阿部ブログ

日々思うこと

世界一クールな電力会社イエロー・シュトローム(Yello Strom)社のスマートメーター

2010年11月29日 | 日記
ドイツは、1998年4月末より電気事業を全面自由化し垂直統合型の4大電力会社(RWE社、E.ON社、EnBW社、Vattenfall社)と、配電事業をメインとする約900社の地方自治体電力会社が乱立して競争している状況で、スマートメーターの導入も個々の事業者が個別にプロジェクトを進めており、ドイツ全体としてのまとまりがつかない状態となっている。

このような中で、ドイツ第3位の電力会社EnBW-EnergieBaden-Wurttemberg AGの子会社であり、世界一クールな電力会社と報道されているイエロー・シュトローム(Yello Strom)社(契約者数:約140万)の取り組み事例を紹介する 。

世界一クールな電力会社と言われる由縁は、上のような格好いい(クールな)スマートメーターを開発した事による。このメーターは、イエロー・シュトローム社自らが開発した。電力会社がスマートメーターを開発するのは珍しい。スマートメーターには、OSとしてMicrosoft Windows CEを搭載し、ウェブサーバーとクライアントが稼動している。

 http://blog.goo.ne.jp/admin/newentry/#

このスマートメーターは「Saving Meter」として2008年12月に販売が開始され、リースか買取りのどちらかを選択する。リースの場合には、月額$5.60から$11.24で、サービスや機能の種類によって変わる。米国などでは、電力会社がメーターを無料、若しくは低価格で提供するのが普通だがドイツでは違っている。このSaving Meterの販売総数は公表されていないが、1日当り100~200個売れていると言われている。

イエロー・シュトローム社のSaving Meterがユニークな点は、顧客のブロードバンド環境を使う所で、例えばTwitter のアカウントを持ち、自動的にエネルギー消費量をPostし、Microsoft Hohmでエネルギー消費量を確認する事も可能で、同様にグーグルのPower Meterにもアクセスできる。勿論、Saving Meterに付属するソフトウェアを利用することも可能。

Saving Meterは、家庭の部屋単位での電力消費量をモニタリングする。現状ではエアコン、冷蔵庫、TV、デジタル機器など家電の制御が出来るところまでは到っていないが、電力消費に応じてもっとも安い電力料金のサービスを受けること出来る自動選択機能を有している。ユーザーは電気料金設定をWebで簡単に確認できる。

イエロー・シュトローム社は、2008年末から顧客の電力消費情報のオンライン提供を開始し、2009年6月からグーグルのPower Meterを利用した情報提供を開始した。iGoogleにサインアップして利用すると15分刻みで詳細な情報が得ることができ、さらにドイツ各地の電力消費動向や電力会社の料金サービスの内容、省エネに関する情報もあわせて見ることが出来るようになる。
イエロー・シュトローム社は2007年からスウェーデンでも営業を開始しており、同社のクールなスマートメーター導入が期待される。

スマートグリッドからスーパーグリッドへ

2010年11月29日 | 日記
中国は2010年までに北部、中部、南部の3つの地域の電力網を相互に連結させる計画が進行中であり、800キロボルトの中国版スーパーグリッドを2020年までに構築するとしている。
米国電力研究所の研究によれば、もし中国と同じ800キロボルトの電力網を米国ないに構築すると、最大負荷時のロスを1万Mw(250万世帯に供給する電力と同じ)以上削減可能で、二酸化炭素の排出量も年間数百万トン規模で削減できると試算している。

北東アジアでも「環日本海・黄海電力網」が考えられる。地中海同様、日本海は内海であり、黄海まで範囲を広げると日本、ロシア、韓国、北朝鮮、そして中国が国境を接する。EUにはアフリカと言うグリーン電力供給地があるが、アジア版スーパーグリッドの場合には、中国内陸部がその候補となる。灼熱のタクラマカン砂漠など中国の砂漠地帯において太陽光・熱発電や風力発電など行い、東アジアや中央アジアへ輸出することが可能となるだろう。サハラ砂漠、タクラマカン砂漠のほかにも、雲がほとんどなく雨も降らない地域が過去の気象データから特定されている。カリフォルニアのネバダ砂漠、サウジアラビアのルブアルハリ砂漠、南米チリのアタカマ砂漠などである。

そのアタカマ砂漠で世界に先駆け東京大学が、5600メートルの山頂に太陽光発電所を建設し、発電した電気を電気抵抗なしの超電導ケーブルで、赤外線望遠鏡を備える天文台に電力を供給するという「Solar-TAO(ソーラー・タオ)」が動き出した。TAOは東京大学アタカマ天文台の略。東京大学が設置を計画中の天文台の電力をクリーンエネルギーで賄い、一部は地元の市に供給する。発電規模は決して大きくないが、高地砂漠地帯で実用規模の太陽光発電・超伝導送電する世界初の試みである。

今後のビジネスを考えた場合、スマートグリッドそのものをターゲットにするのではなく、インフラ構築と資源開発を織り込んだスーパーグリッド構築プロジェクトを世界各地で主導的に手がけることにある。
例えば、アタカマ砂漠やそのウユニ塩湖周辺において、大規模な太陽光&太陽熱発電所を幾つか建設し、電力不足に悩まされているアルゼンチン、ボリビア、チリなどABC三国のアンデス地域にグリーン電力を供給する。
このエリアに点在する約100近い塩湖でリチウムなどの資源開発を行い、更に南米屈指の潜在的グリーン電力供給地であるこの地域を核として南米スーパーグリッドを構築する。またこのスーパーグリッド構築と併せて、道路、鉄道、トンネル、橋梁などのインフラ整備も同時に行う。

