阿部ブログ

日々思うこと

中国の北斗衛星航法システムとロシアのGLONASSの連携強化

2015年12月31日 | 雑感
中国とロシアは、中国の北斗衛星航法システムとロシアの GLONASS (Global Orbiting Navigation Satellite System) 衛星航法システムを BRICs 諸国や上海協力機構 (SCO : Shanghai Cooperation Organization) 加盟国に提供する方針を固めた。最初は、北斗とGLONASSの測位信号を受信できるデバイスを開発するベンチャー企業を立ち上げる。これには、ROSRECと北方工業公司 (NORINCO : China North Industries Corp.)が共同出資する。しかし、中国は北斗とGLONASSとGPSを受信できるデバイスを保有している。今更、何故という感じがある。
今年開催された湖北省北斗産業重大成果発表会に出席した関係者によると、武漢夢芯科技有限公司が北斗衛星測位システム用の高精度チップ「啓発」を開発している。このチップは、40ナノ・サイズで北斗&GLONASS&GPSの測位信号を受信する。この手の複数の測位信号を受信できる装置は、今や珍しくない。iPhoneには、Assisted GPS(A-GPS)を搭載している。iPhone 4SではGLONASSにも対応している。
2020年には、東京上空に測位衛星だけで20機以上が滞空するようになる。それには日本の準天頂衛星4機(追加3機が失敗せずに打ち上げられれば)も含まれる。

中国の北斗は、当初GPSのように全地球を網羅する方式を採用する筈だったが、戦略を転換している。北斗は、静止軌道に5機、傾斜対地同期同期軌道に3機、中軌道に27機を打ち上げる予定。予備機も含めると大体40機近くが打ち上げられると思われる。因みにGPSは最小24機だが、予備を含め現在は31機体制で運用している。
現状の北斗は、静止軌道に6機、傾斜対地同期軌道に5機、中軌道に5機が配備されており、当然ながら東アジアが中心である。

米海軍大学のトシ・ヨシハラ教授の論文が面白い

2015年12月30日 | 雑感
米国陸軍大学戦略問題研究所(US Army War College, Strategic Studies Institute)の『A Hard Look at Hard Power: Assessing the Defense Capabilities of Key』を入手したので早速読み始める。勿論、目玉は米海軍大学教授のトシ・ヨシハラ氏の論文『Japanese Hard Power: Rising to the Challenge』。訳すと「日本の国防力:変革の兆し」とでもなるのか。この論文を読んで感ずる事は・・・・・日本は戦後、個別自衛権を発動した事は無いが、集団自衛権は発動しまくってきた事実をきちんと国民に伝える必要があると感じた。今回の安保法制の議論で若年層が政治的に目覚めた。これには警察も敏感。国会前でデモがあると警察ヘリが3機出動し都内上空を監視する動きが見られたが、外国勢力が支援する無秩序なデモが分散的に発生したら警察は対応しきれないだろう。米海軍の特殊部隊と同じ発音の団体の背後には中国がいて盛んに煽っているし金を出している。沖縄も同様だ。

さて、中国のA2ADは対艦弾道ミサイルなどを用いた遠距離からの攻撃を重視した戦略だ。ミサイルは中国本土から発射できるほど長距離を飛翔するので第七艦隊や海上自衛隊などの艦船の侵入を阻止できると考えているのだ。でも、同じ事は日本も出来るはず。自衛隊も宮古島に地対艦ミサイルの部隊を展開しているが、射程距離は150km。この対艦ミサイルは元々は北方脅威に備える為に開発された。北海道の第一特科団に対艦ミサイル連隊が2個配備されているが、これは日産の防衛事業部が開発した30型ロケットを装備し、第125特科大隊、126特科大隊を編成した。
(※:日産は、防衛部門をIHI(石川島播磨重工業)に売却した。IHIの横浜事業所にお邪魔した際、日産出身の方にお会いでき、30型ロケットの話をすると知っていたのには嬉しいかった~)
125特科大隊と126特科大隊は、石狩湾に上陸しようとする対抗部隊「甲」を撃破するのが主目的。しかしこれは距離が短いし、陸上部隊だけでは見通し線を把握できないので、無人偵察機などでの敵情把握が必要。何れにせよ冷戦の遺物。中国のような弾道ミサイル級の長距離ミサイルの開発と実戦配備が必要だろう。

