阿部ブログ

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シリア内戦終息に伴う各国の動き〜トランプ政権が新たな中東和平に動き出す

2019年02月08日 | 雑感
シリア内戦が終息する中、焦点がクルド人とシリア・レバノンのイラン武装勢力の動静に移りつつある。トルコは、シリア東部への侵攻を諦めていない。一時は、シリアからの撤退を発表した米国だがこれは撤回される。事実、米軍はクルド武装勢力を支援しており部隊は撤退していない。

既に各国は、シリア内戦後に向けて動き出している。ロシアは、特使と外務副大臣をイスラエルに派遣し、ネタニヤフ首相と会談。シリア国内のイラン武装勢力に就いて今後の対応を協議した。イスラエル軍は、シリア国内のイラン武装勢力を排除することは不可能との判断で、これはロシアの役割との認識。それとシリア領空内でのイスラエル軍機とロシア軍機の攻撃抑止を確認、同時に相互に作戦行動の連絡手段と方法を確認した。因みにロシアがシリア国内に配備していえるS300ミサイルの衛星写真が公開されているが、3基は発射可能な臨戦態勢にある。片やイランの副大統領は、2月6日、シリアを訪問し内戦後の再建や対イスラエルへの防衛支援についてアサド大統領と協議している。イランの道路・都市建設大臣らは、イラン西部のケルマンシャーからシリア東部をつなぐ高速道路の建設開始式に出席。シリアへのアクセス能力を高める計画で、シリア国内では、新生シリア軍の兵士のリクルートをイラン革命隊が行っている。さて、シリアのジャファリ国連大使は、イスラエルがこのままシリア空爆を継続するなら、ベングリオン国際空港に攻撃を加えると警告。シリアのモアレム外相は、イランを訪問しイラン最高安全保障理事会のアリ・シャムカニと会談。今後のシリア軍再建に就いて意見交換し、イスラエルのシリア空爆に対する反撃について協議した。
レバノン情勢も無視できない。イスラエルのリブリン大統領がフランス訪問の際、マクロン大統領との会談で、レバノン国内のヒズボラがイラン製の中距離ミサイルなど最新鋭の兵器を導入すれば攻撃すると発言し、レバノンへの影響力があるフランスに抑止を期待感をしめした。マクロン大統領は2月にレバノンを訪問し、イスラエルの意思を伝える意向だ。

そして、2019年4月にイスラエルで総選挙後が行われる。イランは、ロシア並にイスラエルの選挙に介入しようと、フェイスブックやツイッターなどSNSの偽アカウントで、イスラエル国内を分裂させる情報発信や偽情報、ニセの画像などを流している。イスラエル軍の8200部隊がサイバー防衛するが、逆にイランのサイバー戦部隊への攻撃が行われる。そして、トランプ大統領が再選を目指して、新たな中東和平を打ち出すだろう。この和平案は、既に娘婿のクシュナーが作成済みである。クシュナーは、最高機密情報へのアクセス権を失っているが、必要な情報はイスラエルが提供している。当然、イスラエルが望む中東和平案である。クシュナーは、米大統領上級顧問として2月14日、ポーランド・ワルシャワで開催される「中東の平和と安全保障会議」に出席する。

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