東京大學の医学部卒業生有志による戦没同窓生の碑が、東京大学・本郷キャンパスの外、第一書房の右隣にある。
「天上大風」は、書に関心のある人なら誰でも知っている良寛の代表作だ。同窓生の碑の文字も、味わいがある。良寛の書は生前から人気があった。
東京大学戦没同窓生の碑
昭和6年(1931)から昭和20年(1945)まで15年(満州事変 日中戦争 太平洋戦争)にわたる戦争で東京大学も多数の戦没者を出したが戦後50年のあいだその実数は不明のままであった
このたび大学による学徒出陣の調査が行われ1,700人近い戦没者が明らかになったが その実数は2,500人にも達すると推定されている
私たち医学部卒業生有志はこの事実に驚き 悲しみ 世紀がが変わる前に追悼の碑を建ててこの事実を後世に伝えるべく追悼基金を組織した
この「東京大学戦没同窓生之碑」は 大学正門前のこの地にお住みの方々から温かいお心をいただいて建立が可能になり 同窓生あい集って建立するものである
「避けがたい状況の下に 愛する人々のために一命を捧げた」若者たちのいたましくも悲しい事実を歴史に刻む碑であって 戦没同窓生への深い思いを「天上大風」という良寛の言葉に託した
今世紀最後の東京大学5月祭初日の今日 ここに同志あい集ってこの碑を建立し音楽と花を捧げ深い哀悼を世に伝えるものである
平成12年5月27日
医学部戦没同窓生追悼基金
「天上大風」は、書に関心のある人なら誰でも知っている良寛の代表作だ。同窓生の碑の文字も、味わいがある。良寛の書は生前から人気があった。
東京大学戦没同窓生の碑
昭和6年(1931)から昭和20年(1945)まで15年(満州事変 日中戦争 太平洋戦争)にわたる戦争で東京大学も多数の戦没者を出したが戦後50年のあいだその実数は不明のままであった
このたび大学による学徒出陣の調査が行われ1,700人近い戦没者が明らかになったが その実数は2,500人にも達すると推定されている
私たち医学部卒業生有志はこの事実に驚き 悲しみ 世紀がが変わる前に追悼の碑を建ててこの事実を後世に伝えるべく追悼基金を組織した
この「東京大学戦没同窓生之碑」は 大学正門前のこの地にお住みの方々から温かいお心をいただいて建立が可能になり 同窓生あい集って建立するものである
「避けがたい状況の下に 愛する人々のために一命を捧げた」若者たちのいたましくも悲しい事実を歴史に刻む碑であって 戦没同窓生への深い思いを「天上大風」という良寛の言葉に託した
今世紀最後の東京大学5月祭初日の今日 ここに同志あい集ってこの碑を建立し音楽と花を捧げ深い哀悼を世に伝えるものである
平成12年5月27日
医学部戦没同窓生追悼基金
トルコ軍は、北東部ユーフラテス川以東地域への侵攻作戦を準備中だが、12月20日、シリアからの米陸軍2000人の撤退報道を受け、トルコ陸軍の増援部隊がシリア国境ガジアンテップ県に展開。トルコ特殊部隊Su Alti Savunma(破壊工作旅団)と偵察部隊は国境を超えて浸透し監視ポイントを設置。同日、トルコのエルドアン大統領とイランのロウハニ大統領がアンカラで会談している。米軍のシリア撤退は、トルコ、イラン、そしてロシアによるトライアングルがシリア内戦後の中東における勢力地図を書き換えることになりそうだ。今回のトランプの決断により、イスラエルは米国カードを失い、イランの影響下にあるレバノン、今の所、良好に見えるヨルダンとの関係も今後は怪しい。既にトルコはヨルダン軍との連携を強化しつつあり、現実に12月15日から22日にかけて「トルコ=ヨルダン軍国境安全軍事演習」と「トルコ=ヨルダン大隊司令軍事演習」が行われた。そして、IS掃討後のシリア安定化に向けたロシア、イラン、トルコによるアスタナ会議は、来年ロシアで開催される。
翌21日、エルドアン大統領が「叩き潰す」としているシリア民主軍の共同議長が仏大統領府を訪問。この訪問前にフランス陸軍の偵察・監視部隊数十名がシリア民主軍とmanbijに移動している。米軍撤退後は、フランス軍がシリア民主軍と連携するようだが、米国のようなプレゼンスは無く、影響力は限定的だろう。事実、シリア民主軍のマンビジュ軍事評議会は、manbij北のサージュール川の部隊拠点に対し、親トルコの武装集団から発砲・挑発されている。
