阿部ブログ

日々思うこと

新世代の軍事衛星の打ち上げラッシュ

2013年01月18日 | 日記

2013年1月8日、米国のNational Security Archivesが、宇宙設置型赤外線システム(Space-Based Infrared System、SBIRS)に関する文書を公開している。
Space-Based Early Warning: From MIDAS to DSP to SBIRS』(National Security Archives, January 8, 2013.)

SBIRSは、1970年代以来稼働している早期警戒システムの防衛支援衛星(Defense Supporting System Satellite)に替わる新世代の早期警戒衛星、2011年5月第1号となる「SBIRS GEO-1(Geosynchronous Earth Orbit-1)」が打ち上げられている。2号機の「「SBIRS GEO-2」は、フロリダのケープ・カナベラル空軍基地に1月11日にC-5ギャラクシーで搬入され、衛星組み立て工場で完成後、3月にAtlas V ロケットで打ち上げる予定。既に打ち上げられている「SBIRS GEO-1」はこの1月から本格的に運用される。

ロシアもプレセツク宇宙基地(Plesetsk Space Center)から、軍事衛星コスモス・シリーズ3基の打ち上げを国防省が発表している。「SBIRS GEO-2」と同様に第1号機は既に打ち上げられ軌道投入が成功している。当初昨年12月8日に実施する予定だったがBreeze-KM ブースターの不具合が発見され、年明けに延期されていた。

イギリスも仏領ギアナから12月20日に「Skynet-5D」が、メキシコの通信衛星「MEXSAT-Bicentenario」と共にアリアン5(Ariane-5)で打ち上げている。「Skynet-5D」は軍事通信衛星で、海外派兵しているアフガニスタンや中東全域と、南米のイギリス領フォークランドなど遠隔地と本土との通信能力をセキュリティを担保した上で更に強化するもの。
Skynetシリーズの打ち上げは、1号機「Skynet-5A」が2007年3月に、次いで「Skynet-5B」が 2007年11月に、翌年2008年6月に「Skynet-5C」が立て続けに打ち上げられている。

シリア内戦で緊張しているトルコも、初めての偵察衛星を中国の甘粛省酒泉衛星発射センターから昨年12月20日に突厥2号に搭載して打ち上げている。この衛星はトルコの宇宙技術研究所とトルコ航空宇宙産業が開発したもので解像度は2.5m。

当ブログで既報済みだが、対トルコ戦略を進めるイランも国産衛星を打ち上げると発表している。イランの衛星は「Nahid」と言う名の偵察衛星で解像度は現在不明だが、大まかな仕様は、この衛星がお披露目される2月2日に明らかになるだろう。因みに2月2日は、イランの「国家宇宙技術の日」であるらしい。

さて、この新世代の軍事衛星の本格運用と、新興国も偵察衛星などを運用する時代が到来した今後の国際社会はどのような展開をみせるのだろうか。