阿部ブログ

日々思うこと

バルト三国、東欧へのF-22の展開~苛立つロシア軍

2016年04月29日 | 雑感
ロシアの飛び地であるカリーニングラードから発進したSu-27が、米空軍の RC-135に対し、バレルロールを打った。米国防総省報道官によると、Su-27は RC-135に25フィートまで接近したと話をしている。ロシア空有軍機による米軍機への異常接近事案は4月14日に続き二回目である。ロシア国防省はRC-135のトランスポンダーがオフであったとしている。そりゃそうだRC-135は偵察機だもの。トランスポンダーは、航空管制システムからの電波を受信し、増幅したのち受信周波数とは異なる周波数で送信する中継器のこと。RC-135を防空レーダーで捉えたロシア軍は、当該航空機の位置情報を確認できない為、スクランブルを掛けたと言うこと。
ロシアはトランスポンダーがオフだったと指摘しているが、エストニアの Hannes Hanso 国防相によると、ロシア機は日常的にエストニアの領空を侵犯しており、トランスポンダーを切っていると発言している。ロシアも同じ穴のムジナなのだ。

ロシアはかなりいらついている。何故なら、米軍空軍やイギリス軍がバルト三国や東欧に空軍機を展開しているからだ。
4月22日、ルーマニアの Mihail Kogalniceanu空軍基地に、米空軍がF-22Aラプター戦闘機2機、KC-135の1機を展開。KC-135は、予備役の第916空中給油航空団(916th Air Refueling Wing, Seymour Johnson AFB, NC)所属の空中空輸機。
4月27日、米空軍は第325戦術航空団((325th Fighter Wing, Tyndall AFB, FL)/第95戦闘機隊((95th Fighter Squadron)の F-22Aラプター戦闘機2機、KC-135R1機をリトアニアの Siauliai空軍基地に派遣。
4月28日にはポルトガル空軍のF-16 4機がリトアニアの Siauliai空軍基地に展開。この日、イギリス国防省は、英空軍のTyphoon戦闘機×4機をエストニアの Amari空軍基地に AB に派遣すると発表している。
これらバルト三国への空軍機を展開するのはNATOが実施するBaltic Air Policingと呼ばれる領空警備の一貫で、2004年3月から実施されている。

NATOの空軍機展開だけでなく、ロシアのクリミア併合後、ポーランド、ウクライナ、ポーランド、ブルガリア、リトアニアなどの陸軍では合同旅団を編成して、ロシアの軍事的脅威に対抗しようとしている。またドイツ軍を主力とするNATOの大隊規模600人の戦闘群をリトアニアに配置する。ドイツはバルト三国との合同訓練、合同演習を実施することになる。最終的には、7月のNATO首脳会議で最終的に決定される。

ブラッド・ランドでの平和が続くことを祈るばかりだ。

シリアはロシアにとって第二のアフガニスタンとなるか

2016年04月17日 | 雑感
米国は、シリアをロシアにとって第二の「アフガニスタン」にする作戦にでようとしている。
既にCIAはロシアの駐シリア・ロシア軍に対し、シリア内戦が再開された場合、ロシアの航空機は脅威に直面する事になると警告している。それは、旧ソビエト軍がアフガニスタンに侵入した際に、現地武力勢力に与えた「スティンガー」の再来となる地対空ミサイルが、ロシア軍の航空勢力を駆逐する、若しくは重大な脅威となり十全に活動する事ができなくなる事態と示唆しているのだ。この警告は有効だが、ロシアは過剰に反応し、シリアに本格的な戦力を駐留させる可能性が高い。

※過去ブログ:
シリアにおけるロシア軍の戦力強化
ロシア軍のシリア展開とイスラエル領空侵犯
シリアのS-300問題 ~イスラエル、ロシア、CIA、そして中国~
シリアにおけるロシア軍の動向~クルド人民防衛隊を支援

スターリンの実務能力と読書

2016年04月17日 | 雑感
以前からスターリンの凄まじい仕事ぶりに感心してきた。
特に、バルバロッサ作戦が開始され、最高総司令官となってからは、一日14時間から16時間、軍事作戦、人事、諜報、戦時経済、政治問題、外交に関する膨大な文書や暗号電文を読む必要があった。
スターリンはヒトラーと同じく夜型人間で、12時前には仕事を始めることは無く、執務を開始すると短時間の昼寝を挟んで、翌朝の4時~5時まで仕事をした。最高総司令部、人民委員会会議、共産党中央委員会、参謀本部など軍事機関はこれに従った。
一日の内、緊急事態が無くとも2回の戦況報告が行われ、その他、国家防衛委員会会議、最高司令部会議、人民委員部会議、共産党中央委員会会議、パルチザン司令部会議、MKGB会議などが開催された。
大祖国戦争前のスターリンは、暗号文書以外に読んだり、斜め読みした書籍は一日5冊から6冊(400ページから500ページ)と云われており、戦時になるとこれと同じ量の文書を読んでいた。そして単に読んだだけではない、最高司令官として決断し命令したのだ。