12月22日、エルドアン大統領は、延期している北東部ユーフラテス川以東地域への侵攻作戦を、米軍撤退後に実施すると発言。トルコの目標は、シリア民主軍の主力であるクルド人民防衛部隊(YPG)の壊滅である。シリア民主軍とYPGは、12月1日から2日にIS掃討戦に投入した15000人規模の部隊を、トルコ軍侵攻に備えて再度、部隊移動させている最中。また、予備兵の招集も始めたとの情報もあり、対トルコ戦に備えている。負ければトルコによる民族浄化と言う名のクルド人の迫害と虐殺が行われる。トルコは、アルメニア人150万人虐殺の前科があるが、現在トルコ軍が占領しているafrin地域では、トルコに教唆されたアラブ人による民族浄化が行われた。だからクルド民族は自らの生存をかけてトルコ軍を撃退する必要があるのだ。
当然ながら、米軍もシリアから撤退すればクルド民族の行く末は簡単に想像できる。そこでシリアに展開している米軍部隊は、イラン北部のアルビールに駐留・展開する。アルビールは、イラク国内におけるクルド自治区の首都である。米軍は、シリア民主軍とクルディスタン武装部隊のペシュメルガなどと、シリア・トルコ国境地帯での軍事活動や情報活動を行う合同作戦センターを設置する方向で調整している。
何れにせよ、トルコのシリア侵攻とクルドの防衛戦闘の行方に注視が必要。
翌21日、エルドアン大統領が「叩き潰す」としているシリア民主軍の共同議長が仏大統領府を訪問。この訪問前にフランス陸軍の偵察・監視部隊数十名がシリア民主軍とmanbijに移動している。米軍撤退後は、フランス軍がシリア民主軍と連携するようだが、米国のようなプレゼンスは無く、影響力は限定的だろう。事実、シリア民主軍のマンビジュ軍事評議会は、manbij北のサージュール川の部隊拠点に対し、親トルコの武装集団から発砲・挑発されている。
12月22日、エルドアン大統領は、延期している北東部ユーフラテス川以東地域への侵攻作戦を、米軍撤退後に実施すると発言。トルコの目標は、シリア民主軍の主力であるクルド人民防衛部隊(YPG)の壊滅である。シリア民主軍とYPGは、12月1日から2日にIS掃討戦に投入した15000人規模の部隊を、トルコ軍侵攻に備えて再度、部隊移動させている最中。また、予備兵の招集も始めたとの情報もあり、対トルコ戦に備えている。負ければトルコによる民族浄化と言う名のクルド人の迫害と虐殺が行われる。トルコは、アルメニア人150万人虐殺の前科があるが、現在トルコ軍が占領しているafrin地域では、トルコに教唆されたアラブ人による民族浄化が行われた。だからクルド民族は自らの生存をかけてトルコ軍を撃退する必要があるのだ。
当然ながら、米軍もシリアから撤退すればクルド民族の行く末は簡単に想像できる。そこでシリアに展開している米軍部隊は、イラン北部のアルビールに駐留・展開する。アルビールは、イラク国内におけるクルド自治区の首都である。米軍は、シリア民主軍とクルディスタン武装部隊のペシュメルガなどと、シリア・トルコ国境地帯での軍事活動や情報活動を行う合同作戦センターを設置する方向で調整している。
何れにせよ、トルコのシリア侵攻とクルドの防衛戦闘の行方に注視が必要。
全世界で精確な位置測位を可能としたGPSや、インターネットの前身となるArpanetなど数々のイノベーションを生み出してきた、米国防高等研究計画局DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency)は、Northrop Grumman Corpと共に「100Gbps(100G)RF Backbone Program」を進めている。このプログラムは、5Gの10倍となる100Gbps超えの通信速度を実現する次世代の通信技術の確立を目指している。既に2018年1月19日、Los Angelesで、100Gbpsの超高速通信の実証試験を実施した。DARPAは、第6世代となる移動体通信システム、所謂6Gに向けて着々と技術開発を進めている。
6Gとは、総務省の「電波有効利用成長戦略懇談会」の下部組織である「成長戦略WG」によれば、伝送速度は5Gの10倍の100Gbps以上、遅延は1msec未満でゼロ遅延、接続密度が1000万台/㎢。また、5Gに於いてはマイクロ波・ミリ波が使われるが、6Gでは更に高い高周波数帯(テラヘルツ:TeraHertz)が利用されるとしている。
(※注:テラヘルツは、周波数1T(Tera)Hz(波長300µm)前後の電磁波で、光波と電波の中間領域に当たる。この為、従来の無線系と同時に光学測定系の構築が可能。)