日本として中国封じ込める最高の戦略は、対潜水艦戦へ引きずり込む事と、海外との貿易を阻害する為に、中国沿岸の港湾に対して機雷&無人魚雷戦を仕掛けること。
中国が生存する為には今や港湾が最大の重要インフラで、沿海部の主要な港湾が使用できない、若しくは機雷や魚雷攻撃を懸念して使用出来なくなると、忽ち経済に影響する。既にマイナス成長に陥っている中国には致命傷になる。これを可能とする積極的防衛システムの開発が必要。つまり中国のシーレーンを破壊する事が最大効果を生む。これには台湾、ベトナム、フィリピン、それと南洋諸国との軍事的連携が欠かせない。米国が邪魔するだろうが、台湾の国防力強化に日本は強力に支援するべきだと思量する。
しかし、最大の問題は海上自衛隊だろう。太平洋戦争で負けた要因の最たるものは「日本海軍」にある。日本海軍の間抜けさと無能さは、徐々に世間に知られるようになっているが、海上自衛隊はこの日本海軍の全てを継承している。陸上自衛隊が、日本陸軍のレガシーを一切受け継がなかった事とは対照的。実際、東京裁判では、日本の敗戦に寄与した日本海軍軍人が刑死する事はなかった。今では、米海軍の一部として嬉々として活動しているが、海上自衛隊は、悲しい哉、日本の安全保障を預かる海軍部隊ではない。所謂、妾の子でしかも戦力構成もカタワだ。米海軍の一部隊である海上自衛隊を今後どうするか。
そろそろ、昭和天皇が決めた、米日軍事一体化と言う「HIROHITOドクトリン」から脱却する方向で動くべき時期だと感ずる。

ヨシハラ教授の論文から離れたしまったが、話を戻す。
色々な中国軍関連の文書を拝見すると、人民解放軍も馬鹿ではないので、米軍との実力差を極めて正確に認識しており、海上ゲリラ戦ともいうべき戦術を駆使する事で米海軍や自衛隊に出血を強いる作戦で、これは有効だろう。イラクやアフガニスタンみたいにする。強力な武装を持つ海軍艦船に正面から対抗するのではなく、多数の海上民兵組織で、機動力を活かしたミサイル攻撃や機雷&魚雷攻撃を仕掛けるなど、将に海上ゲリラ戦を想定している。無人航空機や無人潜水艦も幅広く利用するだろう。これらは古い作戦のように感ずるかもしれないが、北東アジアで稼働している中国版GPS「北斗」や衛星通信ネットワークを最大限利用するので、彼らの表現によれば「蜂のような数的圧倒戦術」や「雀のような集散離合戦術」を展開される。
海上自衛隊の主要な艦船には、一体何人の隊員が乗船しているのか? 海上民兵の不意打ち攻撃で、何隻かの護衛艦が撃沈される事になると犠牲の規模は? 今の海上自衛隊員の予備は希少なので、海上ゲリラ戦が有効に推移すると護衛艦はあれど隊員がいないと言う事態も想定される。明確に軍事的脅威とは映らない艦船による組織的な不意打ちは、限定的な防衛力しかない、特に海上部隊には効果があるだろう。中国としては横須賀と呉を何とか機能不全にすれば、対日戦においては成功と言える。

中国が本格的な戦争状態に至った時、直ちに米国のGPS衛星と通信衛星システムを破壊するべく攻撃を行うだろう。米軍はGPSと通信衛星に依存しているので、これはこうか絶大。まあ、米軍もGPSなしので軍事作戦が行えるようにDARPAがプロジェクトを進めているが、間に合うか? 極めて微小なジャイロコンパスも開発されており、意外と民間ビジネスでの展開可能性があるかも知れない。古くて新しい航法・・・。
それと、中国のA2AD戦略は、数百発の巡航ミサイルや戦術弾道ミサイルの一斉攻撃で、在日米軍と航空自衛隊や海上自衛隊の基地を破壊して制空権&制海権を奪うことを目指すだろう。勿論、沖縄の嘉手納は最大のターゲットだ。

