杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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コソ染め太郎の非コソ染め日誌7

2011年11月08日 | こそ染め道場
お久しぶりです。コソ染め太郎でございます。

いやぁ、今めちゃくちゃ忙しくてなかなか更新できずすいませんでした。

え?何で忙しかったのかって?




新入医局員勧誘の準備に決まってるじゃないですか!









はい。仕事は至って順調です。







という事で今日の非コソ染めです。

今、ATT(ER的なヤツ)に配属されています。
色々な症例が来て、勉強会で習った事を実践しながら楽しく診療しています。

そのATTで昔こんな事があったのを思い出しました。(実際の症例を一部改編してお送りします)



以前よりクローン病と診断されていた方です。
治療は順調で落ち着いてたみたいですが、急に腹痛が出現して来院しました。




「クローン病が増悪したな」




と考えながら診療を開始。

痛みは強かった(間欠痛)のですが、反跳痛はなく、筋性防御もありません。
(下痢は1度のみで血便なし。バイタルもOK)



「よし。採血出たら腎機能確認して造影CTを含めた画像検査に行こう」



CTを撮影してみてビックリ!
な、な、な、なんとお腹の中に空気が!






やべぇ!腹膜炎じゃないか!






慌てて外科にコンサルトし、手術となりました。
運ばれて行く直前に悪寒戦慄が出て「寒い寒い」と言うセリフに僕の背筋も寒くなったのを覚えています。
(術後は順調に経過し退院となりました)



最初の身体診察の時。
・身動きせずじっとしてる(明らかな体動時痛はなし)
・肝濁音界が消失

という所見を取りながらも、


「またまたぁ。肝濁音界消失とかどうせCOPDとかでしょ?私は騙されんよ」


とか思ってしまった自分。




※ちなみに「肝濁音界が消失」とは、free airが肝臓の表面を覆う事で打診上鼓音を呈するという所見。
 腹膜炎を疑います。
 ただCOPDなどで肺が膨張している時は肝臓の前に肺があり鼓音になる事があります。






間欠痛、明らかな腹膜刺激症状がない事、バイタルが安定してる事で腹膜炎の可能性が低いと判断して採血を待ってしまいました。
(今思えば身動きをしないのは腹膜刺激症状だったと思います)
CTは造影を待つにしてもとっとと胸部Xpを撮っておくべきだったなぁと反省。



今回の教訓
その1
「押忍!慣れと決めつけはメディカルペールに突っ込むべし!」


その2
「押忍!緊急度の高い疾患を少しでも疑ったら最低限のエスコートをするべし!」







ま、当たり前の事なんですけどね。
ATTに来る度に「あれ、もうちょっと早く進めなきゃだったよなぁ」思っちゃうんですよね。


昔の女、みたいなもんですかね…









すいません。イラッとした人、すいません。