時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

低賃金で外国人研修生転がし

2007年03月13日 | 格差社会
日本の高い技術を学んでもらおうと国際貢献の一環で設けられた外国人技能実習生・研修生制度を悪用し、賃金を不当に安く抑える「研修生転がし」と呼ばれる手口が各地で横行しているという。
同制度では、研修生は1年間、座学や実務の研修を受け、国からの委託で自治体が行う技能や日本語などの検定に合格すると、実習生としてさらに2年間の技能実習を受けられる。研修生への手当は受け入れ企業などの裁量だが、実習生は労基法の適用対象となり、最低賃金が保証される。
ところが、受け入れ企業が、研修生が労働基準法で定められた最低賃金の半分以下の「研修手当」で雇用できることに目を付け、実習生に昇格する直前に「実技試験に落ちた」などとうそを言って帰国させ、新たに別の研修生を受け入れているケースもあるという。
日曜日も休みなく1日8時間以上働いて、手当は月に5万円という研修生もいたというから、ひどい話である。
経済のグローバル化の中で、日本の労働者は、中国、東南アジアなど人件費の安い国々の労働者との競争を余儀なくされている。
しかし、今回の事例は、その廉価な外国人労働者を違法にこき使って、更なる人件費削減を行っていたということであり、これがさらに日本の労働者の待遇の低下に繋がっていく。
さらに、「実地試験に落ちた」などとウソの宣告をされ、失意のうちに日本を離れた外国人労働者は、今どのような人生を歩んでいるのだろう。
国が作った研修生制度である。このような違法な労働条件で働かせることを国や自治体はなぜチェックして防止することができなかったのだろうか。
こういう制度を悪用した企業には、厳しい罰則を設けるべきであるが、現実的には、こういう外国人労働者を研修生として受け入れ、過酷な労働を強いていた企業のほとんどは、中小零細企業ではなかろうか?
外国人研修生も、あるいは彼らを受け入れた側も、経済のグローバル化の犠牲者かもしれない。
いずれにせよ、外国人研修生の待遇が改善され、この制度が近隣諸国との友好に役立つ制度になることを心から願っている。


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