さて、スターリンの蔵書に関する興味深い記述がドミートリー・ヴォルコゴーノフ著の『勝利と悲劇』にある。
1925年スターリンは、個人用の蔵書を作るよう補佐官に指示し、具体的にメモを作成している。
「司書へのメモ 私の助言(および要望)
 1.本は著者別ではなく、問題別に分類すること。
  a.哲学
  b.心理学
  c.社会学
  d.経済学
  e.財政
  f.工業
  g.農業
  h.協同組合
  i.ロシア史
  j.他の国々の歴史
  k.外交
  l.外国貿易および国内商業
  m.軍事
  n.民族問題
  o.党・コミンテルンその他の大会および会議(ならびに決定、法令、法典は除く)
  p.労働者の状態
  q.農民の状態
  r.コムソモール(コムソモールに関する個々の出版物に掲載されたものすべて)
  s.他の諸国における革命の歴史
  t.1905年について
  u.1917年2月事件について
  v.1917年10月革命について
  w.レーニンおよびレーニン主義について
  x.ロシア共産党およびインターナショナルの歴史
  y.ロシア共産党における論争(記事、パンフレット)
  z.労働組合
  z1.小説
  z2.文芸批評
  z3.政治雑誌
  z4.自然科学雑誌
  z5.辞書類
  z6.回想録
 2.以上の分野のうち次の本は除く(別個に配置する)
  a.レーニン(個別に)
  b.マルクス(個別に)
  c.エンゲルス(個別に)
  d.カウツキー(個別に)
  e.プレハーノフ(個別に)
  f.トロツキー(個別に)
  g.ブハーリン(個別に)
  h.ジノヴィエフ(個別に)
  i.カーメネフ(個別に)
  j.ラファルグ(個別に)
  k.ルクセンブルク(個別に)
  l.ラディック(個別に)
 3.その他の書籍は著者別に分類する(教科書類、小雑誌、反宗教的書籍その他は分類から除き、別扱いとする)。 1925年5月29日 スターリン」
※『勝利と悲劇』上巻520ページから521ページ(出典:マルクス・レーニン主義研究所党中央文書保管所フォンド558、目録1,資料2510)

このメモは、補佐官の目の前で10分程度で書き上げられたと言う。ヴォルコゴーノフは驚きを隠せず「スターリンの視野の広さを認めないわけにはいかない。」と書いている。
スターリンの蔵書には、かなりの本のページにアンダーライン、コメント、書き込みがあるという。そしてレーニン著作集初版の全ての巻には、アンダーライン、感嘆符!、余白への書き込みがある。しかも二度三度と読み込んだ跡が見られる。それは赤、青や普通の鉛筆などで繰り返しアンダーラインされている箇所があるからだ。
スターリンは生涯、歴史に関心を持ち続けた。それは彼の蔵書にも現れている。ベリャルニノフの『ロシア史教程』、グイッペルの『ローマ帝国概説』、トルストイの『イワン雷帝』と『ロマノフ家』には細かく眼を通していたようだ。また中学、高校、大学の歴史教科書が集められており、スターリン自身が教科書の内容をチェックしている。また、様々な雑誌などの定期刊行物でスターリンが関心を持ちそうな記事は、補佐官たちにより報告・提出されている。そして、執務中の合間を見て30~40分程手を止めて文学書や論文に眼を通したと言う。
以外にもと言うか、彼ならばと言うことだが、海外に亡命した者の出版物も収集し、眼を通していた。特にトロツキーの出版物は全て収集され、翻訳された。そして例によって多数の栞が挟まれ、アンダーラインが引かれている。

スターリンは、土日も関係なく働き続けた。そして一日中、膨大な報告、密告、問い合わせに対する回答、電報、暗号電文、書簡に指示を書き込み、自身の見解を簡潔に書き込んだ。
ジューコフは、スターリンについてこう語っている。
「読書をよくし、実にさまざまな分野に広く通じた人物であった。驚嘆すべき実務能力、問題の本質をたちまちにして把握する能力があったればこそ、スターリンは一日にあれだけのさまざまな資料に眼をとおし、吸収することができたのであって、並の人間にはとうてい力のおよばぬことである。」
ヴァシレフスキーは、
「スターリンほどたくさんのことを記憶している人間には会ったことがない。スターリンは100人を超える方面軍司令官や軍司令官を一人残らず知っていたし、軍団や師団の指揮官の何人かまで記憶にとどめていた。戦争中すっとスターリンは戦略予備軍の構成を記憶していて、いつ何時でも部隊の名前を挙げることができた。」
このような能力は、南方熊楠やヒトラーは天性の才能として持っていたが、スターリンは大変な努力を払っていたのだ。そう言えば毛沢東も司書だったし読書家だった。

