阿部ブログ

日々思うこと

トリウム熔融塩炉を考える会 呼びかけ人

2011年10月29日 | 日記

武蔵学園学園長(元東京大学総長) 有馬朗人
元東北大学総長・元日本原子力産業協会会長 西澤潤一
元東海大学 開発技術研究所教授 古川和男
九州産業大学名誉教授 網本義弘
九州大学工学研究院量子工学部門教授 松村晶
北海道大学大学院 工学研究科教授 佐藤正知
東京工業大学 原子炉工学研究所 所長 有富 正憲
京都大学 原子炉実験所教授 宇根崎博信
東北大学教授 佐藤譲
元東京電力 原子力開発研究所副所長 石井陽一郎
東京工業大学 原子炉工学研究所 教授 二ノ方濤
福井大学国際原子力工学研究所教授 島津陽一郎
東京大学名誉教授 石野栞
横浜国立大学教授 大田健一郎
関西大学科学生命工学教授 竹中俊英
北海道大学大学院工学研究科教授 板垣正文
豊橋科学技術大学名誉教授 三田地宏史
キャノングローバル戦略研究所理事 湯原哲夫
京都大学名誉教授 伊藤靖彦
日本財団特別顧問 日下公人
九州大学総合理工学研究科教授 田辺哲郎
神奈川県保険医師会 会長 池川明
京都大学原子炉実験所教授 森義治
京都大学大学院理学研究科教授 谷村吉隆
奈良佐保短気大学特任教授 岩瀬哲雄
東京工業大学原子炉研究科準教授 斉藤正樹
東京大学大学院工学系研究科教授 寺井隆幸
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 岩田修一
東北大学多元物質科学研究所 佐藤修彰
京都大学原子炉実験所教授 山名元
社団法人日本原子力産業協会理事 鳥井弘之
エネルギー総合研究所理事 松井一秋
福井大学原子力工学研究所特命教授 山脇道夫
京都大学原子炉実験所教授 中島建
東京工業大学原子力研究所助教授 松浦治明

高速増殖炉の誤解

2011年10月27日 | 日記
高速増殖炉と言う言葉は、人々に誤解を与えているのではないか? 
何故なら高速に核燃料を増殖する原子炉と理解してはいないか。この場合の「高速」の意味は核分裂で発生する中性子を軽水炉などのように減速させず、高速のままウラン238にぶつけてプルトニウム239に核変換させるので“高速”という単語が用いられている。つまり高速に核燃料が増殖する意味での高速ではない。

昨日、高速増殖炉「もんじゅ」の開発に携わった東京大学特任教授であり、財団法人キャノングローバル戦略研究所理事の湯原氏から高速増殖炉におけるプルトニウム(以下、Pu)の増殖比をお聞きする事が出来た。答えは1.2であるとの事。
この増殖比1.2に基づいて原子炉倍増時間が計算できる。
原子炉倍増時間とは、高速増殖炉を動かす為に、最初に炉心に入れた燃料が倍になる時間の事で、増殖比が1.2と言う事は毎年20%の燃料が増加するので、単純に5年で倍になりそうだが、机上での計算と現実とは大きく乖離している。

実際の高速増殖炉には1年で消費されるPuの8~9倍を装荷する必要があるので、原子炉倍増時間は、Puの初期装荷量を1年で増えるPuの増加量で割ると求められる。つまり原子炉倍増時間は、40年~45年である。
また、高速増殖炉の初期装荷燃料とは別に1炉心分のPuを準備する必要がある。これは最初の段階で取換え燃料を用意しておかないと1燃料サイクルが終わった後の取替え間に合わない。これは高速増殖炉から取り出されたPuを再利用可能にする為には再処理が必要な為。

この再処理にしても通常の軽水炉からの使用済み核燃料の再処理とは違い、Puが濃縮され強力な放射能を発する為、高速増殖炉の再処理は技術的にも従来には無い困難が伴う。また再処理過程におけるPuのロスも考慮しなくてはならない。更にはPu239だけが生成する訳ではなく、様々なPu同位体も生成する。現在Puの同位体は15存在する事が確認されているが、そのうち半減期14年のPu241の崩壊による核分裂性Puの減少も計算に入れる必要がある。
因みにPu240のような偶数番の同位体は核分裂しないPuであり、核兵器用途のPuや高速増殖炉の燃料については偶数番のPuを如何に少なくするかが重要なポイントとなっている。

上記を考慮すると、現実的な原子炉倍増時間は80年~100年と言わているが、「もんじゅ」のようなナトリウムを冷却材とする高速増殖炉の場合の増殖比は、実測値1.16であると言う。(原子炉倍増時間は50年~56年に延びる)
仮に原子炉の寿命を30年とすると1基の高速増殖炉だけでは燃料を倍増する前に廃炉となる為、複数の増殖炉と再処理施設が必要となるが、1997年に稼働する予定の六ヶ所村再処理施設は現在も稼働の目途がたっていないのは衆知の事実で、実質的に我が国が目指す核燃料サイクルは破綻している言えるが、今後は「高速増殖炉」ではなく「高速炉」と正しく表記するべきである。

