一番人気のルージュバックと3人気のアンビシャスで決まって馬連が800円。
これは堅い決着になったと思ったが3着に11番人気のヒストリカルが来て
3連複は18540円、3連単61710円だった。
これは堅い決着といえない。どうなるんだろう。こういうときは、
人によって堅い、荒れたということになるんだろう。
では、なぜヒストリカルが来たのかのほうが重要だろう。
そこのところは気づいたことがあるので、記しておく。
一年前の毎日王冠でルメールからデムーロに乗り替わったアンビシャスは、
出遅れて6着に敗れた。それでも上りはメンバー最速の33.0だった。
次の天皇賞秋は、出遅れだけが敗因とみたファンは4人気に支持した。
ところが今度は、折り合いを欠いて5着と伸びあぐんだ。
そして年の明けた2月の中山記念は、鞍上をルメールに戻した。
この日も出負けしたが後方でルメールは折り合いをつけた。
ダービー以来の復帰戦だった1番人気のドゥラメンテがゴールしようと
した外から猛然と追い込んでクビ差まで迫った。
惜しいレースだったが、ドゥラメンテ相手にアンビシャスが折り合ったときの
凄みのある末脚は十分にファンに印象づけるものだった。
それと同時に鞍上との息がデムーロとは合わないがルメールとは合う
こともわかった。いうまでもないが騎乗術の巧拙の問題でなく
あくまでもウマがあう、あわないということだ。
そして次走の大阪杯をルメールに代わって横山典が手綱を取った。
この日、中山のダービー卿CTにルメールがサトノアラジンで参戦した
ために、横山典に出番が回ってきたものだが、ボクはこの乗り替りは、
いいと思った。イメージだけの話だが馬主、厩舎が同じでカンパニーが
いた。ボクは以前から、アンビシャスのイメージがカンパニーに重なるので、
この横山典への手変わりを歓迎していた。その期待に応えるかのように
差し、追い込みのアンビシャスを逃げるキタサンブラックの2番手に
つけてゴール前渋太く粘るキタサンブラックを測ったようにクビ差だけ
差し切った。これは横山典の頭脳的なファインプレーだった。
もし、先行してなくていつもの後方待機からの追い上げだったら、
おそらくキタサンブラックに逃げ切られていたはずだ。
脚質に幅が出来たアンビシャスはつづく宝塚記念で3人気と支持を得た。
ところが、物事はいつもうまくは行ってくれないもので、前走で番手に
つけて先行したアンビシャスは、今回も行くもんだと思って掛かっていった。
距離のこともあって待機策をとりたい横山典と折り合いを欠いて喧嘩をして
しまった。結果は16着と無残な大敗に終わった。
そして3か月半経っての毎日王冠には、またも鞍上がルメールに戻った。
たった一度の折り合いを欠く騎乗で降ろされた格好の横山典ということになる。
この人一倍自尊心の強いジョッキーをどのように説得したのだろうか。
ここからは、ボクの想像、妄想だ。ひとつにはルメールからの希望があったと
思う。当時ドゥラメンテにあそこまで迫った馬はいない。現役最強馬ともいえる
ドゥラメンテをクビ差にまで脅かした馬。しかも菊花賞馬で有馬記念3着の
キタサンブラックを差し切ったアンビシャスにルメールが再度のコンビを
希望したんじゃないかと推察する。さあ、これには陣営であるアドマイヤの
近藤氏や音無調教師も考え込んだに違いない。結論としては、ルメールに
依頼した。カンパニーで気心はよくわかっている横山典と近藤氏、音無師だ。
横山典も気持ちよくか、不承不承かわからないがルメールにアンビシャスを
譲ることを承知したのだろう。
そして、この日の毎日王冠。音無厩舎の管理馬でアンビシャスと同じ馬主の
ヒストリカルの鞍上に横山典を乗せてきた。アンビシャスを降りた横山典に
せめてのお返しの騎乗依頼だろう。
そして横山典は、スタートで出負けしたヒストリカルを馬群から大きく
離れた最後方で折り合い、4コーナーを回って大外に持ち出すと猛然と
追い込んで、1人気ルージュバックと3人気アンビシャスの争いを追いかけて
3番手でゴールした。
横山典の馬乗りの意地というかプライドのような片鱗をみた。
というのが、馬連が堅いのに3連複と3連単荒れたことの真相です。
もちろん真相といいながらボクの妄想です。