阿部ブログ

日々思うこと

地中海派遣のロシア太平洋艦隊が、明日24日、ウラジオに帰還

2013年12月23日 | 雑感
ロシア太平洋艦隊の地中海派遣艦隊は、いよいよ明日24日、母港ウラジオストックに帰還する。

帰還するのは、アドミラル・パンテレーエフ、アドミラル・ネヴェリスコイ、ペレスウェート、フォーチィ・クリロフ、ペチェンガ。ロシア太平洋艦隊は、3月19日にウラジオを出航して約9ヶ月間の任務を無事終了する事となる。
太平洋艦隊は、シンガポール、スリランカのコロンボ、イランのバンダレ・アッバース港、オマーンのサラーラ港、エジプトのサファガ港、キプロスのリマソル港に寄港し、ロシア黒海艦隊の根拠地ノヴォロシースク港へも寄港しを行なった。特にアドミラル・パンテレーエフは6月から9月までロシア地中海派遣艦隊の旗艦を努めるなど、太平洋艦隊の存在を知らしめ、外洋艦隊としての練度を高めるよい機会となった事だろう。

ロシアが地中海艦隊を編成する意向
ロシア太平洋艦隊がイラン寄港、地中海へ移動する
ロシア海軍がシリア情勢を睨み東地中海で演習予定
ロシア海軍がいよいよ黒海&東地中海域で軍事演習を開始

現在、太平洋艦隊からは巡洋艦ワリャーグが派遣されているが、太平洋艦隊の後は、北方艦隊が地中海に移動している。
ロシア北方艦隊は、12月17日、空母アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフを旗艦として、アドミラル・レフチェンコ、揚陸艦オレネゴルスキー・ゴルニャク、その他の補助艦船で構成される空母機動部隊。

ロシアは今後も地中海に海軍艦船を派遣する意向だが、SS-26配備にしても、最新鋭の軍装備で充実しつつあるロシア軍の存在感は否応なしに高まっている。特に、空軍は今後10年で4.5兆ルーブルを投じ、2020年までに機体の70%に当たる1600機を新型に換装する方針。開発が遅れているF-35の対抗機であるスホイT-50の開発、スホイSu-34、Su-30M2/SMなどの戦闘/爆撃機の第一線配備は、ロシア空軍の面目を一新させるだろう。
またシリアで話題になったS-300より高性能のS-400(SA-21)防空ミサイル・システム&弾道ミサイル迎撃ミサイルシステムが既に国内導入され、次世代のS-500の開発も進んでいる。と言うわけでロシア軍の開発動向には注目、特にテスラ型の非通常兵器には。

最後に、多極化する世界の鳥羽口に立つ状況において、ロシアのみならず周辺国の軍事装備の新鋭化は大いに気に掛かるところ。ここは米国に頼らずにパワーバランスを保つ長期戦略が望まれるが、自衛隊の装備調達を見ると、残念ながらまた太平洋戦争をするようにしか思えない。。。
中国のGPSシステムが北東アジアで稼働したが、これで巡航ミサイル攻撃が出来る。日本に対しては原発稼働後の変電所施設を一斉に攻撃すると、第二の福島が生まれる事となるので脅しやすい。中国が狙うのは敦賀・若狭に蝟集する原発群と関西へ伸びる送電線と変電所。変電所を丁寧に50カ所、100カ所とミサイル攻撃で潰していけば、関西は程なく機能停止となる。
中国共産党が国内統治に失敗すると、必ずや外に出てくるので、中国版GPSの北斗を無効化する必要があるが、この手の装備も必要なのであります。F35より優先度高いと思いますが。

「海洋立国シンポジウム2013」でノーチラス・ミネラル社(Nautilus Minerals Inc)が講演

2013年12月16日 | 雑感

今日、新丸ビル9階で一般財団法人キャノングローバル戦略研究所(CIGS)主催の『海洋立国シンポジウム2013』が開催された。先週は、同じ会場で地球温暖化シンポジウムが開催され、中国から能源研究所(エネルギー研究所)の元所長であられる周大地先生が講演されていた。なんとまあ幅広い活動だと感心しきりだ。

さて、海洋シンポジウムのメインは、ノーチラス・ミネラル社の講演で、調査・開発戦略担当副社長のジョナサン・ロウ氏が軽妙な語り口で1時間に渡り動画などを交え話をした。ロウ氏の話を聞いて印象に残った点は、盛んにポリシーを連発していたこと。パプアニューギニア政府との関係がうまく行かない事が余程骨身に滲みているのだろう。早々にパプアニューギニア政府とのトラブルが解決しプロジェクトが本格始動する事に期待したい。

