時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

金は天下の回りもの

2007年12月31日 | 経済問題
大晦日の記事として何を書こうかと悩んだが、来年こそ(庶民が)不景気から脱却ようにとの願いを込めて、お金のことを書いておこう。
「金は天下の回りもの」という言葉があるが、お金というのは、生産や消費活動を通じて、人から人へ巡ってこそ意味がある。
江戸時代の紀伊国屋文左衛門の話を聞いたことがある人は多いだろう。略称「紀文」と呼ばれているが、何もカマボコの創始者ではない。材木商であるが、紀州からミカンを運んで江戸で売りさばき、大もうけをした人物である。
それだけなら、おそらく歴史に名が残ることもなかっただろうが、この人物が偉いところは、それを遊郭などで散財したことだ。
これが「宵越しの金は持たねえ」という江戸っ子の気風に合致したことが、紀文の名を後世にまで伝えた所以であろう。
お金というのは、蓄財の手段ではあるが、必要以上に金庫の中に積み上げていても意味がないものである。それを消費することで、経済が発展し、景気が上向くわけである。
さて、現代に目を転じてみよう。
戦後最長の景気拡大が続いていると言われているが、庶民には好景気が実感できない。
その理由は、多くの庶民が将来への不安(年金、医療、介護など)から、わずかばかりの所得を貯蓄に回し、お金を使わなくなっているからだ。20%の世帯が「貯蓄なし」との調査結果もあるように、貯蓄に回す余裕さえない世帯も増えていることも実態である。「宵越しの金は持たねえ」どころか、「宵越しの金さえ持てねえ」のが庶民の実態ではなかろうか。
では、金持ちはどうだろう。
庶民に比べれば、多少は贅沢な買い物もするだろう。豪華な別荘、金、ダイヤモンド、美術品などの現物資産に投資するのならば、お金が世間に回ることになる。しかし、現代は、お金がお金を生み出すというワケのわからない時代になっており、金持ちは、持っているお金を投資に回し、稼いだお金をさらに投資に回し、消費に回す比率は、かなり低下しているだろう。蓄財の弊害が生まれている。
経済成長を支えているのは、何も企業活動ばかりではない。
GDPの50%以上を占める個人消費が上向かない限り、景気回復は難しいだろう。
そのためには、大企業や資産家が溜め込んだお金を賃上げの原資として使い、あるいは、政府が税金として召し上げて庶民に分配することだ。
ところが、庶民への負担増ばかりを進めてきたのが、今の自公政権である。これで、景気が上向くはずがない。ましてや、消費税増税では景気が低迷することは確実だ。
お金の流れ、景気回復というものについて、改めて考えていただきたいと思っている。
皆様にとって、来年こそは景気の良い年になりますように。