フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

言語管理研究会第20回定例研究会の開催

2009-07-18 23:14:31 | research
昨日は言語管理研究会第20回定例研究会を神田外語大で開催。いつのまにか20回です。もちろん、前身の研究会から数えればその倍にはなるが、「言語管理研究会」となった2006年10月から数えるとこういうことになる。

日差しはごく弱いのだが、湿気が強く、へばるような暑さ。

前回から引き続いて、今回はファン(神田外語大)、高(千葉大)という中心メンバーによる研究方法についての発題があって、30名近くの方々の参加をいただいた。接触場面の分類から一時期止まっていた研究だが、一昨年の多言語使用、昨年からの接触場面の変容とすすめていく中で、各地域の出身者に的を絞っていくことで必然的に場面研究はさらに具体的に多様な姿を現し始めていると感じる。

・当事者にとって接触場面は所与の事柄ではない。NS-NNSが参加すれば接触場面であるというのがまったく事実ではないのと同様に、異なるスピーチコミュニティに属する参加者だからと言ってつねに同等の資格で出会うわけではない。
・初めて外国の地に立った人、ずっと文化度が高いと信じられている外国に来た人などは、外来性を感じても逸脱として留意することは抑制されてしまうかもしれない。(以上、高発表の私なりのまとめ)
・外来性は必ず逸脱となるわけではない。例えば、多言語社会で常時、多様な接触場面に参加している場合、多言語という外来性はunmarkedであり、単言語はmarkedになる。
・多言語使用において、言語間、言語バラエティ間の社会的位置づけ、そして個人要素(年代、背景、教育、etc.)とが、それぞれの外来性の強さや重要さに序列をつくり出しており、管理の方向付けに影響を与えている。(以上、ファン発表の私なりのまとめ)

研究方法とは、つまるところ、どのような視点で何をみるのか、それによって何がわかるのかといった研究のデザインを意味する。接触場面の変容をとらえるために、どこにどの深さでアンカーを打つか?

そろそろその試投の時機も終わりに近づいているという気がするわけだ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 昨今日本語教師事情と有閑階... | トップ | 大連から回帰まで »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

research」カテゴリの最新記事