それとイスラエルが地中海沖で天然ガス田の開発を行って成功しているが、海洋資源開発は、内海の方が圧倒的に開発し易く、資源ポテンシャルも高いと思っている。日本の場合、海底エネルギー開発は日本海に重点を移すべき。海底鉱物資源開発は太平洋で問題なしと考える。日本海においてはロシア、北朝鮮関係も勘案すると環日本海諸国共同での開発可能性もありうる。日本の開発優位性を担保する為にも、韓国が占領している竹島を軍事的に奪還する事は必要になるだろう。例えば、北朝鮮軍が38度線を越えて攻撃した場合の緊急事態を適切に捉えて、韓国守備隊を殲滅/無力化する事など。中国も見過ごせない。北朝鮮の羅津港と清津港に中国企業が進出しているし、北朝鮮の情勢によっては中国海軍艦艇が常駐する状況も想定する必要がある。その意味からも竹島は奪還せねばならない。

※過去ブログ:
イスラエル=レバノン沖の天然ガス資源
イスラエルの排他的経済水域防衛力の強化に見る、日本海の海底資源開発における長期的取り組み
石油無機起源説と日本海海底油田開発

余談が長くなってしまった~ジョナサン・ロウ氏の話はの概要は以下。但し内容は正確では無い。英語でベラベラ喋られてもついて行けない・・・

・地上における金属資源採掘は、著しく効率が落ちており、総採掘量の95%は捨てている状況にある。それに比べ海底資源は、例えば銅の場合含有量が12%と陸上鉱山とは比較にならないほど高品位である。陸上の銅鉱山の品位は0.5%を下回るとの数字もある。つまり今後は、海底資源分野が有望であると言いたい。

・当社の資本構成は、イエメンのMB社28%、ロシアのMETALLOINVEST社20.75%、アングロアメリカ5.95%の比率。イエメンのMBは陸上鉱山開発や海底資源開発の経験があるオーナーが投資をしており優良。ロシアの会社は純粋に財務的視点からの投資。アングロは保険を掛ける意味で余裕の投資?

・今でも金属資源開発は重要であり、最近の金属需要を増やしているのは、先進国の再生可能エネルギーブームかも知れない。先程風力発電について言及があったが、風力発電は銅の塊と言って良い。1基当たり約1トンの銅が使用されている。ニッケルにしても500kgである。電気自動車にしてもリチウムイオン電池や電装部品には大量の銅が使用されており、この需要は今後も増え続ける事はあっても減る事はない。しかし前述の通り陸上鉱山の品位低下と大深度掘削によりコスト高と低効率に直面している。
(※銅は今やレアメタルだとの意見も多い)

・海底熱水鉱床の場合、銅や亜鉛、金、鉛など金属成分が高濃度で噴出しており、日本が欲しているレアアースも豊富だ。またニッケル、モリブデンなどの塊であるマンガン団塊も太平洋・大西洋広く分布しており、有望な資源。
(※マンガン団塊の多くは公海に存在する。公海における開発は国際海底機構の定めるマイニング・コードや国際的レギュレーションが適用されるため事は簡単ではない。しかし、大陸棚であれば沿岸国の法律に従えば良く企業からみると対応し易い)

・当社の第一のプロジェクト「SOLWARA」はビスマルク海にあり、熱水鉱床やコバルト団塊などが確認されている。
確認されている鉱物資源量は87万トン。推定の鉱物資源量は130万トン。品位は、①銅6.8%、②亜鉛0.4%、③金4.8g/ton、④銀23g/ton。
SOLWARAの熱水鉱床から得られる鉱物の品位は非常に高い。陸上の銅鉱山の品位は平均0.5%程度。この海域は、ニューブリテン島が波を押さえる働きをするお蔭で極めて穏やか海で、モンスーンも来ない事から安全に操業する事が出来る。これは世界的にも極めて珍しい地域。次のプロジェクト対象域であるトンガの場合には、ビスマルク海とは違い、波やモンスーンの影響を考慮しなくてはならず、パイプの強化や操業方法に工夫が必要。しかし、トンガの資源埋蔵量は、SLOWARAを越えると推定している。

