いちばん古い記憶は何ですか? 覚えている風景でも、声でも、あるいは匂いかも。自分でいちばん遠い記憶は、なに?
朝もやか、夕霧かもしれない。あたりは白くもやり、そこに一本のレールだけがみえる。砂利を歩いている。歩くたびに、石がザクリザクリとして、足がふらふら足首がねじくれてとても嫌な感じだ。
母が手を引いている。それがヨチヨチ歩かせている。やがて、線路がすけて、ずっと下に青い水がゴーゴー流れている。レールを跨ぎ跨ぎ、進むが、もうその先へ行く気力がうせて、母はまた来たほうへ恐る恐るもどって行った。
やがて、白やむ世界が明るくなり、空ににじむ日が昇っていた。そのあとにつづく記憶はなく、そこでぷつりと消えている。
その様子が景色のように背後からみえるのが、微かになぜか記憶に残っている。あれはいつのことなのか、不明の、ほんとうだったのか、幼児の夢だったのか、それもよくわからないが、いちばん古い記憶としてぼくのなかに在る。
いつか、それを話してみたが、あんたがみた、やっぱり夢だったのだろうと、母が静かに笑った。
朝もやか、夕霧かもしれない。あたりは白くもやり、そこに一本のレールだけがみえる。砂利を歩いている。歩くたびに、石がザクリザクリとして、足がふらふら足首がねじくれてとても嫌な感じだ。
母が手を引いている。それがヨチヨチ歩かせている。やがて、線路がすけて、ずっと下に青い水がゴーゴー流れている。レールを跨ぎ跨ぎ、進むが、もうその先へ行く気力がうせて、母はまた来たほうへ恐る恐るもどって行った。
やがて、白やむ世界が明るくなり、空ににじむ日が昇っていた。そのあとにつづく記憶はなく、そこでぷつりと消えている。
その様子が景色のように背後からみえるのが、微かになぜか記憶に残っている。あれはいつのことなのか、不明の、ほんとうだったのか、幼児の夢だったのか、それもよくわからないが、いちばん古い記憶としてぼくのなかに在る。
いつか、それを話してみたが、あんたがみた、やっぱり夢だったのだろうと、母が静かに笑った。
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