スターリンを褒めると、眉をひそめる人がいるだろうが、無能力者がソビエト/ロシアの最高指導者になることはない。   

希少な深海サメ「メガマウス」が捕れた~地震が来るとの話もある

2016年04月16日 | 雑感
熊本が大地震で大変な状況になっている。RadikoプレミアムでRKKラジオを聞いているが、既に雨が降り始めているようだ。今夜は140mmの大雨になるとのこと。土砂崩れなどが心配だ。
水と食料が不足しており、特にトイレが問題になっていると報じられている。それと車中泊する人たちも多いようだ。
3.11の時と同じく、ガソリン・スタンドに長蛇の列となっている。これは仕方ないが、道路を塞いでしまうので、緊急車両の移動の妨げになっている。
新幹線や在来線、飛行場、高速道路など交通機関は、麻痺したままだ。復興に時間がかかりそう。
熊本には、健軍に陸上自衛隊がいるので、即座に部隊の支援が行えているのは幸いだ。既に長崎の部隊が展開しており、炊き出しをしてるとアナウンサーが言っている。
消防や警察も支援部隊を投入しており、10台以上の九電工のトラックが熊本に急行しているとも。今も16万件が停電しているのでこれは応援部隊だ。
熊本赤十字病院など3つの基幹病院は機能停止している。電気も水も出ないから。

そんな中、三重県の尾鷲漁港で希少な深海サメ「メガマウス」が定置網にかかったと報道されている。
何時もは深海で活動するメガマウスが上がってきているのだ。これは海底での異常を察知した行動かも知れない。何でもメガマウスが捕獲されると地震が来ると云われているようだ。
東海・東南海・南海地震の前兆出ないことを祈っている。

今、RKKラジオでは震度5弱と報じている。
熊本・大分で被災された方々にお見舞申し上げます。

陸前高田の奇跡の一本松のオリジナルフレーム切手と語り部「くぎこ屋」の釘子さん

2016年04月15日 | 雑感
掃除をしていたら「陸前高田の奇跡の一本松 オリジナルフレーム切手が出てきた。
   
この切手は、日本郵便株式会社東北支社が、東日本大震災により壊滅的な被害を受けた陸前高田市の「奇跡の一本松」を題材にしたもので、被災地の復興応援を込めて限定販売したもの。
オリジナル フレーム切手セット「希望の一本松~奇跡から希望へ~」の追加販売および販売局の拡大について別紙(PDF121kバイト)
このフレーム切手は、陸前高田の語り部「くぎこ屋」の釘子さんに頂いた。釘子さんには、気仙川で人生初めての「鮎釣り」をさせて貰った。良い思い出である。
釣った鮎は、釘子さんの仮設住宅で美味しく頂いた。
          

戦艦「大和」副砲長が語る真実 【その2】 ガダルカナル戦の敗戦原因は零戦飛行隊の命令違反にあり

2016年04月11日 | 雑感
深井俊之介氏の畢生の書『戦艦「大和」副砲長が語る真実』には、レイテ沖海戦の反転の真相以外にも、今まで聞いたことがない事実が書かれている。その一つがガダルカナルに関することだ。
既にミッドウェー海戦での敗北を知るといち早く、陸軍部隊を満載した輸送船団を放り出して逃げ出した栗田健男海軍中将の事は過去ブログに書いたが、この敗北後、フィジー、サモア、ニューカレドニア攻略は実施が不可能になり、栗田と同じく日本海軍を代表する無能な海軍将官・井上成美が珊瑚海海戦で負けた。この影響で陸軍は東部ニューギニア戦のポートモレスビー攻略において、海路による攻撃ができなくなり、標高が高いスタンリー山脈を超えての攻撃に変更せざる負えなかった。詳細は『ココダ』を読まれたい。
  