中国の戦術に対するには、航空自衛隊基地の防護力強化しか手はない。戦闘機や輸送機などを完全に防護可能な地上&地下格納庫を作り、滑走路の修復を迅速に行える装備と体制が必要だ。小松のような軍民共用の基地は、攻撃に脆弱なので、早期に新たな基地開発が必要。佐渡ヶ島などに代替基地を作るものよいだろう。
海上自衛隊の基地も分散化が必要。特に潜水艦基地の新設が必要。基地建設には様々な要素はあるだろうが、小笠原や石垣などへの基地建設を行うべき。石垣は、作戦行動に柔軟性を与えるだろうし、小笠原においては、A2AD戦略への生存性を向上させるだろう。財政的には厳しいと言われるが、国防力の整備と経済・金融政策は同期しなくてはならない。

いずれにせよトシ・ヨシハラ教授の論文の指摘は傾聴に値する。


イスラエル国防軍が特殊部隊の統合部隊を新編

2015年12月29日 | 雑感
イスラエル国防軍が、コマンドを統合した部隊を新編した。
この統合コマンド部隊は、下記4つの部隊から編成される。

(1)長距離偵察部隊のマグラン(maghlan)
(2)ヨルダン川西岸の対テロ経験が豊富なドゥヴデヴァン(doufdoufan)
(3)ギバティ旅団の偵察部隊リモン(rimon)
(4)ゴラニ旅団の遊撃部隊エゴズ(ighouz)

最後のゴラニ旅団・エゴズ部隊は、レバノン、シリアでの遊撃戦で実績を重ねてきた部隊である。

因みに12月19日夜のシリア領内ダマスカスでヒズボラ幹部サミール・クンタール氏(53)がイスラエル空軍機の空爆で暗殺されたが、これはマグランとエゴズ部隊の共同作戦である。
マグランは、ミサイル、長距離ロケットなどを捜索し、破壊する察隊で、空軍機が投下するレーザー誘導爆弾を誘導する任務をこなす。
今では、UAV(無人偵察機)からの攻撃だと、周囲の人間の殺傷を最小にしてターゲットを殺害することが可能。

さて、今回の部隊再編の情報はイスラエル国防省のIMDO (Israel Missile Defense Organization) のYair Ramati氏の私物PCが盗難されてアラブに漏洩した情報がその発信源である。彼は更迭された。

イスラエルは、ゴラン高原のシリア側で活動するイスラム国傘下の武装組織が活動を活発化しており、イスラエル軍は、テロ攻撃の抑止に向けた作戦を準備中。
特にベドウィンへのイスラム国の浸透が著しいく警戒を強めている。

イラク北部の動向~ISの退潮、イタリア軍派兵、トルコ軍撤収、クルドへの軍事援助~

2015年12月28日 | 雑感
イラク北部の動きが激しくなってきた。
ラマディをイラク軍がほぼ制圧。イスラム共和国軍の残兵との銃撃戦もあるようだが、完全制圧まで時間はかからないだろう。有志連合軍の空爆は、次の目標であるモスルに指向されている。
モスルの郊外には、イラク第二位のハディーサ・ダム(سد حديثة)がある。これが破壊されると地域の治安維持と軍事作戦に多大な支障がある。まあ、当然だ。
このダム防衛の為に、イタリアが派兵を決定した。イタリア陸軍主力1個大隊(450名)が派遣される。何故、イタリア軍なのか? ハディーサ・ダムを施工したのは、イタリアのトレビ社(Trevi S.p.A.)で、20億ドルの費用をかけてこのダムを修理・補修する。これをイタリア軍が警備・防衛の任務に就くのだ。トレビ社は、ミラノ株式市場に上場するトレビフィン(Trevi Finanziaria Industriale S.p.A.)の中核企業である。

アメリカは、イスラム共和国のイラク撤退を見据えて既に動き出している。
トルコに対しては、イラク領 Bashiqa に展開しているトルコ陸軍を撤収させるようイラクを通じて国連安保理に提示し、トルコはこれを受諾し部隊を引くこととなる。
アメリカは、イラクとシリア国境地帯でイスラム共和国の掃討作戦に従事している。今までの9000回を超える空爆で、イスラム共和国所属員数千名を殺害し、支配地域の40%を回復させている。特にイラクとシリアにおける石油資源の90%を破壊しており、重要な収入源を喪失しつつある。トルコは彼らから石油を買っているが、これもできなくなっている。
有志連合は、モスルに目標を定め、同市近郊のカラーマ工業地帯を空爆し、イスラム共和国の拠点を破壊。この拠点は、武器や弾薬などを集積する補給処であったが、今は完全に破壊されている。彼らには痛打となった。

