時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

コインコレクターのつぶやき(3)

2006年10月03日 | コイン収集など
世間の人たちから見て、趣味としてのコイン収集というのは、どのように受け止められているのだろうか。趣味を聞かれて、胸を張って「コイン(銀貨)の収集です」と答えるのは、我ながらかなり勇気を要する。コレクションがお粗末なため、なおさらその意識が強いのかもしれない。あるいは、コイン収集というのは、切手の収集と並んで、いわゆる「オタクの走り」のように思えるからかもしれない。そう考えると、とても人前では自慢できる趣味ではなさそうである。
以前にも書いたが、編集長は特に外国の大型銀貨を収集している。
金貨を集めた時期もあったが、金額的に高価であるため、中断したままになっている。銀貨なら何とか続けられそうに思い、5年ほど前からコツコツと開始したわけである。
現在、国連加盟国は約200ヵ国だそうだが、自分が生きた20世紀という時代に発行されたこれらの国々の大型銀貨を国別に少なくとも1枚以上収集するのが目標である。100年近く前の戦前のものもあれば、つい10年ほど前のものもあり、現在までに60ヵ国以上の大型銀貨を収集しているが、高価なもの、レアなものは少なく、どれもオーソドックスな銀貨ばかりである。
紋章や風俗、習慣、歴史や著名な人物など一つひとつの銀貨に描かれた図柄がお国柄を表していて、一見して国名のわかるものもあるが、図柄を見ただけではどこの国だかさっぱりわからないものもある。しかし、いずれも20世紀の銀貨だと言える趣を持っているから不思議である。
すべての国の銀貨を1枚以上集めるとは言っても、都内の貨幣商や通信販売などを見ても、マイナーな国の銀貨はどこも取り扱っておらず、入手のしようがないのが悩みの種である。仕方なく、既に持っている国の銀貨が何枚も集まることになる。
あまりに集まらないのもつまらないが、すぐに集まってしまったのでは、コレクションの面白味に欠けてしまう。適度な間隔で1枚、2枚と入手していくのが、収集を長く続けるコツかもしれない。
1年間に10ヵ国ずつ集めても残りを集めるのに15年くらいかかることになる。なかには、銀貨を発行していない国もあるかもしれないが、その一方で、現在は存在しない国が過去に発行した銀貨もある。コツコツと埋めていくしかない。
すべての国の銀貨が集まったら、それなりのコレクションになるかもしれない。(質より量という感じだが…。)そうなれば、「私の趣味は、外国の大型銀貨の収集です。20世紀に存在したすべての国の銀貨を持っています。」と少しは胸を張って言える日が来るのではないかと思っている。

偽装請負とワーキングプア

2006年10月01日 | 格差社会
派遣と請負の違いについて調べてみた。
A社が受け入れ会社であり、B社が派遣、請負会社とする。
B社がA社に労働者を派遣し、A社の社員が労働者を指揮、監督する場合は、「派遣」とみなされ、労働者派遣法によって規制される。一方、B社が業務そのものを請け負い、使用者としての責任を負い、B社の社員が労働者を指揮、監督し、業務に責任を負う場合は、「請負」と呼ばれ、職業安定法により規制を受ける。
派遣の場合は、労務単価×人数×日数で計算されるのに対して、請負では、業務に対するその他の経費が発生する。
したがって、請負には実体が求められ、労働者を派遣するだけの「人貸し」だけの「請負」は、請負ではなく、「偽装請負」となり、職業安定法に違反する行為である。
このような「偽装請負」が蔓延する理由は簡単である。
派遣社員に対しては、同一の職場で1年間(2007年3月からは3年間)働けば、A社はこの派遣労働者を直接雇用する義務が生じるのに対して、請負ではその必要がなく、熟練した労働者を安い経費で「雇用」できるからである。
日本を代表するトヨタ、キヤノン、松下電器やその関連企業などでは、この「偽装請負」が蔓延し、安い労働力をテコにしたボロもうけが日常化していたわけである。
派遣される労働者の年収は、正社員の3分の1程度、残業がなければ額面で300万円にも満たないワーキングプアとなり、いま世間で話題になっている格差社会の縮図のような状況が1つの企業内に出現するのである。大企業に勤めているから勝ち組だなどとけっして思ってはならないのである。
トヨタの会長、キヤノンの会長は、財界の総本山、日本経団連の前および現会長の企業であり、こういう「偽装請負」は、財界が主導して、意図的に法律違反を犯してでも進めてきたものである。そして、自分のお膝元でワーキングプアを作り出し、これを日本全国に広げてきた張本人である。
格差社会の原因については、本紙でもたびたび指摘してきたように、労働者を派遣できる業種を際限なく拡大してきたことにある。さらに、財界、大企業は違法な「偽装請負」まで行って、この格差を拡大してきたのである。
一方、明るいニュースもある。
全国で広がる「偽装請負」に対する批判の声もあって、厚生労働省もやっと思い腰を上げ、今年9月4日に初めて偽装請負を是正するための「通達」を出し、本格的な是正が進み始めた。
トヨタの下請けの光洋シーリングテクノ(徳島県)では、「偽装請負」の労働者が労働組合を結成し、交渉の結果、直接雇用を実現した。年収はおそらく2倍以上になるであろう。
「自分だけは何とか格差社会の下流にならないように」という思いは誰しも持つ思いである。しかし、そう願い、個人として努力するだけでは、社会を変え、自らの生活を変えることはけっしてできないのである。
財界、大企業が熱望し、自民党などの財界応援政党が進めている大きな格差社会の流れを食い止め、推し戻すためには、かつての日本がそうであったように、同じ志を持つものが力を合わせて声を上げ、行動を起こし、社会や政治を動かす以外に打開の道はないのである。