米軍は、ニューカレドニア、ポートモレスビーを基地としてラバウル、ラエの日本航空部隊と激闘を繰り返していた。これに対し日本軍は、ソロモン諸島方面に航空基地を建設する認識し、ガダルカナル島北方のツラギ島を攻略し、海軍の大型飛行艇が進出した。そして大本営は、米軍の反攻に対抗する為、ガダルカナル島にも航空基地建設を決定した。
速やかに基地設営隊2700名が投入され、マラリアや赤痢に悩まされながらも、密林を切り開いて滑走路を造成した。そして1942年8月4日、設営部隊からラバウルの司令部に宛に「滑走路完成 諸般の事情から考え速やかに戦闘機の進出を必要と認む」と打電。
この当時、駆逐艦「初雪」に乗艦していた深井少佐もこの電報を傍受し確認している。ラバウルの司令部は緊迫する戦況を勘案し、直ちに零戦12機をガダルカナル島の新設された基地に進出を命じた。この電文も「初雪」で傍受しており乗員も「これで備えができた」と喜んだという。
さて、8月6日にガダルカナル島に進出した零戦の隊長は「任務を全うするには居住施設があまりにも粗悪であるので、居住施設とその他、施設が完備するまではラバウルにて待機する」と打電し、その日の内にラバウルに撤退した。流石、逃げの日本海軍!本領発揮だ。この電報は当然「初雪」でも傍受しており、これを知った全員が驚いている。
この当時、ガダルカナルの飛行場は、いつ攻撃を受けてもおかしくない状況あったし、南東方面の航空戦でも重要な場所に位置しており、単に「寝場所が良くないとの」理由で、苦心惨憺開設したガダルカナル基地に命令で進出した零戦部隊が命令を無視してラバウルに撤退した事は重大な命令違反である。尤も無能な日本海軍での軍命令違反は常套だ。深井少佐が乗艦する「初雪」乗員らも、零戦部隊の勝手な振る舞いに「飛行機乗りは何をしているんだ」と憤懣やるかたない思いであったと書いている。
そして、零戦部隊が無断撤退した翌日、即ち8月7日、ツラギより「われ砲撃を受けつつあり」、「敵は大兵力、上陸を企図するものの如し」の入電があり「われ最後の一兵まで死守す、武運長久を祈る」と言う電文を最後に連絡は途絶えた。玉砕である。米軍はツラギ攻撃と同時にガダルカナル島にも艦砲射撃と空襲を行い、翌8月8日に飛行場の東方、ルンガ岬東岸に上陸を開始した。その後のガダルカナル戦においては戦闘機の援護もなく、上陸した米軍によって飛行場はあっさりと奪取された。この飛行場の奪回を巡っての戦闘は悲惨を極めた。そして戦力を消耗していく。そして深井少佐は、このガダルカナルの攻防と言う第一線で戦いを続けたのだ。
深井少佐は、初動の遅れと、零戦部隊の無断撤退に許しがたい怒りを覚えると書いている。
「ミッドウェー海戦では消耗したとはいえ、まだ零戦も搭乗員も米軍に遅れを取らなかったのだ。このことを記するのは、おそらく私が初めてである。どの戦記にも、この事情は語られていないと思う。私も戦後70年目にして、ようやくこうして打ち明ける気になった。」

新編された亡国日本海軍の第8艦隊は、敵護衛部隊との夜戦に完勝したものの米軍の上陸部隊を乗せた輸送船団を一切攻撃することなく帰投、これを第1次ソロモン海戦と称したと深井少佐。
「ガ島戦の初動における我軍の大失策であり、爾後への影響は計り知れないものがあった。大本営も米軍の上陸を強行偵察程度の小兵力と考えており、情勢の誤判断や兵力の逐次投入など稚拙な指揮によってガ島は地獄の様相を呈することになる。先述のA隊長の命令違反といい、上陸部隊を見逃した第8艦隊といい、初手のつまずきは我軍に甚大な出血を強要することになるのであった。」

是非とも深井俊之介氏の戦艦「大和」副砲長が語る真実』を一読あれ。

東京丸の内にいる熊やら虎やら

2016年04月11日 | 雑感
東京丸の内には熊や虎などのオブジェが三菱地所により展示されている。
三沢厚彦作 「Animal2015-08B」
        
三沢厚彦作 「Animal2012-01-B」
              
草間彌生作 「われは南瓜」
      
三木俊治 「行列ー並列」
            

床荷重設計を間違った大手町タワーにある9.11で亡くなった方のメモリアル

2016年04月10日 | 雑感

大手町にある元富士銀行本店跡には、みずほ銀行などが入居する大手町タワービルがある。戦前は、安田銀行があった場所だ。
このビルは、床荷重設計を間違っており、一般部5000N/m2、オフィスゾーン8000N/mを満たしておらず、本格的な稼働ができない状態。本当は、日本興業銀行、所謂「軍艦ビル」は取り壊して、大手町タワービルで業務を開始する筈が、それが出来ないでいる。今も大勢の行員さんが古い軍艦ビルでの執務を強いられている。隣の三井住友銀行東館は、立派に稼働しているのとは対照的だ。
この大手町タワービルの一角に、9.11で亡くなった富士銀行行員の方のメモリアルがる事は、あまり知られていない。また倒壊したワールドトレードセンターの鋼材もある。これはニューヨーク市消防局から寄贈されたものだ。
亡くなった23名の行員の皆さんの冥福を祈ります。
          