・SLOWARAのプロジェクトは、パプアニューギニア政府(以下、PNG)との資金面でのトラブルでストップしている。CEOが現地に張り付いて、政府との問題解決に努力している状況。PNGは、仲裁を手続きを行ったが、仲裁官は当社に有利な裁定を行い、1億8000万ドルの支払いをPNGに命じているが、当然支払う気は毛頭なく、SLOWARAプロジェクトは停止。やはり政策は重要だ。政府が関与して利益を得ようと考えると、資源開発は頓挫する良い事例だろう。政府は関与を最低にして企業が活動しやすい環境を作る事に専念するべき。これは私見。

・当社はPNGとは揉めているものの、有望なのはトンガである。トンガには自分も調査したが、19の有望な地点があり、早く採掘に取り掛かりたい。このトンガなどのプロジェクトで日本企業と連携出来ればいい。先程も三井住友などと昼食を共にしたが、前向きな意見があり、是非とも一緒にやりたい。

・海底資源採掘の機械も揃っている。実は資源業界では海底からの資源採掘は珍しいものではなく、南アフリカではダイヤモンドの原石を海底から採掘しているし、セメントの原材料も地上の資源が枯渇しつつあることから、海底から採取している。この為の機械も開発されており、当社はそれを利用するだけ。

・海底資源探査や掘削用のRiser PipeやRiser Pumpなどはヒューストンなどで購入も可能な汎用品であるが、当社はGEと海底掘削用に強化したものを開発している。また当社はトレンチングなどの技術提供も可能である。

・明日(12/17)の投資家向け説明会では実際の海底掘削機械の工場の内部を撮影した動画を見せる予定。あらゆる海底面での掘削が可能なマシンが既に用意されている事が分かるだろう。Riser and Lifting Systemについは、既に100万回のテストが終了しており、極めて信頼性の高い技術に仕上がっている。

・当社ではProduction Supoort Vessel(PSV)と呼ばれる洋上掘削船の調達する。現在中国で建造中で、海底掘削と資源採取に必要な全ての装備を巨大な船に搭載するもの。この投資は巨額と考える向きもあるが、海洋資源開発のコストは、陸上資源開発の1/2~1/3である事を考えると短期で回収可能である。鉱山と違ってこれは船なので次のサイトに移動して採掘出来るメリットもある。運用コストを考えても陸上鉱山開発より投資面からしても優位にあると言える。

・PNGとの交渉は粘り強く続けて行くが、当社は現地の人々の採用を積極的におこなっているし、資源探査以前の環境影響度調査も慎重に、かつ確りと実施している。

・当社は、ベンチャー企業である故、他社とのコラボレーションが欠かせない。Ocean Floor Geophysics社とは海底地図の面で協力関係にある。同社は電磁海底マッピング技術を有しており、超精密な3D海底地図を提供している。Automous Underwater Vehicles社は、日本もこれから多用するだろう無人潜水艦を開発している。Seafloor Drilling Technology社は海底掘削分野で特に優れた技術と製品は持っている。

・熱水鉱床の開発においては、2つの問題がある。一つはテストにコストがかかる点。もう一つは地球物理的にはOKなんだが、実際の採掘となるとリモートで行う事から上手くいかない事が多々ある点。これは何とかクリアしなくてもリスクや困難性を低減させる事が出来なくてはならない。

・日本とは2018年まではモラトリアム状態だが、当社は決して競争相手ではない。共に協調して行けると考えているし、是非日本から資金を調達してプロジェクトを成功させたいと切に願っている。

■質疑応答:
◎Q:日本の海洋技術力をどう見ているのか?(大島造船所)

○A:70年代80年代の日本の研究に当社は乗っかっているだけで、その点で運が良いと言える。海洋調査と海底探査のフロンティアは日本の偉大なる功績であり、感謝している。資源以外の分野での知見なくお答えできる事が少ないが、日本側の動きに関しては噂の域を超える情報が公開されていないから、自分が知っている事は少ない。
BHPに在籍していた時には、日本の住友と連携していた。資金や技術などの提供など多面的な協力関係にあり、得難いパートナーだった。
最近は、日本企業、特に自動車会社の進出目覚ましく、GMはオーストラリアでは工場閉鎖する騒ぎ。自分の子供もスポッタ・ホールデンと言うGMの車を探すゲームをしているが、現実に道路を走っているのは車の2台に1台は日本車と言う状況。GMはゲームの世界で走っている。すっかりオーストラリアでもGMの車は見かけなくなった。それだけ日本企業の技術力は凄い。当社も是非日本企業と一緒にやりたい。それと我々は1隻の船を買う。しかし価格の問題があって日本は入札に参加しない。ノルウェーは参加するが。船は別にしても、日本のEEZ領域は非常に良い。ビスマルク海と違って天候の問題があるが、克服できると考えている。
日本と違い、パプアニューギニアは政治リスクが大きい。ソブリンリスクも懸念事項で夜寝れない原因となっている。日本国内に全てが揃っておりEEZ内に世界有数の資源が存在するので極めて有利である。ドイツは技術力とリソース力はあるが政府が動いていないので微妙。

