NPB、日本のプロ野球セ・リーグ。
阪神タイガースの優勝へのマジックが、ついに「1」となった。
9月になってから、何と負け知らずの10連勝だ。
ヤクルトに3連勝、中日に2連勝して迎えた、2位広島との戦いを3連勝して、一気に優勝へのマジックを縮めてきた。
応援する身としては、毎試合見ていて楽しい。
今日は、どうやって勝つのだろう?
なんて思ったりする。
なぜかというと、阪神には傑出した選手がいるわけではないのだ。
それなのに、勝ち続けているのを見ると、時に不思議だなあと思う。
打撃では、去年までのチームを見てみると、なかなか得点が取れなかった。
バッティングに優れた外国人選手がいなくて、いわゆる「大砲」級の選手がほしいなあとよく思ったものだ。
残念ながら、今季の外国人選手も、打ちまくるタイプの選手ではない。
だけど、今季の打線は、チャンスで意外とつながる場合が多い。
そのつながりを生んでいるのが、よくボールを選んでいることだ。
去年までは早打ちも目立ったのだが、今年はじっくりボールを選んで粘ることが多い。
その結果、四球がすごく増え、出塁する選手が多くなった。
そうなるとチャンスが増えたり広がったりするということだ。
そこで、打てないことも多いが、増えたチャンスでタイムリーが生まれることもあるわけだ。
だから、粘って四球を選ぶというのは大事なことだなあ、と思っている。
また、1番近本から8番木浪までかなりの打者が、固定されているが、それぞれの打順でそれぞれの打者の個性がよく発揮されていると思う。
安打の多い近本、出塁率の高い中野、新人ながら意外性のある森下、確実性を増した大山…と続いていくバッティング・オーダー。
今日の4-0の試合も、三振も多いが大物打ちが魅力の佐藤輝明の1発、満塁ホームランで挙げた4点で勝った試合だった。
さらに、8番に木浪が置かれて、安定した打撃をしているのは大きい。
これは、岡田監督の大きな戦術だと思う。
不確実な打線を支えているのは、投手力だ。
今日の試合で10連勝だが、先発した10人がみな勝ち投手になっている。
いかに先発投手陣が安定した力を発揮しているかが分かる。
広島戦で先発し、勝利投手となった村上、大竹、伊藤の3投手は、今季いずれも10勝投手となったことは、安定の証拠だ。
また、投手陣は高いレベルで競い合っている。
先発陣は、少し調子が落ちると2軍に落ちるが、代わりに上がってきた投手がまた力を発揮することが多い。
優れているのは先発投手陣だけではない。
リリーフ陣も競争力が高く、充実している。
抑えの岩崎は、今季は非常にすばらしいストッパーだった。
そこは決まっているものの、先発投手の後の中継ぎ投手には、岡田監督は調子のいい投手を起用しているのが、勝利を引き寄せていた。
以前は岩貞や加治屋、最近では島本や石井、桐敷などが競った場面で出てきて、見事に抑えているのをよく見ている。
そういう中継ぎ投手が充実しているから、先発投手も自分の力を出せるだけ出して、後を任せることができるのだ。
この10連勝中すべてに先発投手に価値が付いたのもその証拠だ。
まずは、充実した投手力がしっかり試合を作ってきたから、得点力が低くても失点を少なく抑えることで競り勝った試合が多かった。
この、人が余っているような安定した投手力は、8月9月のMLB大谷のエンゼルスに少し貸してあげたいような気にさえなるほどだった。
競り合う試合は、見ていてとても面白かった。
やはりプロなら見ていて面白い試合を見せてほしい。
その期待に十分応えてくれた今季の阪神だった。
そして、投手を助けたものに、去年より改善された守備力がある。
外野では、近本、森下、ノイジーが再三好守を見せてくれた。
内野でも、ショートからセカンドにコンバートされた中野が、ファインプレーで何度もピンチを救った。
ショートの木浪やファーストの大山の守備もかなりよかった。
こうしてみると、今季の阪神タイガースは、やはり優勝するに値する総合力を持ったチームだったのだと思う。
久々の優勝へ、マジック1。
明日、甲子園球場のファンの前で決められるといいなあ。