時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

とんでもない「防衛省」法案

2006年10月28日 | 憲法・平和問題
現在開催されている臨時国会に、防衛庁の「防衛省」への格上げ法案が提出されており、政府は、今国会中にも成立をめざしている。
政権発足直後から、このような危険な法案を提出してくるところに安倍政権の危険な体質が現れている。
この法案は、単に防衛庁という庁名を防衛省に変えようというレベルの問題ではない。行う中身は変わらないのだからよいではないかというような言い訳も飛び出しているがとんでもないことである。
今回の法律は、自衛隊の任務として、「海外活動」を法律として定めようとするものであり、もしこの法案が通れば、日本の自衛隊が世界中に派遣されることになるという、憲法無視の内容を含んでいる。
安倍氏と言えば、愛国心を明記した教育基本法「改正」と日本を戦争ができる国にする9条の放棄を含む憲法「改正」の2つを唯一の政権公約にしている危険な政権であるが、今回の「防衛省」法案もそういう一連の流れの中にある法案である。
先の小泉政権は、現憲法下で許されていない自衛隊の海外派兵を公然と行ったが、今回は、法律上も堂々と派兵できるようにしようとの企みであり、戦後政治の平和の原点を破壊する暴挙ともいえるものである。
昨年、郵政省の職員の給与が独立採算でまかなわれていることを隠して、あたかも多額の税金が郵政省の職員に使われているかのごときウソ宣伝で、郵政の民営化を強引に進めたが、今や国家公務員に占める防衛庁職員および自衛隊員数がもっとも多く、これこそ税金の無駄遣いであろう。
アメリカは、世界最大の軍事費を費やしながら、わずか数10名によるテロを防ぐことができなかった。軍事費を費やせば費やすほど、紛争の火種になることに気づかないとはあまりにも愚かであろう。国連憲章に則って、あくまでも平和的な外交が重要であろうし、テロ対策にとっても、それが最も有効な手段である。
軍事費を費やすことによって、平和が保たれると考えるのは時代錯誤も甚だしい。自衛隊員数の削減、軍事費の削減にこそ未来があるのであって、いわんや海外派兵によって平和が築けるはずもないのである。
しかも、防衛庁をめぐる談合事件には幕引きをしたまま、「防衛省」への格上げ、権限拡大などは国民として到底納得のいくものではない。
もう一つ重大なのは、この法案に野党第1党の民主党が賛成を表明していることである。日本の進路を巡る重要な法案に諸手を上げて賛成するのはこの党の構成員を見れば納得するものがあるが、野党第1党の姿勢としていかがなものであろう。これでは民主党の存在意義そのものが問われかねない。
この法案の危険性を指摘しているのは、国会内では共産党と社民党のみと極めて少数であるが、国民の意思が性格に反映されていないと言わざるを得ない。
政府には、国民の危惧の声に真摯に耳を傾け、慎重な審議を行うことを要望したい。同時に、多くの読者諸兄に、この法案の危険性を理解していただき、法案が可決されることがないよう、声を上げていただくことを期待するものである。