Patrick Adams
John Jack Andreacchio
Irina Buslo
Adianes Cortes-Oyola
Manuel Gomes Jr.
合屋裕二
石川泰造
伊東和重
Charies G.John
川内英哉
木下崇
Alfish C.Levin
槇本孝志
John J.Murray
Robert E.Murphy.Jr
沼田壮一
恩田俊浩
小瀬勝
杉山(住山)陽一
高橋啓司
田中謙一郎
Brian T.Thompson
Joseph J.Zuccala

『戦艦大和副砲長が語る真実~レイテ沖海戦の反転の真相』太平洋戦争の敗因は日本海軍にあり

2016年04月09日 | 雑感
今も102歳でご健在の戦艦大和副砲長の深井俊之介氏が、レイテ沖海戦での謎の反転の真実を白日のもとに晒す決意の書『私はその場に居た 戦艦「大和」副砲長が語る真実 太平洋戦争戦史最大の謎 レイテ沖海戦の謎の反転の真相』を上梓した。この書は、レイテ沖海戦を巡るモヤモヤした謎を解明する内容で、経験者出なければ書けない内容だ。しかし、一読して感ずるのは日本海軍は本当に間抜けで、特に海軍将官の無能さを改めて認識したが、ここまで酷いのか!と言うこと。地位が高くなればなるほど無能になる日本組織を立派に代表している。そして、やっぱり怖くなって敵前にて逃げ出したのが真相だ。そこで出てくるのが発信者と受信者が不明な実質的に撤退を促す電報の存在だ。この電報の存在は、他の戦史には見られず深井氏が初めてこれを明らかにした。この電報については後述する。しかし、間抜けで無能な日本海軍を引き継いでいる海上自衛隊も心配の種だ。因みに陸上自衛隊は、日本陸軍を引き継がず独自の軍事組織として今日に至っている。服部卓四郎らの努力が無に帰している。海上自衛隊は、将に「敵前で謎の反転を繰り返す」日本海軍を引き継いでいる。この辺りはジェイムズ・E・アワーの『よみがえる日本海軍』と手塚正巳の『凌ぐ波濤 海上自衛隊をつくった男たち』を読まれると良い。
さて海上自衛隊は、米軍と共闘するときは健闘するだろうが、尖閣諸島などでの個別自衛権行使の場合は、かなり怪しい。何せ、中国共産党軍艦艇からレーダー照射を受けても、何もしないのだから話にならない。また、テロ対策特別措置法に基づいてインド洋で給油活動に当たっていた海上自衛隊補給艦の「とわだ」が航海日誌を廃棄した事案があったが、これはレイテ沖海戦での「謎の反転電報」を想起させる。何処の海軍が航海日誌を破棄するか。今も昔も海軍/海上自衛隊なるものは信用ならないし、今は何処の軍隊かわからない程、米海軍と一体化している。独立した国家の海軍組織としてまともな戦力構成になっているのか? 米第7艦隊の一支隊としてしか役に立たないのであれば、それは問題だ。これについては国民は厳しく問わなくてはならない。それは貴重な海上自衛隊員曹士を守る必要があるからだ。

さて、レイテ沖海戦は、日本海軍の残存戦力を結集して実施した決死の「捷一号作戦」。この作戦は、空母「瑞鶴」「瑞鳳」「千代田」「千歳」を主力とする日本海軍最後の空母部隊で総勢17隻で、ルソン島上陸支援に当たるハルゼー第三艦隊を引き離す囮とし、その間隙を突いてレイテ上陸部隊と揚陸艦隊を撃滅するもの。この囮部隊の指揮官は、小沢治三郎海軍中将。この囮作戦は見事に成功する。ハルゼーは、第1、第2、第3、第4の機動部隊、サンベルナルジの海峡に待機中の第7艦隊の水上兵力、潜水艦など全部隊に対し、直ちに配備を解き、全速力をもって小沢部隊を求め北方海面に進出するよう命令した。さあ、これで主力艦隊がレイテ湾突入の条件が整った。日本海軍の突入を阻止するべく封鎖されていたサンベルナルジ海峡から米海軍艦艇は全て移動し、レイテ湾への障害は無くなった。小沢艦隊の奮闘により「捷一号作戦」の成功は間違いない状況になった。
突入部隊の栗田艦隊は、米軍の攻撃を受けることなく無傷でレイテ湾に突撃し攻撃しまくれば良い。この巨艦大和を含むこの主力艦隊を率いたのが亡国の徒で腰抜けの栗田健男、本当にマヌケな日本帝国海軍軍人。しかし、この「栗田艦隊」は、がら空きとなっているルソン湾に蝟集する上陸部隊と輸送船団を攻撃せず、敵前にて逃亡するという暴挙にでた。これで「捷一号作戦」の一切は無に帰した。また日本海軍はその主力を失い、実質的に帝国海軍としての歴史に幕が下りた瞬間であった。この栗田艦隊の指揮艦である大和にいた深井海軍少佐が、敵前での反転の真相を初めて証した、喝采!

