杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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コソ染め太郎のコソ染め日誌9

2011年07月15日 | こそ染め道場
こんにちは。眼底鏡が全く使いこなせないコソ染め太郎です。
もう全く見えません、眼底。
虹彩なら綺麗に見えるのに…とつぶやいたら「それじゃ虫眼鏡と一緒だ」と言われました。


ぐうの音も出ないとはこの事ですね。




という事で今日のコソ染めです。
肺炎でSBT/ABPCをずっと投与されていた方です。(2週間くらい?)
当直帯で40℃の発熱で呼ばれました。

呼吸数が上昇し、酸素の必要量も上がってます。
痰の量が著明で聴診上は右でcoarse cracklesが聞こえます。


「はいはい。菌交代したのね。緑膿菌かな?」と痰を採取。
ちらっと以前の培養結果を見ると治療(SBT/ABPC)開始後に増えてきた菌が異彩を放っています。



Stenotrophomonas maltophilia



おおおおお!
まさかコイツが菌交代を!?

テンションMAXのままグラム染色をすると…





出ました、Stenotrophomonas maltophilia!(正確には後の培養結果で確定)


とりあえず重症度高かったのでLVFX+MEPMで加療を開始しました。

めでたしめでたし…










…とは問屋がおろしてくれません。
この話には続きがあるんです。

その後2日間は若干改善傾向を認めましたが、再度肺炎の悪化を認めました。
治療開始4日後の痰からなんと…





MRSA

この短期間にまた菌交代を起こしていました。(元々培養ではMRSAは検出されていた)



この方は既往からは明らかな易感染の要素はありませんでしたが、全身状態が悪く実際はかなり免疫が落ちていたんだと思います。
免疫力低下の怖さを改めて感じた症例でした。