DARPAは、6Gの通信容量や通信速度、遅延など目指すべき技術の詳細を示していないが、2017年5月22~25日に開催された「NIWeek2017」において、6Gは、通信帯域を共有し、通信の用途に応じて適した帯域を自動で割り当てる「autonomous spectrum sharing」と言う考えを示している。また、新たな超高速移動体通信技術を実現するアルゴリズム開発を行う「Spectrum Collaboration Challenge(SC2)」を2016年3月にスタートさせ、2017年12月21日、DARAPは、予選を通過した10チームに75万ドルを与えた。前述のNorthrop Grumman Corpも資金供与を受けたチームの一つである。
① MarmotE from Vanderbilt University
② SHARE THE PIE from BAE Systems with Eigen LLC
③ Zylinium from a Maryland-based startup
④ Erebus, consisting of three independent engineers and software developers
⑤ SCATTER from IDLab, an imec research group at Ghent University and University of Antwerp, and Rutgers University
⑥ GatorWings from University of Florida
⑦ Sprite from Northeastern University
⑧ Strawberry Jammer from Northrup Grumman
⑨ Optical Spectrum, consisting of two independent LIDAR engineers
⑩ BAM! Wireless from Purdue University and Texas A&M University
2018年5月9日、ニューヨーク大学(NYU)は、NYU Tandon School of Engineeringに於いて、DARPAと共に6Gに向けた研究を進めていることを発表した。ニューヨーク大学は、DARPAが設置している無線とセンサ技術の研究開発拠点ComSenTer(Center for Converged TeraHertz Communications and Sensing)で他大学と研究を行う。ComSenTerは、Semiconductor Research Corporation(SRC)が管理する研究開発コンソーシアムで、DARPAのJUMP(Joint University Microelectronics Program:予算2億ドル)の一部。参加する大学は、ニューヨーク大学の他、カルフォルニア大学サンタバーバラ校、カーネギーメロン大学、パデュー大学、バージニア大学、ミシガン大学、ノートルダム大学。また、企業は、ARM、EMDパフォーマンス・マテリアルズ、IBM、インテル、ロッキード・マーティン、マイクロン・テクノロジー、ノースロップ・グラマン、レイセオン、TSMC、サムスンなどが参画し費用の60%を負担している。
ComSenTerの目的は、6G以降を想定し100GHz~1Thzの超高周波帯域に於いて、次世代の無線通信技術の基礎を確立することにある。この近未来の無線技術は、通信システムの極端な高密度化が実現し、5Gの10〜1,000倍の通信容量で、数百〜数千の同時超高速無線接続が行なえる。ComSenTerは、テラヘルツ帯を利用して、低レイテンシのバーチャルリアリティ(VR)、拡張リアリティ(AR)、及びシームレスなテレプレゼンスが実現できる。また、次世代モビリティ革命を推進し、自律型車両とインテリジェント化された道路システムをサポート。特にワイドバンド車間リンクは大容量の拘束データ通信を行い、車両の位置をcm以下の精度で測定可能だとしている。これらを複合的な技術を融合利用して、エリア内の半自動車両、自律車両やバイク、自転車、歩行者などの相互作用を予測して管理し、衝突を回避し無事故交通を実現すると言う。また、テラヘルツ帯技術では、新たな化学センサや、医療用イメージング・モダリティなど応用範囲は広い。
米国防総省に属するDARPAが、6Gなど次世代の無線技術を開発するのか?それは、前述の「autonomous spectrum sharing」や「Spectrum Collaboration Challenge(SC2)」による通信アルゴリズム開発にヒントがある。
