阿部ブログ

日々思うこと

レアアース&トリウムを一体処理する国内施設の必要性

2010年11月15日 | 日記
トリウムは、我が国先端産業に必須なレアアースと共に産出し、資源の偏在性が少ないウランの3~4倍の資源量があとされる。またレアアース資源の中国依存度を低め、調達先の多様化を図るためにもトリウムの取扱い・有効活用には着目せざるおえない。

トリウムは現在インド以外では有効に活用されていないが、今後世界的な原子力発電所建設に伴いウランの需給は逼迫することが予想される。またウランの資源は85年で枯渇する可能性があるとの指摘があり、ウラン資源の偏在性と需給の逼迫に伴い必然的にトリウム資源が注目されると思量。ウラン濃縮も4社の寡占状態にある事からエネルギー安全保障上からも必要。

アメリカ海軍がトリウム液体核燃料原子炉の開発のため30億㌦を拠出??との情報があった。国防総省の裏予算に潜り込むとその詳細は知りようがないが、そもそも現在の軽水炉は、リッコーバー提督主導のもと原子力駆動の潜水艦動力炉とするため開発された経緯があり同海軍の動きは注視する必要がある。(トリウム液体原子炉の技術はWHではなく、今度はGEに移転される可能性大)

BOPビジネス的観点から、軽水炉と違い高い核不拡散性を有するトリウム溶融塩炉は、新興途上国での展開が有効である。特に隣国とのトラブルを恐れて原子力に取り組めない国にとって有効であろう。

日経ビジネス(2010.1.26号「原発漂流 もう一つの普天間」)の記事にあるとおり、現在の核燃料サイクルは課題山積で、特に高レベル放射性廃棄物は大きな問題であるが、東海大学の高木教授が研究しているトリウムを軽水炉でプルトニウムと一緒に燃やすこと、また増殖性を加味すると重水炉によるトリウムを燃料とする原子炉での発電で、Puを無効化できるとする研究結果を日本政府、電力会社、特に老害著しい原子力学会は重く認識する必要がある。

モナザイトなどからレアアースを獲得しつつ、既存の原子力資産を有効に活用して発電する事、また国内に滞留するだけのプルトニウムの保管&再処理が課題である。
 


日本国内で閉山した鉱山や、今後環境配慮型の資源開発、特に希少鉱物を含む黒鉱資源の精緻な探査が必要。また日本近海における海底資源開発を国家戦略として拡大促進しなければならない。特に人材の育成には待ったなしの対応が必須である。
喫緊の対応としては、インドやブラジルなど漂砂などとして採取可能なモナザイトなどの資源確保と国内におけるレアアース&トリウム処理工場、それと備蓄&保管施設が必要であると考える。
この適地としては福井県が最有力である。原子力資産と信越化学などレアアース処理施設が所在する為。福井県の政策推進課などでの積極的な検討を希望する。


熊野沖の泥火山は 「リチウム鉱山」?

2010年11月14日 | 日記
熊野沖には「泥火山」と呼ばれる海底火山がある。「泥火山」は大陸プレートが集束するエリアに存在する。日本では熊野沖の他、種子島沖や宮崎沖などで確認されている。
ちなみに世界最大の泥火山はイベリア沖のリオ・ティントと言う海底火山で、有名な鉱山会社と同じ名称。この泥火山には約1億トンの熱水鉱床があると推定されている。

熊野沖の泥火山は山頂部が平らな平頂火山で、海洋研究開発機構の調査によるとこの泥火山にはメタンハイドレートが存在する事が判明している。また、特筆すべきは泥火山はリチウム鉱山でもある事が確かめられた事である。
リチウムは典型的な偏在性が顕著な資源で、その大部分はチリのアタカマ塩湖の冠水から得ている。だが、そのアタカマ塩湖のリチウムより泥火山のリチウムの方が濃度の方が濃い。それも極めて濃い。泥火山からリチウムの原液が噴出している感じだ。



種子島や宮崎沖の泥火山群も多分、海底リチウム鉱山である可能性が非常に高い。

海洋研究開発機構が所有している地球深度探査船「ちきゅう」の活躍により、沖縄・伊平屋北フィールドでは「黒鉱」が採取されている。
(※ちなみに海洋研究開発機構は、日本有数のスーパーコンピュータ「地球シミュレーター」も所有し、運用管理している)

この地域には大量の「黒鉱」が存在する。
「黒鉱」には我が国産業界が必要とする希少元素が多様に含まれている。最近注目を集めているレアアースも含む。特に重希土類に富み精製途上でのトリウムなど放射性物質の随伴物質も少なく、弱酸でのリーチングで回収できる優れた資源である。

日本は「ジパング」。まさに資源大国だ。



EUにおけるスマートグリッドの動向

2010年11月13日 | 日記
1.EUにおけるスマートグリッドを巡る背景

従来、電力は電力会社の発電施設から需要家に向けての一方通行であるが、今後は、太陽光発電・風力発電のように需用家による自家発電、及び国策として再生可能エネルギーの大規模導入が加速している事から、電力網に双方向性を持たせ、需要と供給のバランスを取ることによってエネルギーの有効利用と最適化を図ると言うのがスマートグリッドである。

米国のスマートグリッド構想の背景にあるのは、送電網の老朽化にある事は、広く知られるようになっているが、欧州においてもスマートグリッド(賢い電力網)と言う考え方を積極的に導入し実現しようとしている。ただし、EUではエネルギーの安全保障・安定確保が重要な要素を占めており、それが顕在化したのは、ロシアがウクライナ向けガス供給を停止した事が発端である。この他、北海油田の枯渇による域内でのエネルギー自給率の低下、老朽化する石炭火力発電所と相次ぐ原子力発電所の閉鎖、そしてロシアへのエネルギー依存率が高い東欧諸国のEU加盟などにより、再生エネルギーの大規模導入と併せ、EU域内の全系統を連携させ、全体最適化を行なえるEU版スマートグリッドである「SmartGrids」が構想されている。

