時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

マクドナルド:労災や残業代不払いのオンパレード

2008年04月30日 | 社会問題
過当競争の中で原材料高が直撃し、青息吐息の外食業界にあって、ひとり利益の急回復を果たしているのが、日本マクドナルドホールディングスである。2007年度の営業利益は前年から倍増以上の167億円。2008年度は200億円の大台を狙う勢いである。
この会社で、会長兼社長兼CEOという「絶対権力者」として一手に束ねるのが、2004年に同社へと転じた原田泳幸氏である。作り置きしない「メイド・フォー・ユー」の全店導入や地域別価格の実施、24時間営業の本格化と、矢継ぎ早に改革策を講じたことが、この利益を支えていると言われている。
しかし、その一方で原田氏の経営手法に対して疑問の声も少なくない。その象徴が、「身内」からの猛反発だという。
いわゆる「名ばかり管理職」だとして、マクドナルドの元店長4人が、残業代が支払われなかったのは不当として、不払い残業代など約1700万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。1人は24時間営業のスタートに伴い、退職直前の3カ月の残業時間は148時間、116時間、174時間と、月80時間の過労死認定基準をはるかに超える激務を余儀なくされていた。
すでに別の裁判で東京地裁は1月28日、労働実態からマクドナルドの店長は残業代を支払う必要のない「管理監督者」とはいえないとして、過去2年分の不払い残業代など約755万円の支払いを同社に命じられている。3月6日には愛知県の豊田労働基準監督署が、50代の元店長が脳梗塞と大動脈瘤で倒れたのは、月80時間を超える残業など過重な労働が原因だったとして、労災を認定した。また、昨年10月、40代の女性店長が業務中にくも膜下出血で急死したのは過労死の疑いが濃厚だとして、近く遺族が声を上げる見通しだ。
この数カ月間を振り返っただけでも、店長という現場の要である社員の常軌を逸した長時間労働と悲痛な叫び声が、立て続けに表面化している。
要するに、現場労働者の健康や命まで削りに削って作り上げたのが現在の利益の内容である。現場の声に一切耳を貸そうとしない原田氏の姿勢に危機感を抱き、同社では、2006年に労働組合が結成されている。
黙っていては何も変わらない。
長時間労働、サービス残業のうえに作り上げられてきた利潤は、労働者のために吐き出すべきであろう。
全国の職場で、このような労働者の戦いが進むことを願っている。