日本トリウム協議会の設立が宣言された

2011年10月25日 | 日記

10月25日(火)大井町の「きゅりあん」と言う愛称で知られる品川区立総合区民会館で「トリウム熔融塩炉を考える会」が開催された。

基調講演は、財団法人キャノングローバル戦略研究所理事の湯原氏が「3.11以後の新しい原子力の潮流」と題して講演され、ついで齢85歳である古川和男氏が「トリウム熔融塩炉の歴史と新しい役割」で話をされた。
古川和男氏は、株式会社トリウムテックソリューション代表取締役であり、長年にわたりトリウム溶融塩炉の研究に携わってこられた方である。
但し、この古川氏の存在そのものがトリウム原子力の我が国における研究開発の最大の障害であった事も、これまたまた事実である。

休憩を挟んで「チェコの持つ熔融塩関連要素技術」と題してチェコ原子力研究所・チーフサイエンテストであるミロスラフ・ローン氏が講演し、引き続き「トリウム熔融塩原子炉のループ技術の開発」でチェコEVM社の代表取締役オルドリッヂ・マタール氏が講演した。
最後は「トリウム原子力の国際動向-熔融塩炉を中心として」財団法人電力中央研究所・原子力技術研究所特別嘱託である 木下幹康氏が講演し、閉会の挨拶は古川和夫氏の実弟である「トリウム熔融塩炉を考える会」事務局代表・古川雅章氏が行った。
この挨拶の中で「トリウム熔融塩炉を考える会」の活動をさらに発展強化する為、「日本トリウム協議会」を設立する旨の宣言を行い、会場参加者はその賛意を拍手で示した。また「日本トリウム協議会」の初イベントは来年3月15日に開催されるとも発言されていた。この古川雅章氏であるが、昨日26日、渋谷駅で携帯電話で話をする姿が目撃されている。「これから会議があるんだ云々~」。

この「トリウム溶融塩炉を考える会」であるが、開始時間が30分以上遅れ、さらにはプロジェクターは準備されているものの、肝心のPCが準備されていないと言う、まあ、こんな間抜けな事務局は、世界広しと雖もこの考える会だけだろう。次回の協議会設立のシンポジウムでは、手抜かりの無いようお願いしたいものだ。。。

それと最後。

冒頭に㈱ボルテックス代表取締役・渡部博興氏が、元東京大学総長で現在は武蔵学園学園長である有馬朗人氏のメッセージを読み上げたが、これを掲載する。

『人々に原子エネルギーが受け入れられるとすれば、厳しい条件があります。それは過酷な事故が起きてしまっても放射能の放出は無く放射性廃棄物の発生量(最終残存量)が最小限でエネルギーが低コストで発生できてエネルギー発生手段として持続性のあるものが求められます。

現在、原子力の最大の課題として、推進するも、反対し廃絶するにも、後始末と言う共通の課題があります。
それは放射能であり、放射性廃棄物です。

具体的には、残されている放射能、すなわち溜まっている使用済み燃料の始末であり福島第一原発の事故で炉心が溶けてしまった原子炉の廃棄(廃炉)です。

廃炉で出てくる多量の使用済み燃料の始末は、現実のテーマとして切羽詰まった課題です。特に前者では、溜まってしまったプルトニウム、すなわち核兵器への転用が可能な、余剰なプルトニウムの始末があります。
特に、現在の原子力発電を廃絶するべきであると主張する方々は、廃炉の処理をどうするかをまず実行に移す方策を決めて頂きたいと思います。その中でも特に放射性廃棄物の処理所を決めなければなりません。

ところで、トリウム溶融塩炉はこれらの技術を、いま、ここで役に立つ具体的な形にすること。ここは、日本の残された技術が、国内で生かされる唯一の場です。この国の中で、放射性廃棄物の処理と言う緊急のニーズがあります。この「緊急に求められている後始末の仕事」で、人も育つし、原子力に関わってきた多くの人達の職場も維持されます。また、現在の原子力発電を続けていった場合、以上の問題以外にウラニューム235の涸渇に対処しなければなりません。

その時代にトリウムは重要なエネルギー資源ですから、今のうちに研究しておくべきです。

2011年10月5日』

日本電産 と SRモーター

2011年10月21日 | 日記
最近、京都方面に出かける事が多いが、新幹線から見ると日本電産のビルが聳え建っている。ここの社員は社長の影響もあり土日も働く事で有名だが、この日本電産がレアアースを一切使わないSRモーターの開発を加速させている。
この為、川崎に「モーター基礎技術研究所」を新設し10月に着工した。また日本電産はSRモーター製造工場を建造する予定で2012年7月にⅠ期棟を、2014年7月にはⅡ期棟を稼働させる計画。
この背景には、電動化による省エネが広がる中、エネルギー効率が高いことや、価格が高騰するレアアースが不要なこともあり、引き合いが急増している事がある。

