阿部ブログ

日々思うこと

ロシア海軍がシリア情勢を睨み東地中海で演習予定

2013年01月05日 | 日記

ロシア海軍は、緊迫するシリア沖で海軍歩兵部隊の上陸を含む演習を実施する為、黒海艦隊を、シリアのタルトゥースに移動させている。
2012年11月からシリアに派遣されていた黒海艦隊の部隊、即ち親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」、大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」、「アゾフ」、駆逐艦「スメトリーヴイ」、海洋給油船「イワン・ブブノフ」と海洋曳船MB-304は、年末にバルト艦隊と交代した。但し巡洋艦「モスクワ」と給油船の「イワン・ブブノフ」はシリアに残留。

バルト艦隊のバルチースク海軍基地から、駆逐艦「ヤロスラフ・ムードルイ」と大型揚陸艦「カリーニングラード」と「アレクサンドル・シャバリン」が東地中海に移動し、対空、対艦、対潜防衛など戦闘訓練を実施している。9月に同海域に派遣された際に随伴していた海洋給油船「レナ」と救助曳船SB-921は今回遠洋航海には参加していない。

東地中海に遊弋するバルト艦隊に、演習実施の為に再度、黒海艦隊の大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」、「アゾフ」、「ニコライ・フィリチェンコフ」が、12月28日にエーゲ海沖で遠征バルト艦隊と合流し、同海域からシリアのタルトゥース港に入港している。黒海艦隊の揚陸艦には海軍歩兵部隊と戦闘機材が満載されている模様で、一部には空挺部隊が搭乗しているとも言われているが、対シリア作戦実施においては特殊部隊的運用がなされるのだろう。

さて、このロシア海軍の動きに呼応するかのように英海軍の軽空母イラストリアス(HMS Illustrious)が、年末のマルタ島のバレッタ港に入港している。攻撃型原子力潜水艦も東地中海域におり近海に随伴。 当然ながらアメリカ海軍も空母アイゼンハワーを中核とするイージス艦を含む空母艦隊群と、海兵隊を乗船させているイオージマなど強襲揚陸艦部隊も随伴する強力な海軍部隊を東地中海域に派遣済み。

今回のロシア海軍の動きは、昨年6月14日、密かにモスクワを訪問したシリア国防大臣アッラージハ氏と、シリア大統領顧問のブサイナ・シャアバーン女史により予め想定されていた計画であり、特にロシアにとっては地中海の海軍拠点であるシリア・タルトゥース港は是が非でも死守したい重要な根拠地である事、更には中東におけるロシアのプレゼンス維持においても、ここは踏ん張りどころ。

シリア海域においてロシア海軍の演習の詳細は、米軍やイスラエル、NATOなどが当然ながらモニタリングするが、海軍歩兵など陸上部隊が自由シリア軍と対峙する事態も想定されており、シリアの陸海空域は、緊張の度合いを更に高めている状況だ。

最後にこのブログを書いている今、シリアの危機担当 兼 国連・アラブ連盟共同特別代表のアル=アフダル・アル=ブラーヒーミー氏はモスクワで、今後のシリア情勢への対応について話し合いをしているのではないか?

シェール・ガス開発に伴う環境破壊、特に誘発地震を懸念する

2013年01月05日 | 日記

シェール・ガス開発は、ご存知の通り高圧のハイドローリック液を頁岩(シェール)層に導き水圧により頁岩を破砕し、地上にガスを地上に誘導するもの。注意が必要なのは、この時、純粋なガスのみが地上にもたらされる訳ではない点。
坑井を伝って地上に噴出する液体物質は、シェール・ガスとナチュラル・ガス・リキッド(以降、NGL)、それとタイト・オイルの3つ。これは水圧破砕は頁岩のみを破壊するのではなく、周辺の地層も破壊する為で、地上のプラントではセパレーターで、この3物質を分離する。

分離されたシェール・ガスの主成分はメタンだが、これにエタンとかプロパンなどが混合しているので、混合ガスからメタンのみを抽出し、これをシェール・ガスとして販売している。これは米国のやり方でこれがグローバルスタンダードとなるかは微妙な所。何故ならば、メタンは低位エネルギー物質の典型で、メタンのみでは商品にはならない。通常LNGなど高エネルギーガスを添加、即ちカロリー・アップして流通させるのが常道。これが為、エタンとプロパンをわざわざ分離する事が理解出来ないのだ。聞く所によるとシェール・ガスことメンタガスには、やはりわざわざプロパンガスを添加しているとの事。

一方のNGLは、マーセラスなど平均的なシェール・ガス井ではプロパン54%、ガソリン23%、ノルマルブタン17%、イソブタン6%だと言われるが、これらの物質をプラントで再分離して、プロパンはメタンことシェール・ガスに添加していると思われる。但しこれは推測で確認していない。現実には地中に廃棄している?のだろう。

NHKオンデマンドで報道されている通り、水圧破砕された地層から、地上にどす黒いタイト・オイルが吹き出し水を汚染すし、水道水の蛇口に近づけると水が燃えるが、これはNGLが地下水に混入しているためだ。地下水汚染の対策として逆浸透膜による浄水を試みているようだが、効果はないと言う。