◎Q:ニュージーランドでは何が問題で撤退したのか? 環境対策? 水の問題?

○A:ニュージーランドの場合、政府が法律を微に入り細に入り細かく規定した為、開発が全く進まない状況に陥ったと言う事。それに環境保護団体の力が強すぎた。水は、スラリーと一緒に水を洋上に上げる。こうして揚水した水は濾過して600m位に戻す事を検討した。しかし海水との密度が違うのでダメで、同僚のサバンナ・スミスの意見で海底50mに戻すのが最適と分かった。この水深では揚水と海水の元素組成が同じになるので、環境に影響がない。関係者の意見をよく聞く事がプロジェクトの成功に繋がるとの教訓を得た。

◎Q:私は、1970年代にシアトルの海洋管理所に勤務していた者。質問は2点。ブレーク・イーブン・ポイントは何処にあると考えているか?
それとあなたは探査の専門家で、プロセッシングは素人だと思うが、御社のビジネスモデルの全体は誰が把握しているのか?

○A:設備コストは地上鉱山開発の1/2から1/3以下で2年で回収されるので、当社のビジネスに問題なし。洋上掘削船や機材は次のサイトで使えるので更にメリット有。
当社は、ベンチャーで小さい会社で、先程のように全員で知恵を出して問題解決にあたっている。

◎Q:海底資源は、資料によると1年から1年半でマイニングアウトするとあるがどうか?
御社の探査機材はマンガン団塊の開発にもつかえるのか?

○A:海底資源は、約2年で採掘終了。最長でも3年で枯渇する。当社の計画では年間300万から600万を掘る計画なので、SLOWARAが一段落したらトンガで掘る事になる。しかしトンガはSLOWARAより深いのとモンスーンの襲来を勘案してパイプの強化など対策が必要である。
当社の掘削機械は、マンガン団塊採取には直接には使えないだろう。熱水鉱床は50cm単位で採掘するが、クラリオンクリッパーゾーンの広さは北京からパースに相当する広がりで散らばっており、この採掘は深度の問題もあるが熱水鉱床とは異なる難しさがある。
両方に共通する点として、採掘・採取したものを海上に引き上げるのにエネルギーが必要でこれを効率的に行う方法はないか探している。

■ノーチラス社の動画は見てて面白いと思うので是非ご覧ください。
(1)煙突サンプリング
(2)ROVドリル
(3)海底生産ビデオアニメーション

因みにYouTubeにも動画がUPされている。→ Nautilus Animated Industrial.mp4

西川有司氏が 『資源循環革命』 を出版されました

2013年12月14日 | 雑感
元メタル経済研究所の主任研究員で、英国の地質学会でもレアアースの第一人者として高い評価を受けている西川有司氏が『資源循環革命』を出版された。

西川さんは、東京都立北高等学校13期生で、1975年に早稲田大学大学院資源工学修士課程を修了。早稲田卒業後は、。三井金属鉱業に入社し、資源探査・開発・評価などに従事。2008年から2012年に日本メタル経済研究所主任研究員として世界の資源動向研究に従事され、現在は JP RESOURCE(株)社長。
西川さんは、社長業の傍ら、USRareEarth Inc.顧問、欧州復興開発銀行EGP顧問、マイニングジャーナル特派員、国際資源大学校講師などもこなしつつ、今も世界を駆け巡って多忙な日々をおくられている。
著書には、トリウム研究者として著名で、株式会社京都ニュートロニクス代表取締役社長の亀井敬史氏との共著『トリウム溶融塩炉で野菜工場をつくる』の他、『トコトンやさしいレアアースの本』がある。
また日本メタル経済研究所に書かれた報告書には『アジアの亜鉛産業と将来展望』(2009年4月)、『トリウムとレアアース資源-需要変化の潜在性と将来展望-』(2010年10月)、『ロシアの鉱業事情と将来展望』(2012年4月)など。