特に、この地域においては、大西洋に面したブラジルやアルゼンチンと、太平洋に面したチリとを結ぶ、アンデス山脈を縦貫したシームレスな交通インフラの構築を行う事で、豊富な鉱物資源や農作物などを、新興著しいアジア・オセアニア地域に輸出する事ができる。これは世界的に見ても意義深いプロジェクトとなるだろう。

このようにスーパーグリッド構築とインフラ整備、そして資源開発を同時に行うことで、大きなビジネスを組み立てることができるだろう。既にビジネスのフロンティアは、アフリカや南米などにシフトしている。

スマートグリッドの本質

2010年11月27日 | 日記
2008年9月以降の世界同時不況を受け先進国及び発展途上国も含めた世界各国政府は、積極的に交通、電力、通信、上下水道など社会インフラへの莫大な投資を行っているが、これは単なる景気対策や単純な社会インフラ再構築ではない。地球環境の問題解決も視野に入れ、最新の情報通信技術を全面的に取り入れたインテリジェントな社会インフラを整備することにより、持続可能な低炭素社会への転換を志向する重要な取組みである。その例が米国のグリーンニューディール政策で、特に欧米諸国では、社会インフラの老巧・劣化が進行しており、社会インフラへの投資が早急に必要なこともあり、これを期に社会インフラのリニューアルとスマート化を一気に成し遂げようとしている。

インフラのスマート化とは、情報通信技術(ICT)を使ってリアルタイムで様々な公共サービスの供給と需要を最適化、効率化することを指す。その代表例がスマートグリッドであるが、社会インフラのスマート化は二酸化炭素削減や省エネ化に役立とともに、新たな産業の育成と成長の基盤となるものである。

一方、発展途上にある新興諸国における社会インフラへの投資は、その規模と数、及びその投資額で先進国を遥かに凌駕している。90年代からの経済グローバル化の進展により、急激な経済成長が持たされた新興国では、深刻な電力・食料・水不足、慢性的な交通渋滞、熱帯雨林伐採や産業廃棄物による環境破壊と汚染など様々な社会問題が顕在化しており、その解決のために、中国、インド、ブラジルなど成長著しい国々で、今後も莫大な社会インフラ需要が見込まれている。

今後、新規に社会インフラを構築するこれらの国々では、スマートグリッド的な最先端のICTを全面的に取入れることにより、分散かつリアルタイムで、多様な社会インフラのシステムが相互に接続され、将に「System of Systems」としてインフラ全体が有機的に連携・統合され、これにより交通渋滞を緩和し、衛生的に管理された水や食料が安定的に供給され、再生エネルギーを中心とした電力にアクセスできる持続可能なスマートな社会システムへの転換が実現する可能性がある。すなわちこれら新興国では、ICTにより欧米先進国とは異なる社会発展の形態をとる可能性があるということだ。段階的にではなく、いっきに地球環境に優しく賢い社会システムへの転換が行われうる。

賢い社会システムとは、多様なインフラ・システムがICTにより融合・一体化し、限りある資源・エネルギーからの便益を最適化する社会を言う。

地中海プロジェクト

2010年11月25日 | 日記
ドイツの企業(Munich Re(保険)、RWE(電力)、E.ON(電力)、シーメンス(電機))を中心とする12社と、2003年に地中海横断代価エネルギー機構(TREC)が創設したDesertec財団が、サハラ砂漠に太陽熱発電所を建設し、その電力をアフリカからEU域内まで長距離送電線網を経由して、グリーン電力をEUに輸出するプロジェクト計画を発表した。Desertecは、Desert(砂漠)とTechnology(技術)の造語である。

完成時にはEUの電力需要15%を供給できるという予測がされている。このDesertecプロジェクトは、2004年から2006年にかけてドイツ航空宇宙センターらが地中海域における太陽光熱発電の潜在能力の研究が土台となっている。

EU域内では、加盟26カ国の全電力網を連係した広域電力網が構築され、域内の電力の融通が行われている。更にこのEUの広域電力網は、北アフリカの電力網と連係しており、環地中海電力網(The Mediterranean Ring)と呼ばれる、超広域電力網が出来上がっているが、アフリカからEU域内までの3000kmにおよぶ直流での高圧送電網の建設と、送電ロスの最小化と言う難問が立ちはだかっている。

また世界最大のダム建設を検討中のコンゴなど、中央アフリカの水力によるクリーン電力をEUに輸出する計画も構想されている。このような太陽光や、風力そして水力の豊富な遠隔地で、人口密度の低い地域においてグリーン電力を大量に発電し、電力需要地へ長距離の直流高電圧で低損失送電する計画は、今後も世界各地で検討されると考えられる。

日本においても、東アジア共同体構想が具体的に進展すると、ロシア、中国、朝鮮半島、台湾などと国境を越えた電力網の建設が必要とされる時代が到来するのではないか。

リチウム関連企業

2010年11月25日 | 日記
(1)SQM(Sociedad Quimica y Minera de Chile S.A.)
SQM社は、炭酸リチウム(Lithium carbonate)の生産能力は40,000㌧で世界最大で、シェア31%を誇る。2005年に水酸化リチウムの生産を6,000㌧/年の規模で開始し、2007年にはリチウム関連製品28,600トンを生産。2008年には42,000トンまで生産能力を高める計画。
SQM社の主要製品は肥料でリチウムではない。同社は肥料の世界シェア49%を占め、この他ヨウ素の生産の世界シェア33%を誇る。

