阿部ブログ

日々思うこと

パワー・ハーベスト技術

2009年06月08日 | 日記
慶応義塾大学・武藤(タケフジ)佳恭教授の求めに応じて浜田防衛大臣が、6月8日(月)10時~藤沢キャンパスで1時間程講演を行った。

この講演前に武藤教授の研究室を大臣が訪れ、武藤教授が研究しているペルチェ素子を使った温度差発電装置、床発電、超指向性音源などの説明を受けていた。

この様子を毎週日曜日18時30分から放送のTBS「夢の扉」のスタッフが撮影していたが、TBSは無駄に捨てられているエネルギーに着目して研究を続けている武藤教授の研究室に張り付いて取材をしている。

この様々な場所に存在しながらも有効活用されていないエネルギーを電気エネルギーに変換する技術をパワー・ハーベスト技術(power harvesting technology)と言う。

床発電について武藤教授は、現在JR東日本と共同で2006年から東京駅丸の内駅北口のSuicaゲートを使って床発電の実証実験を行きた。これは、武藤教授がJR東日本の大塚会長(当時社長)に提案して実現したもの。

この床発電は圧電素子(ピエゾ素子)をSuicaゲートの床下に敷詰め、床を歩く人の振動エネルギーを電気に変え蓄電池に貯めると言うもので、1人当たり0.07W~0.7Wの発電量があることが実験の結果明らかになっている。

2008年には、Suicaゲートだけでなくコンコースも含めた90平方メートルに拡大してNEDOの支援を受け実験を行い500kWの発電量を得たと言う。

また床発電の他、ペルチェ素子という熱電素子2枚を使い、この素子間の温度差で発電する装置を武藤研究室で実際に見る事ができる。改良が続けられてきた二代目の発電装置は、パソコンのCPUクーラーの上にペルチェ素子をおき、保冷剤で冷やして温度差を生じさせて発電し、モーターを回すという仕組み。(図参照)

さらには和歌山県・白浜の有名温泉旅館で実験する予定の温度差発電がある。温泉と気温の温度差で発電するもので、これは24時間365日発電が可能。

発電条件が限定されている太陽電池、風力発電、床発電などと違い、火山国日本において温泉と言う地熱エネルギーを有効活用する将来有望なパワー・ハーベスト技術である。(これも実験室で見る事ができる)今後も武藤教授の研究に注目していきたい。