この「SmartGrids」は、2006年、欧州委員会(EC)が「European Technology Platform SmartGrids」として発表 し、翌2007年に「European Technology Platform SmartGrids -STRATEGIC RESEARCH AGENDA FOR EUROPE’S ELECTRICITY NETWORKS OF THE FUTURE-」を提示し、具体的な研究開発の方向性を示した。これにより「SmartGrids」は、低炭素社会の基盤となる戦略的エネルギー技術として具体化される事となる。

2.EU版スマートグリッドが目指す方向性
EUにおけるスマートグリッドは、自由化された世界最大の統一的電力・ガス市場を形成しつつある現在のエネルギー・ネットワークに、いかに再生可能エネルギーの大規模導入を行い、かつエネルギー効率の向上と安定供給を図るのかが最大の課題となっている。その意味で「SmartGrids」は、EUのエネルギー網の核となる「欧州横断エネルギー・ネットワーク」を実現する中核技術として開発される事になる。

「欧州横断エネルギー・ネットワーク」の開発目的は、エネルギー資源の合理的生産・輸送・配給・配電・利用と、再生可能エネルギー資源の促進によるエネルギー・コストの削減とエネルギー源の多様化、更にEU域内エネルギー市場の効率的運用の実現を目指している。これによりエネルギー安定供給を実現し、持続的な成長と環境保護に貢献すると定義されている。この定義は、EUにおけるスマートグリッドが目指すべき理想像を的確に表現していると言える。

また再生可能エネルギーについては、ヨーロッパだけではなくアフリカなど遠隔地で太陽熱などにより発電したグリーン電力をEU域内に送電する「地中海プロジェクト」がドイツ企業を中心に進められている。現在の送電網は交流が中心であるが、送電線の鉄塔などの新規設置が難しく維持コストもかかる事から、長距離送電や送電設備の簡略化の面で、徐々に直流が見直されつつある。この地中海プロジェクトでは、大陸間を跨ぐ「スーパーグリッド」を構築するが、これはグリーン電力を直流で、しかも電気抵抗をゼロにして送電する超伝導送電技術を導入して、EU域内の需要地に送り届けることを目指している。

3.EUの「戦略的エネルギー技術計画」(Strategic Energy Technologies Plan:SET Plan)
2007年11月、ECは「SmartGrids」構想も包含する「戦略的エネルギー技術計画」(SET Plan) を発表した。このSET Plan策定の背景には、EUの政策目標が存在する。即ち2020年までに温室効果ガスの排出を20%削減し、2050年までに現状のエネルギーの脱炭素化と言う目標達成の為に立案され、戦略的エネルギー技術として、「風力発電」、「太陽エネルギー」、「二酸化炭素回収・貯留(CCS)」、「バイオエネルギー」、「スマートグリッド」、「原子力エネルギー」など6つを挙げている。

このSET Plan実現のためにEUは、2010~2020年の10年間で最大715億ユーロの投資が必要と試算しており、これと平行して低炭素エネルギー技術開発への投資も、これまでの年間30億ユーロ程度から80億ユーロに引き上げ、10年間で500億ユーロ以上が新たに投資するとしている。

4.EUのスマートシティ(Smart Cities)
EUは低炭素社会への転換を速めるため、2020年までに温室効果ガス排出40%削減を達成する目標を掲げた野心的なスマートシティに取り組もうとしている。EUのスマートシティは、都市におけるエネルギー効率向上技術や排出削減技術に集中投資することで、ビルディング・地域エネルギー網、交通の3分野のエネルギー効率を飛躍的に向上させ、低炭素社会に転換しても地域経済を実際に活性化しうることを実証するとしている。

2009年6月、先陣を切ってオランダのアムステルダム市が「アムステルダム・スマート・シティプログラム」を推進し、EU初の「インテリジェント・シティ」を創ると発表している。

EUのスマートシティへの取組みは、将来的にも持続可能な低炭素社会への転換を指向する取組みである。その重要な一端を担っているのがスマートグリッドであり、EU域内でもエネルギー・インフラの老巧劣化が進行し再投資が早急に必要なこともあり、これを期にエネルギー・インフラのリニューアルとスマート化を一気呵成に成し遂げようとしている。エネルギー・インフラのスマート化とは、ICTを使ってリアルタイムに供給と需要を最適化することを指す。

米国とは異なる経済的体制と地理的特定を持つEUは再生可能エネルギーの大規模導入と、アフリカ、中東地域からのグリーン電力を送電するスーパーグリッドを早期に実現させ、限りある資源からの便益を最適化する脱炭素社会を205年までに成し遂げるべく最大限の努力を払っている。今後も米国の動向と共にEUの動きからも目が離せない。


ハイパフォーマンス・コンピューティング 第1位は中国人民解放軍~

2010年11月12日 | 日記
ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(High Performance Computing:HPC)は、気象予測、天体物理、金融工学、構造解析・流体解析、核融合シミュレーションなど極めて計算量が多い計算処理を行うコンピューターを言う。

日本の「地球シミュレータ」が、2000年11月のTOP500 Supercomputer Sitesで第2位のIBM ASCI Whiteに5倍の差をつけてトップを獲得した。このHPCは地球変動予測研究のために、科学技術庁(現文部科学省)が1998年から600億円を投じて開発したものである。この地球シミュレータは、2002年6月にLINPACKベンチマークで実効性能35.86TFLOPSを記録した。だが、現在はTOP500 Supercomputer Sitesで第37位となっている。

