切りを載せて、乾燥野菜をつくっていたのですが、十時ごろから風が強くなり、やがて吹き飛ばされそうになってきたので、取り込みました。

 先月末から体調がイマイチで、食欲がなくなっています。買っておいた野菜が痛んでしまわぬよう、乾燥野菜にできるもの(牛蒡、人参、筍、大根など)はそうしておこうと、皮をむいて適当な長さに切り、梃子の原理を使って野菜の千切りをこしらえる調理器具を用いて、ギッコンバッタンやってはザルに載せ、陽に当てています。
 食が進まぬ間に、身体のほうはすっかり痩せ衰えてしまったような気分で、強風に立ち向かえば、吹き飛ばされてしまいそうです。 

 しかし、立って歩けないような重篤な容態ならともかく、外に出るのは気は進まないながら、歩けるのですから、日課にしている慶林寺と天満宮への参拝だけはしておかねばなりません。
 で、まずは我が庵から一番近い神社仏閣であるところの天満宮に参拝。
 踵を返して慶林寺に参拝し、今日はこれにてお勤め終了、としてもいいのですが、歩き始めてみれば、もう少し歩いてもいいような感じでした。
 風は強いけれども、桜が咲くころの不愉快な風とは違って、気持ちをささくれ立たせる感じではありません。



 散歩コースの一つに「とちのき通り」と名づけられた通りがあります。名前のとおり、栃の木の並木がある通りです。一週間に一度か二度、この通りを歩きます。

 この通りを知るまで、私は栃の木を見たことがありませんでした。
 見て、名前を知ったからといって、格別のことはなかったのですが、ほぼ同時期に、栃木県立栃木女子高を卒業した女性と縁が生まれて、私には少し身近で、愛しい樹になったように思えました。 

 私は「栃木」という地名は栃の樹に由来する以外に考えられない、と思い込んでいたのですが、確かにそういう説がある一方、栃とはまったく関係がなく、別のことに由来するという説があります。
 住むところが離れているので、卒業生とは滅多に会えません。
 会ったらこの栃の並木道のことを話そうと思い、季節が変われば、カメラに収めたりしているのですが、考えてみれば語呂合わせをしているだけのような気もするので、なんとなく口に出すのが躊躇されて、いつも話さずに帰ってきてしまうのです。

 昨日はふとそんなことを思い返しながら歩いていたら、眩しいような気持ちになりました。 

 かつて、栃木市を訪ねたことは忘れもしません。いまの住居に移ってきた七年前、移って二週間経つか経たないころで、住居の近くに栃の木があるなどとは知らぬときでした。
 歩いたのは栃木市の中心部だけで、少し離れたところに栃木女子高があるとも、何年かあとに、その卒業生と縁ができるなどとも考えてもみませんでした。
 強い風に吹かれながら、そんなこんなを思って歩くうち、その卒業生がスカートを翻しながら、通学していた情景を思い描いてしまったのです。



 いまの時期の栃の葉はどれもこんな緑色をしていて、大きなものだと長さが30センチ以上もあります。



 ところが、一本だけこんな葉の色をした樹がありました。光線の加減で黄色く見えるのではありません。



 この樹の全体像はこんな様子で、上のほうへ行くほど緑色が濃くなって行きますが、他の樹と較べて、一本だけ黄色っぽいのです。



 どの幹から引きちぎられたものか、まだ若い枝なのに、強風にいたぶられて道路を舞っていました。



 近くの公園にある椎の葉も強風に煽られて、裏返ってしまっています。



 ドクダミは何かで叩きつけられたようになぎ倒されて、哀れです。



 最近になって名前を知った山帽子(ヤマボウシ=山法師とも)。
 この樹も強風に煽られて、波打つように揺れていましたが、カメラを構えると、一瞬風が熄みました。



 エイリアンを思わせるような栗の花。
 栗はブナ科です。ブナ科の樹は風によって花粉を飛ばす風媒花なのに、栗はブナ科でありながら虫媒花です。男を思わせる独特の臭いは媒介する虫を引き寄せるためだとか。
 しかしブナ科のDNAがあって、折からの強風を密かに喜んでいたのではないでしょうか。


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