米軍は9.11以降、対テロ作戦やドローン攻撃による偵察・暗殺・破壊に専心し、電子戦分野での新規開発や作戦運用が行なわれてこなかった。この間、ロシアは電子戦部隊を強化・育成し、その能力は米軍を遥かに凌いでいる。これが判明したのが、ロシアによるクリミア半島占領である。米国は直ちに対ロシア制裁を決め、米軍はウクライナ軍の支援を行った。しかし、ロシアの電子戦部隊による通信妨害、無人機ドローンによる航空管制妨害、GPSジャミングなど、ロシアの高度な電子戦能力に米軍は全く対処できなかった。反面、旧ソビエト軍の流れを汲むウクライナ軍は、対電子戦闘の基本動作が徹底されており、米軍は、逆にウクライナ軍から、対ロシア電子戦闘のイロハを学ぶ始末。 また、シリア内戦でも、現地に展開するロシア電子戦部隊により、米軍の部隊通信は途絶し、攻撃機や偵察機の運用に支障をきたしている。
米軍は、あらゆる電磁スペクトラムに於いて敵の電子戦を拒絶し、どの電磁スペクトラムが狙われてもデータ通信を確保することの重要性に今更ながらに気が付き、慌てて対応策を講じつつある。当然、DARPAによるロシアなどの電子戦の影響を無効化する、全く新たな通信技術を開発することになる。
DARPAは、今将に他国に先駆けて6G、7Gなど次世代の無線通信技術を開発し、その技術優位性をもって通信ビジネスなどICT分野での技術覇権を確固たるものにしつつ、軍事分野では既存の電子戦の影響を受けない、発想を新たにした斬新な通信技術の実装を目指している。DARPAから眼が離せない。
○主要参考文献(含むURL):
DARPA 100 Gb/s RF Backbone (100G)
https://www.darpa.mil/program/100-gb-s-rf-backbone
Northrop Grumman, DARPA Set New Standard for Wireless Transmission Speed
https://news.northropgrumman.com/news/releases/northrop-grumman-darpa-set-new-standard-for-wireless-transmission-speed
総務省・「電波有効利用成長戦略懇談会」
「2030年代に向けたワイヤレス技術トレンドとイノベーション促進」
2018年1月29日 (株)三菱総合研究所/社会ICTイノベーション本部
http://www.soumu.go.jp/main_content/000531234.pdf
Spectrum Collaboration Challenge
https://spectrumcollaborationchallenge.com/
Joint University Microelectronics Program
https://www.darpa.mil/news-events/2018-01-17
6Gとは、総務省の「電波有効利用成長戦略懇談会」の下部組織である「成長戦略WG」によれば、伝送速度は5Gの10倍の100Gbps以上、遅延は1msec未満でゼロ遅延、接続密度が1000万台/㎢。また、5Gに於いてはマイクロ波・ミリ波が使われるが、6Gでは更に高い高周波数帯(テラヘルツ:TeraHertz)が利用されるとしている。
(※注:テラヘルツは、周波数1T(Tera)Hz(波長300µm)前後の電磁波で、光波と電波の中間領域に当たる。この為、従来の無線系と同時に光学測定系の構築が可能。)
DARPAは、6Gの通信容量や通信速度、遅延など目指すべき技術の詳細を示していないが、2017年5月22~25日に開催された「NIWeek2017」において、6Gは、通信帯域を共有し、通信の用途に応じて適した帯域を自動で割り当てる「autonomous spectrum sharing」と言う考えを示している。また、新たな超高速移動体通信技術を実現するアルゴリズム開発を行う「Spectrum Collaboration Challenge(SC2)」を2016年3月にスタートさせ、2017年12月21日、DARAPは、予選を通過した10チームに75万ドルを与えた。前述のNorthrop Grumman Corpも資金供与を受けたチームの一つである。
① MarmotE from Vanderbilt University
② SHARE THE PIE from BAE Systems with Eigen LLC
③ Zylinium from a Maryland-based startup
④ Erebus, consisting of three independent engineers and software developers