現在のTop500の第1位(2010年6月現在)は、オークリッジ国立研究所のHPCとなっているが、2010年10月時点での世界最高速のHPCは中国人民解放軍国防科学技術大学の「Tianhe-1A」であり、2.507ペタの演算性能達成している。ちなみに1ペタは毎秒1000兆回の浮動小数点計算の処理能力を言う。
この人民解放軍のHPCの特徴は、GPU、つまりグラフィックスプロセッサ「NVIDIA Tesla」をベースとしたHPCである事にある。
CPUではないGPUだ。

地球シミュレータ以降の日本では10ペタの処理性能を有するHPCの開発を目標としているが、米国は20ペタ以上の処理能力を有するHPCの開発をエネルギー省や国防総省の研究開発組織である国防高等研究計画局(DARPA)が暗号解読や核爆発シミュレータなど国家安全保障に係わる用途向けに20ペタを超えるHPCの開発を目標としている。

HPCの処理能力が20ペタを超えると、試作車なしで自動車が設計製造できると言われており、学術分野を超えて製造業など産業界へ本格的適用が期待できるレベルに今後3年から5年で達する可能性がある。

HPCのTop500で中国が1位と3位を占めて入ることは脅威ではない。中国におけるHPC技術の全ては米国にあるからだ。この米国と対等に戦えるのは世界広しと雖も日本以外はない。民主党はパフォーマンス一辺倒の間抜けな「事業仕分け」など辞めるべき。
民主党の素人が外交をやると国益を損するように先端技術も失速する。素人政治家集団の民主党は下野させる必要がある。ただ単純に自民党復活とはいかないのは皆さん理解できると思う。


スマートグリッドと社会インフラ構造改革

2010年11月11日 | 日記
スマートグリッド構想発祥の地である米国において、スマートグリッドの標準化作業を行なっている国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology : NIST)が、2010年1月に「NIST Framework and Roadmap for Smart Grid Interoperability Standards , Release 1.0」を発表し、スマートグリッドを次のように定義している。
「21世紀の次世代電力網(スマートグリッド)とは、さまざまな情報通信分野の技術やサービスを送電インフラに付加し、統合したものである。電力の流れや通信、そして制御能力が双方向に作用させることで、数々の新しい機能やアプリケーションを実現することが可能となる」。

従来、電力は電力会社の発電施設から需要家に向けての一方通行であるが、今後は、需用家による自家発電、及び国家の意思として再生可能エネルギーの大規模導入が加速している事から、電力網に双方向性を持たせ、需要と供給のバランスを取ることでエネルギーの有効利用と最適化を図ると言うものである。

このスマートグリッド構想の背景にあるのは、米国内の送電網老朽化であることは、前掲の記事で述べている通りであるがスマートグリッドは、米国だけではなく大西洋の対岸、欧州においても推進されている。ただし、欧州には欧州特有の問題が存在する。それが顕在化したのはロシアのウクライナ向けガス供給停止である。このロシア・ウクライナ紛争により、改めてEUはエネルギー安全保障の重要性を再認識した。この他、北海油田の枯渇による域内でのエネルギー自給率の低下、老朽化する石炭火力発電所と相次ぐ原子力発電所の閉鎖、そしてロシアへのエネルギー依存率が高い東欧諸国のEU加盟などにより、エネルギー安全保障上の観点から再生エネルギーの大規模導入やEU域内の全系統を連携させ、全体最適化を行なえるEU版スマートグリッド「SmartGrids」が構想されている。

このSmartGridsは、2006年「European Technology Platform SmartGrids」として発表され、2007年に「European Technology Platform SmartGrids -STRATEGIC RESEARCH AGENDA FOR EUROPE’S ELECTRICITY NETWORKS OF THE FUTURE-」によって具体的な研究開発の方向性が示された。これによれば2020年以降には、柔軟性、経済性、信頼性、アクセス性を備えた低炭素社会の基盤となる戦略的エネルギー技術として具体化され、欧州横断ネットワークやインテリジェントな配電ネットワークなど情報通信技術を活用して開発される。

EUにおけるスマートグリッドは、自由化された世界最大の統一的電力・ガス市場を形成しつつある現在のエネルギー・ネットワークに、いかに再生可能エネルギーの大規模導入を行いつつ、エネルギー効率を向上させ安定供給を図るのかが最大の課題となっている。その意味でスマートグリッドは、EUのエネルギー網の核となる「欧州横断エネルギー・ネットワーク」(TEN-E)を実現する中核技術であると言える。

このTEN-Eの開発目的は、エネルギー資源の合理的生産・輸送・配給・配電、利用と再生可能エネルギー資源の発展・接続の促進によるエネルギー・コストの削減とエネルギー源の多様化に貢献し、域内エネルギー市場の効率的運用と発展を奨励、島など発展の遅れた地域の開発と孤立解消を促進し、経済・社会的結束を強化、域外諸国との関係強化などによりエネルギー安定供給を強化、再生可能エネルギーを取込み、エネルギー輸送にともなる環境リスクを軽減するとともに持続的な成長と環境保護に貢献する、と定義されておりEUにおけるスマートグリッドのあり姿を的確に表現している。

また再生可能エネルギーについては、ヨーロッパだけではなくアフリカなどで発電したグリーン電力をEU域内に送電する「地中海プロジェクト」がドイツ企業を中心に考えられている。この地中海プロジェクトは、グリーン電力を直流超伝導送電で行う事を想定している。この直流超伝導送電については、今年3月2日、中部大学の超伝導・持続可能エネルギーセンターが世界で初めて200メートル超えの超伝導直流送電実験に成功したと報じられた。直流超伝導伝送は、電力損失がほとんどない最も効率的な送電方法であるが、技術が確立していないため「地中海プロジェクト」自体の実現性を疑う声があったが、今回の実証実験の成功で弾みがつくだろう。この技術開発が今後進展して実用化されると、将来的には、国家間・大陸間をまたぐ「スーパーグリッド」がその姿を徐々に現すのではないだろうか。

