阿部ブログ

日々思うこと

グリーンランドの氷解と資源開発

2010年11月08日 | 日記
北極圏の海氷衰退が世界のエネルギー資源と海運に多大な影響を与える事は十分に認識されているが、グリーンランドの氷解による影響も十分に考慮されなければならない。北極の海氷と違い陸上に存在する氷塊が溶ける事による海面上昇は世界的な問題として認識されるべきである。決してツバルなど海洋国家だけの問題ではない。

グリーンランドは、世界最大の島で全体の80%が氷床と万年雪に覆われており、氷の厚さが最大3000メートルに達するところもあるほどで、例えばグリーンランドの全ての氷と雪が溶けた場合、現在の海面が約7.2メートル上昇するとの試算がある。

一方、北極海と同様、エネルギー資源においては、新たな鉱物資源の探査が可能とも言われている。日経新聞によると、温暖化によりグリーンランド沿岸の凍結時期が短くなっており、新たな航路の新設も可能になっているという。例えばデンマーク領グリーンランドの鉱物資源調査会社アンガス&ロス(AGU)社がグリーンランドに有するブラック・アンゲル鉱山で、従来鉱物を搬出できる時期が1年のうち半年だったのが、現在では8ヶ月になり、将来的には通年の搬出が可能となると予測している。

前述のようにグリーンランドの殆どは雪と氷塊に覆われており、沿岸部の一部しか資源探査が行われていなかったが、永久凍土の融解により深部での調査が可能となっている。このような状況から同島の鉱物資源を狙った動きが出てきている。例えばデンマーク政府は、国営石油NUNAOILを新たに設立。また鉱物資源開発の国営Nunamineralは新たに始まった金鉱開発への投資を募るためコペンハーゲン株式市場に上場したりしている。

グリーンランドの地質調査機関GEUSによると、同島の西沖合では原油が海底にしみ出す油徴が確認されているとの事で、サウジアラビアの原油埋蔵量の4割に当たる油田と、北海油田の3分の1に相当する油田の2つが眠っているという説もある。
北極や南極と違い、グリーンランドは自治政府の独立も含めまさに手付かず領域であり、我々は資源・エネルギー戦略の未開拓エリアとしてグリーンランドに着目するべきではないか。

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