⑤ SCATTER from IDLab, an imec research group at Ghent University and University of Antwerp, and Rutgers University
⑥ GatorWings from University of Florida
⑦ Sprite from Northeastern University
⑧ Strawberry Jammer from Northrup Grumman
⑨ Optical Spectrum, consisting of two independent LIDAR engineers
⑩ BAM! Wireless from Purdue University and Texas A&M University
2018年5月9日、ニューヨーク大学(NYU)は、NYU Tandon School of Engineeringに於いて、DARPAと共に6Gに向けた研究を進めていることを発表した。ニューヨーク大学は、DARPAが設置している無線とセンサ技術の研究開発拠点ComSenTer(Center for Converged TeraHertz Communications and Sensing)で他大学と研究を行う。ComSenTerは、Semiconductor Research Corporation(SRC)が管理する研究開発コンソーシアムで、DARPAのJUMP(Joint University Microelectronics Program:予算2億ドル)の一部。参加する大学は、ニューヨーク大学の他、カルフォルニア大学サンタバーバラ校、カーネギーメロン大学、パデュー大学、バージニア大学、ミシガン大学、ノートルダム大学。また、企業は、ARM、EMDパフォーマンス・マテリアルズ、IBM、インテル、ロッキード・マーティン、マイクロン・テクノロジー、ノースロップ・グラマン、レイセオン、TSMC、サムスンなどが参画し費用の60%を負担している。
ComSenTerの目的は、6G以降を想定し100GHz~1Thzの超高周波帯域に於いて、次世代の無線通信技術の基礎を確立することにある。この近未来の無線技術は、通信システムの極端な高密度化が実現し、5Gの10〜1,000倍の通信容量で、数百〜数千の同時超高速無線接続が行なえる。ComSenTerは、テラヘルツ帯を利用して、低レイテンシのバーチャルリアリティ(VR)、拡張リアリティ(AR)、及びシームレスなテレプレゼンスが実現できる。また、次世代モビリティ革命を推進し、自律型車両とインテリジェント化された道路システムをサポート。特にワイドバンド車間リンクは大容量の拘束データ通信を行い、車両の位置をcm以下の精度で測定可能だとしている。これらを複合的な技術を融合利用して、エリア内の半自動車両、自律車両やバイク、自転車、歩行者などの相互作用を予測して管理し、衝突を回避し無事故交通を実現すると言う。また、テラヘルツ帯技術では、新たな化学センサや、医療用イメージング・モダリティなど応用範囲は広い。
米国防総省に属するDARPAが、6Gなど次世代の無線技術を開発するのか?それは、前述の「autonomous spectrum sharing」や「Spectrum Collaboration Challenge(SC2)」による通信アルゴリズム開発にヒントがある。
米軍は9.11以降、対テロ作戦やドローン攻撃による偵察・暗殺・破壊に専心し、電子戦分野での新規開発や作戦運用が行なわれてこなかった。この間、ロシアは電子戦部隊を強化・育成し、その能力は米軍を遥かに凌いでいる。これが判明したのが、ロシアによるクリミア半島占領である。米国は直ちに対ロシア制裁を決め、米軍はウクライナ軍の支援を行った。しかし、ロシアの電子戦部隊による通信妨害、無人機ドローンによる航空管制妨害、GPSジャミングなど、ロシアの高度な電子戦能力に米軍は全く対処できなかった。反面、旧ソビエト軍の流れを汲むウクライナ軍は、対電子戦闘の基本動作が徹底されており、米軍は、逆にウクライナ軍から、対ロシア電子戦闘のイロハを学ぶ始末。 また、シリア内戦でも、現地に展開するロシア電子戦部隊により、米軍の部隊通信は途絶し、攻撃機や偵察機の運用に支障をきたしている。
米軍は、あらゆる電磁スペクトラムに於いて敵の電子戦を拒絶し、どの電磁スペクトラムが狙われてもデータ通信を確保することの重要性に今更ながらに気が付き、慌てて対応策を講じつつある。当然、DARPAによるロシアなどの電子戦の影響を無効化する、全く新たな通信技術を開発することになる。