SRモーターは、Switched Reluctanceの略で、騒音や振動などまだまだ改善課題を抱えているが、低コストで大量生産に向く、このモーターを日本電産では、コントロール回路などを改善することで振動問題などをクリアできる見通しで、2012年から重機関連、2013年から農業用トラクター向けに量産を開始し、将来は電気自動車向けにも提供できるクォリティを持つSRモーターを開発販売する方針。

矢野経済研究所によると、小型モータの2011年度世界市場規模は104億7241万個の見込みとし、「省エネ・環境ニーズ」の高まりから小型モーターに適用分野が拡大すると予測している。また小型モータの世界市場は2012年度以降もプラスで推移し、2013年には123億4943万個に達すると予測している。背景には新興途上国の経済発展を背景にした民生機器や家電製品の需要拡大が小型モータの出荷増に結びつくとしている。更に新規分野として電動化(省エネ)により油圧シリンダやエアシリンダなどが電動シリンダへの置換えが期待されるとも指摘する。

日本電産は、小型モーター分野、特にハードディスクでは世界市場の80%を占める最有力企業であるが、アップルのMAcAirやインテルのウルトラブックなど軽量化するPC、及びiPadなどスマートデバイスの市場が拡大すると、ハードディスクを使わないデバイスが増るので、2011年3月期に示された成長戦略に狂いが生じる可能性があると考えている。但し同社及びグループ会社の多角化、新興市場の開拓、モーターの新規分野展開などが順調に推移するだろう事から影響は少ないとも考えるが、まあ、最大の影響はやはり世界的なインフレ襲来だろう。


社会保険庁のシステムとNTTデータにみる政府系システムの無駄~やはり全体最適化が避けて通れない~

2011年10月20日 | 日記

社会保険庁の基幹システムである「社会保険(記録管理)オンラインシステム」の本番系と開発系は、NTTデータの三鷹市下連雀にあるセンターで運用管理されている。因みに開発系は地下1階にある。

社会保険庁のシステムは、マルチベンダ方式で調達されており、オンライ系は富士通(GS8000×11台)、バッチ系は日立製作所のMP5800×3台、配信系はNECのACOS×2台で構成されている。

以前のシステムは電電公社が開発したOSであるDIPSで稼働していたが、システム更改の際にマルチベンダ方式の調達となり、プライムがNTTデータ、その配下で富士通、日立、NECがそれぞれ開発を担当する事となった。
(DIPS自体は良いOSだったと思う。)

最終的にDIPSの火は社会保険庁のシステムを最後として消える事となった。(お疲れ様でした~)

DIPS時代から、現在のシステムまで延べ1兆3000億以上の巨費がこのシステム開発と運用に投じてきたと言われるが、5000万件以上の宙に浮いた名寄せデータが10年に渡り放置されてきたのは社会保険庁の無能さは勿論、NTTデータの責任も極めて大きく、かつ重大である。

政府のITガバナンスを強化する為にも、遅ればせながらNTTデータにメスを入れるべきであり、個人的には天下りは必要悪で取り立てて止めろ~とは言わないが、過去から現在に至る経緯・背景を調査し、必要な改革・改善を施す必要がある。
そして本当に社会保険庁のシステムが単独で必要か?との検証の是非とも必要。

基本的に社会保険のオンラインサービスの提供は、お役所なので基本9時~17時で、バッチ処理とバックアップを含めても繁忙期を除けば22時には終了しシャットダウンされる。つまり翌朝7時まではシステムは動いていないのだ。
クラウドコンピューティングとか言われている時代に、これは明らかに無駄だ。

今後税収が増える事は考えにくく、国家財政の自由度が急速に失われている中で、増税はやむ終えないのだろうが、しかし政府自体の無駄の排除も必須であり、やはり政府のIT全体最適は避けて通れない。

その中でもNTTデータが担う政府系システム、社会保険もそうだが、特に国税総合管理システム(一般にはKSKシステム)と呼ばれる国税庁の基幹システムにも大々的にメスを入れる時が来ている。
KSKシステムは文祥堂と言う銀座の文房具屋さんがプライムになっており、その裏には日本IBMの存在が取りざたされているが、勿論、NTTデータも勿論一枚かんでいる。(KSKシステムは陸上自衛隊・朝霞駐屯地に隣接する国税庁事務管理センターにある。)

まあ、でもメスを入れるとは言っても日本人では難しいだろうから外国から政府CIOを招聘し、その配下には元官僚の皆さん、例えば佐藤優氏や高橋洋一氏、それと9月26日付で経産省を退職した当方期待の古賀茂明氏などを配置するのが良いのではないか。まあ彼らの能力からするとIT系以外でも破壊と創造をお願いしたいものだ~

でも民主党政権ではこの手の改革はやる能力が本当に無いないので、どうせ次の選挙で民主党が大敗して、またまた政権交代となった時に、大いに活躍して頂こう。
それまで臥龍。沈思黙考で政策構想を練ろう。

放射能汚染された地域の除染をどうするのか?