(2)Chemetall Foote
Chemetall Foote社(本社:フランクフルト)は、1923年のMetallgesellschftによるリチウム生産が端緒となり、2004年にRockwwodグループ(米国)に買収され参加企業の1社となった。現在は同グループの Chemetall Group の Lithium Division(従業員2,829名)。リチウム部門は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、金属リチウム等を生産しており、金属リチウムでは世界シェア50%を占め、炭酸リチウムでも30%のシェアを握る。
2007年の同社はアントファガスタ(Antofagasta)のアタカマ湖に23,000トンの生産施設と、米国ネバダのシルバーピーク(ラスベガス北方350km)に生産施設を持つ。同社の2008年のリチウム生産は、炭酸リチウム2,700㌧、水酸化リチウム4,000㌧規模で、生産される炭酸リチウムは米国、ドイツ、台湾の同社工場の原料として輸出されており、2008年~2009年には現在の生産能力を約20%増強する計画で、2020年には炭酸リチウム50,000㌧、水酸化リチウム15,000㌧に生産を拡大させる予定。

(3)FMC Lithium(USA 100%)
FMC社はノースカロライナに本社を置き、主として肥料、農薬、産業用化成品製造のメーカーで、ソーダ灰の生産では世界最大。
1986年にLithCoを買収しリチウム生産事業をスタートさせた。当初はスポジュメン(リチア輝石)からのリチウム生産だったが、アルゼンチン北部Sala de Hombre Muerto塩湖において、FMC社の子会社 Empresa Minera de Altiplano S.A が1998年から生産を行っている。生産能力は、炭酸リチウム12,000トン、塩酸リチウム5,500トン。2003年に塩酸リチウムの生産能力を7,250トンに増強している。2007年の炭酸リチウムの生産量は8,500トン程度にとどまっている。
Salar de Hombre Muerto鉱山は、アルゼンチンのCatmarca州北西部、Salta州との州境付近の標高4000mに位置するHombre de Muerto塩湖にあり、この塩湖から高濃度のリチウムを含むブラインを4台の大型ポンプでポンプアップし、吸着・蒸発させてリチウム塩を回収している。Empresa Minera de Altiplano S.AはSalta州に塩化リチウム精製プラントがある。

(4)Admiralty Resource
Admiralty Resource社は、Sala del Rincon (Salta Province)において冠水からリチウムを生産する施設を2008年より稼動させ、生産能力は炭酸リチウム10,000トン、水酸化リチウム4,000トン、塩酸リチウム3,000とされている。

(5)Talison Minerals(オーストラリア)
Talison Minerals社のGreenbushes鉱山は、リチウム鉱物(リシア輝石精鉱)の世界シェア60%を生産し、中国で精製される炭酸リチウム原料の2/3を供給している。2007年に親会社が Sons of Gwalia社からResource Capital Fund社に替わった。同社はパース南東250kmのGreenbushesに世界最大のタンタル鉱床、及びスポジュメン(リチア輝石)鉱床を所有する。スポジュメンの資源量は3,550㌧(Li2O : 3.31%)。

(6)Tantalum Mining(カナダ)
ベルニック湖(Bermic Lake,Manitoba)のリシア輝石鉱山で1986年から生産開始。

(7)Avalon Venture(カナダ)
オンタリオ州のKenora鉱山で葉長石鉱物から湿式抽出法でリチウムイオン電池向けリチウム回収技術を開発するベンチャー企業。

(8)GlobeStar Mining(カナダ)
同社は、ケベック州のMoblan近郊のペグマタイト(巨晶花崗岩)鉱床の試掘をしており、セラミック、ガラス向けのリシア輝石やその他の鉱物生産のフィージビリティ・スタディ(F/S)を実施中。

(9)Nordic Mining ASA(フィンランド)
同社は、国内の炭酸リチウム生産企業Keliber Oy社を買収し、2010年に炭酸リチウム6,000トンの生産を目指して、フィンランド西部のLantta市近郊でスポジュメン鉱床の開発Keliber Oyプロジェクトを進行中で、これが完成するとヨーロッパで最初の自社鉱山による炭酸リチウム生産施設となる。この鉱床はフィンランド地質調査所が計5,500mのボーリングを実施し、Measured 170万㌧(リチウム純分)、Indicated,Inferred 併せて295万㌧の埋蔵量が確認されている。
Keliber Oyプロジェクトでは年間4,000㌧の炭酸リチウムを、粉砕→磁選→摩鉱→浮選の後、湿式加圧浸出方式で生産し、副産物としてタンタルも生産する。

(10)中国企業
中国でのリチウム鉱石生産は1950年代半ばのKokotay鉱山からロシアへの精鉱輸出が最初で、その後1970年代後半までに20のリチウム化合物工場が操業するに至り、1980年代より塩湖の冠水探査を展開し、1990年代、青海省Qinghaiで塩化リチウムの生産を開始。
中国はオーストラリアに次いでリチア輝石から炭酸リチウムを生産する。また中国にとっての最大のリチウム資源はやはり冠水で、最近高いマンガンを含有する冠水からのリチウム抽出技術を完成させ、本格的な生産に入っている。

・Xinjuang Nonferrous Metals社(Mingyaum Jiangsu Province)は、国内産のリシア輝石とチリとオーストラリアから輸入した鉱石から炭酸リチウムを生産している。

・Tibet Lithium New Technology Development社は、2005年に西チベットのZabayu Salt Lake で5,000トンの炭酸リチウム生産を開始している。現在の生産能力は20,000トンに増強されていると推測されている。

・CITIC Guoan Lithium Science Technology社は、2007年 Taijinaier Salt Lake (Qinghai Province)において中国最大となる炭酸リチウム向上を稼動させた。

・Qinghai Salt Lake Industry Groupは、2008年にChahar Salt Lake(Qinghai Province)において、10,000トンの炭酸リチウム生産施設を建設し生産を開始。

