独立行政法人 海洋研究開発機構が所有する地球深度探査船「ちきゅう」が素晴らしい成果を挙げた。
1990年代後半から海底下に生命圏が存在する事がわかり始めていたが、建造5年目の定期検査後の沖縄沖航海でそれを実証する事が出来た。特に地球表層以外の海底生物圏の方がその生命量が莫大である事が観測されたことの意義は大きい。
海洋にいる生物量は魚介類・プランクトンは全海洋生物量の約1%以下で、その殆どは海中にいる微生物、及び海底の底に生息する微生物群で99%を占める。但し、海底下の微生物群は生命存在可能条件の境界領域におり生存ギリギリの状態にある。この微生物群は海洋表面のプランクトンなどの死骸などを食糧としており、海洋表面での光合成生産のおこぼれにあずかる形で何とか生命活動を維持している。この影響で3000年から1万年に1回細胞分裂するぐらいの低成長で生存。
海底下の生物圏は、ギリギリ生きている生物だけではない。熱水噴出孔の直下にはピチピチの生命圏があり、極限環境微生物にとってはパラダイスである。また、熱水噴出孔から噴出する熱水には様々な生物のDNAや脂質が含まれており、これは熱水が海底地下から上がってくる過程で、途中の生物群を巻き込みながら噴出していると推測されている。即ち、海底下にはもう一つの海があるといえる。これは1993年に予測されていたが、今回これを実証したのだ。
今回の航海は沖縄沖北西150沖の伊平屋北フィールドと呼ばれるエリアで、1995年依頼、潜行調査が行なわれてきたエリアで調査が進んでいる所。この伊平屋北フィールドは世界でも最も調査研究が進んでいる深海熱水エリアとされ、特に二酸化炭素とメタンの濃度が極端に高い事で知られる。
この海底熱水は蒸気として噴出しているが、塩分の濃い熱水の所在が不明であり、調査と研究が行なわれてきたが、ここにきて塩分濃度が濃い為、海底熱水層の下部に沈滞・滞留している事がわかってきた。
今回の航海では伊平屋北フィールドで8箇所の掘削を行なった。その結果、海底下に巨大な熱水層が存在する事が判明。特に3箇所では人工的に熱水を噴出させる事ができ、ビデオ撮影にも成功している。これは世界初の快挙である。
更には、深海における熱水の掘削は、殆どサンプルが採取できない失敗と挫折の歴史であるが、今回は50%以上の回収率を達成した。世界でも比類のない採取率であり、これは偏に“ちきゅう”の掘削能力と日本技術者チームの能力によるもので、現在、世界最高のチームといえる。
また今回の掘削では、海底下で現在の生成されている黒鉱の採取に成功した。黒鉱は秋田の小坂鉱山などで産出するが、これと同じものが海底で現在進行中の黒鉱鉱床があり、今後この構造などの解明に役立つと考えられる。この黒鉱は亜鉛や鉛などの金属類を豊富に含み、かつ希少金属も含有する鉱物で、国内における貴重な資源として注目を浴びており、今後の調査が期待される。
1990年代後半から海底下に生命圏が存在する事がわかり始めていたが、建造5年目の定期検査後の沖縄沖航海でそれを実証する事が出来た。特に地球表層以外の海底生物圏の方がその生命量が莫大である事が観測されたことの意義は大きい。
海洋にいる生物量は魚介類・プランクトンは全海洋生物量の約1%以下で、その殆どは海中にいる微生物、及び海底の底に生息する微生物群で99%を占める。但し、海底下の微生物群は生命存在可能条件の境界領域におり生存ギリギリの状態にある。この微生物群は海洋表面のプランクトンなどの死骸などを食糧としており、海洋表面での光合成生産のおこぼれにあずかる形で何とか生命活動を維持している。この影響で3000年から1万年に1回細胞分裂するぐらいの低成長で生存。
海底下の生物圏は、ギリギリ生きている生物だけではない。熱水噴出孔の直下にはピチピチの生命圏があり、極限環境微生物にとってはパラダイスである。また、熱水噴出孔から噴出する熱水には様々な生物のDNAや脂質が含まれており、これは熱水が海底地下から上がってくる過程で、途中の生物群を巻き込みながら噴出していると推測されている。即ち、海底下にはもう一つの海があるといえる。これは1993年に予測されていたが、今回これを実証したのだ。
今回の航海は沖縄沖北西150沖の伊平屋北フィールドと呼ばれるエリアで、1995年依頼、潜行調査が行なわれてきたエリアで調査が進んでいる所。この伊平屋北フィールドは世界でも最も調査研究が進んでいる深海熱水エリアとされ、特に二酸化炭素とメタンの濃度が極端に高い事で知られる。
この海底熱水は蒸気として噴出しているが、塩分の濃い熱水の所在が不明であり、調査と研究が行なわれてきたが、ここにきて塩分濃度が濃い為、海底熱水層の下部に沈滞・滞留している事がわかってきた。
今回の航海では伊平屋北フィールドで8箇所の掘削を行なった。その結果、海底下に巨大な熱水層が存在する事が判明。特に3箇所では人工的に熱水を噴出させる事ができ、ビデオ撮影にも成功している。これは世界初の快挙である。
更には、深海における熱水の掘削は、殆どサンプルが採取できない失敗と挫折の歴史であるが、今回は50%以上の回収率を達成した。世界でも比類のない採取率であり、これは偏に“ちきゅう”の掘削能力と日本技術者チームの能力によるもので、現在、世界最高のチームといえる。
また今回の掘削では、海底下で現在の生成されている黒鉱の採取に成功した。黒鉱は秋田の小坂鉱山などで産出するが、これと同じものが海底で現在進行中の黒鉱鉱床があり、今後この構造などの解明に役立つと考えられる。この黒鉱は亜鉛や鉛などの金属類を豊富に含み、かつ希少金属も含有する鉱物で、国内における貴重な資源として注目を浴びており、今後の調査が期待される。