また、カーター国防長官は、イラク北部視察に際して、当地クルド自治政府のマスード・バルザニ(Masoud Barzani)と会談し、クルド武装組織ペシュメルガ(peshmerga)2個旅団への武器供与で合意に達した。ペシュメルガ部隊は、今後モスル奪還で、有志連合と連携して侵攻作戦に従事する事になる。
クルドは、民族悲願の実質的な独立に向けて闘争を開始する。イスラム共和国が崩壊した後、シリア領内で民族自治領域を獲得する可能性が高い。これはトルコとの軍事衝突を誘発する。

トルコは、ロシアとの関係悪化でウクライナに接近しているが、これは結局クルドとロシアの提携となり、トルコには逆に効果する。ロシアは、アサド政権を維持しつつ、反体制派をクルドを中心に再編する事もありうるだろう。
ロシアは、対トルコで「アルメニア・カード」を切っている。クルドとアルメニアでトルコは大いに悩まされるだろう。
既に12月23日、イスタンブールのサビハ・ギョクチェン空港駐機場で爆発事件が起きている。これはクルドPKKの武装組織の一派であるTAKが声明を発表している。

リニア・鉄道館に行ってきました~

2015年12月23日 | 雑感
                                                                                                                                                                                                                                                                

東京丸の内 ベンチアート2015~澤穂希、五郎丸渉など~

2015年12月23日 | 雑感

恒例となった丸の内のベンチアート。
今年、引退した澤穂希
          
坂上忍
          
夏目漱石
          
徳川家康
         
テリー伊藤
          
五郎丸渉
            
高田純次
            
ジョサイア・コンドル
              

※過去ブログ:
デズニークリスマスアートオブジェクト2014

テスラに試乗 ~増補版~追加増補版

2015年12月15日 | 雑感
電気自動車『テスラ』に試乗。
テスラは5人乗りではなく、実は7人乗りでした~
                                    
テスラのスケルトンを下記↓に。
          
東京国際フォーラムで撮影したテスラ↓
                            

ロシア軍のシリア展開とイスラエル領空侵犯

2015年12月01日 | 雑感
11月29日、イスラエルのモシェ・ヤーロン国防大臣が、イスラエルの管理下にある空域にロシア機が約1.6km侵入したとし、深刻な懸念を表明している。ロシア機は、警告を受け速やかに退去。ヤーロン大臣は、ロシアパイロットのミスとしている。しかし、今イスラエル軍が展開するゴラン高原はシリア領で不法占拠していいるのはイスラエルだ。
イスラエルは、フランス、ロシア、アメリカによる対IS戦には不介入を貫くだろうが、シリアに展開するロシア軍がイスラエル軍の行動を制限する。今までイスラエル空軍はシリア領空に不法侵入し、ヒズボラなどの対抗勢力の根拠地を空爆してきたが、これが難しくなる。シリア領内のロシア軍の存在が阻害要因となる。既にロシア軍はシリアにおいて2か所目となる空軍基地をHoms郊外のShayratに展開している。またロシア軍の地上部隊の前線基地は4か所に増えているし、ロシアの防空システムがシリア国内で本格的に稼働するとイスラエル空軍は従来のように自由に行動する事には危険が伴う事となる。

プーチン大統領は、速やかに反応した。翌日30日には、イスラエルのネタニヤフ首相とシリアでの両軍の意図せざる衝突が起きる事態を回避する為の措置を取る事に同意している。これによりシリア領内のロシア軍とイスラエル軍の間に直接の通信回線が開設され、情勢の共有化が図れる事となる。

何れにせよシリア駐留のロシア軍とイスラエル軍の軍事的な衝突を回避する事は難しいだろう。これが中東における大戦争に拡大する。既にトルコによるロシア軍機の撃墜は、ワシントンの承認の上実施されたとの情報もある。シリア政府軍は失地を回復しつつあり、ロシアはエジプトも巻き込もうと画策中だ。第四次中東戦争ではないが、シリアとエジプトによるイスラエル包囲&攻撃が予期される。