・Sterling Groupは、中国最大のリチウム埋蔵量を誇る四川省の Jianjika鉱床の開発を計画。予定では当初生産47,300tpy精鉱量となる。


資源開発とトリウム原子力によるインフラ構築

2010年11月25日 | 日記
新興の発展途上にある国にとって鉱物資源の開発とその輸出が重要な外貨獲得手段である場合が多いが、最近は電力不足がネックとなり、その鉱業生産に支障をきたすようになっている。このような電力不足は南米や、アフリカ諸国などでも共通の課題となっており経済発展の足枷になっている。この点、中国の資源開発は、電力や交通インフラの整備を併せで鉱山開発の権益の確保を行っており、アフリカにおける近年の中国政府・企業のアフリカにおけるプレゼンスは圧倒的である。2008年~2009年の中国のアフリカ投融資額は約200億ドル(約2兆円)を超える。

中国の資源獲得の典型は、ガボン共和国における開発で、5億6000万トンの埋蔵量を誇る今世紀最大の鉄鉱石鉱山を開発し、年間3000トンを中国に輸出するために560kmの鉄道と50Mwの水力発電所3基を建設し、かつ大型鉄鉱石輸送船が接岸可能な港の建設も併せて行っている。このガボンの鉄鉱石鉱山の権益は、鉄鉱石最大手のバァーレ社との一騎打ちで中国機械設備進出口総公司が獲得したもので、最大のポイントは鉄道建設と発電所建設などインフラ整備にあった。

中国の事例からも明確なように新興の発展途上国においてインフラ整備のコアはなんと言っても「電力」である。これは第5章のBOPビジネスに関する調査結果でも明らかとなっており、これから飛躍的な発展を遂げようとする新興諸国にとっては「電力」インフラの整備こそが、もっとも重要で最初に必要なものであることは、昨今の南米における電力不足による資源開発の遅滞・減産で明らかである。気候変動や資源争奪など世界的な状況を勘案すると、新しい視点での電力インフラの構築が求められる。

上記を踏まえ提言としては、現在レアアース採取後、廃棄されているトリウムを燃料とする「トリウム溶融塩原子炉」による途上国での電力インフラ構築を提言したい。
トリウムは、上述の通りレアアースとともに産出する。特に重要なレアアース鉱物である(トリウムを含む)モナザイトは、海岸などの砂鉱床として存在し、チタンの原料になるルチル、イルメナイト及びジルコニウムの原料となるジルコンなど重鉱物漂砂として一緒に採取される。あまり知られていないが、トリウムは、ウランに次ぐ第2の原子燃料であり、ウランのように資源が偏在せず、資源量もウランの3倍から4倍は存在するとされ、資源枯渇も当面は心配ない。このトリウム溶融塩原子炉は、黒鉛減速の熱中性子炉でありフッ化物溶融塩(LiF-BeF2)にトリウムのフッ化物を溶解させた液体燃料が炉心黒鉛の間を流れつつ核分裂し、燃料自ら750度の高温となり、この熱を炉外の中間熱交換器で冷却材塩に渡し水蒸気発電を行う。

トリウム溶融塩を燃料とする小型原子炉

このトリウム溶融塩原子炉は、液体核燃料を使用するため、従来の固体核燃料による原子炉とは構造・特性が明らかに異なる。これはチャーチルが海軍大臣在任中にイギリス海軍の燃料を石炭から石油燃料に転換する施策を実行したが、それに匹敵するパラダイムシフトとも言える。即ち、固体核燃料から液体核燃料への転換である。ただし原子力開発の初期から液体核燃料を利用することの合理性については注目されていた。このトリウム溶融塩原子炉は、以下のような従来の原子炉にない特徴を持つ。

① 炉心構造が単純で小型化でき、燃料の出し入れも容易で連続運転が可能
② 固体核燃料と違い燃料体製造、輸送、解体が一切不要
③ 反応度自己制御性が高く運転が容易で、余剰反応度も最小であるため安全性が高い
④ チャイナシンドローム(炉心溶融再臨界事故)が起こらない唯一の原子炉
⑤ 取扱困難で危険なプルトニュウムや超ウラン元素を消滅させる最良の原子炉
⑥ 燃料サイクルコストは軽水炉の1/3で、燃料体製造と再処理工場が不要

トリウム溶融塩原子炉は、プルトニュウムや超ウラン元素が生成されず、逆にプルトニュウムを火種として一緒に燃やし消滅させることができるため、軽水炉と違い極めて高い核不拡散性を有する。(但し、液体核燃料原子炉であるため、日本製鋼所が圧倒的な競争力を有する圧力容器が残念な事に不要となる。)

前述のとおりレアアースと一緒に産出するトリウムの資源権益を確保することは、取りも直さずレアアース資源の確保と同義である。このトリウムを燃料とする溶融塩原子炉をメイン・ジェネレーターとしたスマートなローカルグリッドの構築により、新興国に安定的かつ大容量の電力を供給し、レアメタル・レアアースなど希少資源の鉱山開発やベースメタルの生産を行う資源ビジネス、および途上国が必要とする交通・通信インフラを構築するビジネスを日本企業の総力を挙げて早急に検討し、実行するべきである。

ピーカンストリート・プロジェクト(オースティン)

2010年11月23日 | 日記
テキサス州は、エネルギー消費量が全米最大で、人口1人当たりのエネルギー消費量も5番目に大きく、石油や天然ガスの生産地であるとともに、一大エネルギー消費地でもありCO2排出量はドイツに次ぐ世界7位である。但し、テキサス州は,再生可能エネルギーにおける全米屈指のポテンシャルを有する地域でもある。州の東側は緑が多くバイオマスに適し,州西側は砂漠地帯であり、太陽光発電に向くためである。特にテキサス州は、風力発電の導入量(能力換算)で全米第1位で、インドに次ぐ世界6位の風力発電設備を有する。その反面、風力以外の再生可能エネルギーの利用は進んでいない。