水圧破砕に用いられるハイドレーリック液には、界面活性剤としてのトリクロロベンゼンや溶剤として用いられるトリエチレングリコールが混合されている。これら界面活性剤は0.04から0.05%程度混合されるが、1つのシェール・ガス田に約8万㎥の水&ハイドレーリックが使用されるため、有害な界面活性剤の地下水への影響と人間を含める動植物への影響は度外視できなだろう。それとシェール・ガス開発地帯には、高濃度のオゾンが発生している事が判明している。

しかしながらシェール・ガス開発における最大の懸念は地震だ。

地震とは無縁の土地に地震が発生するに原因は、巨大ダムの建設や地中への注水が最大の要因である。巨大ダムは誘発する地震の事例として有名なのは1936年に竣工したフーバーダムの事例だ。コロラド川上流に建設されたダムは高さ154mに達する巨大ダムだ。フーバーダムは米国の水利権を有するされる陸軍工兵隊が建設したのだが、ダム建設後の周辺地域では地震が発生するようになった。今まで地震とは縁のない土地柄なのだが、原因はダムにあるとされ、最大震度はマグニチュード5.0を記録している。他の記録としてはフランスのモンティナールダム。高さ130mで最大震度は4.9。インドのコイナダムではなんと6.4を記録している。

地中への注水が引き起こす地震の事例は、今から丁度50年前の1962年、例の米軍の陸軍工兵隊がデンバー近郊の3671mという深度に、多分、核施設ロッキーフラッツなどから出た軍用廃水液を注水した事により、デンバー地域全体で群発地震が発生している。この現象を受け米国地質学研究所が調査に乗り出した。コロラド州にあるランジェリー・ガス田における調査(1969年から1973年)によると地下への注水を中止する群発地震は終息に向かい、注水を再開すると地震が再発するという相関関係を見いだしている。当該地域における最大震度は4.9を記録している。マグニチュード2以上の地震は殆ど発生しない地域なのに…
このような天然ガス田や石油採掘においては生産量を増やす為には、地下に注水する方法が多用されるが、これが群発地震を誘発する要因となっている。因にバッテル研究所の研究報告によれば、地下注水による影響範囲は最大20kmに達すると試算している。

日本でも地中への注水が群発地震を誘発する事態が発生している。石油公団と帝国石油によるCO2注入と水圧破砕実験をトリガーとする中越地震と前後の群発地震発生だ。これは明確に人災だが経済産業省は否定しているが、原因は明白。
帝国石油は、2003年7月から2005年1月までCO2の地下貯留実験を南長岡ガス田の地下1100mの帯水層で実施した。CO2の注入圧力は、何と19メガパスカル。これで地下で異変が発生無い事は考えにくい。まったく愚かな行為だ。地球温暖化なんて嘘なのに~
2004年にはいると長岡など中越地域で群発地震が発生するようになり、同年10月23日には、ついに中越地震が発生。その後、中越地震が終息しつつあった2006年10月に帝国石油は、水圧破砕の実証実験を、地下4000m、2200トンもの水溶物を、度肝を抜く93メガパルカルで注入した。これが要因となり2007年7月16日、中越沖地震が発生し、東京電力の柏崎刈羽発電所もにも被害をもたらす人災地震が発生している。この水圧破砕実験は南長岡ガス田から日本海にいたる北部ガス田の効率的開発技術開発を目的としたものであったが、支払った代償は極めて大きなものだった。

何も水圧破砕などしなくとも日本海にはメタンハイドレートが海底に剥き出しに表出しており、簡単に資源化が可能だ。将来的な投資を考えるのであれば、新潟県から秋田にいたる海岸線の土地を押さえる事には意味がある。資源開発のトレンドは太平洋にあらず、日本海にあり、特に石油が大和堆と武蔵堆を中心として莫大な資源が存在する。勿論、天然ガスも。日本はジパングなのだ。

横道にそれたが、シェール・ガス革命とは言うが単純では無い事が理解できるだろう。
中国では2012年6月に四川盆地にある巨大なシェール・ガス資源の試掘に中国石油化工集団が成功している。中国には分厚い頁岩層が広域に存在しており、資源量は米国の1.5倍とも言われる。しかし8月には水不足の為にシェール・ガスの開発を抑制せざる終えなかった。中国においては淡水は極めて貴重な資源であり、喉から手が出るほど欲しいシェール・ガスでも水不足と開発に伴う地下水汚染を考えると、これ以上のリスクを冒す訳にはいかない当然の理由がある。それと地震の発生にも真剣に懸念されている。この四川省には重要な軍事用核施設がひしめき合っており、先の四川大地震や昨年の水害で、地下深くにある核兵器関連施設の甚大な被害を勘案しても、四川でのシェール・ガス開発は縮小、もしくは断念せざるおえない。
水資源を多用し地下水を汚染する中国でのシェール・ガス開発のハードルは高いと言えるが、条件を満たす地域があれば躊躇なく開発を進めるだろう。しかし得るものより失うものの方がおおいのではないか?

書きすぎた、これで止めよう~