グーグルの村上憲郎名誉会長によれば、スマートグリッドの本質は、電力網とインターネットなど情報通信網が、物理的にではなく論理的に融合される点にあるとし、インターネットの自然な延長線上にスマートグリッドはあり、人とマシン、マシンとマシンが繋がる世界であると、三井業際研究所・次世代情報通信技術調査研究委員会のヒアリングの際に語った。また、現在電力網に接続しているものは、将来的にはすべてスマートグリッドに接続することになるとし、スマートグリッドの情報網はインターネットなので、それらの機器もインターネットに接続することになるとの見解を示した。村上氏のマシンとマシンが繋がる世界が到来するとの指摘は重要である。即ち社会インフラのシステムとデバイスが相互に接続する世界の登場を意味する。

2008年9月以降の世界同時不況を受け先進国及び発展途上国も含めた世界各国政府は、積極的に交通、電力、通信、上下水道など社会インフラへの莫大な投資を行っているが、これは単なる景気対策や単純な社会インフラ再構築ではないと感じている。地球環境保全も視野に入れつつ、最新の情報通信技術を全面的に取り入れたインテリジェントな社会インフラを整備することにより、持続可能な低炭素社会への転換を志向する重要な取組みが世界でなされている。その一端がスマートグリッドで、特に欧米諸国では、社会インフラの老巧・劣化が進行しており、この分野への再投資が早急に必要なこともあり、これを期に社会インフラのリニューアルとスマート化を一気呵成に成し遂げようとしている。インフラのスマート化とは、情報通信技術を使ってリアルタイムで様々なサービスの供給と需要を最適化し、かつ効率化することを指す。

この社会インフラのスマート化の本質は、インターネットや様々なコンピューティング・リソースを核とするサイバースペース(仮想空間)と、電力網などリアルスペース(実世界)のシステムへ、コンピュータネットワークからのアクセスが可能となることだ。その意味するところは、スマート化した社会インフラのシステムが相互に接続し、かつそれらシステムに接続された膨大なセンサー群が、そのデータをシームレスに交換し、高速処理・分析が可能となる、ということであり、これは、電力、水道、ガス、通信、航空、港湾、道路、トンネル、鉄道、橋梁、ダム、パイプラインなど全土を覆う社会インフラのシステム全体を統合化した「System of Systems」の到来を予見させるものだ。技術革新ならぬ、社会のあり姿や人間のライフスタイルそれ自体を変えうる、社会革新基盤システムの登場である。

一方、発展途上にある新興諸国における社会インフラへの投資は、その規模と数、及びその投資額で先進国を遥かに凌駕している。90年代からの経済グローバル化の進展により、急激な経済成長がもたらされた新興国では、深刻な電力・食料・水不足、慢性的な交通渋滞と環境汚染など、様々な社会問題が顕在化しており、その解決のために、中国、インドなど成長著しい国々で、今後も莫大な社会インフラに対する需要が見込まれている。

今後、新規に社会インフラを構築するこれらの国々では、スマートグリッド的な最先端の情報通信技術を全面的に取入れたシステムの導入を行う事ができる。アラブ首長国連邦(UAE)のオール電化都市「マスダール」などは将にこの典型である。
すなわちこれら新興国では、最先端の駆使する事により欧米先進国とは異なる社会発展の形態をとる可能性があるということだ。段階的にではなく、一挙に地球に優しく賢い社会システムへの転換が行われうる。賢い社会システムとは、多様なインフラ・システムが情報通信技術により融合・一体化し、限りある資源・エネルギーからの便益を最適化する社会を言う。我々や次の世代はそれを眼にする鳥羽口に立っているのではないだろうか。

NHK 「クローズアップ現代」 でトリウムが報道されました。

2010年11月11日 | 日記
2010年11月10日(水)19:30からのNHK『クローズアップ現代』でレアアース採取後に廃棄されているトリウムを原子燃料として利用する動きが報道された。

我が国日本においてはどうか。スマートグリッドに後ろ向きであるのと同様にトリウムについても電力業界・原子力業界は否定的である。尖閣諸島での事件をきっかけにレアアースが広く国民一般に知られるようになったが、このレアアースがトリウムと言う放射性物質を随伴する事までは理解されておらず、日本企業はこのトリウム問題があるために中国以外でのレアアース調達が出来ずにいる事は広く国民に衆知されねばならない。

この度の件で鉱物資源業界はトリウム問題を避けて通れない事を再認識したが、原子力業界は破綻しかけているウラン=プルトニュウム路線から抜出そうとしていない。ガラパゴス携帯の事を「ガラケー」と言うようだが、原子力のそれは“ガラパゴス原子力”。曰く「ガラゲー」だ。ガラパゴスには「アホウドリ」がいて「アホ~、アホ~、ガラゲーアホ~」...笑い事じゃない。

※NHK報道局の鈴木ディレクター、横田カメラマン、音声さん、お疲れ様でした。ささやかですが当ブログで敬意を表します。

地球深度探査船「ちきゅう」の成果 その2

2010年11月10日 | 日記
地球深度探査船「ちきゅう」は6月まで横浜・三菱重工のドッグで定期検査を行い、7月には南海トラフ、9月には沖縄トラフの掘削を行なった。今年後半の11月には南海トラフでの掘削を実施し、年明けからは外部資金による掘削を3月中旬まで行なうスケジュールとなっている。

