映画「バベル」を見ました。 選択のない事実の羅列よりはるかに人に真実を伝える力がある・・・ 生きている限り心の中で兄に対する自分の贖罪の気持ちを持ち続けるしかない。 今東京で生きる若い連中のある群像を描いて間然するところはありません。 シニア料金の千円でこんな楽しみを頂けるなんてありがたいことです。ハンカチ必要です。 |
「そんなやさしい甘いこと言うてるけど、あんた一番身近な、ほんとは一番大切な人と心が通じおうているんか?
あんたが好きなんは、ほんまはあんた自分のことだけやろ」、と監督はこの映画で刃を観客に向けてくる。
エンドクレジットに延々と流れるモロッコ、東京、メキシコ、アメリカそれぞれの出演者と撮影クルーの数の多さに驚きました。
映画を見てから監督、脚本家や各地の撮影クルー、信じられない演技をする各国の俳優と多くの素人のエキストラ(下手なプロ以上だ)のことを詳しく知りたくて公式HPを見ました。
こんなに時間をかけて映画のHPをじっくり見たのは初めてです。
なんとメキシコ出身の監督は長編映画の三作目だとか。そして各国での撮影期間は一年を越えたとありました。
こういう各国のいくつかの地域を舞台にする映画を撮る監督は壮大なオペラの指揮者よりもっと「言葉」の問題にもろにぶつかる。
HPで監督が語っている制作時の話がいみじくもこの映画の本質を示しているのも興味深いです。
何しろちょっとした細部の描写(それがまた全てスグレモノ)が全て積み重なって、それが最後に一つになってこちらに迫ってくる・・
この映画は映画の作劇術から言ってもクロサワなどと同等かそれ以上の天才が作った「じつに面白い映画」です。凄い監督が出てきたものだと思います。
映画はお勧めです。
『バベル』日本版劇場予告編
Babel - Trailer
12月もあっという間に半分が終わってしまいました。
時の経過が早いですね~。
私も映画好きの一人ですが,レビューが苦手,長文が苦手な爺さんです。
このようなレビューを書かれる方には頭が下がります。
記事を読ませて頂き,なるほど,こういう見方もあるのかと参考になることばかりですね。
興味深く読ませて頂きました。