2011年10月20日 | 日記
放射能に汚染された土壌の除染が大きな問題だ。

福島第1原発から10Km以内の警戒区域内では、特に西方約3Kmの大熊町小入野周辺では508ミリシーベルトと言う数値が検出されており、大熊町以外でも100ミリシーベルト超の地域があるが、このような高い数値が検出されている地域においては、一般的な除染だけだと20ミリシーベルト以下になるには10年以上かかると推測されている。

環境省によると、年間5ミリシーベルト以上の地域については国の責任で除染する方針を打ち出しているが、表土5cmの深さまではぎ取ることになると、はぎ取られた土壌の量たるや膨大なものとなるのは必然。
例えば福島県の場合、単純に縦横それぞれ3キロメートル、深さ10メートル、容積9000万立法メートルという巨大な廃棄場が必要という試算がなされているが、これは大変な量だ。

さて現在の土壌の線量が現在50ミリシーベルトと言う場所で除染を行わないままだと、20ミリシーベルト以下となるまでには、約4年かかるものとみられているが、本当だろうか?

福島以後、わが国でも初めて信頼できる除染データが公表された。
農業・食品産業総合研究機構(農研機構)が飯館村で農地の除染テストを行った。
セシウム137(半減期30年)の濃度が1kg当たり1万370ベクレル、空間線量が1時間当たり7.14マイクロシーベルトの場所で、表面の土を4センチ削り取っただけで濃度は75%減の同2599ベクレルとなり、線量も同3.39マイクロシーベルトに下がっている。

表土を剥離する以外には、表面から2センチほどを固化剤で固化した場合の計測もなされている。個化の場合だとセシウムの濃度は1kg当たり9090ベクレルから82%減の同1671ベクレルになり、空間線量も1時間当たり7.76マイクロシーベルトが同3.57マイクロシーベルトになっている。

また森林などでは、単純に地上に積った落ち葉を除去するだけでも放射線量を2分の1にできるとされているので、森林内の落ち葉の除去が推奨されるし、即実行が必要。

だが、除染の最大の課題は、山野の落ち葉や一般ゴミを焼却する際に発生する焼却灰、それと除染された地域の側溝などからの回収土もこれに含まれるが、この扱いが厄介。だが環境省は1kg当たり10万ベクレル超の高汚染の焼却灰については、何ら処置方法は定められていないので、これをどうするのだろうか?

福島では14万ベクレルという高度に汚染された焼却灰が排出さ続けているし、側溝泥だと会津若松で1kg当たり23万7000ベクレルという恐ろしい数値が出ている。関東圏だと松戸市のクリーンセンターの焼却灰からは1kg当たり4万7400ベクレルが検出されている。

東北は勿論、関東圏も含めた広域での本当は除染が必要だが、福島が優先され、その他の地域は手つかずのまま放置されるのは、明らかでこれはチェルノブイリ以上の壮大な社会実験というべきだが、これは一種の鎖国に近い状況が醸し出されているような感じがする。

今は東北・関東だが、今度は西日本で何か起きると、これは本格的な鎖国状態となる。世界経済も本格的な乱調、混乱状態に陥る事になると、これは恩寵かも知れない。

インテルのウルトラブック ~東芝のdynabook~

2011年10月19日 | 日記
今日、インテルのUltrabook™(ウルトラブックはインテルコーポレーションの商標または登録商標)に基づき製品開発された東芝の「dynabook」の実機に触れる機会があった。

確かにインテルが言うように究極のパーソナルコンピューティングを目指す「Ultrabook™」と言うだけあってMacAir並みに薄く軽量であり、OSの起動も従来のPCとは格段の違いを体感出来た。
「dynabook」のフロント部分で約8.3mm、CPUの排熱部が最厚部だが、それでも15.9mmである。重さ1.12kgで世界最薄・最軽量である。
また見た目も美しいし、ハニカムリブ(蜂の巣)構造を採用しており薄いが、しかし堅牢性は高そうだ。

世界最薄の「dynabook R631」は、当然のことながら最新のインテル® Core™ i5-2467Mプロセッサーと、SSDメモリ128GBを搭載し、OS起動時間を短縮する為、BIOS処理とプログラムの読み込みを最適化し東芝が独自に開発した高速スタート機能も実装している。

インテルのUltrabook(ウルトラブック)は、同社営業によると当然インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーのCPUを使用したノートPCで、薄さ21mm以下、OSが迅速に立ち上がり電池も継続利用した場合でも5時間以上持つこと。及び主要価格帯が1,000 ドル以下であることなど要求しており、東芝の他、レノボ、エイサー、ASUSなど4社が年内発売で、東芝のdynabookの価格は15万円代との事。

Ultrabook™は、iPadなどスマートデバイスは気にしていないと営業は言うが、実機を触ってみると、これは有力な対抗勢力になりうると感じた。iPadだとどうしてもビジネスユースで必要となる入力系に難があり、現実的にはノートPCの代替とはなりえない。

今後のインテルの計画は、2012年前半にタブレット機器向けに厚さ 9mm、重さ約 680 グラム以下の設計を可能にする製品を出荷するとしており、OSはWindows以外にも、Android、MeeGo などにも対応すると言う。
それと次世代CPUは、チップセットをCPUチップ内に内臓するとも発言しており、こうなると更に薄く、かつ高速処理が可能となるのは必然だ。

まあ、こうなると個人的にもノートPCは「Ultrabook」にしたいと考えている。iPadはiPadで良いデバイスなのだが。。。

醤油は 「かめびし」 が最高!