テキサス州のエネルギー計画は、2008年7月に知事直轄の競争審議会(Competitiveness Council)が発表した「2008 Texas State Energy Plan」がある。この計画は、バランスの取れた競争力のある価格での信頼性の高いエネルギー供給のあり方や、資源エネルギー(石油・天然ガス)生産地としての将来的なあり姿に重きを置くとともに、より適切なエネルギー消費と、再生可能エネルギーやクリーンエネルギーなどの開発及び促進など広範囲に及ぶ内容である。

スマートグリッドについては、2008年12月、Pecan Street Project(以降、ピーカン・プロジェクト)がスタート。主にオースティン市においてスマートグリッドの実現に向けた様々な実証試験を展開している。このプロジェクトへの参加企業は、GridPoint、デル、GE Energy、IBM、インテル、オラクル、シスコ、マイクロソフトなど。2009年4月には、Texas- New Mexico Power (TNMP) が、AT&Tと連携して1万のスマートメーターを配布するプロジェクトをスタートさせている。

テキサス州が米国国内で最もスマートグリッドの導入にふさわしいとされる理由がある。全米でも州内で完結する送電網を持つのは、テキサス州だけであり、しかも送電インフラも他の地域と比較して新しいという特徴がある。前述の通り全米で最も再生可能エネルギーのポテンシャルが高い州であることもあり、米国のエネルギー問題を解決するには、まずテキサス州からと言う理由によって、ピーカン・プロジェクトが発足した。

ピーカン・プロジェクトでは、太陽光発電、蓄電池、水や天然ガスを含むスマートグリッド、電気自動車の活用、グリーン・ビルディング、リアルタイム価格の設定などに取り組んでいる。技術だけでなく事業の観点からスマートグリッドを検討でき、確立した技術や事業モデルを他の都市に展開することができる。

特にミラーと呼ばれる地域では、ボランティアで1000軒の住宅、75棟の商業ビルが参加していることである。この地域は、人口密度が高く、住宅価格は米国平均より25%低く、中低所得者でも比較的住宅取得がしやすいという特徴がある。またこの地域には500室の老人ホームもある。こうした場所におけるホーム・エリア・ネットワークの情報、解析結果、水道・電気・ガスの関連情報を収集する。

課題は、電気自動車を電力網に組み込んだ時の電力料金とピーク制御。所有者の多くが帰宅する18時以降、充電のために電力使用が集中するため、従来の固定料金ではなく、プリペイド方式やリアルタイム料金変動などの方法が必要である。

アムステルダムのスマートシティ化への取組み

2010年11月23日 | 日記
EUは、2020年の温室効果ガス削減目標(20%)を遥かに上回る40%削減を目指す先進的なスマートシティをEU域内に25~30都市で構築するとする「スマートシティ・イニシアチブ(Smart Cities Initiative)」を展開している。これらスマートシティでは、建物、地域エネルギー供給ネットワーク、交通のそれぞれの分野でエネルギー効率を向上させる施策を実施し、EU域内全体でのエネルギー効率や再生可能エネルギー、エネルギーネットワーク技術の普及を目指すものである。

アムステルダムのスマートシティはその先頭を走るプロジェクト。アムステルダムは7世紀に建設が始まり、世界最初の外為市場が開設されるなど歴史のある都市で、マスダールなどのようなスマートシティを更地から新規に構築するのではなく、既存の歴史ある資産を活かしながら、可能な限りエネルギー効率に優れた都市に作り変えていくプロジェクトである。

市中心部の旧市街地は狭い路地や運河が多く、船舶や自動車の騒音・大気汚染(特に大型自動車や船舶のディーゼルエンジンに由来する公害)が問題視されている。スマートシティ・プロジェクトの背景にはQOLの向上と併せて新規雇用の創出を同時に実現するという行政の思いも背景にある。

アムステルダムのスマートシティ構想は、2006年に市当局とユーティリティ企業によって検討されたことに始まり、その後アクセンチュアなど多彩なパートナーと連携している。このプロジェクトは、(1)持続可能な生活(民生部門)、(2)持続可能な労働(業務部門)、(3)持続可能な運輸、(4)持続可能な公共スペース(公共部門)が対象。加えて、従来から実施されている新エネルギー(��風力や廃棄物エネルギーなど)導入、交通インフラ整備。例えば、自転車利用促進のための専用路の整備や、トラムバスなどの公共交通機関の利便性の向上などと併せて推進するものである。

スマートシティは,技術だけではなく,人々の生活に密着した取り組みだと考えている。留意しているのは、どのようにすればスマートシティに欠かせないツールを、生活者である市民に使ってもらえるのか、どのようにして市民としての役割を自覚させることができるのかが課題。また政府の支援による実証実験に終わらせてはならず,市場を創出できる実用的な仕組みでないと意味がない。

住宅に関する取り組みでは、2つのプロジェクト進行中である。現在、約500軒の一般住宅(ボランティア)にスマートメーターを設置。市民の省エネルギーに関する意識を啓発し、電力利用行動の変革し、省エネを促進する取組を行なっている。スマートビルディングに関しては、BEMSなどの技術を導入することによって、エネルギー消費データの収集・監視・解析と建物のプログラミング設定を行い、照明・冷暖房・セキュリティ機能を高めた建築物の実現を目指す。特にビルの省エネのために「スマートプラグ」を導入し、ビルのエネルギー効率を30%向上させる実績を上げている。これはドイツ銀行が所有する最新のビルで行なったが、テナントは大して興味を示さなかった。賃料に電気代が含まれており、省エネしても賃料など支出が変わらなかった為と思われる。住民やテナントにどのようなインセンティブを持たせるかが大きな課題。

