史上空前の繁栄

2014-12-16 12:15:49 | 雑感

MLBの総収入が史上最高記録を今年も更新した。90億ドルで前年比13%の伸び。80億ドルを超えたのが昨年でこれも史上初だったが、今年は90億ドルの大台を超えた。1兆円市場の誕生である。

NFLが昨年段階で90億ドル、NBAが50億ドル、NHLが24億ドルである。因みにイングランドサッカーのプレミアリーグが38億ドル、日本プロ野球が14億ドルだ。世界のプロリーグのワン・ツーがNFLとMLBであり、共にアメリカという同じ国のプロリーグと言うのが凄い。

特にMLBは、20年前に文字通りのどん底状態を味わっているので、正に驚異的なグレートカンバックである。この20年間、MLBを率いてきたバド・セリグ前コミッショナーの凄腕ぶりが光るとしかいいようがない。

「北米スポーツ史上最悪のストライキ」と言われた94年のストライキの後、全米のボールパークでは閑古鳥が鳴いた。ファンはMLBを許さなかったのだ。完全にそっぽを向いたファンを取り戻すべく、セリグが取った施策は、インターリーグ開催、ポストシーズン・システムの拡張、球団エクスパンション、ウェブチケット販売の導入、インターネットテレビのMLBによる経営、ラグジュアリータックス導入による戦力均衡、海外展開、WBCの開催、MLBの価値を高めTV放映権料を高騰させたことなどで、正にありとあらゆる手を打ち続けた20年だった。年間観客動員数も、その歴代記録上位トップ10は90年代後半以降の年が占めている。20年でMLBの市場規模は5,6倍に拡張したのだ。

なお、MLBは、400万人以上の人口のすべての都市圏内に少なくとも1チームを所有している唯一の主要リーグであり、175万人未満の都市圏にチームを所有していない唯一の主要リーグでもある。このフランチャイズの置き方も絶妙としかいいようがない(NFLは全米第2のマーケットであるLAにフランチャイズがない)。

「史上空前の繁栄」という言葉は伊達ではない。そしてその大繁栄が、94年の大恐慌の直後から始まったというのが本当に凄いと思う。

ストライキ直後の95年、全米を席巻し、人気回復の一役を担ったのが、トルネード野茂英雄だ。ノモマニアの到来は、来るべき大繁栄の序曲だったのだ。

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