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軍事的平衡

・中国は平和発展路線を堅持 外交部(和文、人民網)
http://j.people.com.cn/2007/03/14/jp20070314_68780.html

中国は他国を脅かしにも、侵略しにも行かない。なので、われわれの心は平然としたものだ。

 秦剛の精神的安寧はこの際どうでもよい。
 報道官があからさまに否定することで、より鮮明に影をおとしている中国の軍事的伸張に対する関係各国の反応が、ここ数日報道されている。

1.マレーシアの反応:
・マレーシア政府、韓国に多目的軍艦建造を要請(和文、聨合)
http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?News_id=2007031200210088

見た目が空母の独島級揚陸艦を購入するつもりのようだ。

↑に対する新華社の反応:
・死の商人韓国、マレーシアが韓国から”準空母”を発注(中文、環球時報)
http://news.xinhuanet.com/mil/2007-03/15/content_5848181.htm

空母としての運用は不可能な揚陸艦をこのように表現するなど、原文は環球時報らしい内容。ただし、下手に批判すると自分達に跳ね返ってくるのが視野に入っているせいか、事実報道に近い内容。


2.日本の反応:
・日本、豪と安保共同宣言 米以外と初(和文、朝日)
http://www.asahi.com/politics/update/0313/019.html

この日の会談では「日豪の協力強化が、日米豪の3カ国の協力に資する」という認識で一致。3カ国による連携強化は、軍事力を増強している中国に対する牽制(けんせい)との見方もあるが、安倍首相は「中国を包囲するものでも中国を意識したものでもない」と否定している。
 ただ、昨年3月に日米豪の外相が初めて中長期的課題を話し合った「戦略対話」では、中国の不透明な軍拡への懸念を共有している。インドとの連携も進めており、4月上旬には日米印の3カ国が太平洋上で初の共同訓練をする予定だ。

 実に的確な分析だといえる。

↑に対する新華社の反応:
・日オ軍事関係強化、米国アジア太平洋地域における三角同盟構築(中文、新華網)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-03/14/content_5841309.htm

 軍事同盟的な解釈については、上の朝日よりもおとなしめ。多分に中共の意向も関わっているものと思われる。


3.韓国の反応:
・韓国海軍、7000トン級イージス艦6隻建造へ(和文、朝鮮日報)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2007/03/14/20070314000035.html

韓国軍当局が2020年を目標に戦略機動艦隊の建設を進めていることが確認された。

↑に対する新華社の反応:
・韓2020年6隻7000トン級イージス海軍起動艦隊計画(中文、中新網)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-03/14/content_5846717.htm

略、この計画は当初の2倍に拡大されたものであり、少なくとも62億ドルの経費と人員を確保しなければならない。軍当局は予算を確保するため、以下の方針を決定した。予算の柔軟性を確保するため、次世代護衛艦(FFX)、次世代高速艦(PKX)等の新型艦艇計画は縮小あるいは延期を認める。

 韓国海軍当局は、次世代艦の建造予算を流用してまでイージスを保有しなければならない程、中華空母を脅威視しているようだ。ただし、少なくとも2020年までは脅威とならないと見ているらしい。

 

 ソビエト連邦崩壊を直接の原因とする東アジアの軍事構造の変化、と一言でいってしまえばそれまでなのだが、わが国の選択は戦後の国防方針から外れるものでなく、資産の有効活用において実にコストエフェクティブであり健全だといえる。


別件:

 本日未明、米財務省は、北朝鮮関連のマネーロンダリングを理由に、中国領マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」と米金融機関との取引を禁止した。これにより、BDAはドル建て決済ができなくなり海外業務が一切不可能となる。銀行にとっては、死刑宣告にひとしい処置である。
 ただし、あくまでも米国政府の米国企業に対する指導監督であり、「北朝鮮凍結口座」に限った場合、あくまでも「凍結」は「解除」される。
 半島情勢に疎い筆者が、敢えてこのニュースを取り上げたのは、実質自国内の銀行への死刑宣告を新華網がどのように報道するか興味があったからだが、4時現在なにも反応がない。新華網というか中共体制の通例として、突発的かつ政治的にややこしい事件に対しては、3~4日ほど時間をかけて分析、評価をじっくりおこなってからやおら発表するので、16日の秦剛記者会見に期待したい。

・マカオ当局の判断焦点に 北朝鮮口座一部凍結解除へ(和文、朝日)
http://www.asahi.com/international/update/0315/007.html

↑「凍結解除」を主眼にすえるあまり、かなり論理的に破綻した文章になっているので注意。

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