長い笛の音が鳴った。
試合終了だ、勝った!
スタジアムがそんな雰囲気になった。
ところが、川崎のGKが急いで前進してきて、ボールを蹴ろうとした。
その笛が示したものは、試合終了のそれではなかったのだ。
えっ?試合終了じゃないの!?
そう思った瞬間、まずいと思った。
私たち同様に試合が終わったと思った選手たちもいたようで、自陣に帰って守備態勢をとるのが遅れていた。
新潟陣内は敵味方団子状態になってしまった。
そこに川崎GKが深く蹴り込んだボールが入ってきた。
どうにか防いでくれ、といった願いもむなしく、エリア内で川崎の選手が1人、2人とかろうじて先に触ったボールは空中を漂い、ゴール前のノーマークのフィニッシャーに渡ってしまった。
これを決められ、なんと90分+11分という時間帯で同点に追いつかれてしまった。
勝ち点3がするりと逃げていってしまった。
直後に、FKからワンチャンスはあったが、試合終了。
悔しい、悔しい引き分け。
試合終了直前で追いついた川崎サポのスタンドは、まるで勝ったような騒ぎようだった。
6月になって負けなしと好調なアルビレックス新潟は、ホームに川崎フロンターレを迎えた。
川崎も新潟も、5勝5分け8敗で勝ち点20と並び、得失点差で川崎14位、新潟15位となって、不本意なシーズン前半となっていた。
勝てば相手に勝ち点差3をつけられ、上位進出に道がつながる。
同じようなボールをつなぐサッカーの対戦。
そんなシーズン前半の最終戦であった。
試合開始からは、川崎のペース。
同じようなサッカーをしているせいか、弱みも知っているような感じで、強いプレスをかけてきた。
それをしのいでいけばこちらのペースになるだろうと思っていたが、17分、エリア内でマイナスンパスを出されて失点。
今季お決まりのように、先制を許す展開になった。
だが、だらだらと失点パターンにはまらないのが、今のアルビ。
持ちこたえながらチャンスが来るのを待つと、前半の終盤はそれなりにチャンスもあった。
後半になると、アルビのパスがつながるようになり、61分に藤原のゴールで追いついた。
いくつかピンチとチャンスを迎えながら、VARがあったせいもあり、アディショナルタイムは8分。
その90+7分に、舞行龍のシュートを足でさわって鈴木のゴールが決まったときには、スタジアム騒然。
みんな、これで勝った!勝てる!!と思っていた。
そうしたら、冒頭のようなシーンが繰り広げられてしまった。
そんなばかな…。
前節鹿島戦後は、もったいない、と思った。
今節川崎戦後は、悔しさでいっぱいになった。
主審のレフェリングと相性が悪く(?)ても、なんとかそこを耐えてがんばって試合終盤を迎えて逆転したのに、アディショナルタイム8分のはずが11分に失点とは、それは何ぞや、と思ったのであった。
いやあ、悔しかった。
6月好調で負けなしの上に、前宣伝でこんな情報
を何度も流していたせいか、今季最多の33,885名が来場した試合。
あとほんの少しで勝利だったのに…、やっぱり引き分けでは悔しい。
だが、シーズン前半と違って、先制された試合でもこうして追いつくだけでなくひっくり返すこともできるようになったのが、今のアルビの力だ。
常時勝ち点3を得るチームとなるまであと少しのところまで来ている。
こういう悔しい試合が、またチームを強くすることにつながるはずだ。
【試合後の挨拶で深く頭を下げる選手たちから、勝ちを逃した無念さが伝わってきた】
【Nスタンドのゴール裏は、「闘え、新潟」を歌って、挨拶に来た選手たちを鼓舞した】
【試合後に帰る人の波の途切れなさが、3万人超の多さを表していた】
これで前半戦の19試合が終わった。
5勝6分け8敗の勝ち点21、得点25・失点29で15位。
けが人の続出もあり、リーグ戦では思ったように勝ち点は伸ばせなかったが、新戦力の台頭、チーム戦力のアップ、カップ戦の連勝・上位進出という好ましい結果も出した前半戦であった。
来週は水曜夜に広島で、土曜昼に札幌で、と日程的に厳しい試合が続くが、今季後半戦はきっと好成績を収めるはず、と信じている。
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