国際連合食料農業機関(FAO)の事務局長グラジアノ・ダ・シルバ氏は、スペイン(コルドバ)で開催された国際作物セミナーで地球上の大部分の人々が米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモからカロリーや栄養を摂取しているが、これら4作物に依存することは、地球生態系や食料の多様性の面で好ましくなく、かつ限定された食料源により微量栄養素が不足するリスクが増大する。故にFAOは、自然資源を保全し栄養改善を実現する食料生産モデルである「Save and Grow-持続可能な集約的農業」の実現を目指していると述べている。
グラジアノFAO事務局長は、約8.7億人の人々が飢餓状態にある一方で、先進国を中心として肥満状態の恒常化している状態であり、また先進国では毎年220万トンの食料を廃棄している。これはサハラ以南のアフリカの年間総食料生産に相当する。この状態を正常化して持続可能な食生活を地球全体として取り戻すことが非常に重要であり、喫緊に取り組むべき問題であるとしている。
現実として、現在の穀物生産量は約23億トン。このうち35%は、食肉生産用の飼料として牛や豚などで消費され、残りの我々人間が生存するためには約12億7000万といわれているが、現状では10億8000万トン程度の生産量であり、2億トン強が不足している状況である。これを改善せねばならない。早い話が、人類が食肉を食することを諦めれば良いが、これでは十分なタンパク質の摂取に問題が生ずると思われるが、これはキヌアが解決する。
今回のFAOによる国際作物セミナーでは、国際キヌア年(International Year of Quinoa)である2013年を記念するイベントが開催された。さて「キヌア」とは何か?
キヌア(Chenopodium quinoa)は、ほうれん草と同じアカザ科に属する一年草で、南米アンデス高地を中心に栽培されている。
インカ王家の末裔であるインカ・ガルシラーソ氏は、地上になる作物でトウモロコシに次いで重要なのはキヌアであり「母なる穀物」であると述べているように、3000メートルを超えるような過酷な土地でも栽培可能なキヌアは、古来アンデスで重要な穀物であった。NASAも21世紀の主要食となりうるとしている程で、高栄養でミネラル、ビタミン、タンパク質、食物繊維が玄米以上に豊富な穀物である。
キヌアは、必須アミノ酸、準必須アミノ酸を全て含む唯一の穀物であり、アミノ酸スコアは、牛乳に含まれるカゼインに匹敵すると高い分析評価されている。キヌアは現在5種類に分類されている。
①キヌア・デル・バジェ
②キヌア・アルティプラニカ
③キヌア・デ・ロス・サラーレス
④キヌア・デル・ニベル・デル・マル
⑤キヌア・スブ・トロピカル
グラジアノ事務局長は、人間が必要としている全てのアミノ酸を有している穀物はキノアだけであると述べ、海抜ゼロメートルから4000メートル近いアンデス高地ににおいて生産可能であり、地球上の様々な気候・地理・耕作条件に適応できる能力によって、キヌアは世界の食料安全保障に貢献できる大きな可能性を秘めていると発言している。
更に自身を「トウモロコシの人々」と呼ぶマヤの例を挙げ、農業と食のルーツ、そして我々の祖先の伝承と知恵の痕跡を失ってはならない。反対に、我々の祖先から学び、我々の将来が更なる多様性を有したものにしなければならないとしてキヌアなど伝統に根ざした穀物の重要性を強調して講演を締めくくっている。
国際キヌア年の広報推進役として、自身がキヌア生産者であったボリビア大統領モラレス氏が「キヌア大使」にFAOより任命され、食料安全保障と人類の栄養改善と貧困撲滅に貢献する事とだろう。
キヌアの中でも、今後注目されるのはキヌア・レアルではないか?