南海トラフにおける掘削は、特に巨大地震発生帯を中心に行なっており、今回は和歌山県新宮市の南東沖60km~120kmの洋上で実施した。
南海トラフの海底下では「地震津波観測監視システム(DONET)」を構築しており、海底下地殻活動を様々なセンサーで観測・分析する事により地震発生予測の高精度化、及び津波の早期検地などを実現するために、世界最大規模の海底ネットワークを構築している。
特に今回の航海では、世界でも最先端の海底大深度長期孔内観測システムと呼ばれる、リアルタイム孔内計測センサーテレメトリー装置を、海底下1000mに設置した。この装置は、他に類のない装置で、広帯域地震計や歪み計、温度計、水圧計などを実装しており、最先端の技術を駆使して作られたセンサーである。この装置で観測精度も飛躍的に向上すると思われる。

青森県八戸市沖では、海底下の石炭層にある生命圏の調査を目的とする掘削が行なわれた。八戸沖には、海底下に石炭層があり、これは北海道から南は沖縄を経てベトナムやインドネシアにいたる長大な石炭層の一部で、この石炭層に肥沃な生命圏が存在する事が確かめられており、角砂糖1個あたり、105個の微生物が存在する。特にアーキアと呼ばれる古細菌が多く、八戸沖で採取されたアーキアを培養して二酸化炭素からメタンを生成する実験に成功した。ここで重要なのは、海底下の石炭層では、地上とは逆のプロセスが存在するという事である。二酸化炭素からメタンが生成されるが、地上ではその逆。

このアーキアは天然環境下でのメタン生成速度の10億倍と言う高い代謝活性能力を有しており、今後、海底石炭層に二酸化炭素を注入してメタンを発生させ、それを資源として活用できるのではないかと考えており、地球生命工学技術により100年以内にバイオマス・エネルギーとしての資源利用を目指している。この基礎研究の為、来年春に八戸沖で掘削を行い、保圧コアの試料採取を行なう予定であると言う。

後は特に海洋開発プロジェクトのマネージメントを担う人材の育成が急務であり、海洋開発人材育成が急務といえる。


地球深度探査船「ちきゅう」の成果

2010年11月09日 | 日記
独立行政法人 海洋研究開発機構が所有する地球深度探査船「ちきゅう」が素晴らしい成果を挙げた。

1990年代後半から海底下に生命圏が存在する事がわかり始めていたが、建造5年目の定期検査後の沖縄沖航海でそれを実証する事が出来た。特に地球表層以外の海底生物圏の方がその生命量が莫大である事が観測されたことの意義は大きい。
海洋にいる生物量は魚介類・プランクトンは全海洋生物量の約1%以下で、その殆どは海中にいる微生物、及び海底の底に生息する微生物群で99%を占める。但し、海底下の微生物群は生命存在可能条件の境界領域におり生存ギリギリの状態にある。この微生物群は海洋表面のプランクトンなどの死骸などを食糧としており、海洋表面での光合成生産のおこぼれにあずかる形で何とか生命活動を維持している。この影響で3000年から1万年に1回細胞分裂するぐらいの低成長で生存。

海底下の生物圏は、ギリギリ生きている生物だけではない。熱水噴出孔の直下にはピチピチの生命圏があり、極限環境微生物にとってはパラダイスである。また、熱水噴出孔から噴出する熱水には様々な生物のDNAや脂質が含まれており、これは熱水が海底地下から上がってくる過程で、途中の生物群を巻き込みながら噴出していると推測されている。即ち、海底下にはもう一つの海があるといえる。これは1993年に予測されていたが、今回これを実証したのだ。

今回の航海は沖縄沖北西150沖の伊平屋北フィールドと呼ばれるエリアで、1995年依頼、潜行調査が行なわれてきたエリアで調査が進んでいる所。この伊平屋北フィールドは世界でも最も調査研究が進んでいる深海熱水エリアとされ、特に二酸化炭素とメタンの濃度が極端に高い事で知られる。
この海底熱水は蒸気として噴出しているが、塩分の濃い熱水の所在が不明であり、調査と研究が行なわれてきたが、ここにきて塩分濃度が濃い為、海底熱水層の下部に沈滞・滞留している事がわかってきた。

今回の航海では伊平屋北フィールドで8箇所の掘削を行なった。その結果、海底下に巨大な熱水層が存在する事が判明。特に3箇所では人工的に熱水を噴出させる事ができ、ビデオ撮影にも成功している。これは世界初の快挙である。
更には、深海における熱水の掘削は、殆どサンプルが採取できない失敗と挫折の歴史であるが、今回は50%以上の回収率を達成した。世界でも比類のない採取率であり、これは偏に“ちきゅう”の掘削能力と日本技術者チームの能力によるもので、現在、世界最高のチームといえる。

また今回の掘削では、海底下で現在の生成されている黒鉱の採取に成功した。黒鉱は秋田の小坂鉱山などで産出するが、これと同じものが海底で現在進行中の黒鉱鉱床があり、今後この構造などの解明に役立つと考えられる。この黒鉱は亜鉛や鉛などの金属類を豊富に含み、かつ希少金属も含有する鉱物で、国内における貴重な資源として注目を浴びており、今後の調査が期待される。

明日、いよいよNHK 『クローズアップ現代』 でトリウムがメインテーマで報道されます。

2010年11月09日 | 日記
いよいよ明日、NHKの『クローズアップ現代』でレアアース採取後に廃棄されているトリウムを原子燃料として利用する動きが海外で顕著であると言う内容で報道がなされる。
鈴木ディレクター、映像さん、音声さん、お疲れ様でした。敬意を表します。