アムステルダムの人気ショッピング・レストラン街ユトレヒト・ストラート地区では省エネルギー化を図る「気候ストリート」構想を推進している。店舗や飲食店経営者は、スマートメーターとエネルギー消費量のディスプレイ(可視化)により、効率的なエネルギー消費の管理を実施している。と同時に、持続可能なゴミ収集システム(収集車のEV化、太陽光発電によるゴミ圧縮機の普及など)の導入、路面電車の停留所・街路とファサード(建物壁面)の高効率照明の設置などに取り組んでいる。

・歴史的建造物や劣化する社会インフラの全面的更新が20年後以降に本格化すると予想しており、この長期視点にたって今後もアムステルダムのスマート化を推進していく。

北朝鮮のウラン・モナザイト資源

2010年11月22日 | 日記
1910年(明治43年)の韓国併合にともない「朝鮮総督府」が設置され、この総督府の中に「地質調査所」が殖産局の下に組織された。

地質調査所刊行の「朝鮮鉱床調査要報」によれば、朝鮮半島にはモナザイトが存在する事がわかる。
産地は、(1)忠清南道天安郡笠場面良垈里、(2)平安南道平原郡石岩面西岩厳里、(3)咸鏡北道富寒郡観海面山津洞の3カ所。
大正12年の「朝鮮鉱床調査要報」(1923年)94ページによれば「モナザイト」に関する記述は以下の通りである。

『忠清南道天安郡笠場面良垈里のモナズ石は砂金中に存す赤褐色にして稜角園磨し細粒状をなせる以て結晶形は認め得べきものなし

平安南道平原郡石岩面西岩厳里のモナズ石は砂金中に産す結晶は暗褐色又は帯黒色にして稍樹脂光沢を帯び稜角は摩滅せられ多くは小粒となれるを以て良品なく殆ど卓状片のもの多し帯黒色のものには晶面a b m w x v 現はれ猶e の如き斜軸庇面あるものあり(結晶第124図)多数のものはa 能く発達し薄き卓状にして長さ1ミリ及び3ミリを普通となすも稀に1.5センチに達するものあり
トリウムの含有量次の如し(地質第25巻102頁)
トリウム(百分中)3.93(朝鮮総督府中央試験所片山崇分析)
放射能はU3O8を100とせば31.4なり(地質第26巻230頁に依る)

咸鏡北道富寒郡観海面山津洞のモナズ石は砂礫中に金紅石と混在し褐色にして径1分に達す(朝鮮第2巻383頁)』

戦前の仁科教授らによる原爆の研究材料は現在の北朝鮮・興南にあるモナザイトやウラン鉱を日本窒素肥料(現在のチッソ)工場で化学処理して進められていた。
当時の朝鮮半島におけるモナザイトの採掘は日窒鉱業開発が行っていた。同社はモナザイトのランタノイドからセリウムを分離していた。当時のセリウムはアークカーボンとして映画などで利用された。現在はガラスの研磨剤や、排気ガス清浄化用の高価な白金触媒を低減できる素材として注目を集めている。

1945年8月の極東ソビエト軍による満州侵攻の際、朝鮮の興南が占領された事を知る人は少ない。目的は当然、ウランを含む希少資源の確保だ。
スターリンは1947年4月に希少金属地質調査団を北朝鮮に派遣。彼らの重要な情報源は、朝鮮総督府・地質研究所の地質調査データで、その正確性を裏付けるように朝鮮には莫大なウラン資源があることが判明。朝鮮のウラン鉱はその後採掘され約9000トンがソビエトに提供され核開発に使用された。

正確無比な調査を行っても、それが活かされないと意味がない。金属資源機構や海洋研究開発機構など調査研究機関の調査データを全体俯瞰し統合する事が必要だ。これを民間企業と連携しながら資源開発は技術研究が進められるべき。

しかし、近隣の反日国家に重要な鉱物資源が存在するのは、いかなる天の配剤か~

ジオポリマー・セメント

2010年11月21日 | 日記
今、地球は温暖化していると言う論調が体勢を占めて入る。その原因は二酸化炭素であると言う。この二酸化炭素の排出は製鉄プラントがその最大排出割合を占めると言われるが、それに次ぐのはセメント工場である。
このセメントは、人類が「水」に次いで大量に消費している事は知られていない。このセメントの年間使用量は19億トンに達する。
コンクリートの原料となるセメントを生産するには、石灰岩や粘度をロータリーキルンで1,500度以上加熱するが、この生産過程で化石燃料を燃やすため、二酸化炭素の主要な発生原因の一つになっている。
人間の骨の主成分はカルシウムで、強度を出すための骨材としてたんぱく質であるコラーゲンを使って補強している。しかし、骨は体温下で生成される。したがって、当然の事ながら二酸化炭素の発生もほとんどない。これが可能なのは、骨の場合、粒子がナノサイズであることに理由がある。
現在ナノテクノロジーが進歩している今、骨の生成を模した環境に優しいコンクリートを作ることは可能だと MITの環境工学教授のFranz-Josef Ulmは研究を続けている。

ウクライナの科学者、Victor Glukhovsky氏は、現在のセメントにアルカリ活性剤を加えることで、高品質なセメントができることを発見し、この研究に影響を受けたフランス人のJoseph Davidovits氏は、ジオポリマーを用いる方法を発見した。ジオポリマーは、合成アルミノ・ケイ塩物質と呼ばれるが、前述のようにセメントのように1,500度の高温で焼成させる必要のないセメント。

