時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

トキの自然繁殖

2009年03月27日 | 環境・食料問題
佐渡島で、トキ10羽が放鳥されて半年が経ったが、えさ不足が心配された冬場を乗り越え、現在は、オス4羽、メス4羽の計8羽の姿が確認されている。うちメス3羽は海を越えて本州へ渡り、人々を驚かせている。
春の繁殖期を迎え、トキの羽の色は黒っぽくなっているが、8羽の居場所はばらばらで、群れやペアになっておらず、このままでは、自然繁殖ができないため、本土のメスのトキ3羽を捕獲して、佐渡に戻すべきだといった乱暴な議論もある。
しかし、捕獲は、トキにストレスをかけることになり、自然に帰すという理念にも逆行する。安易な捕獲は行うべきではあるまい。あくまでも自然に任せるべきだろう。
そもそも、自然界にたった10羽しか存在しない鳥がお互いに出会って、子孫を残す可能性は皆無に近いだろう。いくら限られた地域とは言っても佐渡島は広い。ましてや、本州も含めてたった10羽の放鳥では自然繁殖は望めまい。
今後、毎年のように、5羽、10羽と自然に帰す中で、ペアリングも増え、その間に、トキがすみやすい環境やエサ場の整備などを進めるのが賢明だろう。
また、その過程で、人間が取り組むべき課題も見えてくることだろう。
自然の中で生きられるかどうかは、トキに任せるべきだ。我々人間は、それを側面から援助し、支えることであろう。