2011年10月15日 | 日記
醤油の味は麹で決まると言うが、昔ながらの「むしろ麹」で醤油を作っている、今では日本唯一となった「株式会社かめびし」。
「かめびし」は香川県東かがわ市にあり、創業は宝暦3年(1753年)の老舗。

「むしろ麹」製法とは、「むしろ」に蒸した大豆、炒って砕いた小麦、そして麹菌を「むしろ」に広げ、麹を育てる製法で、出来上がった麹は塩水と一緒に樽に仕込まれ、深いコクとふくよか&まろやかな旨味のある絶品醤油ができあがる。
勿論「むしろ麹」製法は大量生産になじまないので、ほとんどがすたれ、残ったのが「かめびし」と言う訳だ。

醤油の味を決めるのは、一に麹、二に櫂(かい)、三に火入れの3つ。これが決め手。
かめびしでは、蔵癖(くらぐせ)で諸味(もろみ)を熟成させる。かめびしの蔵には230種類もの酵母菌が棲みついていると言われ、これが独特の風味を醸し出す肝で、しかも100年以上の醸造蔵の杉桶に仕込み、2年、3年、5年、10年と長い時間と手間をかけた果てに、かめびしの絶品醤油ができあがる。

「かめびし」の濃口醤油は、仕込みから丸々2年以上熟成させ、その間幾度となく櫂入れを繰り返し、諸味に磨きをかける。
仕込みは10月初めから翌年5月にかけて行われ、純国産の大豆と炒って挽いた小麦に「こうじ菌」添加し、むしろこうじ室のわらで編んだむしろの上に広げる。この工程には4日をかけ「こうじ菌」を増殖・繁殖させる。
この「盛込み」と言われる作業は、8人がかりで何時間もかかるという大変な重労働を伴うと言う。
5日目から7日目には「こうじ」をほぐす作業を行う。これは「こうじ菌」の増殖を促進させる為の作業。この作業はむしろから「こうじ菌」をたたき落とし、再度「盛込み」を繰り返す。これを「手入れ」と言う。

「かめびし」の醸造蔵は、常に27℃~32℃に保たたれているが、エアコンは使用していない。あくまでも醸造蔵の各所にある窓の開け閉めでコントロールしている。但し、仕込みの最初の2日間は24時間体制で温度の微調整を、輪番で温度管理をするという。これは徹底している。この手間は大変なものだ。

「盛込み」が終わると「かめびし」の「もろみ」には、塩と水が混ぜられ「もろみ蔵」で更なる熟成の時を経る。
熟成開始当初は、毎日攪拌し、1年経つと2~3週間に1回程度の攪拌となる。これ以外は一切手を加えないで、寝る子は育つを地で行くが如くただひたすら時の経過をまつが、「かめびし」では10年以上寝かしてある「もろみ」もあり、最長では20年にもなると言う。

「かめびし」の醤油は、自然が作り織りなす芸術品だ。本物を知ってしまったからには醤油は「かめびし」これ一筋。

ガリガリ君

2011年10月12日 | 日記
今、親会社に出向中でありますが、そこの部長さんが、8月の夏の暑い盛りに「ガリガリ君」を10本程買ってきて、比較的部長席に近い部下に配って興に入っている。

このガリガリ君だが、電車広告によると1981年生まれらしい。つまり30歳。

成程、部長さんも当時は若かった訳だ。

勝手な推測だと20代後半と思われるが、当時は繊維関連の営業をしていた筈。

夏もお客さんの所に足蹴く通っていたのだろうし、暑いさなかアイスクリームは可也魅力的だ。

このガリガリ君には、「ガリ子ちゃん」とか「シャリシャリ君」とか仲間らしいのがいるが、ガリガリ君のHPによると~

ガリガリ君は小学生で埼玉県深谷市に住んでいるとの事。クレヨン・シンちゃんは春日部だったな。近いのかな?

最大のポイントは、ガリガリ君は変身する。彼は変身すると先の「シャリシャリ君」になるようだ。

なんだか「ピカチュー」が大きくなると「ライチュー」になるのと同じ感じか?