このジオポリマー・セメントは、わずか数時間で最重量の飛行機が使える滑走路を建設が可能であると言う。通常のコンクリートであると4~5日はかかる所である。安全を考えると1週間から10日は欲しい所。それが数時間で着陸に耐えうる強度を得られるのだ。

また、核開発を疑われているイランなどでこのジオポリマーを使って地下構築物を建設すると、これを破壊するにはどうなるであろうか。
現在の最高性能の爆弾で、例えば圧縮強度5000psi(重量ポンド毎平方インチ)のコンクリー構造物だと厚さ約63メートルまで貫通できる。だが、ジオポリマー・セメントにより圧縮強度がこの2倍になると、貫通深度は7.5メートルになる。もっと強度の高いコンクリートが開発されると、その厚さはもっと減る。軍事的側面もそうだが、やはり劣化する社会インフラの補強などにこのジオポリマー・セメントの活躍の場があるだろう。

Google における “トリウム溶融塩炉&トリウムエネルギー” の技術講演

2010年11月19日 | 日記
グーグルでは様々な技術テーマを取り上げ 「Google Tech Talks」と題して定期的にマウンテンビューの本社で開催しています。
中でもトリム溶融塩炉やトリウムエネルギーに関する講演があり、興味深い内容となっておりますので、是非 YouTube をご覧下さい。

2008年11月19日↓
http://www.youtube.com/watch?v=AHs2Ugxo7-8

パワーポイントの資料も充実してますね。
http://www.energyfromthorium.com/ppt/LFTRGoogleTalk_Bonometti.ppt

2009年2月20日↓
http://www.youtube.com/watch?v=8F0tUDJ35So

2009年5月26日↓
http://www.youtube.com/watch?v=VgKfS74hVvQ

このほかにも面白そうなテーマが山盛りです。

地方自治体の食料戦略から見る、下々のサバイバルについて

2010年11月18日 | 日記
我が国においては、災害などに備える食料備蓄は、自治体が担う事となっており、食料備蓄する/しないの判断は、各々の自主的な判断に委ねられている。
国家備蓄があるではないか、との指摘があろうが、国家備蓄は文字通り国家の為に使われる。皇室・旧皇族を含む現皇族、中央官僚、自衛隊、警察、消防、海上保安などの生存の為にある。これが本当に飢饉となった場合に我々下々に提供される余裕が無いことは、考える余地もない。

これは災害・不作など緊急事態といえども政府からの支援が必ずしも保証されていないことを意味しており、改善されない食料自給率、農業従事者の高齢化、中国・インドなど人口大国の経済成長による食糧争奪など状況を見ると、それぞれの自治体における独自の食糧戦略が必要とされるところである。が、これに真面目に取り組んでいる自治体は極めて少ない。

この中で、ユニークな取組みをしているのが岐阜県である。
2013年に県内食糧自給率を50%にする目標を立て、「岐阜県民食料確保計画」を1999年に策定しているが、この戦略で着目すべき点は、食料供給ルートを国内だけでなく海外にも求めた所にある。

ギアリンクスと言う会社が岐阜県の為に、南米アルゼンチンに4つの農地を確保しており、そこは年間4000トンの大豆生産能力をもっていると言う。

ギアリンクスについては同社HP(http://www.gialinks.jp/)から引用する。

『ギアリンクスの社名の由来は、ギ=岐阜県、ア=アルゼンチン、 リンクス=連携で岐阜県とアルゼンチンが手をつなげるという意味)は、岐阜県の食糧確保計画を呼応して、純粋な民間企業ながら、極めて公共性の 高い非営利活動組織(NPO)の精神でアルゼンチンを生産活動拠点として、安全食品の開発、緊急時には全力を傾けて食糧の増産及び調達を使命とする企業として平成12年12月に設立され、平成18年3月13日現在では延べ478名の出資者による9,990万円の資本金で岐阜県民及び日本の食糧確保の一翼となるべく活動しています。』

南米に着目したのは慧眼である。近隣のアジア諸国では人口が増え、今後の経済成長を勘案すると日本への輸出余力が将来的に期待出来ないのは容易に理解出来る。南米は移民ならぬ棄民に近い形で送り出された背景があるが、将に真反対の南米における穀物生産であれば、エルニーニョなどの太平洋に生起する気象リスクを受けないと思われるので、最良の選択といえる。

岐阜県のこの取り組みに学ぶべき点が多いであろう地方自治体は猛省すべきで、今後の改善を早急に行うべきであるが、既に財政破綻状態に期待する事は出来ない。我々は、既に個人・家族レベルのサバイバルを想定する必要がある。
1945年、旧ソビエト軍が満州国境を越えて侵攻を開始した時、最初に逃げたのは関東軍を含む軍官僚&行政官僚であり、一般国民は棄民された。

しっかり歴史に学ぼう! 歴史は繰り返すのだから~

サイバー戦争~

2010年11月17日 | 日記
防衛省は来年「サイバー空間防衛隊」なる組織を立ち上げるようだ。どの程度の予算が配分され、どのような人材がアサインされるのか。警察も同様の組織を持っているだろうが、防衛省にしても警察にしても、この手の見えないサイバー空間における戦争を戦い抜ける人材を統率するような組織でもなく、またそのような指揮官もいないだろう。硬直した官僚組織では無理でしょう。
このサイバー戦争では陸軍中野学校のような組織・思考・マインドセットでなくては。

