時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

後期高齢者医療制度はネーミングが良くない?

2008年04月06日 | 医療・社会保障
「ネーミングがよくないんじゃないか」――。4月1日に始まった75歳以上が対象の「後期高齢者医療制度」の名称に、福田首相が注文をつけた。首相に指摘され、舛添厚生労働相は通称を「長寿医療制度」とすることを急きょ決めたという。
もうどうしようもないレベルである。
名前を変えたからといって、内容のひどさは隠しようがないではないか。
新制度は、75歳以上の高齢者を対象とした医療保険制度で、高齢者一人ひとりから徴収する保険料と税金、現役世代からの支援金で運営する。保険料は年金から天引きされ、高齢者だけを従来の国民健康保険などから切り離すことに根強い批判がある。舛添厚労相も記者団に、「お年寄りを前期と後期にわけてもいいのかという意見もある。我々の説明が足りないかもしれない」と話した。
しかも、たとえば、75歳以上の夫とその扶養家族になっている75歳未満の妻の場合、夫は自動的に後期高齢者医療制度に移行するが、妻は改めて国民年金に加入手続きを行わなければ、無保険者となってしまう。こういう対象者が数万人にも及ぶと言われている。
以前の記事にも書いたように、後期高齢者は、合併症や認知賞も多く、治療しても治らない。そしてやがては「避けられない死」を迎えるのだから治療などしても無駄だ、というのが厚生労働省の主張である。
1970年代には、70歳以上のお年寄りの医療費は、多くの自治体で無料になり、それがやがては国の制度になった。ところが、この制度がどんどんと切り下げられ、ついには、今回のような差別医療が持ち込まれることになった。
2006年の6付きに決定されたこの医療制度は、小泉政権時代に、自民党と公明党が国会でゴリ押しして決めたものだが、その批判は福田首相が背負うことになった。ちょっと気の毒と思う人もいるかもしれないが、当の福田首相も議員として、この新制度を推し進めてきた張本人の1人であることには間違いはない。
 この日、厚労省と総務省が連携して広報活動をするための実施本部を設置。自治体などを通じて、お年寄りを中心に新制度の周知を図る。通称は、今後リーフレットで正式名称との併記を検討するが、二つの名称が混在し、かえって混乱を招きかねない。「(通称の導入で)混乱しないやり方を考えたい」と厚労省担当者。
以下に「長寿」医療制度と名づけようと、「長寿」を喜び、それを祝う制度でないことは明白である。
制度そのものの廃止に向けて、力を尽くすべきではなかろうか。