いつだろう。
「[東京 8日] - 昨年12月に「次は利下げ」という政策運営方針に切り替えた米連邦準備理事会(FRB)だったが、今年に入るとインフレ率の下げ渋りが明確になったことから、いわば「仕切り直し」を余儀なくされた。
そのあたりの事情は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4月25日に掲載したシカゴ地区連銀のグールズビー総裁による以下のコメントが浮き彫りにしていた。
「私がいつも言っていることだが、単月のデータは重視しない。だが、3カ月も(インフレ率の予想比上振れが)続いたということは、そこに本当の状況を示すものが少なくとも1カ月分は含まれているということだ」「インフレ率は6─7カ月にわたって非常に明確に改善して2%に近づいたものの、この水準をかなり上回るデータが後になって示された。われわれは政策を再調整し、様子を見る必要がある」──。
単月あるいは2カ月連続のインフレ率の予想比上振れなら、季節調整のゆがみが作用したのではないかといった説明がされ得る。ところが、今回は上振れが3カ月連続になったので、ハト派のグールズビー総裁も含め、「これはいかん」という話になったわけである。
このため、金融政策の「再調整」「仕切り直し」がどのような内容になるかという点に、米債券市場の関心は集中。利上げの再開という最もタカ派的な選択への警戒感が広がった。これが米長期金利の上昇を引き起こし、2年債利回りは4月末に一時5.04%まで上昇。為替市場ではドル買い・円売りの材料になった。
<利上げ否定したパウエル発言、市場が好感>
だが、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の5月1日の記者会見で、パウエルFRB議長の発言内容はきわめて冷静で、「安全運転」に徹した印象が強い。
パウエル議長は「政策金利の変更に十分な確信を得るにはさらに時間がかかる」「利下げする道もあれば、利下げしない道もあり、経済指標次第となる」といった発言によって、利下げのタイミングがどうやら後ずれしそうだという市場の見方を追認した。
それと同時に「次の政策金利変更が利上げになる可能性は低いと考えている」「どれだけ長く制約的な政策を続けるかに焦点を当てている」と、同議長は明言。経済に対して制約的とみられる現在の政策金利水準を据え置くことによって、景気・物価にじわりと下押し圧力を加えるという金融政策の運営方針が、今後も維持されることになった。」
世界は、また、変わる、金の動き。