それと、西川さんで個人的にインパクトがあったのは「NHK クローズアップ現代でトリウムが報道されました」に同僚の幡野和久氏と共に放映された事だ。2011年11月10日19:30からNHKのクローズアップ現代でレアアースとトリウムについて初めて報道された。この報道では、アイダホ州とモンタナ州にあるUSREのレアアース鉱山が映し出されUSRE役員のDeworth WilliamsとGeoff Williamsに加え、複数の地質学コンサルタントが出演。西川さんは、10月5日に撮影されたUSREのLemhi Pass鉱山視察の模様が放映されていた。
年明けには、西川さんにお会いして様々お話をお聞きしたいと考えているが、是非とも『資源循環革命』は一読をお奨めしたい→ 

MozBus Project

2013年12月13日 | 雑感
MozBusは、Mozilla Busを略したもの。
MozBusは、下記のデジカメにある通り衛星ブロードバンド受信装置を車載する特別仕様のバスで、何時でも何処でもインターネットに接続して様々なワークショップに参加する事が可能だ。

      

MozBusは、オープンソースのブラウザ「Firefox」を開発している「Mozilla Japan」が運営する「Mozilla Factory」プログラムの中の一つのプロジェクトで、下記の企業・団体が支援を行っている。
(1)慶應義塾大学SFC
(2)国立天文台
(3)IPSTAR Company Limited
(4)OpenStreetMap Foundation Japan
(5)シスコシステムズ合同会社
(6)一般社団法人Mozilla Japan

ディズニー・クラッシック作品ポスター・コレクション

2013年12月12日 | 雑感
昨日に引き続き、ディズニーもの。クラッシック作品ポスター・コレクション。

                                                                                                                

廃炉措置中の新型転換炉「ふげん」を視察

2013年12月12日 | 雑感
福井県敦賀市にある独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)の原子炉廃止措置研究開発センターでは、「ふげん」の廃炉作業中。「ふげん」は25年間稼働していた。
        

「ふげん」は勿論、普賢菩薩の普賢。敦賀半島の突端には、三人寄れば何とかの文殊菩薩こと「もんじゅ」が立地している。「もんじゅ」は言わずと知れた高速増殖炉。しかし、この名前は一般に誤解を与える言葉の典型。高速には増殖しないからだ。高速は、高速中性子を使うからであり、プルトニウムが初期比で1.2に増えるから増殖。つまり正確に命名するならば「高速中性子・低速増殖炉」となる。
確か「ふげん」、「もんじゅ」両菩薩は、お釈迦様の両脇に控える菩薩様だったような気がするが・・・もし新型の「高速中性子・低速増殖炉」が作られると仮定すると、この新型炉の名前は、もしかして~   

さて、視察した「ふげん」は新型転換炉(Advanced Thermal Reactor:ATR)と呼ばれる型式の原子炉で、稼働当初は、アメリカから買ってきたプルトニウムを装荷し運転した炉。「ふげん」は結局、25年間稼働し、その間、様々なプルトニウムやウランの化学的データの収集を行った。この実績は、黎明期にあった我が国における原子力産業にとっては、極めて有意義なものであった。この「ふげん」が運転を停止し、廃炉作業中と言う点、特に商用運転した原発としては、浜岡第一、第二原発、東海原発と共に、廃炉が検討されている40年越えの原発の廃炉作業にとって極めて意義のあるプロジェクトであり、重水を用いた原発としては日本初だ。
福島第一原発では、水爆の原料になるトリチウム(三重水素)の問題が顕在化しているが、「ふげん」においては重水からトリチウムを除去して、精製した重水をカナダに輸出している実績を有する事から、トリチウム除去技術の横展開が期待されている。先進各国が原子力黎明期に建設した原発が今後廃炉に直面する事から、関連ビジネスの拡大が想定され、如何に安全に短期間かつ低コストで廃炉を行うかが注目される。

視察に行って初めて知ったが「ふげん」は、日本が独自開発した炉形式で、昭和53年に初臨界に達した。この新型転換炉「ふげん」は、重水減速沸騰軽水冷却圧力管型炉。燃料に天然 ウランが直接使用できることや、減速材に液体ナトリウムを使用する高速増殖炉(FBR)に比べて構造が単純で通常の原発プラントに応用が容易である点などの特徴を持つ。