DARPAは、今将に他国に先駆けて6G、7Gなど次世代の無線通信技術を開発し、その技術優位性をもって通信ビジネスなどICT分野での技術覇権を確固たるものにしつつ、軍事分野では既存の電子戦の影響を受けない、発想を新たにした斬新な通信技術の実装を目指している。DARPAから眼が離せない。
○主要参考文献(含むURL):
DARPA 100 Gb/s RF Backbone (100G)
https://www.darpa.mil/program/100-gb-s-rf-backbone
Northrop Grumman, DARPA Set New Standard for Wireless Transmission Speed
https://news.northropgrumman.com/news/releases/northrop-grumman-darpa-set-new-standard-for-wireless-transmission-speed
総務省・「電波有効利用成長戦略懇談会」
「2030年代に向けたワイヤレス技術トレンドとイノベーション促進」
2018年1月29日 (株)三菱総合研究所/社会ICTイノベーション本部
http://www.soumu.go.jp/main_content/000531234.pdf
Spectrum Collaboration Challenge
https://spectrumcollaborationchallenge.com/
Joint University Microelectronics Program
https://www.darpa.mil/news-events/2018-01-17
EUは2018年3月23日、コソボが治安軍を正規軍化する政策を推進しており、セルビアとの軍事的緊張が高まっていることから、セルビアとコソボとの3者会談をブリュッセルで行った。この会議後となる3月26日、セルビアの在コソボ出先機関であるコソボ・メトヒア事務所(コソボスカ・ミトロビッツァ市)で、セルビア人事務所長がセルビア住民に対し会議の内容を報告していた所、コソボ治安軍部隊が突入し、所長を拘束した。コソボの支配地域にはセルビア地区があり、2013年に合意されていたブリュッセル合意に反してセルビア人地区にコソボ治安軍は侵入したことになる。セルビアとコソボは両国ともEU加盟を目指しているが、コソボ紛争の怨念やまない状況にEUは手の打ちようがない。
そのような状況の中、2018年12月14日、コソボ議会はコソボ治安軍を正規軍(陸軍)とする3法案を出席議員107名全員の賛成を持って可決した。コソボ治安軍は、2008年のセルビアからの独立に際して創設された準軍隊で、警察が対応しない防衛行動、暴動鎮圧、地雷除去などの事案に対処する部隊である。現在は2,500名の規模だが法案の可決により、今後倍の5,000名に増員する。コソボの独立を認めていないセルビアは、あくまでコソボは南部州の一つとの立場を堅持しており、コソボ治安部隊の正規軍化法案の可決を受け、セルビアのAna Brnabic首相は「正規軍設置を阻止するための軍事介入も検討する」と発言している。
現在、セルビアは、コソボなど周辺諸国の動向に対応する為、鋭意、軍備の充実を図っており、8月21日にはコソボの独立を認めないロシアから中古のMiG-29×2機を受領。最終的に6基の供与を受けBelgrade近郊の飛行場に配備する。受領式にはAleksandar Vucic大統領も出席した。また、11月には、Aleksandar Vulin国防相を迎えて、H145Mの初号機領収式典がAirbus HelicoptersのDonauworth工場で行われた。セルビアはH145Mを9機配備する予定で、12月中に2機を受領する。装備は、電子戦システム、降下用ロープ、カメラなど。セルビアはAirbus Helicoptersからの技術移転も受ける契約である。これに対し、米国、英国、ドイツはコソボ軍創設に賛意を表明。また、米国は、正規軍化には時間が掛るとの認識を示しつつも、コソボにHMMWV(High Mobility Multi-Purpose Wheeled Vehicle)×24両を12月14日に供与。
NATOの立場は微妙である。コソボ紛争後、コソボの安全保障は、国連安保理決議1244に基づき北大西洋条約機構(NATO)主体のコソボ国際安全保障部隊(Kosovo Force:KFOR)が担っているが、NATOのJens Stoltenberg事務総長は、NATO国防相会議後、コソボの動きについて、「タイミングが悪い」、「コソボ治安軍への支援は慎重ならざる負えない」と懸念を表明。仮にNATO-KFORがコソボでの治安維持活動を限定的、若しくは停止すると、セルビアのコソボへの軍事介入の危険度は一挙に高まることとなる。