さて、トリウムの利用についての研究開発についてはヨーロッパ諸国で進んでいる。
ノルウェーのハルデン試験炉(この試験炉は日本の電力会社も照射試験で利用している)で来年2011年にトリウムとプルトニュウムの混合燃料に照射試験を行なう。またEUでも超ウラン元素研究所がトリウム燃料の照射を行ないトリウムとプルトニュウムの振舞いを研究している。そもそもドイツでは統一前の西ドイツ時代からトリウムを燃料として利用している歴史があり、受入れ易い土壌がある。米国エネルギー省でもロシア、イスラエル、韓国と原子力研究イニシアティブを立上げ、現行の加圧水型原子炉でのトリウム燃焼用集合体の開発を行なっている。

レアアース大国・中国においては更に積極的に利用しようとしており、現在、世界最大のレアアース鉱山・包頭では、カナダと共同でトリウムの燃料集合体を開発しており、ほぼ実用の目途が立った模様。また上海郊外の泰山原子力発電所では2012年にトリウムによる発電を開始し、早ければ2014年までにトリウム燃料専用炉を稼動させる計画が粛々と進行している

我が国日本においてはどうか。スマートグリッドに後ろ向きであるのと同様にトリウムについても電力業界は否定的である。そもそも1950年代後半に国内の希土類企業からトリウムの国家管理構想案が出されたが、当時は受入れられなかった。また1980年代にもトリウムが注目を集めたが、冷戦が最高潮に達している時期で平和利用よりも軍事が優先され、その後忘れ去られた経緯がある。

尖閣諸島での事件をきっかけにレアアースが広く国民一般に知られるようになったが、このレアアースがトリウムと言う放射性物質を随伴する事までは理解されておらず、日本企業はこのトリウム問題があるために中国以外でのレアアース調達が出来ずにいる事は広く衆知されねばならない。

この度の件で鉱物資源業界はトリウム問題を避けて通れない事を察知したが、原子力業界は破綻しかけているウラン=プルトニュウム路線から抜出そうとしていない。トリウムも原子燃料として利用する柔軟なエネルギー・ポートフォリオの構築が必要だ。

米国民主党の中間選挙敗退と政策の継続性

2010年11月08日 | 日記
アメリカ民主党が先の中間選挙で大敗した。が、その予兆は既にあった。
2009年2月16日にオバマ大統領が署名して「アメリカ回復・再投資法」(American Recovery and Reinvestment Act of 2009、ARRA)が成立した。
このARRAにより送配電網再構築、スマートグリッド、再生可能エネルギー開発、電気自動車普及促進などへの一連の大規模な投資へと繋がっている。ただし、このARRA法案は、議会通過前後から様々な批判が沸き起こっていた。
これは様々な抗議活動を生み、ARRAなど景気刺激策に伴う国家債務の増加に対して全米に広まり始めた。この抗議活動は、「ティーパーティー」(Tea Party movement)と呼ばれ反オバマ色を強める大きなうねりとなっていた。
2010年2月6日にティーパーティーの大規模な全米集会がテネシー州ナッシュビルで開かれ、ペイリン前共和党副大統領候補(前アラスカ州知事)が基調演説を行い「大きな政府の下で(国民生活を)不安定にさせ(国家財政の)負債が増える」と批判している。米国議会予算局によれば2010年会計年度は、当初1兆3490億ドルと推定していたが、それを超え過去最悪の1兆6000億ドル(144兆円)に達するとしている。

この財政赤字の拡大と民主党の中間選挙敗退、つまりは共和党の反撃と保守派やリバータリアンの発言力と存在感が増す中、オバマ政権の政策の継続性が危ぶまれている。特に医療改革は反対のベクトルが強く働く事になるだろう。

また重要インフラである次世代電力網スマートグリッドの整備とも関連するが、電気自動車の普及に欠かせない充電インフラの整備が財政赤字の影響を最も大きく受けそうだ。
今後の電気自動車の大衆消費者市場の拡大には政府の支援が欠かせないが、公共の充電スタンド建設への政府融資を関係する企業・団体は求めている。しかし、こうした政府主体の財政支援は、政治的に強い反対に直面する可能性が高い。これは当初から認識はされていたが、今回の中間選挙に敗退した事でさらに困難さを増す結果となる。

今後、益々連邦政府の巨大財政赤字に対する懸念は増大する環境下で、GMとクライスラーを政府が救済したことに根強く反感を持つ議員もおり、電気自動車への補助金投入については財政的な側面の議論も含め様々な論争を巻き起こすだろう。今後の米国政府の政策継続性については、慎重に観察する必要がある。

グリーンランドの氷解と資源開発

2010年11月08日 | 日記
北極圏の海氷衰退が世界のエネルギー資源と海運に多大な影響を与える事は十分に認識されているが、グリーンランドの氷解による影響も十分に考慮されなければならない。北極の海氷と違い陸上に存在する氷塊が溶ける事による海面上昇は世界的な問題として認識されるべきである。決してツバルなど海洋国家だけの問題ではない。

グリーンランドは、世界最大の島で全体の80%が氷床と万年雪に覆われており、氷の厚さが最大3000メートルに達するところもあるほどで、例えばグリーンランドの全ての氷と雪が溶けた場合、現在の海面が約7.2メートル上昇するとの試算がある。

一方、北極海と同様、エネルギー資源においては、新たな鉱物資源の探査が可能とも言われている。日経新聞によると、温暖化によりグリーンランド沿岸の凍結時期が短くなっており、新たな航路の新設も可能になっているという。例えばデンマーク領グリーンランドの鉱物資源調査会社アンガス&ロス(AGU)社がグリーンランドに有するブラック・アンゲル鉱山で、従来鉱物を搬出できる時期が1年のうち半年だったのが、現在では8ヶ月になり、将来的には通年の搬出が可能となると予測している。