      

「ふげん」は、平成2年以降、MOX燃料(プルトニウム・ウラン混合の酸化燃料)の燃焼実験にも使用され、世界最大のMOX燃料装荷炉として様々なデータ収集に貢献した。「ふげん」は、最終的に、平成15年3月の運転終了までに772体のMOX燃料と、ウラン燃料集合体(UO2燃料)の装荷687体。合計1459体の燃料を79回に渡って受け入れた。MOX燃料は、BU型輸送容器に2対ずつ収納、最大12基24体がトラック4台に積載され搬入される。UO2燃料もA型輸送容器に2体、最大15基30体がトラック4台に積載され、これまた搬入された。「ふげん」は、核分裂性プルトニウム1355kgを含む1845kgのプルトニウムを装荷し、25年の稼働により総発電電力量219億2400万kWh、総発電時間13万7000時間、平均設備利用率62%、平均点検日数は113日、標準燃料の取出平均燃焼度は12880MWd/t。

                    

大きな事故を引き起こすことなく廃炉措置となった「ふげん」は、福島第一原発のBWRと同じように原子炉で発生した蒸気をそのままタービンに送り込み発電する仕組みで、重水関連の施設を別にするとBWRとほぼ同じ仕組み。その重水に関しては稼働開始時195トンを海外から輸入して対応した。カールスルーエ研究所からアメリカ国籍の重水160トンを輸入し、これと別にアメリカから17トン、ノルウェー16トン、中国から5トンをそれぞれ輸入して稼働開始に漕ぎつけている。ふげんの運転終了後の重水は、トリチウム(三重水素)を除去した後、カナダのオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社に移転しており、視察の際にも最後の搬出となるドラム缶が施設内に安置されていた。OPG社に搬出される重水の総量は240トンとされる。

上記の実績を有する「ふげん」であるが平成7年に原型炉に次ぐ実証炉建設が中止されたことに伴い、ATRの研究プログラムそのものも中止され、研究と運転そのものも、前述の通り平成15年3月に終了した。現在は、廃止措置が本格的に開始され、国内の発電可能な大型炉としては、平成13年から廃止措置が取られている日本原子力発電東海発電所(黒鉛減速ガス冷却炉)に次ぐものとなる。しかし、世界的に見れば、「ふげん」のような重水炉は、カナダが開発したCANDU炉(カナダ型加圧重水炉)を代表として 世界各国で運転されており、天然ウランが燃焼できる点以外にも、今後有望視されているトリウムを重水炉の燃料とすることで、ウラン233の生産が可能な点に注目が集まり、インドや中国で研究開発が進んでいる。一方、重水の生産コストの高さや、稼働率の低さ、生産されるプルトニウムの扱いなどが問題になってはいる。

「ふげん」の開発には約 925億円が投入され,建設費と 25年間の 運転経費の合計は約 3,600億円。発電による収入は約 2,065億円。解体とそれに伴う廃棄物処理費用,更に解体終了までの施設管理に要する費用は合計で約2000億円と推定されている。ちなみに廃炉だけにかかる費用は750億円としているが、この数字を見れば原子力発電は廃炉と使用済み核燃料の後処理を考えると経済的にペイしない事はあきらかだ。

この廃炉作業で出る廃棄物約36万1800トンのうち、これまでに7720トンを撤去。タービンを回した蒸気を冷やして水に戻す復水器をビニールシート越しに公開。高さ15メートル、幅7メートル、奥行き15メートルの構造物が左右対称に2つあったらしいが、原形は既にない。しかし復水器の解体はあと3年かかる。タイミングが良ければ、ビニールハウス内で作業員が高圧水を使い、解体された配管や弁などを除染している様子も見れるとの事であるが今回はなし。残念~
原子力機構は、廃炉作業で得られた技術を東京電力福島第1原発の事故処理などに生かしたい考え。原子炉本体は放射線の遮へいのため上部にプールを設け23年度から解体する計画。レーザーを使い遠隔操作により切断する技術開発を進めているそうだ。
それと「ふげん」には466体の使用済み核燃料が今も敷地内に残っており、東日本大震災などの影響で東海再処理施設(茨城県)の稼働が遅れたため、搬出は先延ばしされ続けている。早ければ今年、2013年度後半にも搬出を再開したい意向とのことだ。

最後に↓