時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

著作権保護期間、どのくらいが適切?

2006年10月25日 | 社会問題
先月のことなので、もう古い話なのかもしれないが、16の著作権管理団体で構成する「著作権問題を考える創作者団体協議会」が、著作権の保護期間を著作者(以下、作者)の死後50年から70年に延長するよう文化庁に要望書を提出したとのことである。
この問題については、編集長自身もまだ考えがまとまっていないのだが、読者諸兄への問題提起という形で、この記事を書いてみたい。
さて、日本の著作権法では、一般著作物の著作権・著作隣接権は作者の死後50年間保護される。しかし米国や英国、フランスなど欧米先進国の多くは70年間だそうである。この20年の差は、コンテンツが国際的流通する時代にそぐわないとこの協議会は訴えているわけである。
50年という年限は、著作権の国際条約・ベルヌ条約で決まっている最低限の保護期間で、「著作権は子孫2世代にわたり保護されるべき」という考え方によるという。欧米諸国は、平均寿命が延びていることなどを理由に、70年に延長してきたそうである。
したがって、「日本の作家は20年分の権利をはく奪されており、創作意欲の減退につながる。」、「作者が生涯をかけて作ったものの権利が、死後50年で打ち切られるのは耐え難い。」、「保護期間が短いと、それだけ日本の財産が失われることになる。日本のアニメや漫画、文学作品が世界進出する中、世界標準に合わせることが必要」というのが作者らの意見である。
もっともな主張と思われるが、個人的には多少疑問もある。
著作権が作者の死後50年までしか保護されないために、「創作意欲が減退する」作者が果たしているのだろうか。創作にあたって、著作権を意識する作家がいるとは考えにくい。
また、仮に作者が60歳で亡くなった時、死後50年までといえば、ひ孫が成人する頃まで著作権が続くことになる。祖父母、曽祖父母の創作の成果である著作権料を、それぞれ孫やひ孫が受け取るというのはいかがなものであろうか?多くの作者が、孫やひ孫にまで著作権料が支払われることを望んでいるのであろうか?また、孫やひ孫は、顔さえ満足に覚えていない祖父母、曽祖父母の遺産(著作権料)を欲しいと思うのだろうか?
確かに独創的な作品を生み出すために、作者は大変な苦労をしたであろう。実際に、そういう立場に身をおいてみないと、この気持ちはわからないのかもしれないが、作者自らがこの世を去った後も、50年にわたってその権利が保障されることに何の不満があるのだろうか?
また、すばらしい作品であればあるほど、これを積極的に開示して、世界中にどんどん広げたいと思うのが作者の心情なのではないのだろうか?
今回の申し入れをみると、どうも、子々孫々まで遺産を残したいという、金銭がらみの下世話な話のように思われてならないのである。
著作権をはじめ、特許権なども編集長にとっては、ほとんど縁のない代物であるが、機会があれば、この問題についての情報も仕入れて改めて考えてみたいと思っている。
今日は、とりあえず読者諸兄への問題提起としたい。