前述のようにグリーンランドの殆どは雪と氷塊に覆われており、沿岸部の一部しか資源探査が行われていなかったが、永久凍土の融解により深部での調査が可能となっている。このような状況から同島の鉱物資源を狙った動きが出てきている。例えばデンマーク政府は、国営石油NUNAOILを新たに設立。また鉱物資源開発の国営Nunamineralは新たに始まった金鉱開発への投資を募るためコペンハーゲン株式市場に上場したりしている。

グリーンランドの地質調査機関GEUSによると、同島の西沖合では原油が海底にしみ出す油徴が確認されているとの事で、サウジアラビアの原油埋蔵量の4割に当たる油田と、北海油田の3分の1に相当する油田の2つが眠っているという説もある。
北極や南極と違い、グリーンランドは自治政府の独立も含めまさに手付かず領域であり、我々は資源・エネルギー戦略の未開拓エリアとしてグリーンランドに着目するべきではないか。

イランの核問題の軍事的解決?

2010年11月08日 | 日記
イランは原子力発電など関連施設の建設を進めている。特にウラン転換施設は地下に建造されており、イスラエルの疑念を高める結果となっている。
この地下深くに構築された強固な建造物をどうやって攻撃し破壊するのか?
まずレーザー誘導弾10発程度の通常爆弾で地下に穴を開ける。この爆弾穴に、広島・長崎に次ぐ戦術核爆弾が投下されるだろう。

イスラエル国内にある空軍基地からイラン国内のウラン転換施設までは往復約3200km。この距離を地中海に向けてF15やF16が飛行訓練を繰り返しており、当然の如く燃料空輸機からの補給訓練も行われている。訓練としては準備万端。これらイスラエル空軍の動きはキプロスやマルタなどに展開するイギリスのGCHQや電子偵察情報組織が監視を続けており、当然アメリカも当然知っている。

しかし、イスラエルの攻撃準備が進むなか、イランは既に2003年に核兵器開発を断念しているという情報がある。確かに核武装して良いことは何も無いだろう。労力とコストと、それに見合う利益・国益を得る事ができるか?
これは考える必要が無いのは明らかだ。イランがペルシャ帝国の再興を目指すのでなければ~。

アメリカ政府がイランの核問題は軍事力ではなく外交により解決されるべきとしているのは、上記の情報を踏まえた当然の結果。
だが、イスラエルによるイラン攻撃の脅威はまだ収まっていない。イラクの混乱は未だ収まっていないし、アフガニスタンにおいてはベトナム以上の泥沼化が「ウィキリークス」などの情報から明らかだ。この間に位置するイランを更に攻撃するのか?

実は、2002年夏に米軍はウォーゲーム(軍事シュミレーション)を行った。この演習は「ミレニアム・チャレンジ2002」と命名されイランを仮想敵国としたもの。結果は米軍の敗退。その後、演習をやり直して勝利したが。
この演習では、ペルシャ湾岸に入った空母を中心とする艦隊が、イラン軍の自爆船や対艦巡航ミサイルによる攻撃を受け、艦船のほぼ半数が沈められるか、作戦遂行ができない状態に追い込まれた。これは米軍の電子監視網の裏をかいて巡航ミサイルと弾頭ミサイル戦力をうまく移動させた為、空軍の攻撃を回避出来た。イラクのように対空防衛レーダー・システムを稼働させれば、対レーダーミサイルを搭載した爆撃機に攻撃・破壊される。イラン軍はこの演習で対空防衛レーダーのスイッチをオフにしたのだ。
演習はイラン軍の対空防衛レーダーのスイッチを入れた状況でやり直しとなり、前述の通り、米軍の勝利。

ミレニアム・チャレンジ演習は、ペルシャ湾と言う制約が多いチョークポイントへの戦力投入を阻む障害が大きくなっていること明確になった。
現在では、海面近くを飛行できる対艦ミサイルの調達や商船に隠れて移動する自爆船。また湾岸戦争時よりさらに探知が難しい機雷。それに近年その静粛性能が飛躍的に向上したディーゼル潜水艦は本当に探知が難しい。イランはこれらの兵器や船艇・潜水艦を保有している。

安易な軍事手段による核問題解決は、アメリカ・イスラエルは高い代償を払う可能性が高いし、ホルムズ海峡が戦闘によりタンカーの運航が出来なくなると日本のみならず、中国や台湾・韓国などの経済に甚大な影響がある事は、小学生でもわかることだ。

リンの枯渇と先人の知恵:干鰯

2010年11月07日 | 日記
日本の総輸入量における肥料の占める割合は、石油や食糧を合わせた量に匹敵し約50%を(約382,000ト ン)占める。
また世界での肥料の消費量の約10%を日本が単独で費消している計算で、特にリン鉱石は全量輸入に頼っているが、最大の輸入先であるアメリカ は戦略物質としてリンとカリウムを指定し、これら資源の輸出禁止に踏み切っている。この動きに中国も追随しており、肥料を巡る環境は価格高騰もあいまって 厳しさを増している。

現在の農業生産に必須のこれら肥料原料の状況を打開するべく、国土交通省は下水汚泥からのリン回収の検討を昨年開始した。下水を処理 した余剰汚泥にはリンが多量に含まれており、これを効率的に回収して再利用する考え。
また同様に製鉄所からでる製鋼スラグにもリンが含まれており、これは 東北大学により「強磁場を利用した製鋼スラグからのリンの分離回収」技術として確立している。
都市鉱山ではないが、既にレアメタルも含め多種多様な資源が日本国内には流入しており、これを経済的に回収・利活用する技術の開発は更に加速せるべきである。(事業仕分けなどしている場合か)

