阿部ブログ

日々思うこと

シリア内戦とアレッポの石鹸、それと化学兵器使用問題

2013年04月24日 | シリア
自宅では、洗顔用&全身洗い用にアレッポの石鹸を使っている。無くなりそうになるとインターネットから購入する。買うのはシリアのアデル・ファンサ社の「エクストラ40」と言う石鹸。

エクストラ40は、オリーブ・オイル60%、ローレル(月桂冠)オイル40%で、ローレルローレルオイル40%というのは、石鹸に出来る限界の比率だそうで使用後感は、とっても爽快だ。オリーブオイルは、オレイン酸やスクワレン等の微量成分も含み人の肌の脂肪酸と良く似た組成をしているので、そりゃ爽快な筈。

アデル・ファンサ社は、数千年前からアレッポに伝わる伝統製法を踏襲しており、職人が口に含んで石鹸の味を確めながら作っており勿論、完全無添加。実は一般に売られている石鹸は、合成界面活性剤で、正しくは石鹸ではない。アレッポの石鹸は石鹸なので、安心して使える。(因みに味を確かめる事を「クッキング」と言う。)
材料となるのは、オリーブとローレル(月桂樹)のオイルだが、全てはシリアやトルコなどで自生するの実を使用して抽出する。。伝統製法を厳守しながら出来た石鹸は、ここで終わりではなく、なんと2年間熟成させてから出荷する。まるで「かめびしの醤油」みたいだが、流石、石鹸の発祥の地と言われるだけの事はある。

アレッポの石鹸の製造期間は、オリーブが収穫される12月から3月までだが、丁度この時期は、アレッポを巡る政府軍とシリア自由軍タウヒード部隊との戦闘が激しかった時期と重なり、今でも市街地への政府軍機による空爆は日常的に行われている状況だ。しかも化学兵器が使用されたともされ、中心部は廃墟と化している。アレッポには、数多くの石鹸工場があるが、多くが破壊されるなど甚大な被害を被っている。

シリア政府軍は、アレッポから撤退する際、発変電所、水道施設、ザルズル病院やアブドゥルムタッリプやセラハッディンのモスク、クネイトラ学校、メディネ市場など市民生活に直結する施設を破壊している。この荒廃しつくしたアレッポに対して、政府軍は、複数回に渡り化学兵器を使用したとされており、どうも使用されたのはサリンと神経ガスらしい。イギリス、イスラエルの情報機関が入手した写真を分析した結果だが、犠牲者の瞳孔は収縮し、口からは泡を吹いており、サリン事件の被害者と同じと言う。

シリア政府は、国連の化学兵器調査団に対して、実質的にシリア自由軍が掌握するアレッポのみの調査を許可するとしているが、化学兵器の使用問題より、シリア軍の化学兵器がヒズボラが入手する事を、イスラエルは深刻な脅威と受け止めており対応策を検討・実施している。

しかし2年にわたるアレッポでの戦闘により、アレッポの石鹸は生産量が激減しており、今後は入手が困難になるだろう。まあ、偽物の石鹸は手に入るだろうが~