ロシア軍の編制に変更がある。プーチン大統領の直々の命令で、現在西部軍管区所属の北方艦隊が、12月1日付で北極軍司令部に移管される。ロシアは、北極軍を新編・強化して、北極圏での国境線拡大と資源・エネルギー権益を確実なるものとする意向だ。
「ロシアの北極域での防衛力強化 ~ロシア北極軍~」
「北極圏にロシア北極軍が常駐し防衛力を強化」
「北極海におけるロシア海軍の動向と原子力発電プラント船&原子力機関車」
今年2014年3月には、第98空挺師団が、北極圏に付近に漂う流氷にパラシュートする訓練降下を実施している。この訓練降下で使われたのは北極圏での使用を見据えて開発された新型パラシュートАрбалет-2。-35℃でも開傘可能。
また2014年9月6日にセベルモルスク港を出向した6隻の北方艦隊の船団がノヴォシビルスク諸島(New Siberian Islands;1993年に閉鎖)に到着し基地の再建作業に従事している。この船団は上陸用艦艇と補給艦、2隻の砕氷船で構成されている。前年の9月にも10隻の艦隊が派遣され基地再開の努力が為されている。New Siberian Islands基地は恒久基地となり北極軍所属の部隊が駐屯する。
因みにフランス政府が引渡しを無期延期しているヘリ空母ミストラル級1番艦ウラジオストク(2013年10月進水)と2番艦セヴァストーポリ(2014年11月20日進水)は、太平洋艦隊の拠点ウラジオストクに配備される計画だが、このミストラル級ヘリ空母は、北極圏での航行が可能な艦船として設計されている事は、案外と知られていない。
ロシアの北極圏における活動が着実に本格化する中、米軍の対応は本気で北極圏での軍事作戦を考えていないように見える。
しかし、「北極ロードマップ(U.S. Navy Arctic Roadmap 2014-2030)」は今年の2月24日に公表している。今回のロードマップは2009年の改訂版で、米海軍気候変動任務部隊(U.S. Navy Climate Change Task Force)が改訂作業を実施。ロードマップは2014年から2030年までとそれ以降を3期に分けて記載している。現在から2020年までの短期、2020年から2030年までの中期、そして2030年以降の長期である。
北極ロードマップは、北極圏の気象予測と米海軍の行動目標を示している。短期では、北極圏の海氷の溶解が進み、北極圏航路の利用可能期間が長くなり、ベーリング海峡でも年間最大160日間がOpen Waterとなり、35~45日間がShoulder Seasonとなる。ベーリング海峡からカナダ北方圏を通過して大西洋に抜ける北西航路のOpen Waterも最大30日間、Shoulder Seasonが最大45日間となる。海軍の活動は当然Open Waterの時期に限定される。原子力潜水艦や航空戦力は展開可能だが、本格的な陸軍と海上艦艇の展開進出は特に厳冬期には難しい。しかし、海軍は、2020年までに北極圏での訓練要員の増強を行うとしており、ロシアの北極軍に対抗しようとしている。
2020年から2030年までの中期には、2025年までにベーリング海峡のOpen Waterが年間最大175日間、Shoulder Seasonが50~60日間。2030年までにOpen Waterが190日間に、Shoulder Seasonが最大70日間に増えるとしている。2030年以降の長期には、更に北極圏での通航可能期間が増え、船舶の通航は大幅に増えると予測している。しかし、ロシアの研究者は北極圏の解氷状態は長く続かず、2020年には寒冷期に入ると予測している。北極圏やツンドラ地帯の氷を分析した結果なので、正確性が高いと考えている。
北極圏の海氷が今後も溶け続けるのか、また凍り始めるのかは、さておき北極圏での勢力圏を拡大する動きが見えるので、今後も注意が必要だ。
「ロシアの北極域での防衛力強化 ~ロシア北極軍~」
「北極圏にロシア北極軍が常駐し防衛力を強化」
「北極海におけるロシア海軍の動向と原子力発電プラント船&原子力機関車」
今年2014年3月には、第98空挺師団が、北極圏に付近に漂う流氷にパラシュートする訓練降下を実施している。この訓練降下で使われたのは北極圏での使用を見据えて開発された新型パラシュートАрбалет-2。-35℃でも開傘可能。
また2014年9月6日にセベルモルスク港を出向した6隻の北方艦隊の船団がノヴォシビルスク諸島(New Siberian Islands;1993年に閉鎖)に到着し基地の再建作業に従事している。この船団は上陸用艦艇と補給艦、2隻の砕氷船で構成されている。前年の9月にも10隻の艦隊が派遣され基地再開の努力が為されている。New Siberian Islands基地は恒久基地となり北極軍所属の部隊が駐屯する。
因みにフランス政府が引渡しを無期延期しているヘリ空母ミストラル級1番艦ウラジオストク(2013年10月進水)と2番艦セヴァストーポリ(2014年11月20日進水)は、太平洋艦隊の拠点ウラジオストクに配備される計画だが、このミストラル級ヘリ空母は、北極圏での航行が可能な艦船として設計されている事は、案外と知られていない。
ロシアの北極圏における活動が着実に本格化する中、米軍の対応は本気で北極圏での軍事作戦を考えていないように見える。
しかし、「北極ロードマップ(U.S. Navy Arctic Roadmap 2014-2030)」は今年の2月24日に公表している。今回のロードマップは2009年の改訂版で、米海軍気候変動任務部隊(U.S. Navy Climate Change Task Force)が改訂作業を実施。ロードマップは2014年から2030年までとそれ以降を3期に分けて記載している。現在から2020年までの短期、2020年から2030年までの中期、そして2030年以降の長期である。
北極ロードマップは、北極圏の気象予測と米海軍の行動目標を示している。短期では、北極圏の海氷の溶解が進み、北極圏航路の利用可能期間が長くなり、ベーリング海峡でも年間最大160日間がOpen Waterとなり、35~45日間がShoulder Seasonとなる。ベーリング海峡からカナダ北方圏を通過して大西洋に抜ける北西航路のOpen Waterも最大30日間、Shoulder Seasonが最大45日間となる。海軍の活動は当然Open Waterの時期に限定される。原子力潜水艦や航空戦力は展開可能だが、本格的な陸軍と海上艦艇の展開進出は特に厳冬期には難しい。しかし、海軍は、2020年までに北極圏での訓練要員の増強を行うとしており、ロシアの北極軍に対抗しようとしている。
2020年から2030年までの中期には、2025年までにベーリング海峡のOpen Waterが年間最大175日間、Shoulder Seasonが50~60日間。2030年までにOpen Waterが190日間に、Shoulder Seasonが最大70日間に増えるとしている。2030年以降の長期には、更に北極圏での通航可能期間が増え、船舶の通航は大幅に増えると予測している。しかし、ロシアの研究者は北極圏の解氷状態は長く続かず、2020年には寒冷期に入ると予測している。北極圏やツンドラ地帯の氷を分析した結果なので、正確性が高いと考えている。
北極圏の海氷が今後も溶け続けるのか、また凍り始めるのかは、さておき北極圏での勢力圏を拡大する動きが見えるので、今後も注意が必要だ。