セルビアやコソボ以外でも、旧ユーゴスラヴィア周辺国では様々な動きがある。前述のNATO国防相会議では、ボスニア-ヘルツェゴビナに対するNATOの助言・支援プログラムが決定した。ブルガリアは、武器輸出に余念がなく、2017年には、14億ドルの武器輸出で過去最高記録を達成している。対前年比20%増である。また、ブルガリアは、MiG-29×8機とSu-25をオーバーホールし、対領空侵犯への対処能力を高める措置を実施する。クロアチアは、イスラエルから中古F-16の購入を決めたが、米国防総省が、F16の取引を阻止した。この地域の戦力バランスを勘案した措置と言われている。Mike Pompeo米国務長官は、イスラエルのBenjamin Netanyahu首相と電話会談し、Jim Mattis国防長官が反対していると伝えている。
この地域は、コソボ紛争後10年を経て、また不安定化の道を歩みつつあるように観える。コソボ、セルビアの動向を含めて注視が必要である。
そのような状況の中、2018年12月14日、コソボ議会はコソボ治安軍を正規軍(陸軍)とする3法案を出席議員107名全員の賛成を持って可決した。コソボ治安軍は、2008年のセルビアからの独立に際して創設された準軍隊で、警察が対応しない防衛行動、暴動鎮圧、地雷除去などの事案に対処する部隊である。現在は2,500名の規模だが法案の可決により、今後倍の5,000名に増員する。コソボの独立を認めていないセルビアは、あくまでコソボは南部州の一つとの立場を堅持しており、コソボ治安部隊の正規軍化法案の可決を受け、セルビアのAna Brnabic首相は「正規軍設置を阻止するための軍事介入も検討する」と発言している。
現在、セルビアは、コソボなど周辺諸国の動向に対応する為、鋭意、軍備の充実を図っており、8月21日にはコソボの独立を認めないロシアから中古のMiG-29×2機を受領。最終的に6基の供与を受けBelgrade近郊の飛行場に配備する。受領式にはAleksandar Vucic大統領も出席した。また、11月には、Aleksandar Vulin国防相を迎えて、H145Mの初号機領収式典がAirbus HelicoptersのDonauworth工場で行われた。セルビアはH145Mを9機配備する予定で、12月中に2機を受領する。装備は、電子戦システム、降下用ロープ、カメラなど。セルビアはAirbus Helicoptersからの技術移転も受ける契約である。これに対し、米国、英国、ドイツはコソボ軍創設に賛意を表明。また、米国は、正規軍化には時間が掛るとの認識を示しつつも、コソボにHMMWV(High Mobility Multi-Purpose Wheeled Vehicle)×24両を12月14日に供与。
NATOの立場は微妙である。コソボ紛争後、コソボの安全保障は、国連安保理決議1244に基づき北大西洋条約機構(NATO)主体のコソボ国際安全保障部隊(Kosovo Force:KFOR)が担っているが、NATOのJens Stoltenberg事務総長は、NATO国防相会議後、コソボの動きについて、「タイミングが悪い」、「コソボ治安軍への支援は慎重ならざる負えない」と懸念を表明。仮にNATO-KFORがコソボでの治安維持活動を限定的、若しくは停止すると、セルビアのコソボへの軍事介入の危険度は一挙に高まることとなる。
セルビアやコソボ以外でも、旧ユーゴスラヴィア周辺国では様々な動きがある。前述のNATO国防相会議では、ボスニア-ヘルツェゴビナに対するNATOの助言・支援プログラムが決定した。ブルガリアは、武器輸出に余念がなく、2017年には、14億ドルの武器輸出で過去最高記録を達成している。対前年比20%増である。また、ブルガリアは、MiG-29×8機とSu-25をオーバーホールし、対領空侵犯への対処能力を高める措置を実施する。クロアチアは、イスラエルから中古F-16の購入を決めたが、米国防総省が、F16の取引を阻止した。この地域の戦力バランスを勘案した措置と言われている。Mike Pompeo米国務長官は、イスラエルのBenjamin Netanyahu首相と電話会談し、Jim Mattis国防長官が反対していると伝えている。
この地域は、コソボ紛争後10年を経て、また不安定化の道を歩みつつあるように観える。コソボ、セルビアの動向を含めて注視が必要である。