それとホームページには「マル秘」映像集があり! ⇒ 部長、これは必見ですよ~

でも、部長、幸せなサラリーマン人生でしたね。こんな歴史のある会社で、子会社にだされる事もなく、今年4月に理事となり最後までいれるなんて~

便秘 と ヨモギ と 硝石 (硝酸カリウム)

2011年10月10日 | 日記
透き通るほどに白い肌の女の人を見ると、即座にこの子は便秘だなと思ってしまう。
特に死人のように白い肌の女(ひと)だと、その便秘たるや強烈なんだろうな~と。

厚化粧で地肌がよく見えなくとも、足を見れば分かる。例えヒールシームの入った黒いフェラガモのストッキングに隠れていようが、自信はある。

でも便秘は良くない。特にお肌に良くない。

自分は、強烈な便秘は肌を白くすると勝手に思い込んでいるし、便秘の人は逆説的ではあるが、太らないのだとも思っている。
これは人体の不思議と言うべきものだが、根拠があるわけでは無い。
ただの経験則だ。

今はもう「セクハラ」だの「パワハラ」だの言われるので聞かないが、以前は肌の白い女性と、ほんのちょっとだけ親しくなると絶対にこう聞いていた。
「俺はこう信じている。便秘は肌を白くすると。失礼だろうが便秘だよね~」。(まあ、嫌な奴だ)

だが、意外な事に怒りを買うことは余りなかった。逆に便秘を改善する良い方法を知らないか?と聞かれることの方が多かった。
そこでこう答える。

「ヨモギと運動。運動は「H」が最高でヨモギの次に効果あり。但し好きな人とのHに限る」と。(やはり愛(LOVE)は大切)

※因みにLOVEは「ルナティーク・オーガズム・ヴァイオレンス・エナジー」の頭文字を取った物だという説(?)があるが、
 女性は月の28日周期に影響されているので、まんざら根拠の無い話ではなさそう~と思っている。

ヨモギは便秘に良いとは田舎で聞いた事だ。

何でもヨモギには、腸内洗浄の2大栄養素である「食物繊維」と「クロロフィル」を豊富に含んでおり、葉っぱにはシオネールと言う血液の流れを良くし、冷え性を改善する効果のある物質も含まれていると言う。

このヨモギの粉末をお湯に溶かして摂取するのが、一番効果的だと思う。極力微粉末にした方が飲みやすい。
ここで重要なのはヨモギ全体を粉末にする事。葉っぱも根っこも全部。
ヨモギ全体を体内に取り込む事により便秘は改善されると(勝手に)信じている。

お茶やヨモギ酒、ヨモギ風呂などは間接的で効果は無いのは自明のような気がするが~

それと雑学的だが、ヨモギの根は、爆薬の原料となる硝酸を2000ppm程度含有している。
爆薬、この場合は黒色火薬だが、硝石(硝酸カリウム)と硫黄、それと黒炭を原料とするが、ヨモギの根に小便をかけ一定の温度で保存し発酵させると純度の高い硝石を作り出す事が出来る。これはヨモギの根球細菌のなせる技らしい。

ヨモギは便秘にも効くし、硝石も出来るし素晴らしい?

透き通るほど肌の白い女(ひと)は、是非、体内を浄化して体の内側から醸し出す美しさを手にして欲しい。

ペルーのカエル生ジュースと、カクテル「マタドール」 そして「マタドール・ジャパン」

2011年10月09日 | 日記
ペルーには「マカ」と言う有名な精力増強剤があるが、これとは別にと言うか、ペルーの一般民衆も簡単に入手可能な生き物を生きたままジュースにする「ラナ・ジュース」と言われる飲み物がある。

この材料は生きた「カエル」で、これに白豆をベースにしたスープに、様々な秘伝のスパイスを加えてミキサーにかけて、漉すと完成する。

ペルーの「ラナ・ジュース」は、「マカ」と同じ精力増強剤であり、他にぜんそくや気管支炎などにも効果があると言う。

この「ラナ・ジュース」を粉末にしたものが存在する。これは所謂「ペルーのバイアグラ」。こりゃ確実に効くだろう。

さてこの「生カエルジュース」の粉末を使ったカクテルがある。

これはミキシンググラスにテキーラとパイナップル・ジュースを入れ、更にライム・ジュースを加えて「マタドール(Matador)」を作る。
これに「ラナ・ジュース」の粉末を大さじ2杯か3杯程度加え、バー・スプーンでかき混ぜた後、ストレーナーで氷が入らない様にしながらグラスに注ぐ。つまりステアする。(因みにStirとは、軽くかき混ぜること。)

出来たこのカクテルは「マタドール・ペルー」!