レイテ湾に突入する部隊は、栗田艦隊の32隻、西村艦隊7隻、志摩艦隊7隻の総計46隻。レイテ湾まで1時間半の位置まで接近した時、問題の電報が旗艦大和の艦橋にもたらされる。
「栗田艦隊の北90キロメートルに敵大部隊あり、地点ヤキ一カ、0945」
この電報には前述の通り、発信者欄と受信者欄が空白で、単に上記電文が書かれているだけのも。これは完全にオカシイ。個人的には自衛隊で信務を経験しているので、電文だけの電報を上官に提示することは絶対にない。深井氏も、この電報は各部隊の戦闘詳報、発着信記録などあらゆる記録を精査しても、その詳細が明らかにすることができない代物なのだと尤もな指摘をしている。そして、栗田は、大本営および全軍宛に電報を発信した。
「第1遊撃部隊はレイテ泊地突入を止めサマール東岸を北上し敵機動部隊を求め決戦。爾後サンベルナルジ水道を突破せんとす。地点ヤモ22ケ 針路0度」でた、日本海軍お得の「謎の反転」、所謂、敵前逃亡だ。陸軍では全く考えられない。
旗艦大和の艦橋の左側は、第1戦隊司令官の宇垣纏中将がおり、右側には大和の森下艦長とその後方に亡国の栗田が座っている。
敵前逃亡する栗田の横目に、宇垣は「南へ行くんじゃないのか!」と叫ぶ。「長官、南に行くんじゃないのか」と艦橋にいる全員にいる全員聞こえるように何度も大声で叫んでいたという。
副砲長の深井少佐も「とういうことですか? なぜレイテにいかないんですか?」と栗田の参謀、大谷作戦参謀に食い下がる。そこで出されたのが、問題の電報だ。
「おかしいじゃないですか! さっきは追いつけないから敵空母の追撃をやめたんじゃないですか。追いつけるとおもっているのですか!」
「この大部隊が、敵の主力だから叩きに行くんだ。お前たち若い者は引っ込んでおれ!」

戦後、この電報は「ヤキ一カ電報と呼ばれているようだが、「敵 機動部隊見ゆ」とあるが、大谷から見せられた電文は「敵 大部隊見ゆ」だったと書いている。そして、深井少佐は言う、この「ヤキ一カ電報」は大谷の捏造だと。大和の通信設備は当時随一の性能と規模を誇っており、通信要員も50名から60名もおり、敵潜水艦の通信を傍受するなど比類ない規模と能力があった。そして、この大和通信部隊は、この大谷が示した電報は受信していないのだ。戦後の証言でも大和の通信士はこの電報の存在を知らないとしており、これは大和の作戦室にのみ存在した、ニセ電報なのだ。

「捷一号作戦」は完全な失敗に終わったが、命令を忠実に実施した艦隊もあった。西村艦隊である。「山城」「扶桑」など旧式艦を中心とした低速で完全に敵の標的になるしかない弱小艦隊だったが、駆逐艦「時雨」を除き全滅敢闘した。戦後、小沢中将は「あの時まじめに戦ったのは西村ひとり」と語っている。後続の志摩艦隊は、戦わずに敵前逃亡している。
西村祥治海軍中将の部隊が対したのは、ウェストバージニア、メリーランド、テネシー、カリフォルニア、ミシシッピ、ペンシルヴェニア戦艦6隻、重巡洋艦4隻、軽巡洋艦4隻、駆逐艦28隻、魚雷艇39隻の大艦隊。西村艦隊はスリガオ海峡に突入する前に、栗田健男に報告しているが、敵前逃亡しか頭にない栗田からは何も指示がなく、やむなく敵艦隊の待ち受ける夜間のスリガオ海峡に単独突入してている。