また70年程度で枯渇するといわれているリン鉱石に関しては、先人の知恵に着目すると以外にも、漁業も含めた有効な打開策が見付かるのかもしれない。
日本では昔から魚の骨が肥料として利用されていた。特に江戸時代中期以降、土壌のリンを大量に消費する菜種と綿花という商品作物が広範に栽培されるようになると、従来の人糞や堆肥では足りなくなった。
そこで投入されたのが干鰯である。

我が国は肥料不足を補うために鰯の養殖を行っていた歴史があり、我々は謙虚に先人の知恵に学ぶべきではないか?
北海道で米が取れないにも関わらず松前藩は肥料用の鰯を内地に売り経済的に繁栄していた。今日魚や畜産からの骨などは生ゴミとして捨てられているが、これを活用しない手はない。

海外からの輸入は最小限にして農業や基幹産業群を維持できる自給循環型の経済体制を早期に構築するべき。

日立中央研究所の池と白鳥

2010年11月07日 | 日記
今年、創立100年を迎えた日立製作所の中央研究所が国分寺にある。
中央研究所は、武蔵野の面影を色濃く残す鬱蒼とした木々に囲まれている。
この敷地内に池がある。池の名前は知らないが、想像した以上に大きい池なので驚いた。

 

この池に一羽の白鳥が優雅に泳いでいる。
この白鳥は、今上天皇陛下が皇太子時代に研究所を訪問の折り下賜されたと聞いた。



平成の世も22年が経過したが、白鳥の平均年齢は如何ほどか気になる所だが、考えないことにしよう。

この池周辺は、近所の幼稚園児のお散歩コースにもなっているとも聞くが、成る程、機密度の高い研究所できちんと警備されている環境であることもあり、安心して周遊出来るわけだ。
池の一般公開は難しいだろうが、一見の価値はあると感じた。

銅と銀

2010年11月07日 | 日記
不勉強だが最近、銅と銀の凄さに興味津々です。

最初は、銅。
日本人宇宙飛行士の山崎直子さんが宇宙で2週間着用していた靴下が一部で注目されている。それは一般には余り良く知られていない「銅」のもつ高い制菌・抗菌作用を利用したもので、靴下に高純度の銅線を編み込んだ生地により細菌や白セン菌など、菌の増殖が抑制され、ニオイのもととなる雑菌を減らす。このため宇宙船と言う閉鎖空間でも十分に防臭効果のある靴下が製品化されている。
この靴下を開発した企業のHPによればメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、肺炎桿菌 黄色ぶどう球菌などは18時間後には菌減少率99.9%。白癬菌についても91.3%と言う高い制菌・抗菌作用を発揮するとしている。この銅と言う金属そのものが持つ抗菌作用については、米国環境保護庁(EPA)が2008年3月に金属としての銅そのものが抗菌作用のある素材として認定し、銅の以外の優良な銅合金も282種が登録されている。

銅の利用は医療に止まらない。例えば養殖の漁網には合成繊維が使われているが、この素材だと表面に藻などが付着するため、魚に必要な酸素量が減少する事もあり、数か月に一度網を陸揚げして洗浄作業している。この魚網の素材を銅に変える事により、抗生物質を大量に与える必要がなく、また耐蝕性に優れるため藻が付着しない。このため、洗浄のための陸揚げが不要となる。既にこの銅を用いた魚網が開発されている。

それと銀。
『電線一本で世界を救う』(山下博著:集英社新書、ちなみに700円(税別))によると銀も凄い。
最近スマートグリッドと言われる次世代電力網が注目されているが、その送配電を構成する電力線は銅で出来ている。また身の回りの電気製品の配線に使われる電線にも銅が用いられている。これは電気抵抗性が低い事と加工がしやすいと言う特性があり、また古代から利用されてきたごく身近な金属元素である事も影響しているだろう。

山下氏の著書によると、銀の電子平均速度は、銅のそれを大きく上回ると指摘する。銅のそれは4.4cm/secで、銀は66.33cm/secとその移動速度の違いが鮮明だ。この電子移動速度の違いの意味するところは、制御信号やデジタル信号などを伝導する導線としては、短時間で与えられた電圧で電流を流し始める性能に直接関わるため、遅い銅より銀の方が導線として圧倒的に優れる。それと重要なのは銀は静電気除去能力が非常に高い事。

現在の導線を銅から「銀」に変えるとどのような事になるか?
例えば自動車の配線を銀線にすると、燃費が10%程度向上し、窒素酸化物も85.7%削減されると言う。現在9億7000万台の自動車の1割に、この銀線を用いてガソリンの使用量が節約できると100万kwの火力発電所200基が1年間に排出する規模の二酸化炭素排出を抑制できる。
またディーゼル自動車の場合には、先ほどの窒素酸化物など環境汚染物質の生成を抑制出来る。

船舶にこの銀線配線と静電気除去装置を用いると、アースの亜鉛板が溶けにくくなり燃費も向上し、燃料の節約にもなる。医療分野では、がん治療に有効な重粒子線治療の装置の電磁磁石のコイルを、電圧変動ロスの少ない銀線に変える事により、現在の超伝導線よりエネルギーをかなり節約することが可能と推測され、これはJR東海が構想する東京=名古屋間のリニアモータ構想にも適用でき、電磁磁石の数を減らす事ができるので、建設コストも削減されるだろう。

ただ銀線の最大のネックは銀の価格だろう。
貴金属である「銀」、銅線ですら盗まれる時代に「銀」となれば、どうなるかは議論の必要はないだろう。反面、都市鉱山と言う視点ではどうか~金も銀もとれるとなればビジネスとして成立するだろう。