キヌア・レアルは一般のキヌアと比較してタンパク質やサポニンを多く含有する。このキヌア・レアルはリチウム資源で注目されているウユニ塩湖周辺で栽培されておりガルシ・メンドーサ塩田がある極めて過酷(高地、極低温、極小雨)な条件で、しかもアルカリ土壌で生育するキヌア・レアルは、今後世界の食糧事情を改善する可能性を秘めている。
既に報道されているが、内乱中のシリアなど中東域においても降雪を伴う寒冷化現象が顕著であるが、地球寒冷化を踏まえた食料安全保障戦略の策定と実施が欠かせない。キヌアはこの意味で重要な地位を占めるだろう。
過去を振り返れば、人類の基幹食の革新は、アンデスからもたらされている事を再認識するべきである。
~トウモロコシ、ジャガイモ、トマトなどだが、これに穀物の王キヌアが満を持して登場する~
グラジアノFAO事務局長は、約8.7億人の人々が飢餓状態にある一方で、先進国を中心として肥満状態の恒常化している状態であり、また先進国では毎年220万トンの食料を廃棄している。これはサハラ以南のアフリカの年間総食料生産に相当する。この状態を正常化して持続可能な食生活を地球全体として取り戻すことが非常に重要であり、喫緊に取り組むべき問題であるとしている。
現実として、現在の穀物生産量は約23億トン。このうち35%は、食肉生産用の飼料として牛や豚などで消費され、残りの我々人間が生存するためには約12億7000万といわれているが、現状では10億8000万トン程度の生産量であり、2億トン強が不足している状況である。これを改善せねばならない。早い話が、人類が食肉を食することを諦めれば良いが、これでは十分なタンパク質の摂取に問題が生ずると思われるが、これはキヌアが解決する。
今回のFAOによる国際作物セミナーでは、国際キヌア年(International Year of Quinoa)である2013年を記念するイベントが開催された。さて「キヌア」とは何か?
キヌア(Chenopodium quinoa)は、ほうれん草と同じアカザ科に属する一年草で、南米アンデス高地を中心に栽培されている。
インカ王家の末裔であるインカ・ガルシラーソ氏は、地上になる作物でトウモロコシに次いで重要なのはキヌアであり「母なる穀物」であると述べているように、3000メートルを超えるような過酷な土地でも栽培可能なキヌアは、古来アンデスで重要な穀物であった。NASAも21世紀の主要食となりうるとしている程で、高栄養でミネラル、ビタミン、タンパク質、食物繊維が玄米以上に豊富な穀物である。
キヌアは、必須アミノ酸、準必須アミノ酸を全て含む唯一の穀物であり、アミノ酸スコアは、牛乳に含まれるカゼインに匹敵すると高い分析評価されている。キヌアは現在5種類に分類されている。
①キヌア・デル・バジェ
②キヌア・アルティプラニカ
③キヌア・デ・ロス・サラーレス
④キヌア・デル・ニベル・デル・マル
⑤キヌア・スブ・トロピカル
グラジアノ事務局長は、人間が必要としている全てのアミノ酸を有している穀物はキノアだけであると述べ、海抜ゼロメートルから4000メートル近いアンデス高地ににおいて生産可能であり、地球上の様々な気候・地理・耕作条件に適応できる能力によって、キヌアは世界の食料安全保障に貢献できる大きな可能性を秘めていると発言している。
更に自身を「トウモロコシの人々」と呼ぶマヤの例を挙げ、農業と食のルーツ、そして我々の祖先の伝承と知恵の痕跡を失ってはならない。反対に、我々の祖先から学び、我々の将来が更なる多様性を有したものにしなければならないとしてキヌアなど伝統に根ざした穀物の重要性を強調して講演を締めくくっている。
国際キヌア年の広報推進役として、自身がキヌア生産者であったボリビア大統領モラレス氏が「キヌア大使」にFAOより任命され、食料安全保障と人類の栄養改善と貧困撲滅に貢献する事とだろう。
キヌアの中でも、今後注目されるのはキヌア・レアルではないか?
キヌア・レアルは一般のキヌアと比較してタンパク質やサポニンを多く含有する。このキヌア・レアルはリチウム資源で注目されているウユニ塩湖周辺で栽培されておりガルシ・メンドーサ塩田がある極めて過酷(高地、極低温、極小雨)な条件で、しかもアルカリ土壌で生育するキヌア・レアルは、今後世界の食糧事情を改善する可能性を秘めている。
既に報道されているが、内乱中のシリアなど中東域においても降雪を伴う寒冷化現象が顕著であるが、地球寒冷化を踏まえた食料安全保障戦略の策定と実施が欠かせない。キヌアはこの意味で重要な地位を占めるだろう。
過去を振り返れば、人類の基幹食の革新は、アンデスからもたらされている事を再認識するべきである。
~トウモロコシ、ジャガイモ、トマトなどだが、これに穀物の王キヌアが満を持して登場する~