自己流の「マタドール・ペルー」の場合、「マタドール」にイオンで買ってきたアイスクリーム「ハーゲンダッツ」を入れて、ステイする。
このような何とも言えない不可思議な味を味わうのは、3連休の時とか。

連休中日の今日は「マタドール・ペルー」ならぬ「マタドール・ジャパン」に朝鮮、いや挑戦だ。
精力剤の役は、「カエル」ではなく「スッポン」~つまり「亀」。

昨日新橋で「スッポン粉末」を購入。これから近所のイオンで何時もの「ハーゲンダッツ」を買って「マタドール・ジャパン」を作る。
(いや、本当は「マタドール・チャイナ」なんだろうが、日本産のスッポンなので気にしない)

でも、昼間から「マタドール・ジャパン」とは、如何なものかとも思うが、飲み終わったら気合いを入れて、ハルバースタムの「朝鮮戦争」を読むぞー

高速増殖炉、正しくは高速炉である。

2011年10月08日 | 日記
高速増殖炉(Fast Breeder Reactor)と言う言葉は、人々に誤解を与えているのではないか? 
もしかして高速増殖炉を高速で核燃料を増殖する原子炉であると誤解してはいないか。

この場合の「高速」の意味は核分裂で発生する中性子を軽水炉などのように減速させず、高速のままウラン238にぶつけてプルトニウム239に核変換させるので“高速”という単語が用いられている。つまり高速で核燃料が増殖する意味での高速ではない。

高速増殖炉「もんじゅ」の開発に携わった技術者によると、プルトニウム(以下、Pu)の増殖比は1.2として設計されていると言う。このPuの増殖比から原子炉倍増時間が計算できる。
原子炉倍増時間とは、高速増殖炉を動かす為に、最初に炉心に入れた燃料が倍になる時間の事で、増殖比が1.2と言う事は毎年20%の燃料が増加するので単純に5年で倍になりそうだが、実際にPuが倍になる為に要する時間は、我々一般人が想像する時間感覚からは大きく乖離している。

高速増殖炉における原子炉倍増時間を算出する為には、炉心内部に装荷する燃料の総量を、1年で増えるPuの増加量で割る事により求められ、原子力委員会は「もんじゅ」の原子炉倍増時間を46年と算出している。但し「もんじゅ」の運用実績から最大でも増殖比は1.16である事が判明しているので、原子炉倍増時間は50年~56年と更に延びる事となる。

またウラン238が 全てPu239に変換する訳ではなく、同時に Pu240や Pu241などの同位体も生成される為、有効なPu239の増殖量は割引いて考える必要がある。この為、原子力関係者によれば現実的な原子炉倍増時間は約90年だとしている。

現在、ロシアや中国、インドが「高速炉」の開発を進めているが、これは決して「増殖炉」の開発ではない事に留意する必要がある。彼らが高速炉を開発する目的は、ウラン資源の有効活用にある。

自然界に存在する唯一の核分裂物質であるウラン235は、ウラン資源全体の0.7%しか存在せず、その他の大部分はウラン238が占める。可採埋蔵量が100年程度しかないウラン資源の有効活用の為には、おのずとウラン238の利用に目が向く事になる。つまりウラン238に高速中性子を当て核分裂性物質Pu239を生産する高速炉の実用化を目指しているのだ。

我が国は唯一の被爆国であり、核武装を是としない政治環境にあって、Pu239の生産を目的とする高速炉の開発を掲げる訳にはいかないのは理解できるが、「もんじゅ」における原子炉倍増時間が90年である現状では「超々低速増殖炉」と言わざるおえず、ここは正しく「高速炉」の開発と正しく表記されるべきであろう。

核武装 と トリウム溶融塩炉

2011年10月02日 | 日記
NHKの「“核”を求めた日本」(2010年10月放送)によると佐藤政権内部で核武装を検討するグループが形成され、当時の西ドイツ政府に秘密協議を申し入れていた。核武装検討グループは1970年代後半から1980年代の前半に核武装する計画を立案していたが、核武装するには核兵器の開発に止まらず運搬手段、精密誘導技術、核兵器管理運用体制、核専門人材の育成、防諜など情報管理、老巧した核兵器の廃棄(プルトニウムは恒常的にアルファ線を発し続け、10年ほど経つと軍事用途としての機能を果たさなくなる為、解体・廃棄が必要)など検討すればすると、当時の日本では核武装の技術的、コスト的&政治外交的なハードルが高いとの判断に至ったようだ。

しかし、我が国はまだ核武装を諦めていないだろう。
例えば宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打上げた月周回衛星「かぐや(SELENE)」を月の表面に制御落下(2009年6月11日午前3時25分、月の南緯65.5度、東経80.4度)させたが、見る人が見れば、これは核弾頭を誘導する技術の実証と写るし、また六ヶ所村の再処理施設についても、核兵器用金属プルトニウムの製造は可能だし、現在性能試験中の「もんじゅ」の燃料棒には「MIL-SPEC」のプルトニウムが存在する。

因みに六ヶ所村の再処理工場は世界で唯一、硝酸ウランと硝酸プルトニウムの混合溶液を電磁波加熱してウランとプルトニウムの混合酸化物を作る方式を採用している。
フランスのラアーグや英国ウィンズケールなどの再処理工場では、プルトニウム硝酸溶液に蓚酸を添加し、蓚酸プルトニウムの沈殿を生成し、これをろ過&乾燥してプルトニウム酸化物(PuO2)の微粉末をつくるが、硝酸プルトニウムさえあれば、後はこのプルトニウム硝酸に弗化水素を加えて三価フッ化プルトニウム(PuF3)を生成し、次に金属溶融還元を施すと核兵器用金属プルトニウムが得られる。