深井少佐は、レイテ目前にして逃亡した栗田艦隊がもし、そのまま突入していたらとして自問している。
「もし、レイテに突入していたら、どんな結果になっていただろうか。現地には数十隻の敵輸送船がいた。すでに揚陸して空船になっていたとも聞くが、すべて沈めて旅順港閉塞作戦のようにレイテ湾の港を使用不能としてしまえば良かったのだ。そうなると次に輸送船団が到着しても補給や増援も困難となり、上陸部隊は干上がってしまう。この増援の準備は、大国アメリカでも何ヶ月もかかるものだ。それに「大和」ら戦艦部隊が地上部隊を砲撃すれば、味方の士気はおおいにあがり、敵は畏怖したに違いない。戦争の勝利は無理をしても戦線は3~4ヶ月停滞したと考える。そこで講和の準備ができなかったものだろうか。原子爆弾の投下も回避できたのではないか。なにより、レイテ突入に向けて皆は苦しい戦いを続けたのだ。私の部下や戦友も、何人もが戦死し、傷ついたのだ」と。

栗田は、ミッドウェー島攻略のための陸軍部隊を乗せた輸送船を護衛する任務を負っていたが、同海戦での敗北を知ると、陸軍輸送船団を守らずに、これを放置して撤退している。流石、敵前逃亡が得意の日本海軍を代表する腰抜け栗田健男だ。
我々は、日本が敗戦する事になった主因が日本海軍にある事をきちんと認識する必要がある。亡国海軍軍人は、ミズリー号での無条件降伏に際しても誰一人として同席することなく、また東京裁判で誰一人として裁かれることが無かった。敗戦が決した時、第1戦隊司令官だった宇垣纏中将は、最後の特攻を敢行し帰らぬ人となっている。
そして最後の陸軍大臣・阿南惟幾は切腹する前に云った「米内を殺せ!」

    


雉酒と朝日鷹

2016年04月09日 | 雑感
日本酒通では大変有名な『十四代』と同じ蔵元(高木酒造)の特撰本醸造酒『朝日鷹』を知り合いから頂いた。貴重なお酒なので、どうしたもんか?と考えていたが、小林勇の『蝸牛庵訪問記』を新幹線の中で読んでいたら、雉酒に出くわした。
          
雉酒について書かれているのは『小林勇文集第二巻』では26ページから29ページ。講談社文芸文庫の『蝸牛庵訪問記』だと39ページから43ページで昭和七年の「雑誌・雉酒」を読まれる良い。因みに講談社の文芸文庫は平気の平左で1000円を超えるので古本でしか買わない。

初めて知ったが「雉」(きじ)は日本の国鳥なのだ。日本書記・神代下(兼方本訓)「無名雉を遣わして、伺しめたまふ」とあり、伊勢物語九十八には「九月許に、うめのつくり枝にきじをつけて奉るとて」とある。
雉の肉は、古来から食用肉では最高とされていたようで「お雉さま」(公家言葉集存)として宮中の元日最初の食事に添えられてきた。現在でも宮中元旦「晴れの御膳」の儀の後に出される「御祝先付の御膳」には、雉酒が添えられている。この膳の本膳は、小串鰤焼き、浅々大根、菱葩(餅)。二の膳には雉の胸肉を焼いて熱燗を注いだ雉酒と、割伊勢海老、福目煮勝栗が添えられる。

雉酒は、「雉の羽ぶしの肉とか、その他よく運動し使われるところの肉を刺身のようにして、それを焼く。一方上等の酒をあつかんにして、コップの中に入れておいた雉の肉にさっとそそぐのである。その熱燗が丁度飲み頃になるまでには雉の肉からよい香りと不思議な味が出てくる。この酒の味のよさ、酔心地のよさは、ヒレ酒とか、海鼠腸酒などの比ではない」。雉酒は、理研の大河内が水郷での猟で得た鷭を利久煮を食する座で出されだが、この酒は幸田露伴、寺田寅彦と小林勇らが楽しんだ。

雉で思い出すのは、キャノングローバル戦略研究所の湯原先生と東京理科大OBの皆さんと行った秩父の「きじ亭」だ。雉肉は確かに美味しかった、本当に。この時、同席されたのが、東芝で日本語変換を実装した森先生。将にプロジェクト-Xの御仁だ。
湯原先生は、2015年11月18日に逝去された。内閣参与(内閣官房総合海洋政策本部 参与会議 参与)になられた時の総理大臣名の任命書を見せていただいた事を、昨日のことのように思い出す。

ソディック社の複合加工マシンを観る

2016年04月08日 | 雑感
東京駅八重洲口の目の前の外堀通り沿いににソディック社の3Dプリンタのショールームがある。しかし、タダの3Dプリンタではない。切削機能を併せ持つ複合加工マシンなのだ。でもソディック社の独創ではない。既にパナソニックのパテントを使って福井の松浦機会製作所が販売しているし、指向性エネルギー積層技術と切削を組み合わせたDMG森精機やヤマザキマザックなどが複合加工マシンを開発し販売している。これらは優れたマシンだ。
               
