阿部ブログ

日々思うこと

BlackBerryに仕込まれたスパイウェア

2009年07月23日 | 日記
アラブ首長国連邦(UAE)のサービスプロバイダーがリリースしたBlackBerryの更新(パッチ)プログラムにスパイウェアが仕込まれている事が報じられている。

このプログラムは「BlackBerryのパフォーマンスを改善するためのパッチ」と言う触れ込みでリリースされたが、このパッチを当てるとバッテリーの消耗が激しく、しかも処理速度がインストール前よりも著しく遅くなった為、怒った顧客からの訴えで発覚した。

このパッチプログラムを解析したエンジニアによると、このパッチに含まれるスパイウェアはインストールの時点では「オフ」状態だが、あるサーバーからBlackBerryへ命令を出すと「オン」になり、それ以降は、電子メールややり取りされるデータのコピーがサーバーに暗号化されて送信すると言う、所謂「電子傍受」するソフト。

このBlackBerryの話は、別に珍しい事では無い。以前もインスロー社が開発した「プロミス」と言うソフトをイスラエルが改造してパッケージとしてダミー会社を通じて世界80カ国の政府機関、企業などに販売し、莫大な利益と当然ながら膨大な機密情報も得たと言う事件があった。これは『データ・マフィア』(工作舎刊)に詳しい。また合法的電子傍受のソリューションを提供するSS8と言う企業なども既に存在しているし、マイクロソフトのWindowsにはアメリカ政府機関(国家安全保障局:NSA)が電子傍受できるコードが実装されていると言う根強い噂もある。実際にオフィス製品などの利用状況はリアルタイムでモニタリングしている。

またシスコのスイッチング装置にも同様の機能があるとも言われている。こうなるとアメリカ発のインターネット自体が、今や巨大な電子傍受装置と化しているように見える。

このような状況からグーグルのCEOが命名した「クラウド」についても当然慎重にならざるおえない。熾烈な国家間・企業間の情報戦争が繰り広げられている中、インターネットなど情報通信システムを安全かつ安心して利活用出来る方策を国際企業として真剣に考え実行する必要がある。

無燃料・超長時間飛行可能な航空機とその活用

2009年07月11日 | 日記
太陽電池で発電した電力のみで24時間連続飛行が可能な航空機が存在する。
日中は、翼全面のソーラーパネルによる電力で飛行し、夜間は蓄電した電力で飛行するもので、この種の航空機としてはNASAが開発した「ヘリオス・プロトタイプ(Helios Prototype)」とキネティック(Qinetiq)社(UK)の「ジェフィアー(Zephyr)」がある。

どちらも無人機で、現在の長時間飛行記録はジェフィアーの82時間37分。単なる研究のように見えるが、無燃料で超長時間飛行が可能な航空機の用途は意外に広い。アメリカ海洋大気庁(NOAA)はハリケーン・竜巻・洪水などの監視用として検討しているし、国土防衛分野、地球科学分野は勿論の事、通信プラットフォーム、3次元地理空間情報収集、海域監視、大気・空域モニタリングなどなどである。

現在ソーラーパネルは高価な衛星用パネルを用いているが、これを安価かつ軽量化するアイディアがある。ワシントン大学の田谷稔教授は生物由来(浅い水辺で育つ紫色の微生物に含まれている)の色素による「色素増感太陽電池」を開発し、それをソーラーエネルギー・セル(ソーラーパネルの部品)に組み込んだ。このセルに今、米空軍が着目している※1。無人航空機(UAV)への充電には大量のセルが必要であるが、これを現状の半導体セルから色素増感セルに変える事により、従来の半導体のものに比べて製造コスト4分の1と安価で、しかも小型化・軽量化が実現できる。起電効率は少し劣るが、3年から5年後の実用化に向けて開発を進めている。

我が国は、広大な排他的経済水域を有し多数の島々からなる国家であり、どのように国土全域を監視・観測し、国益を如何に保全するのかが国家的課題であるが、無燃料・超長時間航空機の複数機同時運用とニアスペース(20km~100kmの空域)無人飛行船※2の併用により安価かつ効果的に行える可能性がある。

国家財政逼迫の折、従来にない斬新なアイディアによる問題解決が望まれている。