お隣中国は、ハッカー集団を取り込みサイバー戦争の部隊を編成していると言われる。このようなハッカー集団は250~300が存在すると言われ、まさに人海戦術での大規模攻撃が可能だ。米軍のサイバー司令部が立ち上がったのは今年の5月で初代司令官は暗号解読機関であるNSA長官を兼務するキース・アレキサンダー大将。大将は部隊創立式で、サイバー空間における米軍への攻撃は毎時25万回あると発言している。これは誇張ではないだろう。NSA長官の発言でもあるから。

中国のサイバー攻撃が本格化したのは2007年秋と言われる。中国のサイバー攻撃部隊は、国防総省のシステムに7万回侵入し、イラクやアフガニスタンなどを含むネットワークに接続された6000台の侵入を試みたと言われる。当面の中国サイバー部隊の目標は、ハワイの太平洋総軍司令部の孤立化を狙っていると?と言われる事が多いが、多分違うだろう。

米軍の情報通信&警戒管制のコアは人工衛星であり、この物理的破壊とサイバー攻撃による無力化が最大の目標だろう。かのF22ラプターにしも人工衛星との連携が無くては、その攻撃&防御力は半減するし、多分中国はイスラエルが2007年のシリア核施設攻撃をした際のサイバー攻撃の教訓を深く学んでいると思われ、推測だがイスラエルから中国にこの手の戦術情報は流れているだろう。
イスラエルがシリアの核施設を攻撃した際、シリアの防空レーダーにはイスラエル空軍機の機影は全く映っていなかった。シリアの防空システムにイスラエルの「ユニット8200部隊」と呼ばれるサイバー部隊が進入し無力化されていたのだ。

人工衛星に過度に依存する米軍を物理的に撃破するのは難しいが、間接的アプローチにより無力化する事は、甚だ現実的な対応だ。しかも海南島の南端にある三亜市には中国海軍の原子力潜水艦の地下基地があり、この部隊には衛星破壊ミサイルを搭載した潜水艦が配備されていると言う。

【参考】米国国防総省の『戦略・重要物資報告』にあるトリウム~5年前ですが。。。

2010年11月16日 | 日記
ご参考まで~

アメリカ国防総省は、戦略・重要物資備蓄法(修正)第11条(a)項に基づき『戦略・重要物資報告書』を議会に提出している。
提出される報告書は、その年の会計年度の国防備蓄(National Defense Stockpile:NDS)の運営の詳細と、NDS取引基金の財務状況並びにNDS備蓄物質の調達、高品位化、処分に関する内容を報告するものであるが、2005年会計年度における報告書の中にトリウムに関する記述がある。

「・硝酸トリウム(ThN):硝酸トリウム処分プロジェクトは、2005年8月に硝酸トリウム7百万ポンドをエネルギー省ネバダ試験用地に安全に移送されて完了した。DNSC(国防備蓄センター)のインディアナ州ハモンド、メリーランド州カーチス・ベイ貯蔵所から放射性物質輸送トラック266台で輸送し、現在は20フィート以上の地下に埋蔵してある。埋蔵した物質は将来必要となった時、即座に回収出来るように十分書類管理されている。このプロジェクトは6年間の研究と12ヶ月の出荷活動を含めて、正味32,000時間以上を費やした。」

http://blog.goo.ne.jp/admin/newentry/#

アジア・東京債券市場創設フォーラムが早稲田大学で開催

2010年11月16日 | 日記
本日(2010年11月16日)早稲田大学の大隈講堂で『アジア・東京 債券市場創設フォーラム』が開催された。
このフォーラムは、進行役を務めた犬飼重仁氏の尽力によるもの。
犬飼氏は、三菱商事・財務部門の出身で、現在は早稲田大学教授を務める人物。
今回のフォーラムにテーマであるアジア域内のプロ向け国際債券市場の創設に向けて尽力されてきた、その功績に敬意を表したいと思います。

このフォーラムには、東京証券取引所グループ代表取締役社長:斉藤氏、金融庁総務企画局総務課長:三井氏、経済産業省経済産業政策局産業資金課長:土本氏、財務省国際局地域協力企画官:岩井氏。
犬飼氏の三菱商事ロンドン時代のカウンターパートであったバークレイズキャピタル証券の鈴木氏など多彩な人物が講演を行った。

日本国内にユーロ市場と同等、またそれ以上の債券市場を構築し、日本のみならずアジア域内を網羅する中核市場の形成を企図するもので、社債発行時の開示書類を大幅に簡素化、極端に言うと紙1枚でOKで英文や日本語以外のでの開示も可能となり、現状と比較して圧倒的な起債コストの削減を可能とする市場。

この債券市場は、11月10日に株式会社TOKYO AIM取引所からプレスリリースされており、その名称も~
『TOKYO PRO-BOND Market』と命名されている。

この市場の創設は、今年6月に発表された「新成長戦略」に盛り込まれ、ASEAN+3(日本、中国、韓国)の政府間で進められるアジア債券市場フォーラムの市場整備構想とも合致するもので、金融庁の英断により非居住者を対象とした社債保有非課税措置が同じ6月に導入されことにより海外の投資家&投資機関からの参加が期待できる。

強調したいのは、アジア通貨建ての国際債の発行を可能とする市場形成により、為替変動のない国外からの資金調達を可能とする金融インフラの構築は、アジア地域における重要な一歩であり、日本主導によるアジア版ユーロ債市場の創設となる。

アクションプランとしては、来年3月から4月にかけて「東京プロボンド市場」を創設し、これをアジア域内各国に当該取り組みの促進を実現しつつ、最終的にアジア域内の国際債市場の確立を目指すものであり、今後のアジア経済圏の益々の経済隆盛を確かなものにする極めて意義ある構想の第一歩である。

重ねて犬飼氏の貢献と尽力に敬意を表する次第。