阿部ブログ

日々思うこと

シリアでの化学兵器使用問題

2013年03月23日 | 日記

シリアで化学兵器が使用されたと報道されている。19日、石鹸で有名なアレッポに対し、弾頭に化学兵器を装填したスカッドミサイルが撃ち込まれ、30名が死亡したと報道されている。シリア政府は否定しているが、イスラエル情報機関は、政府軍による化学兵器による攻撃が行われたと言明している。しかし、弾頭には「エージェント15」と呼ばれる非殺傷剤が装填されていたに過ぎないとの情報もあるが真偽は不明。

化学兵器の使用に対し、国連事務総長は重大な懸念を表明し、直ちに化学兵器調査団を派遣することを決めたが、以前から化学兵器の使用は、アサド政権の「ルビコン」となるとの見解を示していた米国大統領府の対応が気になる所だ。既に米国上下両院の情報委員会において最新情報の共有と対応が協議されており、上下両院の情報委員会議長は、共にシリアで化学兵器が使用された可能性は高いとの認識を示している。また上院の軍事委員会において、米海軍将官であるNATO司令官がシリア情勢について、中東周辺諸国の同意が得られればNATO軍としてシリアに軍事介入する事が可能との意見を示している。つまりは、シリア政府軍が、もし化学兵器を使用したとすれば、その結果はアサド政権にとっての最終局面を招く愚かな行為と言う事だ。

過去ブログでも『シリア情勢とドイツ連邦情報局の活動など』として書いているが、もし政府軍の化学兵器使用は、軍事的に不利な状況に陥っている事を示唆しているのだろう。

イギリス政府は、シリアの化学兵器使用について、速やかに反応している。イギリスは、反政府軍に対し、ガスマスクと防護服などの化学防護資材と化学防護車両などを供与する発表している。因みに供与するガスマスクと防護服は、湾岸戦争時のもので、最新式では無いものの、シリアが保有するサリンなど化学兵器に対しては有効であり、イギリスにとっては、余剰物資の処分と反政府軍へのおおっぴらに支援を行えると言う一石二鳥の対応である。

フランス政府も、リビアの軍事資産が流出した結果、旧植民地マリで争乱が発生した事態の再発を警戒して、シリアからの武器流出について、フランス版エシュロンや情報機関を動員して、重点的に監視を行うとしている。今回のシリアの化学兵器もリビアからの流出したとの指摘もあり、警戒するのには合理的な理由がある。

既にイギリスは、特殊部隊SAS第23連隊の要員がアレッポで採取した土壌を入手しており、国防省隷下の研究所にて分析中というが、結果が非殺傷剤が検出されても、米英仏の対応を観るに「化学兵器が使用された確固たる証拠を掴んだ」との報道がなされるのだろう。

まあ、何れにせよドイツ連邦情報局長の見解は正しいのだろう。

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