蛇足ながらトリウム溶融塩炉の実現を目指す私としては1点注意することがある。
通常の再処理プロセスで出来るプルトニウム化合物は全て4価である事。つまり溶融塩炉での燃料になりうるプルトニウムは3価でなくてはならないが、3価のプルトニウムは、上記のように核爆弾となる材料である点。

つまり、我が国においてトリウム燃料サイクルを実現する為には、六ヶ所村の再処理工場において、軍用転用が可能なプルトニウムの製造が必要なのだ。
現行の「ウラン=プルトニウム燃料サイクル」から「ウラン=プルトニウム=トリウム燃料サイクル」へ拡大転換の為には、核武装を目指す人達と連携するのが良いかも知れない。
核燃料サイクルの転換する為、また溶融塩炉による核廃棄物の減量処理を実現する為、国内の再処理工場にて三フッ化プルトニウムを製造し、溶融塩炉でトリウム&プルトニウムを燃料として燃焼させる。トリウムは最終的にウラン233となり、これがまた核分裂性のウランで燃料となり、現行の燃料サイクルを拡大しつつ転換する事が可能となるだろう。

因みに1979年のオークリッジ国立研究所の論文によると、溶融塩炉に三フッ化プルトニウムを供給し、1GWe規模の炉で1年間運転すると、ウラン233を750kgが生成されるとい言う。

311以降、原子力発電への強烈な逆風が吹いている。これは私感だが、国家として現在の原子力政策を堅持すると言う強い意志をヒシヒシと感ずる。
ただ、現行の核燃料サイクルは破綻しており、これをどのように転換したら良いか、正直分からないと言うのが現実の状況なのだろう。
そのような意味で、トリウムを燃料サイクルに取り込む事により、長期のエネルギー政策の大幅な変更を伴わず、核廃棄物の減量処理まで可能とする溶融塩炉の早期開発と運用は、今のジレンマを解決する方策としては有効ではないだろうか。

それと視点は変わるが「もんじゅ」の研究開発者は、そのまま溶融塩炉開発へ転用可能だと考えており、貴重な原子力人材の有効活用と職の安定化が図れる。
人材こそが日本のこれからの更なる発展に欠かせないことを考えると非常に重要であろう。
  

ミサイル防衛と非対称ジメチルヒドラジンによる毒性被害

2011年10月01日 | 日記

ミサイル防衛では、ICBMなど高速飛翔体を撃墜するが、完全に破壊する事が多分に困難であるため、一部の飛翔体に搭載されている推進剤や酸化剤などが地上に降り注ぐ事により深刻な被害が発生する事が懸念される。

この場合に懸念されているのは、非対称ジメチルヒドラジンである。
非対称ジメチルヒドラジン(1,1-ジメチルヒドラジン)は、ヒドラジンの誘導体の有機化合物で、透明な液体。融点-57℃、沸点62℃、密度0.78g/ccで、ミサイル防衛でも懸念されているように毒性が非常に強い。この非対称ジメチルヒドラジンは、皮膚につくと大やけどし、吸い込むと呼吸器官、特に肺がダメージを受け、痙攣を引き起こす。

また発癌性物質と認知されており、国際がん研究機関(IARC)の発癌性評価では「グループ2B」に分類される。毒性が強い為に非対称ジメチルヒドラジンは、防護衣やガスマスクなどを装着し、通常、非対称ジメチルヒドラジンは窒素ガス中で取り扱う。

この非対称ジメチルヒドラジンは、前述の通り大陸間弾道弾などロケットの推進薬として利用されており、テポドン発射事件の時に政府は、日本本土に落下した際の影響を懸念していた。
例えば、テポドンが非対象ジメチルヒドラジンを満載している2段目が、特に都市部に落下した場合の想定を、次のようにシミュレートしている。

(1)日本本土を飛翔中のテポドンが爆発した、半径約700メートルの範囲で家屋や人体に影響が及ぶ。
(2)着弾の際の爆風や破片などの影響は半径900メートル。
   この半径外に30分以内に脱出、若しくは救出されないと、非対称ジメチルヒドラジンにより元の健康状態には戻れない。
(3)着弾地点の中心から健康被害が生じる非対称ジメチルヒドラジンの有毒な影響範囲は半径9km。

非対称ジメチルヒドラジンを使用したロケットエンジンとしては、①ARIANE(米国)、②MGM-52(米国)、③R-36M(ソ連)、④RD-253(ソ連)、⑤YF-20B(中国)、⑥ノドン、テポドン(北朝鮮)などがあるが、きちんと搭載燃料をすべて燃焼させ着弾する分には非対称ジメチルヒドラジンの毒性の心配をする必要がないが、なんらかのトラブルで途中で燃料満載のまま墜落するような場合には、弾頭も問題だが、降り注ぐ推進薬や酸化剤による環境破壊や健康被害も重大な影響を及ぼすこととなる。