世界は既に3Dプリンタではなく、4Dプリンタによる製造革新が進みつつある。良い事例は、BMWのNEXT VISION100だ。空力性能を高めるため、車体に隠されたタイヤ部分は4Dプリンタで成形され、自在に変形するのだ。日本企業も次なる確信に向けて企業努力をせねばならない。

シリアにおけるロシア軍の戦力強化

2016年04月05日 | 雑感
ヒッズボラの戦力強化について書いたが、イスラエルはシリアに駐屯するロシア軍と、ヒッズボラのミサイル戦力を空軍機やUAVで攻撃する事について「手を握っている」。つまりロシアはイスラエル軍のヒッズボラ攻撃を黙認している。
そのロシアは、シリアにおける戦力編成をより強力なものに変えつつある。戦闘機部隊は撤退しつつあるが、Ka-52、Mi-28など攻撃ヘリを逆に送り込んできている。イスラエルから見ると将に大いなる脅威となるSS-26イスカンダール弾道ミサイルシステムをHumaymim ABに配置しているし、戦闘機撃墜で関係が悪化しているトルコ向けには、S-400地対空ミサイルで攻撃任務が付与され展開している。また最新鋭のT-90戦車も搬入されている。
4月に入って、シリア政府軍はロシア軍の支援を受け、遺跡都市パルミラを奪還しているが、地上部隊にはロシア傭兵部隊の存在が重要な戦力として機能している。
Airbus Defence and Space の衛星写真では、Homs 南東 30km の Al-Shayrat AB に Ka-52 Alligator×4 機、Mi-28N Night Hunter×3 機が映っている。(IHS Jane's 360)
ロシアは、欧米環視の中、中東に橋頭堡を構築しつつある。

明治生命館

2016年04月04日 | 雑感
東京丸の内にGHQ/SCAP(General Headquarters, the Supreme Commander for the Allied Powers)、即ち「連合国最高司令官総司令部」として接収された「明治生命館」がある。
外資系コンサル会社のパートナーさんとランチするために訪れたを契機に、1階の公開部分を拝見した。
                                          

着々と進むヒズボッラの対イスラエル戦準備~ディモナ核複合施設もターゲット

2016年04月01日 | 雑感
ヒズボッラの軍事力が着々と強化されており、次の対イスラエル戦は、いよいよイスラエル本土をターゲットになっている。
ヒズボッラは、イランとの連携を強化しており、ロシア製のミサイルをイランから入手している。流石にこれはロシアにばれて地対空ミサイルS300システムのイラン引渡しを凍結するに至っている。ヒズボッラに引き渡されたのはロシア製のSA22地対空ミサイルで、何故ばれたのかと言えばシリアに展開していたロシア空軍機が、ヒズボッラが支配するレバノン=シリア国境地帯で、自国のミサイルを観ている。当然ながらロシア軍と情報機関は調査を行い、イランからの武器横流しが発覚する訳だ。まあ、周知の事実であるのはロシア側も承知ではある。
ヒズボッラの軍事力強化のは、地対空ミサイルに限らない。イスラエル本土を射程におさめる精密誘導ミサイルも入手しているし、ヒズボッラ地上軍の武装も強化されており、イスラエルの陸海空軍にそれなりに対抗できる組織となりつつあるようだ。また、イスラエル国境に向けたトンネルも着実に整備されているとの情報もある。これらを綜合すると、次の対イスラエル戦は、イスラエル本土を巻き込んだ戦闘が惹起することになり、イスラエル軍の予想外の苦戦を予想する向きもある。
ヒズボッラの戦力は、近代化されているし、指揮統制と通信能力を有し、前述の地対空ミサイルの他、スカッドミサイル、イラン製のFateh110ミサイルと改良型M600ミサイルを保有している。またイスラエルのサイバー戦に対抗する部隊も編成されているようだ。ヒズボッラのミサイル攻撃にイスラエルの防空システム攻撃を防御できるだろうか? アイアン・ドームなど近接ミサイル防御システムの配備は、イスラエル全土を被覆していないので、被害がでるだろうと予測されている。
ヒズボッラのターゲットは、イスラエル国防軍の参謀本部や、空軍基地、地中海沖の天然ガス施設とハイファのプラント施設など経済基盤をなす施設も含まれる。また巡航ミサイルも保有しているので、イスラエル海軍艦艇も攻撃目標である。しかし、一番の目標はディモナの核複合施設へのミサイル攻撃だ。ここには核兵器のみならず、化学兵器と生物兵器の関連施設もあり、この施設が破壊されると影響は大きい。但し、重要な施設は地下深くにあり攻撃の影響は限定的とも考えられるが、イスラエルにとっては大きなリスク要因であることは間違いない。